車のアウトインアウトをするメリット・コツ・教習所|公道
更新日:2024年09月18日
アウトインアウトとは
スローイン、ファーストアウトという言葉は教習所で習うので覚えている人も多いでしょう。しかしアウトインアウトは、知らない人も多いのではないでしょうか。
アウトインアウトもスローインファーストアウトもモータースポーツにおいて非常に重要な運転方法です。
アウトインアウトは、高いスピードを保ちながらカーブを抜けるテクニックで、車の挙動を変化させずにスムーズにスピードを落とさずに走る方法です。スピードを一定に保ち無用なスピードのアップダウンを抑えることができる観点から見ると、低燃費走行にも有効になるでしょう。
アウトインアウトはその名のとおりカーブの外側から内側に入りそして外側に抜ける走法です。運転をした事があれば、聞くだけで簡単にできそうなので試してみる人が多いですが、意外に難しい事に気付くでしょう。
アウトインアウトのコツ
車でカーブを曲がる時にきついカーブより緩いカーブのほうが曲がりやすいのはご承知のとおりです。しかも緩いカーブでしたらスピードも落とさずに曲がれます。もしカーブの内側に沿って走れば近道でしょうが、スピードが上がるにつれて車は遠心力により曲がれずに外に振り出されてしまいます。
そこでアウトインアウトによって、外からカーブに入りカーブの内側から外側に出るように走れば、カーブが緩くなりスムーズに走らせることができます。
基本
アウトインアウトで走る基本は、スローインファーストアウトとセットで行う事が重要です。特にファーストアウトにこだわる必要はありませんが、カーブの侵入時にはきっちりと速度を落とし侵入する事が大切です。
理想的なアウトインアウトは、カーブの手前で道路の外側で速度を落とします。速度を落としたままカーブに侵入してカーブのイン側にハンドルを切って付けます。そのあとハンドルを戻しながら加速し道路の外側に脱出します。
クリッピングポイント
CP(クリッピングポイント)という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。CPとは実際のコーナリングでもっともインにつける場所のことをCPといい、カーブの頂点はAP(エイペックス)といいます。
アウトインアウトは、インをCPに持ってくるように運転をします。CPの場所はAPより先(向こう側)に取るように心がけて運転をします。そうすることで日常の運転の危険防止にも役立ちます。それは見通しが悪いカーブでAPより手前でカーブのインにつけるとその先の見通しが効かなくなるからです。
しかし見通しが悪いからといって車線を割ってインに着けるような走しりは絶対にしないようにしましょう。
ハンドル操作
カーブを曲がる時にはハンドルを操作して曲がりますが、実はモータースポーツの世界ではただハンドルを操作しているだけでは車は曲がりません。高いアベレージスピードでコーナーに侵入して曲がるには、フロントタイヤをいかにグリップさせるかにかかっています。
カーブを曲がる基本は、カーブの手前で減速してハンドルを切り始め、速度を一定にし、ハンドルを戻しながらコーナーの出口で加速しますが、ここでの減速は速度を落とすためとカーブを曲がりやすくするための減速です。
アウトインアウトで道路の外側で減速する時に、フロントに車の荷重を集めることでフロントタイヤのグリップ力を高めることができます。それによりカーブを曲がる際にステアリンを切った分だけ曲げることができます。これはモータースポーツでは非常に重要なテクニックですが、一般道でもカーブの一番急な部分を安定して抜けるのに必要なテクニックになります。
教習所でのアウトインアウトの反応
教習所ではスローインファーストアウトは教えてもらえますがアウトインアウトは教えてもらえません。それは教習所では道路交通法に則りキープレフトの運転方法を教えているからです。
日本の道路では車は左側通行で歩行者は右側通行です。つまりお互いが左に寄って走行する事で対向車に危険を感じさせることなく安全に走行することができます。もう一つは、例えば片側2車線の道路で右側を追い越し車線として空ける事で追い越しや右折が円滑に行えるようになり交通が円滑になる効果があります。
こういった意味から教習所でアウトインアウトは教えてもらえません。教習所では運転の基本操作を学ぶところです。アウトインアウトは運転操作を間違えると外側に膨らみ過ぎて対向車と衝突を起こす危険があります。そのような運転方法を教習所で教えるはずがないでしょう。
道別アウトインアウトのやり方
アウトインアウトを使って走るには、道路状況に合わせて行う必要があるでしょう。特に免許を取りたての人は運転に不慣れなので、まずは車幅感覚を身に着けてスローインファーストアウトの走り方を完璧にマスターすることから始めましょう。
公道
公道は歩行者や自転車そしてバイクなど、色んな交通手段で移動している人達がいます。そこに自分勝手なアウトインアウトを行いながら走ることは周りの迷惑にもなりかねません。
アウトインアウトは車線をいっぱいに使って走ると効果がありますが、市街地などでは脇道からいきなり人が出てきたり、車が顔を出したりするので基本的に行わないほうが良いでしょう。
アウトインアウトの走り方は、自分の走りなれた道で行うと良いでしょう。知らない道ではカーブの先が全く予想できません。走りなれた道であれば、例えカーブの先に故障車が止まっていたとしても、アウトインアウトで早めにその車を発見できるラインを走ることができます。
コーナー
サーキットではコーナーをできるだけ早く駆け抜けることがタイムアップにつながります。コーナーの手前でしっかりとスピードを落としブレーキを残しながらハンドルを切っていきます。しかし、前輪にグリップを増す代わりに後輪の横方向へのグリップ力は少なくなり、限界を超えるとスピンをすることになります。教習所でカーブの中でブレーキを踏むと減点となるのはこのことからです。
しかし、レースではファーストインファーストアウトとアウトインアウトを巧みに組み合わせる事で、車の4つのタイヤの摩擦抵抗を急激に変化させながらコーナーを曲がっていきます。その反面一般道路では、4つのタイヤの摩擦抵抗を急激に変化させることなく走らせることが安全運転に繋がります。
S字コーナーなどでは、なるべく車のハンドルを切らずに真っ直ぐのラインで走らせると車に余計な負荷を与えずに走らせることができます。
高速道路
高速道路は比較的真っ直ぐに走ることができますが、山間部を走る高速道路には多くのカーブがあります。しかし設定された最高速度で走る限りアウトインアウトで走らなくても問題なく走れるはずです。
高速道路は片側2車線もしくは3車線が多いですが、自分の走っている車線の中でアウトインアウトを行いながら車線の幅一杯を使って走ると、後続から追い越してくる車に迷惑を与える事になります。それは後ろから見ると車が蛇行して走っているように見えますし、自分の車線に割り込んでくるのではと恐怖感を与えかねないからです。
高速道路で制限速度で走行する限りむやみにアウトインアウトをする必要はありません。キープレフトを守って走行するようにしましょう。
交差点
交差点を曲がる時に車を曲がる方向とは反対にフェイントをかけて曲がる人をたびたび見かけます。アウトインアウトを意図的に行っているのかわかりませんが、非常に危険な運転でしょう。
交差点でフェイントをかけて曲がると、イン側にバイクや他の車の侵入を許すことになり巻き込みを誘発させてしまいます。曲がる方向と逆にハンドルを切ってフェイントをかけて曲がらなければならない乗り物は、広い道から狭い道に侵入する大型トラックやバスだけでしょう。
交差点は非常に危険が多く潜んでいる場所です。そこをアウトインアウトで素早く走り抜ける行為は歩行者などを撒き込む恐れもあります。車などは交差点に入ろうとする場合には交差点を通行する他の車両などに特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならないと道路交通法で定められています。
山道
山道などはカーブも多くアウトインアウトを使って走っている人を見かけます。しかし慣れている道でもセンターラインギリギリまで車を寄せることは対向車に恐怖感を与えます。
走りなれた山道で対向車の存在がわかるような場合は、自分の走っている車線を使ってアウトインアウトで走っても良いでしょう。しかしコーナーの手前で確実に減速しておかなければ、オーバースピードで対向車線に飛び出して非常に危険です。
山道でのアウトインアウトは、早く走るためではなく車のタイヤに余計なダメージを与えずに走らせることを考えます。カーブの多い山道では思いがけず急なカーブになっている時には、タイヤに大きな負荷がかかっていしまうでしょう。
それを避けるにはカーブの手前でしっかり減速してからアウトインアウトを行うとよいでしょう。
スローインの大原則を忘れないように
スムーズな運転ができている人は、アウトインアウトが自然にできています。例えば観光バスのベテラン運転手は、バスの中でお酒が回ってご機嫌になっている人が立って歩いても、転ばないように細心の注意を払い運転をしています。これは車の荷重移動をしっかりと理解して、余計な揺れを起こさないようにしているからです。
カーブではスローインを確実に行い、大きいバスでもアウトインアウトで運転しています。なるべく直線的に走らせ、ブレーキやアクセル操作による前後揺れを起こさないように注意を払っています。
このように、アウトインアウトはレースの世界だけのものではなく、峠道などで車や乗っている人に余計な負荷を与えない最良な走行方法でもあります。しかしスローインが徹底していなければ全く意味がありません。このことを理解して普段の走行に役立たせましょう。
初回公開日:2018年01月13日
記載されている内容は2018年01月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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