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トヨタの空飛ぶ車の特徴と値段の相場・ドローンなのか

更新日:2024年01月16日

空飛ぶ車について、その成り立ちや特徴、気になる販売価格や、ドローンではないのかなどを解説します。トヨタの若手社員らを中心に開発が進められている、車でありながら自宅からいつでも飛び立てる、自家用飛行機にもなるという夢の乗り物、空飛ぶ車の耳寄りな情報を紹介します。

トヨタの空飛ぶ車の特徴と値段の相場・ドローンなのか

トヨタの空飛ぶ車の特徴について

19世紀の後半に誕生した自動車は時代と共に進化を続け、現在は快適で便利な移動手段として人々に親しまれていますが、それでも排気ガスによる地球環境への影響や、都市部などで頻発する交通渋滞など問題は山積みです。そうした背景から、各自動車メーカーは環境にやさしい電気自動車や燃料電池車を開発して対策に努めています。

トヨタ自動車は自動車に関わる多くの問題を解決する手段として、従来にはない次世代のモビリティー「空飛ぶ車」の実用化を目指すことを発表しています。空飛ぶ車とは、その名のとおり空中を飛行することで乗員を目的地へと運ぶ、まるでSFの世界を具現したみたいな夢の車です。

そのような空飛ぶ車について、その成り立ちや特徴、気になる販売価格や、空飛ぶ車は人が乗り込めるドローンではないのかなどを解説していきます。

若手社員のアイディアにトヨタが支援を決定

空飛ぶ車の開発プロジェクトは、トヨタ自動車に勤務する若手社員の有志を中心とした団体「カーティベータ―」によって独自に進められていましたが、それにトヨタとそのグループ企業が支援し大規模な資金提供を行うことが2017年5月に決定されました。

カーティーベータ―は「モビリティ(乗り物)を通じて未来へと夢を繋ぐ」をコンセプトに、次世代の乗り物「空飛ぶ車」の構想を実現すべく2012年より活動を続けて来た団体です。

カーティベータ―はこれまでインターネットを通して広く支援を募る、クラウドファウンディングで活動に必要な資金を調達してきましたが、この度、トヨタグループ15社より4,250万円の資金援助が決定したことで夢の実現へと大きな一歩を踏み出しています。

空飛ぶ車「スカイ・ドライブ」とは

モビリティを通じて人々の豊かな未来を実現する、カーティベータ―が開発を進めている空飛ぶ車「スカイ・ドライブ」は、車輪の代わりに前後左右に四つの水平ローター(プロペラ)を搭載し、それらの動きを制御することで有人飛行が可能という非常に斬新なアイディアを使用した未来の車です。

スカイ・ドライブは全長3.6m、幅1.7m、高さ1.1mという、トヨタの小型車パッソとほぼ同等のコンパクトなボディを持ち、搭乗定員は2名です。これを電気モーターを使用したパワーユニットにより四つの水平ローターを回転させて浮上し、時速60㎞/hで走行可能です。

スカイ・ドライブは空港のいらない自家用飛行機?

また、詳細はまだ不明ですがスカイ・ドライブは通常の形態から翼のようなものを展開し、その際は車体の幅が3.1mまで拡大します。その状態で最大で地上50mまで浮上し飛行することが可能で速度は時速100㎞/hまで達します。

これは空飛ぶ車であると同時に、自宅からいつでも空を飛ぶことができるという、正に空港のいらない自家用飛行機です。実現すればモータリゼーションだけでなく乗り物の常識が一変してしまうことは間違いありません。

2020年の東京オリンピックまでに完成

スカイ・ドライブは、近い将来爆発的な人口の増加が確実とみられる新興国において、それに伴う鉄道や道路、空港といった交通インフラの整備が追いつかなくなる事態が予想され、それが経済成長の大きな妨げとなる事から、そのためには道路も滑走路もいらない、垂直離着陸が可能な小型の空飛ぶ車が最適だとして構想が始まり、開発が進められています。

カーティベータ―はこの夢の乗り物スカイ・ドライブを、2020年の東京オリンピック開催までの完成を目指して開発に取り組んでいます。そして2050年までには実用化し、スカイ・ドライブで誰もがいつでも空を飛ぶことができる、すばらしい未来を実現することを目指しています。

まずは2020年の東京オリンピックにて初めてお披露目され、スカイ・ドライブに搭乗した聖火ランナーが聖火台に火を灯すことを目標に掲げています。

空飛ぶ車いすとは?

空飛ぶ車いすについて説明します。

アジア諸国へ車いすを届ける活動

「空飛ぶ車いす」と聞くと、高齢者介護や障害者支援で活躍する車いすが、介護者の手を借りずに利用者の意志で空を飛び好きなところへ行けるという、夢の介護器具みたいに考えますがそうではありません。

空飛ぶ車いすとは、日本で利用者のサイズが合わなくなったり故障して使えなくなった車いすをアジア諸国へと空輸して、必要としているたくさんの子供たちなどに利用してもらおうというボランティア活動です。

受け取り・修理・輸送のボランティアリレー

日本では、介護施設などから年間5万台以上の車いすが廃棄されています。そうした状況から使えなくなった車いすを社会福祉従事者の研修生ボランティアが受け取り、それを工業高校の学生たちがボランティアで分解洗浄と整備および故障個所の修理を行い、それをボランティアの輸送スタッフが手荷物としてアジア諸国へと送り届けます。

こうして車いすが「空を飛ぶ」ことで、現在までアジア、アフリカ、南米など27ヶ国に合計8,634台がプレゼントされています。

空飛ぶ車の値段の相場について

カーティベータ―が実用化に向けて開発を進めている空飛ぶ車、スカイ・ドライブについてその販売価格はまだ公表されていないため不明ですが、海外ではすでに実用化され実際に市販されている車があります。

スカイカーと呼ばれるそれら海外の車の価格を元に、空飛ぶ車の販売価格の相場を説明します。

PAL-V・Liberty

パルヴィ・インターナショナルという会社が販売する空飛ぶ車PAL-V・Libertyは、車体の上部に大きな回転翼(プロペラ)が付いた車で、後部にも地面と垂直にローターが装備される車とヘリコプターを合体させたような成り立ちをしています。

地上では上部のローターをたたんで前一輪、後二輪の三輪で走行が可能です。販売価格は日本円で6,000万円です。

AeroMobil 4.0

AeroMobilは、地上ではスポーツカーみたいな流線型をした四輪の自動車で、空を飛ぶときにはたたまれていた主翼が展開して小型飛行機へと変形するという、車と航空機の二つの機能を持つ空飛ぶ車です。

AeroMobilの搭乗定員は2名で、地上走行時の最高速度は160㎞/h、最大飛行速度は360㎞/hという性能を持っています。

自動車モードで道路を走行する際の前輪は、一般的な車と同じようにボディにはめ込まれ装着されていますが、後輪は水平尾翼の左右にある垂直尾翼の下に内蔵されるという、画期的なデザインのAeroMobilはすでに予約販売が開始されています。気になるその価格は1億4000万円で2020年頃からデリバリーが開始されます。

モラーM400スカイカー

カナダの発明家ポール・モラー氏が開発したM400は、トヨタの空飛ぶ車スカイ・ドライブに最も近い成り立ちを持つ空飛ぶ車です。

こちらはスカイ・ドライブと同じ、水平に置かれた四つのダクテッドローターを駆動させて垂直離着陸が可能で、車みたいに自宅からいつでも飛び立つことができる自家用飛行機です。また飛行時には四つの水平ローターの角度を、米軍のMV22オスプレイみたいに垂直へと可変させて最大速度560㎞/hで飛行が可能です。

M400はまだ正式に量産されておらず、現在の試作車の競売価格は4億円程度と高額です。しかしモラー氏が設立した自身の会社では、近い将来に1,000万円という価格での販売を検討しています。

気になるスカイ・ドライブの価格はいくらぐらい?

こうして海外の空飛ぶ車の価格を見ていくと、6,000万円や1億4,000万円といった高額で一般の人にはとても手が出ません。しかし、ささやかな希望としてカナダの空飛ぶ車モラーM400が、何と1千万円というスカイカーにしては破格の値段で市販を検討していると言いますから、空飛ぶ車を購入したいと考えている多くの人には朗報でしょう。

また、トヨタの空飛ぶ車スカイ・ドライブは電気モーターとバッテリーを使用しているため、現在の電気自動車のパワートレーンをそのまま流用できれば、販売価格もその分かなり安くなり700~800万円程度の価格での販売が実現すると考えます。いずれにせよ近い将来に実現するという、空飛ぶ車の普及に多くの人々の期待が高まるでしょう。

空飛ぶ車はドローンなのか

空飛ぶ車はドローンと形が似ているとの指摘があります。それぞれの違いについて説明します。

ドローンとは無人航空機のこと

ドローンとは本来「無人航空機(UAV:Unmanned aerial vehicle)」のことで、飛行時のブーンという音がハチが羽ばたくのに似ていることから「ドローン」と呼ばれています。また米空軍が運用する、ノースロップ・グラマン社のRQ-4 グローバルホークなどの無人偵察機もドローンと呼ばれています。

カーティベータ―のスカイ・ドライブを始め、スカイカーと呼ばれる海外の空飛ぶ車は全て人が搭乗して操縦する飛行機ですので、ドローンとは異なります。

しかし、日本のスカイ・ドライブを始め海外のいくつかの空飛ぶ車には、ホビー用などに販売されているドローンと同じ「クワッドローター」を採用しています。これは四つの水平ローター(プロペラ)を作動させて飛行するシステムで、仕組みとしては空飛ぶ車とドローンは同じ方式を採用しています。

空飛ぶ車の原型は1950年代のエアジープ

実はスカイ・ドライブと同じ水平ローターを採用した乗り物は、1950年代のアメリカですでに登場していました。その名も「パイアセッキPA59Kエアジープ1」といい、アメリカ陸軍が歩兵部隊の機動力を高めるために開発を依頼した「空飛ぶジープ」です。

開発したのは、日本の自衛隊でも使われているCH47チヌークを代表とする、タンデムローター型ヘリコプターを実用化したことで知られるている人です。それはパイアセッキ・エアクラフト社の創設者である航空技術者フランク・ニコラス・パイアセッキ氏です。

PA59Kは車体の前後に巨大な円形ダクトの中に回転翼(プロペラ)を収納した「ダクテッドローター」を備え、その推力によって地面から浮上し前後左右に自由に飛行が可能という革新的な乗り物です。これにより、戦場で地雷原などの障害を飛び越えて、部隊間の連絡や敵情視察などに使用するという斬新な発想で注目を集めました。

残念ながら実用化されなかったエアジープ

PA59Kは当初180馬力のレシプロ(ピストン)エンジンを2基を搭載していましたが、その後最高出力425馬力のターボシャフトエンジン(ジェットエンジンの一種)2基へと進化します。垂直離着陸が可能なこの空飛ぶ車は、何と地上900mまで上昇が可能で最大飛行速度は時速130㎞/hと公表されています。

天才技術者フランク・パイヤセッキが完成させたエアジープは、このように優秀な性能を発揮したにもかかわらず、その構想を提案した米陸軍が実際の使い道に苦慮し、試験的に運用されたのみで残念ながら実戦で使われることはありませんでした。

しかし、パイアセッキはかつて自家用ヘリコプターの実用化に意欲的に取り組んでいて、彼がすでに他界した現在、それを敬うという意味でも空飛ぶ車の実現は大きな功績となるでしょう。

空飛ぶ車に必要な免許について

空飛ぶ車が市販されたら、ぜひ購入してすぐにでも空を飛んでみたい。そう考えている人は少なくないでしょう。そのために空飛ぶ車を運転するのに必要な免許について説明します。

自動車免許では運転不可能

日本の航空法によると、「航空機とは、人が乗つて航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう」と記されています。

空飛ぶ飛行機は、人が乗り込んで操縦し航空の用に供することができる乗り物ですので、航空法における「航空機」に値するため、運転するには自動車免許で無く飛行機を操縦するための免許が必要です。

「そんなに高く飛べなくてもいいから空飛ぶ車を運転してみたいです」と考える人も多いでしょう。しかし、無人のドローンでさえ法改正によって飛行が制限されていますので、現在の法律では航空機免許以外で空飛ぶ車を操縦するのは難しいでしょう。

空を飛んでも大丈夫なの?

空飛ぶ車を運転するために航空機免許を取得したとしても、どこでも好き勝手に飛び回るなどすればきっと大事故が起きると考えられとても危険です。そのため、空飛ぶ車を一般に普及させるには現在の自動車用道路と同じ、きちんと定められた路線や法律を備えた空中を走行するための道路が必要です。

とは言え、空中に道路を建設するのは不可能です。しかし空中道路を実現するのはおそらく簡単で、空飛ぶ車に搭載されたナビゲーションシステムなどの端末に、空中走行用に製作した架空の道路を入力しヘッドアップディスプレイでフロントガラスに表示させれば、空中道路ができ上がります。

それを中央の道路管制センターで管理すれば渋滞などの道路情報の送信や、ロードマップの更新作業などをオンラインで行えます。加えて空中道路交通法といった法律を定めて運転者や車両にルールを設ければ、夢の空中モータリゼーション時代が実現するでしょう。

空飛ぶ車の発売の詳細情報

日本を始め海外でも実用化を目指して開発が進められている、空飛ぶ車について気になる発売時期などを説明します。

日本の空飛ぶ車

日本では2012年から活動を開始している有志団体、カーティベータ―が開発を進めている空飛ぶ車スカイ・ドライブは、現在、試作車の完成を目指してプロジェクトが着々と進行中です。

カーティベータ―は、2017年5月にトヨタ自動車とそのグループ企業を合わせて15社から、三年間で4,250万円の資金援助を受けることが決定され、夢の実現へ向けて大きな一歩を踏み出しています。

まずは2020年の東京オリンピック開催日までに、実際に人が搭乗して飛行可能な試作車の完成を目指しています。その後レンタル事業やタクシーなどで実際の運用を開始する予定で、2050年までには一般の人に向けて市販が実現できることを目標にしています。

ハリーポッターの空飛ぶ車

イギリスで誕生したベストセラー小説を映画化した、のハリーポッターシリーズに登場した空飛ぶ車について説明します。

映画に登場した車は1950年代のイギリス車

映画ハリーポッターに登場した魔法の力で空を飛ぶことができる車のモデルは、アメリカの自動車メーカーフォード社の英国法人、イギリスフォードによって開発され1959年に販売が開始されたフォード・アングリア105Eデラックスという車です。

フォード・アングリアは、クリフカットと呼ばれる絶壁状に切り立ったリアウインドーと、前方につき出した丸目二燈式ヘッドライトに、日本語で表現すれば口をあんぐりと開けたみたいなラジエータグリルを持つ押しの強いフロントマスクが印象的な小型車です。

アングリアは全長が3.9mの小さなボディーに、当時の人々の憧れだったアメリカ車のエッセンスを盛り込んだデザインでとなり、累計で128万8,956台も生産された大ヒット車です。フォードはイギリス人にとって国産車と呼べるほど信頼のあるブランドで、このアングリアが劇中車として登場したのもごく自然なことでしょう。

空飛ぶ車が乗り物の歴史を変える

空飛ぶ車について、その成り立ちや特徴、気になる販売価格や、ドローンではないのかなどを紹介しました。

トヨタの若手社員らが中心となって発足した有志団体、カーティベータ―によって開発が進められている空飛ぶ車スカイ・ドライブは、2020年の東京オリンピック開催までの完成を目指してプロジェクトが着々と進行中です。

スカイ・ドライブは電気モーターで駆動する四つの水平ローターによって垂直に浮上し、車であると同時に自宅からいつでも空へと飛び立つことができる、空港も滑走路もいらない自家用飛行機という驚愕の次世代モビリティーです。

このプロジェクトにトヨタとそのグループ企業が、何と4,250万円もの資金援助を行うことが正式に決まり、夢の実現へ向けて大きな一歩を踏み出しています。

あなたも、次世代の乗り物によって豊かな未来を実現するという空飛ぶ車に、ぜひ注目してみましょう。

初回公開日:2018年04月20日

記載されている内容は2018年04月20日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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