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軽自動車の規格とは?サイズ・排気量・廃止論・海外の軽自動車

更新日:2024年07月10日

国民への乗用車の普及を目指し、日本の小さな国土にマッチするよう独自の規格で進化してきた日本の軽自動車。ここではそんな小さなクルマである日本の軽自動車の、歴史や規格の変遷について解説、今後の日本の軽自動車が進む道についても考えていきます。

軽自動車の規格とは?サイズ・排気量・廃止論・海外の軽自動車

軽自動車の規格ってどんなもの?

軽自動車規格が作られた理由

そもそも軽自動車は第二次大戦後、まだまだ高嶺の花であった自動車を普及させようという「国民車」構想にのっとって作られた規格でした。また当時の日本人の体格は今ほどには大きくなく、国民の体に軽自動車の規格がマッチしていとことも、普及を後押ししました。

軽自動車がたどってきた歴史

軽自動車が法律上、初めて登場するのは1949年。ただしこのときは排気量の小ささから、実用的なスペックが出せず、普及はしませんでした。その後、排気量が360㏄に引き上げられると各メーカーが本格的に参入しはじめ、スズキのスズライトやホンダのN360、スバル360などが作られました。

以降も排気量、サイズの規格は段階的に引き上げられました。60年以上を経過した現在、性能的にも普通車と遜色ないほどに向上し、乗用車の3台に1台は軽自動車というほどに普及しました。

軽自動車の規格の変遷

これまで軽自動車の規格は、以下のような変遷をたどってきました。

1949年

運輸省令の車両規則が改定。はじめて軽自動車の名称が登場。
当時の規格
サイズ:長さ2.80m、幅1.00m、高さ2.00m
排気量:4サイクル車は150cc以下、2サイクル車は100cc以下

1950年

排気量、車両サイズの規格の改定
サイズ:長さ3.00m、幅1.30m、高さ2.00m
排気量:4サイクル車は300cc以下、2サイクル車は200cc以下
四輪、三輪、二輪の区分が加えられました。

1951年

この年、規格が改定され、排気量がさらに大きくなりました。
排気量:4サイクル車は360cc、2サイクル車は240cc

1954年

4サイクル、2サイクルの区別が撤廃され、排気量が360㏄で統一されました。この後、大メーカーが本格参入するようになりました。

1976年

排ガス規制やオイルショックによりハイパワー車が姿を消し、軽自動車が低迷する中、久しぶりに規格が改定されました。
サイズ:長さ3.20m、幅1.40m、高さ2.00m
排気量:550㏄
この改定により各社が余裕のあるエンジンと、一回り大きくなった車体の車を投入し、軽自動車が復活しました。

1990年

消費税の導入に合わせ規格を改定。
サイズ:長さ3.30m、幅1.40m、高さ2.00m
排気量:660㏄
軽自動車の安全性も重視されはじめ、燃料噴射装置を搭載した車も増えました。

1998年

軽自動車が現在の規格に改定されます。
サイズ:長さ3.40m、幅1.48m、高さ2.00m

改正はどのように行われてきた?

軽自動車の規格は、かつては国民に乗用車を普及させようとする国の方針のもと制定されました。その後の高度経済成長期には、ハイパワーや積載性、快適性を求め規格の改正が数度にわたって行われます。排ガス規制やオイルショックによる軽自動車の低迷期を経て、規格改正の主眼は安全性能の重視や環境性能に移り変わってきています。

ナンバーの違いは?

軽自動車のナンバープレートは、普通車のそれとは異なります。見た目でもっとも違うのが、その配色です。使用の本拠を示す地域名の横にくる小さな数字を分類番号と言い、車の用途の分類を表します。

この分類番号が4または6で始まる軽自動車は貨物自動車で、配色は黒字に黄色文字となります。分類番号が5または7で始まる軽自動車は乗用自動車で、その配色は黄色に黒文字となっています。また軽自動車のナンバーには、普通車などで盗難を防止するためにつけられている封印がありません。

軽自動車を普通車と比較すると?

軽自動車と小型車を比較してみました。性能面では軽自動車の排気量規格の改正などにより、現在では小型車と比べても何ら遜色のないものも増えてきています。また安全性能もサイズ規格の引き上げにより、以前に比べ格段に向上し、現在では普通車と同じ安全基準が用いられています。

一方維持費を比較すると、税金や保険料、メンテナンス費用などではかなり軽自動車にメリットがあります。ただし贅沢装備による重量増で、車両価格や燃費に関しては小型車の方がすぐれているものが出ています。どちらを選択するかは、車の使い方やライフスタイルに合わせて検討することが必要だといえます。

軽自動車の法律って?

普通車と軽自動車では、法律的には全く別物になります。普通車の場合、道路を走らせるためにはすべて国に登録することが必要です。これは普通車が、土地などと同じ「財産」とみなされているからです。

一方、軽自動車の場合、軽自動車協会に届出をするという「届出車」という扱いになります。税金の面でも、普通車に課せられるのは自動車税ですが、軽自動車の場合は軽自動車税となり、金額的にも普通車に比べ優遇されています。

貨物登録の軽自動車とは?

軽自動車には乗用と貨物があります。では、この貨物の軽自動車というのは、どういうものなのでしょうか。貨物車は主に仕事用として使用される車両で、荷室が広くとられており、その分、後部座席が狭くなっています。

内装もファブリックではなく、ビニール地など簡略化されたものが多くなっています。税制面でも乗用が10,800円に対し、貨物用が5,000円と安くなっています。

軽自動車の車検について

かつては車検が必要なかった時代もありますが、現在では軽自動車にもすべて車検が必要です。でも、この車検も普通車とは異なります。もっとも大きな違いは、車検を受ける場所の違いです。

普通車は陸運局の検査場で行いますが、軽自動車は、軽自動車協会で行います。車検費用は税金や自賠責保険などの法定費用と、手数料や整備代などの車検費用であることは、普通車の場合と変わりませんが、このどちらも普通車に比べ低く抑えられています。このあたりも、軽自動車が売れている理由の一つといえるでしょう。

軽自動車のサイズの規格

幅はどれだけ?

現在の軽自動車規格では、全幅は1.40m以下とされています。普通車に比べるとかなり幅が狭いですが、それでも1949年当時の規格と比べると40㎝も大きくなっており、かなり広々とした印象です。

タイヤにも規格はある?

タイヤサイズについては特に規格はなく、ジムニーのように16インチと大径のタイヤを履いた軽自動車もあります。一般的には155/65R14タイヤと155/65R13が多く履かれています。

高さはどれだけ?

高さの規格は2.00mで、これは軽自動車が登場した1949年から変わりません。ただし、エンジン性能の向上や、全長・全幅の規格のアップにより、現在では規格いっぱいの軽ハイトワゴンが多く作られています。

定員のきまりはある?

定員に関する規格では、乗車定員4名以下又は最大積載量350kg以下と定められています。エンジン性能の向上とサイズアップにより、5名定員でも可能なようですが、あくまで法律では4名以下となっており、今のところ改正される予定はありません。

重量制限はある?

軽自動車の規格には、重量に関する規定はありません。でも安全性能を考えるなら、あまりにも軽い車両は非現実的といえるでしょう。

長さはどれだけ?

長さの基準は現在では3.30mです。1949年の規格が2.80mですから、こちらも全幅同様にかなり大型化したといえます。

軽自動車の排気量・エンジンによる規格

360㏄の時代

1950年代の初頭より1976年の法改正までの間、長きにわたって軽自動車の排気量の上限は360㏄でした。この時代、ホンダをのぞくほとんどのメーカーが2サイクルというエンジン形式を採用していました。この2サイクルエンジンは構造が単純でエンジン自体を軽くできることや、少ない排気量でパワーを出しやすいというメリットがありました。

しかしオイルショックやそれに続く排ガス規制などにより、燃費が悪い2サイクルは時代にそぐわなくなり、550㏄という規格の登場で2サイクル360㏄エンジンは姿を消しました。

軽自動車EVの規格について

現在のところ、軽自動車で市販されているEVすなわち電気自動車は、三菱の i-MiEVのみです。そのため規格に関しても、規格のサイズに収まってさえいれば軽自動車となっています。今後軽自動車のEVが普及し、各社が投入するようになれば、出力に関する規格が改正されることは十分考えられます。

排気量が1000㏄の軽自動車は誕生するのか?

軽自動車の排気量上限が660㏄になってから、すでに30年近くになります。その間、何度も排気量の規格の改定については取り沙汰されてきています。一つには自国の小型車を売りたいアメリカの圧力があります。

また、軽自動車の重量がどんどん重くなり、実際には1000㏄の方が燃費が良くなるという話もあります。今のところ規格改定のうわさはありませんが、近い将来、1000㏄の軽自動車が登場する可能性も考えられます。

軽自動車の規格の廃止論について

これまでにも何度も浮上した軽自動車規格の廃止論です。これにはどのような理由があるのでしょうか。

①海外からの圧力
先に書いたアメリカのように、自国のコンパクトカーを売りたい国にとっては、日本の軽は目の上のこぶと言えるのです。

②税収の問題
普通車に比べて格段に安い軽自動車の税金。この軽の販売比率が増えるということは、税収の減少につながるのです。

③軽自動車の重量増の問題
贅沢装備をまとい、なおかつ安全性も向上させた軽自動車はどんどん重くなってきました。その結果、1000㏄クラスのコンパクトカーと比べ、燃費の悪い軽も増えてきています。

今後、軽自動車はどうなっていくのでしょうか。廃止論にも、それなりのもっともな理由があります。軽愛好家にとっては、これからの動向を注意深く見守っていく必要がありそうです。

海外の軽自動車の規格

韓国

韓国にも日本の軽自動車に似たキョンチャという規格があります。ただし排気量上限は1000㏄で、かつてはマティスという車種が販売されていました。でも韓国の人は、どちらかというと中・大型車を好む傾向にあり、日本の軽自動車ほどには普及していないのが現状です。

欧州

イギリスやフランスにも日本の軽自動車のような規格の車は存在します。でもいずれの場合も、二輪車に近いようなものであったり、最高出力や速度が極端に制限されており、およそ実用的な乗用車とは言い難いものです。ヨーロッパで軽自動車が普及しない理由として、厳しい衝突安全性能や環境性能の基準があります。

また日本のような軽独自の優遇税制がないヨーロッパでは、あまり軽自動車に乗ることのメリットは感じられません。やはり軽自動車は、日本の国土にマッチした独自規格の自動車だといえます。

日本独自の軽自動車の今後にも期待!

軽自動車の規格の歴史や今後について解説してきましたが、いかがでしたか。規格の変遷は今後も当然続くでしょう。そんな中で各社が創意工夫し、日本の国土にマッチした小さなクルマがこれからも作り出されるでしょう。そんな日本の独自規格である軽自動車を、今後も楽しみましょう。

初回公開日:2017年10月12日

記載されている内容は2017年10月12日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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