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ロータリーエンジンはなぜ燃費が悪いの?燃費改善方法とは

更新日:2024年07月19日

ロータリーエンジンの燃費が悪いということをよく耳にしますが、なぜ悪いのか本当に悪いのか気になります。今回は、ロータリーエンジンの燃費が悪い理由、搭載車、改善方法等、実際の燃費といったロータリーエンジンと燃費にまつわる内容をご紹介します。

ロータリーエンジンはなぜ燃費が悪いの?燃費改善方法とは

ロータリーエンジンはなぜ燃費が悪いの?

車好きでなくともロータリーエンジンという言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。またロータリーエンジンは燃費が悪いといったことや、高回転エンジンというのを耳にします。なぜ燃費が悪い高回転エンジンと言われているのか、疑問に感じたことはありませんか。この疑問についてお答えします。

高回転エンジンだから燃費が悪いの?

ロータリーエンジンの燃費が悪いのは、高回転エンジンだからでしょうか。それとも他に原因があるのでしょうか。これらを理解するには、ロータリーエンジンの原理を知ることが大事です。これからロータリーエンジンの原理について概要をご説明します。

ロータリーエンジンとは?

ロータリーエンジンというのは「Rotary Engine」で「Rotary」の意味は回転です。繭型のハウジングの中をオニギリに似た形のローターが回転することからこのように呼ばれます。これ以外には、レシプロエンジンと呼ばれるエンジンがあります。こちらは後ほどご説明します。

ハウジングやローターって何?

ハウジングはレシプロエンジンで言うところのシリンダーや、シリンダーヘッドに該当しローターを包むケースです。ローターはピストンに該当します。

レシプロエンジンとは?

レシプロエンジンというのは「Reciprocating Engine」の和製英語で「Reciprocating」の意味は往復です。円筒形のシリンダー内をピストンが上下に往復することからこのように呼ばれます。

直列エンジン(直列6気筒、直列4気筒といったものです)、水平対向エンジン、V型(V10、V8、V6といったVが付いているものです)エンジンと呼ばれているエンジンはこれにあたります。ロータリーエンジンには、レシプロエンジンのように水平対向やV型といったものはありません。また殆どの車はこのエンジンを搭載しています。

ロータリーエンジンは高回転が得意?

ロータリーエンジンは、レシプロエンジンのようにピストンが上下するという直線運動ではなく、ローターが回転する回転運動です。最初から回転しているために、回りやすいという特性を持っていることから、高回転に適したエンジンとなります。

このため、モーターみたいにスムーズに回るとよく例えられます。また構造などがレシプロエンジンのように複雑ではないため、エンジン自体の大きさをコンパクトにできます。エンジンをコンパクトにできることは、自動車の軽量化や低重心化などに繋がり、ロータリーエンジンは正にスポーツカーにうってつけのエンジンです。

マツダのロータリーエンジン搭載車とは?

マツダは実用的なロータリーエンジンの量産化の開発に唯一成功したメーカーでロータリーエンジンを搭載した数々の車を販売しました。これからこのエンジンを搭載した車達をご紹介します。

コスモ

ロータリーエンジン搭載車第1号がコスモです。ロータリーエンジン搭載車はコスモスポーツ(1967年)、コスモAP(1975年)、コスモ(1981年)、ユーノスコスモ(1990年)です。中でもコスモススポーツは、特撮ヒーローTV番組に使用されていたことでもよく知られています。

またユーノスコスモは、その姿がクジラに似ていたことから車好きからはクジラと呼ばれていました。

ファミリア

ロータリーエンジン搭載車は、ファミリアロータリークーペ(1968年)、ファミリアロータリーSS(4ドアセダン、1968年)です。ファミリアにロータリーエンジンが搭載されたのは第2世代(1973年)まででした。

ルーチェ

ロータリーエンジン搭載車はルーチェ(1966年)、ルーチェロータリークーペ(1969年)、ルーチェレガート(1977年)です。ルーチェロータリークーペは1972年に、またルーチェレガートは1978年に生産終了となりましたが、ルーチェは1991年の自家用向けの生産が終了する第5世代までロータリーエンジンが搭載され続けました。

カペラ

ロータリーエンジン搭載車は、カペラロータリークーペとカペラロータリー4ドアDX(1970年登場)、カペラロータリーAP(1974年)でカペラロータリーAPが最後のロータリーエンジン搭載車でした。

サバンナ

ロータリーエンジン搭載車はサバンナ(1971年)、サバンナAP(1973年)です。この車は当時の輸出名の「RX-3」と呼ばれている車で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。また、当時の自動車レースで常勝していたスカイラインGT-R(ハコスカGT-Rと呼ばれている車です)の連勝記録にピリオドを打った車として有名です。

サバンナはその名前と共にサバンナRX-7に引き継がれました。

RX-7

ロータリーエンジン搭載専用車でサバンナRX-7(1978年)、RX-7(1991年)です。この車は通称「セブン」と呼ばれており、一度は耳にしたことがあるではないでしょうか。また2000年前後に、この車を題材にした豆腐屋ドリフトマンガもメガヒットしましたので、記憶にある方も多いでしょう。

初デビュー時は名前に「サバンナ」が付いていましたが、第3世代目から「サバンナ」は無くなりました。また、初デビュー車はフロントミッドシップを掲げ、その圧倒的な性能は当時の車好きに大きなインパクトを与えました。ピュアスポーツカーとして進化し続けたRX-7ですが、2002年に生産を終了し大いに惜しまれました。

RX-8

RX-8はRX-7と同様に、ロータリーエンジン搭載専用車で初デビューは2003年です。ロータリーエンジンを搭載した最後の車になりました。RX-8は、ドアが観音開きと呼ばれる特徴的な開け方でしたので、記憶にある方も居られるでしょう。

また、よくRX-7の後継車と思われがちですが、そうではなく完全新設計の車としてデビューしています。RX-8はデビューから9年後の2012年に生産を終了しました。

ロードペーサー

1975年にマツダのエンドモデルとしてデビューした車です。当時のセレブをターゲットにしていましたが、予想外に販売台数が伸びず1977年に生産を終了しました。

パークウェイロータリー

マツダが生産していたマイクロバスでロータリーエンジン搭載車は、1974年にデビューしましたが、ロードペーサー同様に予想外に販売台数が伸びず2年後の1976年に生産を終了しました。

プロシード

海外市場向けをメインとして生産していたロータリーエンジンを搭載したピックアップトラックで、1974年にアメリカ向けにロータリーピックアップトラックとしてデビューし1977年に生産を終了しました。

ロータリーエンジンの燃費が悪い原因は?

燃費の悪い原因はいくつかありますが、代表的な原因の「燃焼サイクル」「低圧縮比」「低トルク」についてご説明します。

燃焼サイクルとは?

ロータリーエンジンの燃焼サイクルは、構造上クランクシャフト3回転に3回爆発するのに対し、レシプロエンジンは2回転で1回爆発します。このため、レシプロエンジンと比べて2倍爆発していることになります。

2倍爆発して2倍の動力を得られれば、燃費はレシプロエンジンと同じくらいになりますが、実際は1.5倍の動力しか得られないため燃費は悪くなります。また同じ排気量の場合、2倍爆発することは燃料を2倍使っているということになり、燃費が悪いということになります。

低圧縮比とは?

圧縮比とは、ピストンが吸い込んだ気体をどれくらいまで圧縮するかを表したもので、圧縮比が低いと上手に燃料を燃やすことができません。一般的にロータリーエンジンは「9」ですが、レシプロエンジンは「10」です。僅か「1」しか違いませんがこれが燃費に影響してきます。

低トルクとは?

トルクとは車を加速させる力で、これが低いと加速が鈍いということになります。ロータリーエンジンは構造上の理由で、低回転数域ではレシプロエンジンと比べて低い傾向です。トルクが低いために「加速が鈍い」「鈍いからアクセルを踏む」その結果、燃費が悪化することになります。

ロータリーエンジンの燃費改善方法は?

このように、燃費の悪いロータリーエンジンですが諦めてはいけません。少でも燃費の改善につながる方法や情報をご紹介します。

燃費改善につながるエンジン回転数は?

ロータリーエンジンは低回転域が苦手です。このため、レシプロエンジンのようなエンジン回転数を低めに抑えて走行すると、益々燃費が悪化します。ロータリーエンジンの最も効率の良い回転数は3000rpmです。

3000rpmを基準としてメリハリをつけた走行をすることで、燃費改善につながるでしょう。ただし、1速で3000rpmまでアクセルを踏むことや、ダレた運転は燃費が悪くなる原因につながりますので避けましょう。

アイドリングストップは有効?

今ではアイドリングストップは、燃費向上の定番技術でロータリーエンジンも燃費の向上が期待できます。しかしながら、ロータリーエンジンを搭載した車はアイドリングストップを前提に設計されていません。

またエンジンが十分に暖まっていないと、点火プラグが混合気で湿ってしまい火花が飛ばなくなるプラグ被りを起こし、直ぐにエンジンがかからないこともあります。今後のマツダの技術力に期待しましょう。

ハイブリット化はしないの?

ハイブリット化できないことはありません。ハイブリット化することで大幅な燃費の向上と、低回転域での低トルクを解消することができるものの、マツダからのアナウンスは何もありません。唯一アナウンスされていることは、ロータリーエンジンを搭載した新型のスポーツカーには、ハイブリットなどの電気的なアシストは使わないということです。

ロータリーエンジン一般道路での燃費は?

燃費の話をする前に車は外観などによりいくつかに分類されます。分類はセダン、SUV、ワンボックスやワゴンといったもので、ロータリーエンジンを搭載した車はスポーツカーに分類されます。

本題の燃費ですが、ここではRX-7の燃費を紹介します。一般道路での燃費は約5㎞/L〜約6㎞/Lです。燃費は道路環境(登り坂が多いとかです)道路事情(渋滞や信号が多く発進停止を繰り返すとかです)や乗り方で大きく変わりますので、あくまでも参考値です。

なお、同じ分類の日産GT-R(R35と呼ばれている車です)の燃費は約6㎞/L〜約7㎞/Lですから大差はありません。

ロータリーエンジン高速道路での燃費は?

高速道路では約8㎞/L〜約9㎞/Lです。こちらも一般道路と同様に、道路環境や道路事情や乗り方で大きく変わりますが発進停止が殆どなく、また一定のエンジン回転数のままでの走行になりますので、一般道路よりは良くなる傾向にあります。日産GT-Rの燃費は約9㎞/L〜約10㎞/Lですから一般道路と同じように大差はありません。

燃費比較の結果は?

一般道路と高速道路の燃費を日産GT-Rと比較しても大差はなく、1㎞/L程度の差しか無いということが分かりました。ではなぜ、ローターエンジンの燃費は悪いと言われるのでしょうか。それは、スポーツカーに適しているロータリーエンジンの燃費をお父さんが乗るセダンや彼女が乗る軽自動車と同じ土俵に上げて比較していることに他ならないからです。

ロータリースポーツの世界を楽しもう

今回はロータリーエンジンの燃費の悪い理由、エンジンの概要、搭載車の紹介、燃費の改善方法などについて紹介しました。ロータリーエンジンの燃費は悪いと言われますが、スポーツカー同士の日産GT-Rと比較してみても、1㎞/L程度の違いで世間で言われているほど悪いものではないことが分かって頂けたでしょう。

またRX-7やRX-8に乗ってみたい、愛車にしたい、興味が湧いてきたという方もおられるでしょう。これを機会に一度くらいは、ロータリースポーツの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。今後のロータリーエンジンの動向については、開発を行ってきたマツダからは同エンジンを搭載した新型スポーツカーの情報はありませんがサプライズに期待しましょう。

初回公開日:2017年09月14日

記載されている内容は2017年09月14日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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