タイヤ・ホイールのインチアップで燃費は向上するの?理由
更新日:2024年07月22日
タイヤ・ホイールのインチアップで燃費は向上する?
車の最初のドレスアップが、インチアップという方は多いのではないでしょうか。インチアップは、ドレスアップの定番ですが、燃費はどうなのと率直に感じたことはありませんか。今回インチアップすると、燃費はどうなるのかについて、ご紹介します。
インチアップって何?
ホイールの直径を大きくすることです。ホイールの直径を表す単位は「インチ」のため「インチアップ」という言葉が使われています。しかしながら、単純にホイールの直径だけを大きくし、タイヤの厚みは同じままだとタイヤの外径が大きくなり、ハンドルを切った時や段差を乗り越えた時に、タイヤがボディーに接触したり、スピードメータが実際のスピードより低く表示されたり、走行距離が実際より短くカウントされたりします。
これらを防止するために、タイヤの厚み(偏平率と言います)を薄いタイプ(低偏平率と言います)に変えて、タイヤの外径が標準装備の時の寸法とほぼ同じになるようにします。このことを「インチアップする」と言います。なお、同時にタイヤ幅も広いタイプに交換するのが、一般的です。
タイヤ幅を変える理由は?
標準装備と同じ幅のままで、タイヤの厚みを薄いものに変えた場合には、タイヤの空気容積が少なくなり、走行中のタイヤに加わる色々な力に耐えられなくなることもあります。このため、広い幅のタイプにします。
インチアップする理由は?
インチアップする理由は、何と言っても第一にドレスアップでしょう。見た目がグッと変わりますので、同じ車種の車と並ぶようなことがあっても、個性をアピールできるでしょう。ではドレスアップ以外に、どのようなメリットがあるのでしょうか。
インチアップのメリットデメリットは?
メリットは?
メリットは、見た目がグッと変わることですが、これ以外にもメリットがあります。
インチアップすることで低偏平率タイヤになるため、ハンドルを切った際にシャープに感じたり、タイヤのグリップが上がったように感じるでしょう。シャープに感じるのは、低偏平率タイヤになることで、ハンドルを切った時のタイヤの「ゆがみ」が少なくなるためです。また、タイヤのグリップが上がったように感じるのは、タイヤの幅を広いものに変えるため、僅かにグリップ力が上がるためです。
デメリットは?
低偏平率タイヤになりますので、路面から受けるショックが大きくなり、乗り心地が悪く感じたり、ホイールが大きくなることで、重量の増加や路面からのノイズが大きく聞こえるようになったりします。また、低偏平率タイヤは、金額が高いものが多く、ランニングコストに影響します。
インチアップの目安は?
目安は、標準装備のホイールサイズの「1インチ」から「2インチ」までです。これより大きくするとメリットもなく、また、ホイールとブレーキディスクの隙間がスカスカになり、見た目重視が台無しです。
最近では、RV車やSUV車に、大口径のホイールを装着するのが流行っています。このような車の殆どが、タイヤの厚みが極端に薄いタイヤ(超偏平率タイヤと呼ばれています)を装着しています。このようなタイヤは、段差を乗り越える時などにホイールに大きな衝撃が加わり、変形や変形によるタイヤの空気漏れというようなこともあります。このため、タイヤやホイールの小まめな点検が必要ですので、これらの外観やタイヤの空気圧に気を配りましょう。
インチアップの前に燃費が気になる?
愛車がクールになるのは嬉しいけれど、インチアップすると燃費がどうなるのか気になるという方もおられるでしょう。インチアップすると燃費は変わります。なぜ変わるのかについて、これからご説明します。
インチアップで燃費が変わる理由とは?
ホイールの影響なの?
ホイール径を大きくすると、ホイールの重量が重くなる場合が殆どです。また、開口部分が少ないデザインは、かなり重くなります。結果として、重量が増加するため燃費は悪化します。なお、重量を軽減するため軽量ホイールというのもありますが、値段は高くなります。
タイヤの影響なの?
インチアップは、タイヤの幅を広いものに交換するため「転がり抵抗」が増えます。転がり抵抗が増えるということはアクセルの踏み込量が多くなりますので、燃費は悪化します。また、タイヤをチョイスする際にグリップ力の高いスポーツタイヤにしてしまうと、益々、転がり抵抗が増えるということになります。最近では、幅の広いタイヤでも、転がり抵抗の低いエコタイヤが販売されています。
車種別インチアップで燃費はどう変わった?
インチアップで、燃費はどの程度変わるのでしょうか。ここでは、「VOXYハイブリット」と「プリウス」を例に、ご紹介します。
VOXYハイブリットの燃費はどう変わる?
VOXYハイブリットにはZS、V、Xのグレードがありますが、ここでは、Vのグレードを例として、ご紹介します。
VOXYハイブリットVの標準装備のホイールは、15インチで、タイヤは195/65R15(195㎜はタイヤトレッド幅、65は偏平率、Rはラジアルタイヤ、15はタイヤ内径を表しています)のサイズが装着されています。15インチホイールを「2インチアップ」し17インチホイールに変えた場合には、タイヤは215/45R17のサイズを装着しますので、平均燃費が1割程度悪化します。燃費を悪化させたくないということであれば、「1インチアップ」の16インチホイールにタイヤは205/60R16のサイズがベストでしょう。
プリウスの燃費はどう変わる?
プリウスもVOXYハイブリットと同様にグレードがあります。プリウスのグレードとしては、特別仕様車S、Aプレミアムツーリングセレクション、Aプレミアム、Aツーリングセレクション、A、Sツーリングセレクション、S、Eがあります。ここでは、Sのグレードを例として、ご紹介します。
プリウスSに標準装備のホイールは、15インチで、VOXYハイブリットVと同じサイズのタイヤ(195/65R15)が装着されています。VOXYハイブリットVと同じようにホイールを「2インチアップ」すると、結果もVOXYハイブリットVと同じになりますので1割程度悪くなります。
燃費が悪くならないプリウスのインチアップサイズは?
インチアップは、タイヤも交換することを前記しましたが、プリウスに標準装備しているタイヤは、燃費向上に貢献するタイプが付いています。このため、少しでも燃費の悪化を防ぎたいということであれば、インチアップはしないことです。どうしてもインチアップしたいということであれば、燃費の悪化には目をつぶることが必要でしょう。
インチアップに合わせてローダウンするのは?
インチアップに合わせて、ローダウンもするということを耳にしますが、ローダウンをインチアップの時に合わせて行う理由について、ご説明します。まず最初に、ローダウンとは何か、シャコタンとの違いについて、ご説明します。
ローダウンって何?
ローダウンとは、車の車高を低くすることをいい、インチアップ同様に車のドレスアップの定番です。車高を下げる方法は、スプリングの長さを短いタイプに交換します。また、スプリングの交換と同時に、ダンパーも交換するのが一般的です。
ローダウンとシャコタンの違いは?
シャコタンとローダウンの違いは、どちらも車高を下げるということでは同じですが、シャコタンは、センスが無く違法改造の部類に入ります。ローダウンは、合法的なもので、センスのあるオシャレなドレスアップということです。ただ、ローダウンも下げ過ぎは違法改造となったり、ドレスアップのセンスが問われますので止めましょう。
ローダウンをインチアップの時にするのは?
ローダウンにすることで、フェンダーアーチとタイヤの隙間が小さくなるため、車が洗練されたルックスになり、クールさがアップします。ドレスアップが目的のインチアップには、車のルックスを更にアップできるローダウンは、ベストマッチングでしょう。このため、大抵の場合は、インチアップの時に合わせて、ローダウンを行います。
ローダウンのメリットデメリットは?
メリットは?
インチアップと同様に、ズバリ、車のルックスをクールに決めるドレスアップでしょう。車のクールさに磨きがかかります。
ローダウンすると、車の低重心化になるから、コーナリングが良くなるのではないかと考える方もおられると思いますが、それは、スプリングやダンパーを交換したことによるもので、ローダウンによるものではありません。
デメリットは?
ローダウンで、スプリングの長さを短いタイプに交換するため、ダンパーの稼働範囲が短くなるため乗り心地が悪化します。また、高めの段差などを乗り越える場合に、バンパーや車体の下部を擦ったり、段差に引っかかって身動きがとれなくなることがあります。この他に、下げ過ぎるとタイヤが偏って磨耗する片減りが起こります。この片減りは、タイヤの内側に発生することが多く、知らない間にタイヤがツルツルになっていたというようなこともあります。
ローダウンは燃費に関係するの?
車高を下げるだけですから、インチアップのように重量が増加するということは無いため、燃費には関係しません。
インチアップとローダウンで燃費はどう変わるの?
前記しましたように、インチアップは燃費の悪化となりますが、ローダウンは燃費には関係しません。このため、インチアップとローダウンをセットで行った場合では、燃費は1割程度悪化するということになります。
クールなドレスアップをしよう
インチアップやローダウンは、どういったものか、また、それぞれのメリット、デメリットや燃費との関係について、ご紹介しました。
燃費には、インチアップが関係し、1割程度悪化します。1割程度の悪化であれば、クールなドレスアップをチョイスするというのも有りでしょう。ただ、プリウスといった高燃費車には、車の目的からしてもインチアップはしない方が賢明でしょう。
車に燃費の話はつきものですが、燃費のことばかりを気にしていては、車の魅力を十分に楽しめません。ここはひとつ、燃費のことは気にせず、クールなドレスアップで個性的な車にチェンジして、カーライフをよりエンジョイしましょう。
初回公開日:2017年10月04日
記載されている内容は2017年10月04日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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