車両重量と車両総重量の違い・測定方法|10tトラック
更新日:2024年08月24日
車両重量と車両総重量の違い
車両の重量(重さ)を表す「車両重量」と「車両総重量」。どちらの言葉も良く似ています。しかしながら、車両重量と車両総重量では、重さの表す「中味」に違いがあります。
普通自動車において、車両重量はガソリン満タンの状態、規定量のエンジンオイルに冷却水が含まれていて、バッテリー、スペアタイヤ、タイヤ交換に使用するジャッキなどの車載工具が含まれ、すぐに走行可能な状態であることが定義されています。
また、車両重量は自動車の重量税額に関わるもので、乗用車であれば500kg重量ごとに重量税額の値段が高くなりますが、乗車定員の重量は含まれません。車両総重量は、車両重量に一人当たり55kg×乗車定員の重量を足したものとなります。さらにトラックでは、積み荷の最大積載量が足されたものが車両総重量として定義されます。
10tトラックの車両重量
「10tトラックなら10t積載できる」は間違いです。あるいは「4tトラックなら4t積載できる」というのも違います。一回に積載できる量が多いほど、当然、積み荷の輸送コストは小さくなりますが、認識を間違うと、過積載による違反となるだけでなく、最悪は過積載による事故が発生してしまう可能性もあります。
トラックの条件区分けは、小型トラック(車両総重量5t以内、最大積載量3t以内)、中型トラック(車両総重量11t以内、6.5t以内)、大型トラック(車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上)とされています。
通称の4tトラックは中型トラックを、同じく通称の10tトラックは大型トラックを意味しますが、その積載量はメーカーや車種によって異なります。積み荷を載せる前に、車両後部や車検証に記載された最大積載量の把握が重要です。
フォークリフトの車両重量
重い荷物を2本の爪で運ぶことができるフォークリフトにも最大荷重が表記されています。気を付けないといけないことは、爪に載せる荷物の重心位置によって最大荷重が減るということです。例えば、2.5tの荷物の重心は爪の根元から500mmまで、1mの重心ならば1.6tが最大荷重となります。
また、重い荷物を運ぶフォークリフトは、車両自体の重量がとても重く、最大荷重が2.5tのフォークリフトの例であれば、車両重量は3.8tにもなります。安全な運搬を行うのに、車両に記載されたプレートには、先ほどの車両重量と最大荷重、荷物の重心位置に加えて、タイヤに関する規定も記載されています。ご自分の目で確かめてみましょう。
車両重量の測定方法
10tトラックなどの大きな車両の車両重量は、どのようにして計測されるのでしょうか。その答えは「測り」です。人間でいうならば体重計ですが、長くて車重の重いトラックですので、トラックスケールと呼ばれる大きな重量計で、トラック丸ごとが計測されます。
自動測定
トラック丸ごとの車両重量を自動計測できる大きな「測り」のトラックスケールは、ごみ処理施設や砂利粉砕業社など、仕事で大きなトラックが行きかう施設に設置されています。ゴミ処理施設では、積み荷を降ろす前に車両重量を計測して、積み荷を降ろした後で計測した車両重量を引き算して、積載していた荷物の重量を測定することができます。
最近では、施設に大型の重量計を設置せずとも、ポータブル型車両重量計と呼ばれる小型の重量計も販売されています。使用方法は車両車幅の両輪に合うように重量計を置いて測定表示器を接続します。トラックの1軸目、2軸目のそれぞれの重量を計測して行います。
車両重量の一覧
意外ですが、現行の軽自動車規格には車両重量は規定されていません。長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下、排気量660cc以下という基準さえ満たせば、今のところ重くも軽くも軽自動車という規格に当てはまり、減税を除いて2年で一律6600円と定められています。
一方で、軽自動車の規格から外れた普通自動車は、減税を除いて2年で0.5t以下は8200円、0.5t超え1t以下は16400円、1t超え1.5t以下は24600円、1.5t超え2t以下は32800円、2t超え2.5t以下は41000円、2.5t超え3t以下は49200円と定められています。では、具体的な車両の車両重量を見てみましょう。
ハリアー(トヨタ)
1997年12月に販売が開始されたトヨタのSUV車として登場したハリアーの車両重量は、初代の1590kgから現行型の1740kgまでで、1.5t超え2t以下というクラスになります。
プリウス(トヨタ)
今はハイブリッドカーの代名詞とも言えるプリウスが登場したのが1997年10月で、車両重量は1220kgから現行型の1460kgまでの1t超え1.5t以下のクラスです。
リンカーン・ナビゲーター(フォード)
アメリカのフォードが販売したリンカーン・ナビゲータ3.5L、4WD車両の中には、車両重量2770kgという重い乗用車も存在しました。普通自動車で他にこれほど重い車両は見当たりません。
頑強そうなゴツイ印象の4輪駆動ボディと、V6ターボエンジンを搭載した重厚さとで、アメリカ16代大統領の名にふさわしく、アメリカらしいクルマと言えるでしょうが、燃費性能や毎年の税金58000円を考えると、その大きな車体を維持するのは大変そうです。
車両重量の制限はあるのか
現行の普通自動車の定義では、車両最大重量は3.5t未満とされています。また、最大積載量は2t未満で、乗車定員は10人以下とされ、大型特殊自動車にも自動二輪車にも小型特殊自動車のいずれかにも、全てにおいて該当しない車両とされています。
車両重量は、エンジンの出力を走行性能に変換する効率を妨げるだけでなく、その重量を支えるタイヤ性能、ブレーキ性能などの自動車の「安全性能」に直結します。他にも税金や燃費など、コスト面でも少なからず、自動車においては車両重量は軽い方が良いでしょう。
車両重量、あなどってはいけない?
ニュートンが発見した運動方程式F=ma(F:力、m:重さ、a:加速度)はあまりにも有名ですが、この公式は重さmが大きいほど、加速度aが大きいほど、力Fが大きくなることを表しています。
これを自動車に例えると、mは車両重量、aはアクセルを踏み込んで得られる加速度に匹敵します。そして得られる力Fは、ガソリンなどの燃料を燃やしてエネルギーを変換させたトルクになって自動車を走らせます。
つまり、mの車両重量が大きいほど、発進する力Fは大きくなり、加速するのによりアクセルを開いて燃料を消費しなければならないことを意味しています。また減速する際にも、自動車を停止させる力Fがより大きく、ブレーキの負担が大きいことを表しています。
車両重量は軽い方がエネルギー効率や燃費が良いですし、ブレーキ消耗も軽い方が少ないです。でも軽ければ、ドライバーを死亡事故から守るためのボディ強度や空間が犠牲になります。
強度×軽さの答えは車両重量
自動車業界では、金属部品に鉄よりも軽いアルミニウム、あるいはさらに軽くて強度のあるマグネシウムの使用がすでに行われています。より軽くて強度のある自動車は、単に燃費が良いだけでなく、消耗部品の寿命も向上し、結果的に安全性能をも向上させます。その究極の極限でコスト競争を強いられているのが軽自動車業界とも言えます。
一方で普通自動車は、ハイブリッド車を含むガソリンエンジンの燃費向上と、電気自動車の技術革新によるシェア争いが繰り広げられています。この戦いは今後も加速して、消費者にとっては品質と性能を兼ね備えた、最適価格の自動車が提供され続けるでしょう。単に安かろうであった時代から、リーズナブルな良い製品の時代へ、私たちの生活はシフトしています。
初回公開日:2018年01月30日
記載されている内容は2018年01月30日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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