車離れが分かるデータ・理由と原因・若者が多いのか|地方
更新日:2024年08月23日
車離れが分かるデータ
若年層を中心に車離れが進んでいると言われることがありますが、それは本当に起きている現象なのでしょうか。車離れが真実であった場合、根拠となるデータや論文などは存在するのでしょうか。まずは、車離れを示すデータについて紹介していきます。
データや論文を参考にすると
1つのデータとして、内閣府が出している消費者動向調査を参考にすると、世帯主年齢別の乗用車普及率は、減少傾向にあることが分かります。30歳以上に限定した場合は、それほどの減少はみられず、60歳以上の世帯については、ほぼ横ばいですが、29歳以下になると、その減少傾向がより明らかです。
特に29歳以下は、2017年のデータと2005年のデータで比べると、乗用車普及率が約20%下がっていることが分かり、車離れが起きていることを示すデータの1つと言えるでしょう。
そのほかのデータも参考にすると、自動車の保有率は、特に20代と70代で低い傾向にあります。70代で低いのは、高齢になって車を手放す機会が増加するためだと考えられるでしょう。
また、論文を参考にしても、車離れが起きていると解析しているものも多く、若者世代を中心に車に対する興味が薄くなっていることが、1つの要因として挙げられています。
車離れの理由・原因
車離れに関するデータについて紹介しましたが、車離れが起きている原因としては、どのようなものが考えられるのでしょうか。背景には、時代の変化や価値観の変化、経済事情などが絡んでいると言えるでしょう。車離れの理由について、紹介していきます。
時代の変化
車離れの理由の1つとして、時代の変化にともなって、家族構成や市場が変わってきていることが挙げられるでしょう。車の需要が高い世帯には、一定の傾向がみられます。車の保有率が高い世帯は、子供のいる家庭や独身の子供と親が同居している家族形態で、高いというデータがあります。
しかし、少子化などの影響も受けて、子供のいない家庭や単身世帯が増加している傾向にあります。車の需要が少ない世帯の増加が、車離れの一因になっていると言えるでしょう。
また、市場の変化も車離れに関係している部分があります。車の保有率は、地方のほうが高く都市部で低い傾向があります。都市部への人口流入が増え続けているため、車離れが進んでいるとも言えるでしょう。
価値観の変化
車に対する価値観が変わってきていることも、車離れの原因の1つに挙げられるでしょう。車に関する意識調査のアンケートなどを参考にすると、昔に比べて車へのこだわりが少なくなっていることが分かります。交通手段の1つという認識が強くなっていて、以前のようなステータスとしての価値が減少傾向にあります。
また、車以外への消費が増加していていることも、理由の1つと言えるでしょう。例えば、テレビやパソコン、またはアニメやゲームなどのサブカルチャーへの、消費割合が増しています。モノの種類が以前の社会より増していることも、原因と言えるのではないでしょうか。
維持費
現実的な理由としては、車の維持費が高いということが言えるでしょう。車代やガソリン代、保険代や駐車場代なども含めて計算すると、車の維持には年間数十万単位で費用が発生します。車のが高かった時代に比べて、平均給与が下がっている現状からすると、車を買いたいという欲求があったとしても、保有できないという経済事情があると言えるでしょう。
また、バブル期などと比べて景気が悪くなった今の時代において、車は費用に対する効果が低くなっているという見方もあります。交通手段が増えたことや、事故のリスク、車を持っていなくてもカーシェアリングなどを利用できるといったことから、車離れが進んでいると言えるでしょう。
車離れは若者が多いのか
車離れについては、特に若者でその傾向が強くみられることが、先ほど紹介したデータから分かりますが、車離れは若者全体に該当する現象なのでしょうか。データを詳細にみると、車離れが若者に多いとは一概には言えない側面もあります。車離れが若者に多いのかどうか、詳しくみていきます。
男女別にみると
若者世代全体の、車保有率に関するデータや車に対する意識調査の結果をみると、車離れの傾向はみられます。しかし、免許の取得率自体はそれほど下がっておらず、女性に関しては30年前と比べると大きく上昇しています。
また、車の保有率や車に関する出費についても、女性に関しては、その割合が上昇傾向にあります。
男女別で詳しくみた場合、都市部で単身世帯の29歳以下の男性は、車の保有率が下がっていますが、女性の単身世帯では車の利用が進んでいます。若者で一括りにした場合は、減少傾向にありますが、内容をみると、車離れが起きているとは言えないケースもあると言えるでしょう。
また、意識調査に関して、車の関心が昔より薄くなっているのは、本当は車が欲しいけれども高すぎて買えないため、車に対する興味を低くするという心理が働いているという考え方もあります。
若い男性に車離れの傾向がみられる理由
若者世代の男性で、車離れの傾向がみられる理由は何でしょうか。価値観の変化や維持費の項目で紹介したような理由も考えられますが、ほかの理由も挙げることができます。
今の若者は、不景気の時代を長く過ごしています。大量生産、大量消費の時代とは違うため、今の現役世代以上の人達に比べて、節約志向が強く堅実であると言えるでしょう。色々なモノやサービスに溢れている環境であるとも言え、そもそも物欲がそれほど高くないという見方もあります。
コミュニケーションに関しても、SNSなどネットを媒介としたものが増え、車を使う機会が減少していると考えられます。
そのほかの理由としては、親世代が車を持っていて、自身で所持する必要性を感じていなかったり、そもそも自動車メーカー側が、絶対数が少ない若者向けに車を作っていないという捉え方もあります。
車離れは地方が多いのか
都市部では車離れの傾向がみられますが、地方ではどうでしょうか。地方については、公共交通機関の利便性が都市部に比べて劣るということもあり、車離れが進んでいるというよりは、車に依存した社会だと言えるでしょう。
地方によっては、より車社会に依存している傾向がみられます。例えば、群馬県の人の動きに関する調査を参考にすると、日常の交通手段として車と答えた人が7割以上います。
100メートル圏内の移動であっても、2割以上の人が車を利用しています。
一方、車離れの傾向がみられる部分もあります。燃費が良く安い車の需要が高くなっていて、車を足代わりという感覚で使用する人が増え、軽自動車でも良いという人が増加傾向にあると言われています。公共交通機関の発達など、車が生活必需品でなくなれば、車離れが進む可能性があるでしょう。
車離れはいつからか
車離れについて紹介しましたが、この現象はいつ頃から起きているのでしょうか。車の保有台数や免許の所持率に関しては、車離れという変化がみられるわけではないため、都市部での車の保有率の減少や意識調査などを参考にします。傾向としてあらわれ始めるのは、おおよそ2005年前後で、その頃から車離れに関する情報の数も増えていると考えられるでしょう。
原因としては、バブル崩壊後も同じような車を若者向けに作り続けた結果、売れなくなり、若者向けの車の生産が減ったことや、車が世の中に溢れていくことで、憧れの対象ではなくなったのでないかといった意見があります。
車離れと飲酒の関係
車離れの要因として、飲酒も関係していると考えられるでしょう。飲酒運転による事故が度重なった結果、飲酒運転による事故などは厳罰化の方向に進んでいます。一昔前は、飲み会に車で参加し、飲んだ後もそのまま車に乗って帰るということが行われていましたが、現在では店側も運転手にはお酒を出さないなどの取り組みがなされ、そういった行いは減少しています。
飲酒によって車の規制が進んだことで、車は乗りづらくなったと言えるでしょう。飲酒運転がどの程度の影響を与えているかは定かではありませんが、車に対する若者のイメージ調査では、怖いや危険といったイメージの度合が上がっているデータがあります。事故のリスクを考えると、車を購入して運転しようという意識は少なくなるのでしょう。
酒離れ
車離れと同じく、酒離れの傾向があるのではないかというデータも存在します。酒離れについては、若者だけではなく全体的にみられる傾向で、酒を飲む頻度などが減少しています。社会の変化に応じて、車や酒の相対的な価値が下がっていると考えられるでしょう。
車離れへの対策
車離れへの対策としては、どのようなものが考えられるのでしょうか。若者向けの車を作ることが解決策の1つになりそうですが、上手くいっていない場合が多く、近年の事例では、若者向けに作ったはずのものが、高年齢層にヒットすることがありました。
一方で、一部の店舗においては若者向けの車販売が成功している事例もあります。「SUV LAND」と呼ばれる専門店では、2017年度に車を購入した年代について、20代と30代が約60%を占めたというデータがあります。若年層のニーズを把握することができれば、車離れの解消がみえてくるでしょう。
また、お金がないために車を買うことができないという事情を踏まえると、若い世代の雇用安定化、給与アップなどが課題になると考えられます。
車に対する意識が変わった?
今回は、車離れについて、データなどを参考にしながら紹介しました。部分的なデータを参考にすると、若者を中心に車離れの傾向がみられましたが、具体的な中身をみると、いろいろな事情があることが分かりました。
車に対する関心は薄れているものの、若い世代でも車を欲しいと考えている人は一定数存在しています。カーシェアリングやレンタカーの利用率は若者世代が中心となっていて、車が必要ないわけではないと考えられます。今の若者が現役世代になり収入が安定すれば、今の現役世代と変わらない車の保有率になっている可能性もあるでしょう。
車が憧れであった時代には、借金をしてでも購入する人がいましたが、その時代のほうがおかしいという考え方もあります。節約志向やエコ意識の高まりなど、社会の変化に合わせて、車との距離感も変わっていくでしょう。
初回公開日:2018年01月15日
記載されている内容は2018年01月15日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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