車・バイクでの押しがけの方法と押しがけしてもかからない場合
更新日:2024年06月19日
押しがけとは?
エンジンがある一部の車両では、押しがけという方法で始動することができます。たとえば、何らかの不具合により、キーをONにしてもエンジンがかからない状況があります。
こういった時に、車両を押して少しの操作をすることでエンジンをかけることができます。基本的にはキーの操作でエンジンがかけられることがことが正常ですので、押しがけというのは、あくまでも緊急時に行う特殊な始動方法です。
今回は、そうした緊急時に備えたエンジンの掛け方を中心としてご紹介して参ります。もし、公道で車両に不具合が出てしまって、どうしてもエンジンがかからない場合にはこうした方法を試してみてください。
クでエンジンがかかる!
エンジンとは、クランクケースという部位のクランクというパーツが回転することで始動します。正常時には、このクを電気で行っているため、人力で回転させることはほとんどありません。
まれに、古いバイクでは「キックスタート」といって、セルスタートではなく、人力のキックでエンジンをかける車両もあります。押しがけというのは、このキックスタートとも異なりますが、同じように人力で行います。
ある一定の速度でクランクを回転させ、そこに適切な点火を行うことでエンジンがかかる仕組みですので、やり方さえ知っていれば、車両を後ろから押してエンジンをかけることができます。
車の押しがけのやり方とは?
車のバッテリーがあがってしまうと、キーをONにしただけではエンジンがかかりません。こういった状況の時には押しがけ有効な方法です。
ただ、押してエンジンをかける方法は、マニュアル車のみでできる方法です。それには、クラッチ操作やギアの選択という観点からしても、オートマ車ではできない仕組みとなっています。
それでは、具体的に車での押しがけのやり方をご紹介いたしましょう。
レーシングカートの場合はどうやるの?
レーシングカートを例に挙げますが、この場合もマニュアル車であることが前提です。まずはじめにキーをONにします。この時、余計なバッテリーを消費しないようにしましょう。
そして、クラッチを踏みギアを1速、もしくは2速に入れます。この状態のまま、後ろから車を押してもらい、時速10~15km/hほどのスピードになったらクラッチをつなぎます。
エンジンがかかり始めたらクラッチを切り、アクセルを踏んでエンストしないようにアイドリングさせます。エンジンが安定して回転するようになったら完了です。
インジェクション車もできるの?
インジェクション仕様の車で、押しがけする方法についてご説明いたします。
結論から言えば、バッテリーが上がったら押しがけでもエンジンはかかりません。ただ、フロート室にガソリンが残ってる場合、押しがけでかかる可能性がありますが、ガソリンが残っていなかったらかかりません。
なぜなら、ガソリンを送るのが電磁ポンプ式だからです。押しがけをしなければいけない状況とは、大抵バッテリーあがりですので、全てを電子制御しているインジェクション仕様車ではできません。
こういった場合では、速やかにロードサービスを依頼して、ディーラーなどで修理をしてもらいましょう。
バイクの押しがけはどうやってやるの?
バイクもエンジンを積んでいますので押しがけが可能です。車と比べると、車重が軽く、小さな車体ですので比較的かけやすい車両です。
方法は車と同じでように、まずキーをONにして、クラッチを握り、ギアを1速か2速に入れて、そのままバイクを押します。ある程度の速度が出てきたところで、クラッチを離します。
これでエンジンがかかります。かかった瞬間に再度クラッチを握りバイクを停車させます。その後、ニュートラルにギアを入れて、しばらくアイドリングさせて暖気します。
以上がバイクでの押しがけですが、車種によっても具体性が異なりますので、それぞれ詳しくご紹介して参りましょう。
マグナ50はどうやるの?
ホンダのバイクに、マグナ50という50㏄の原付車両があります。こちらは、とても珍しく50㏄ながらもマニュアル形式のバイクです。
クラッチとギアチェンジ操作が必要ですので、操作性は大型バイクと変わりません。マグナ50で押しがけをする場合、車体が小さく軽いため、とてもやりやすいです。
やはり、クラッチを握りギアを1速に入れてから押します。速度が出てきたところで、バイクに跨り、クラッチを離します。
これでエンジンがかかりますので、そのまま発進できます。マグナ50の場合では車体が軽いので、押す速度も出やすいため、押しがけがしやすいバイクです。
そのため、こうした「跨ってかける方法」でも十分に安全に行うことができます。
ハーレーはどうやるの?
では、反対に大型バイクの王様「ハーレーダビッドソン」での押しがけはどうでしょうか。
ハーレー社のバイクは主に大型の区分です。750㏄から1500㏄以上ある車両が中心です。こういったバイクでも押しがけはできます。
ただ、先のようにインジェクション仕様車のハーレーでは困難です。最新のハーレーは、主に「インジェクション仕様」となっていますので、1度バッテリーがあがってしまうと、大きな排気量のエンジンをクさせることが容易ではありません。
ですので、キャブレター仕様車に限り、押しがけが有効です。方法は前項までと同じで、クラッチを握り、ハーレーの場合は2速にギアを入れ、押しながらクラッチを繋ぎます。
もしくは、車重があるので坂道を利用することもです。下り坂があれば、跨りながら押しがけができます。バッテリーがあがってしまったハーレーは、こうした方法でトラブルの回避ができます。
スクーターも押してエンジンがかけられるの?
スクーターというオートマ形式のバイクがあります。では、こうしたオートマ車の場合、押しがけはできるのでしょうか。
結論から言えば、スクーターでの押しがけはできません。なぜなら、オートマのスクーターでは、エンジンが止まっている状態ではクラッチが切れた状態になり、後輪の回転をエンジンにあるクランクシャフトに伝えることができません。
ですので、もしスクーターのバッテリーがあがってしまいエンジンがかからない時は、ロードサービスを依頼しましょう。もしくは、近隣のガソリンスタンドやバイクショップにてバッテリーを充電してもらうことでも良いでしょう。
色々な車両についてご紹介いたしましたが、やはりインジェクション仕様車とオートマ車の場合、押しがけはできないということです。
そのため、事前に「バッテリーがあがらないようなメンテナンス」や走り方をすることが最善です。
押しがけしてもかからない時はどうすればいいの?
マニュアル車で押しがけをしてもかからないケースがあります。これには、いくつかの原因があります。
やはり、バッテリーが完全に劣化していて、多少なりとも残量がないとかかりません。また、キャブレター仕様車でもかからないケースがあります。
他にも、電気系統が原因でエンジンがかからないことがあります。さまざまな不具合が挙げられますが、その中でもありがちな内容を例に挙げ、詳しくご紹介して参ります。
もし、いくら押しがけをしてもエンジンがかからない場合には、ぜひ探ってみてください。とても簡単にかかることもありますので、ぜひ参考にしてください。
点火系に不具合があるとエンジンはかからない!
エンジン始動には重要な点火系ですが、バッテリー以外でも重要なパーツで「スパークプラグ」というパーツがあります。
こちらは、バッテリーの電気を使って「エンジン内に点火をする小さな部品」です。消耗品ですので定期的な交換が最適なのですが、忘れがちなパーツでもあります。
こうした、小さなパーツ1つが点火しないだけでエンジンはかかりません。ですので、プラグを交換することをいたします。
また、こうしたトラブルを避けるためにも、バイクへ新品のプラグを積んで置くことが良いです。また、プラグレンチがなければプラグの脱着ができませんので、揃えて積んでおきましょう。
さらに、プラグを繋いでいるコードも消耗品です。プラグコードと呼ばれるパーツですが、こちらも定期的な交換が最善です。接点が錆びていると通電しなくなり、エンジンに点火しません。押してエンジン始動する場合、こうした点検もしてみましょう。
キャブレターに不具合があるとエンジンはかからない!
インジェクション仕様車では車両を押してエンジン始動することはできませんが、キャブレター車でも場合によっては始動ができません。
キャブレターというのは、エンジン内へ「最適な混合気を作って送り込む役目」を担っています。ですが、長期間車両に乗らないで放置していた場合、キャブレター内のガソリンが腐ってしまうことがあります。
ガソリンが腐ってしまうとキャブレター内部の通路が塞がれてしまい、ガソリンが通ることができません。そのため、いくら始動を試みてもエンジンの始動はしません。
または、季節によって混合気の分量を変えていく必要がありますが、こうしたセッティングが正確になされていない車両ですと、エンジンがかからないケースがあります。
こういう場合、プラグを外して色や状態を見ることでおおむね混合気の適性が予測できます。押してもエンジンがかからない車両は、こういった箇所の点検が必要です。
車両状態が良ければ押してエンジンをかける必要がない!
今回は、「車とバイクの押しがけ」を中心とした内容をご紹介いたしました。やはり、押しがけをしなければいけない状態というのは、良い車両状態ではありません。
調子の良い車両は、キーをONにすればかかりますし、キックスタートでも容易にエンジン始動できます。
仮に、押してエンジンがかかった車両でも、また停車後に同じようなトラブルが発生する可能性がとても高いです。そうならないためにも、日常の車両点検が重要となります。
ぜひ、今回の内容をご覧いただいたならば、愛車の点検と整備を行ってみましょう。きっと、普段は見過ごしていた箇所の不具合が見付かり、それらを修理することで完調な状態の車両となることでしょう。
そして、調子を取り戻した車両で安全運転を心掛けていれば、またどこかに不具合が出てしまっても、すぐに修理ができる知識が付きますので安心です。
初回公開日:2018年02月06日
記載されている内容は2018年02月06日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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