【特徴別】軽トラをターボ化する改造方法|スズキ/キャリー
更新日:2024年06月15日
メーカー別軽トラをターボ化する改造方法
軽トラックにもかつてはターボ付きモデルが存在しました。しかし現在のモデルではターボ付きモデルはどのメーカーからも販売されていません。軽バンにはターボ付きの設定があるにに、軽トラにターボ付きモデルが無い事に不満をもつユーザーも多いでしょう。
軽トラにターボを付ける事は基本的に可能です。しかし取り付けるためには数多くの難題が待ち受ける車種もあるので、取り付けを行う前に納得がいくまで専門ショップと話し合う必要があるでしょう。
ポン付けターボかそれとも換装か
軽トラに限らずNA(自然吸気エンジン)の車種にターボを取り付ける場合は、専用のキットを販売している場合は比較的簡単に装着できます。専用のターボキットが販売されていなければ、数多くの部品をワンオフ制作して装着する必要があります。
例えば、ターボチャージャー本体を取り付けるためには、エキゾーストマニホールドに装着しなければなりませんが、キットが無ければエキゾーストマニホールドにターボチャージャーが装着できるよう制作をしなければなりません。
その他には同型のエンジンでターボ付きモデルの設定があれば、エンジンを換装する方法もありますが、その場合はエンジンコントロールのハーネスを交換する必要があり、エンジンマウントなどや、配管の取り回しで車体に加工が必要になって来るでしょう。
スズキ
スズキの軽トラといえばキャリーですが、この軽トラにはボルトオンターボキットが存在します。取り付けには車を2柱リフトで上げる必要がなく、車を設置させた状態で全ての作業を行えます。
ターボキットはキャリーのDA63型用で、現行モデルにはターボキットの設定はありません。ターボキットには、タービン本体と、エキマニ、純正触媒とマフラーを加工したもの、セッティングデーター入りのe-manageと取り付けに必要な配管やホース類となっています。
スズキには、アルトワークスやカプチーノのK6Aを換装することができますが、トランスミッションも一緒に交換しなければなりません。
スバル
スバルサンバーは、リアエンジンでスーパーチャージャー付が存在しました。NAエンジンにターボを付けるより、スパーチャージャー付の中古車を探した方が、技術的や金銭的にも簡単です。
どうしてもスバルの軽トラにターボを取り付けたいのであれば、ほとんどの部品をワンオフ制作しなければなりません。リアエンジンでスペースがないので、ターボをどのようにレイアウトするのかを煮詰めてから作業に入る必要があります。制御もサブコンで行えますが、フルコンのハルテックやモーテックを使った制御をしている車両もあります。
ダイハツ
ダイハツの軽トラックといえばハイゼットで、意外にもアトレーと共通に使える部品が多く存在します。
ターボキットも販売されていますが、アトレーターボの縦置きエンジンを換装させることができます。ただし、ハーネスの取り回しなどが車体側と違うので、配線加工が必要になります。
その他にも燃料ポンプの交換などエンジンをスタートさせるまでには相当な改造が必要になります。
特徴別軽トラをターボ化する方法
軽トラをターボ化させるためには、いくつかの問題をクリアさせなければ取り付ける事はできません。ターボを取り付けるエキマニの加工や、オイルや冷却水をターボに循環させるために、何処から分岐してまたエンジンに戻すかを考える必要もあります。
その他、ターボを取り付ければ燃料や点火時期の補正が必要になり、サブコンなどでECUを制御する必要があります。またATやMTとでは、動力伝達方法が違うのですが、ターボを取り付けた時のパワーを確実にタイヤに伝えるために、駆動系の補強も必要になって来るでしょう。
4WD
4WDの軽トラのほとんどは、パートタイム式となっています。通常は2WDで走行して、田んぼや畑を走る時や山道などの悪路では4WDにして走るといった使い方をします。
軽トラックはスペースが少ない所に4WD機構を備えているので、ターボを取り付けた時にパイプ類の取り回しに知恵の輪のような状態になる事があります。
フロントの足回りにデフが装着されるので、ダイハツやスズキの軽トラックの4WDでは、ターボを取り付ける位置や取り回しに苦労が予想されます。
オートマ
軽トラにもATの設定がありますが、ノーマルのATでターボを付けてエンジンをハイパワー化させると、パワーを適切に伝達できず、滑りが多く発生する事になります。またATはもともと滑りをフルに利用し作動していますから、パワーアップさせることで、その摩擦熱によりATFの劣化が激しくなりATの機能が低下するでしょう。
そこで有効なのはハイパワーに対応したATFに交換する事と、ATFクーラーの増設です。ATFは交換しないほうが良いとか、純正以外を使用するのは良くないと言われますが、それはノーマルエンジンに対してであり、チューニングしたエンジンには当てはまりません。
ATFクーラーは、もともとラジエーター内に循環させる方式をとっていますが、それではターボ化した軽トラには不十分であるので、空冷タイプのATFクーラーを増設させるとよいでしょう。
デフロック付き
農業用トラックとして使用される4WDの軽トラには、デフロックが搭載されています。このデフロック機能は、田んぼや畑で軽トラがスタックした時に抜け出すためには欠かせない装置です。
車の駆動輪は、左右で回転差が付けられるようになっています。それはカーブなどでは左右に回転差が生まれるからです。もし回転差が無ければ、タイヤの摩耗が激しく、直ぐにタイヤはすり減ってしまうでしょう。そこでデファレンシャルギアを装着させて左右に回転差を生み出しています。
この左右の回転差があると、片側のタイヤがぬかるみでスタックした時に反対側の抵抗の少ないタイヤににしか駆動力が伝わらず脱出できません。そこでデフを電磁的にロックさせて左右の回転差をなくして悪路から脱出する仕組みです。
このデフロックがターボ化させるにあたり、邪魔になる事はありませんが、デフロック装着車は4WDなので取り付けには工夫が必要です。
車種別軽トラをターボ化する方法
軽トラをターボ化させるには、車種専用のターボキットがあると非常に簡単ですが、そのパーツだけでターボ化して直ぐに高性能で安全に走れるわけではありません。
軽トラに限らず、チューニングをする場合、目標をどうするのかをチューニングをはじける前にはっきりさせておくことが必要です。パワーが足りないからターボ化するという考えは当たり前ですが、そのパワーをどこまで上げるのか、またステップアップさせることも考えているのかいないのかで、チューニングメニューは変わってきます。
ターボ化に必要なパーツ
軽トラをターボ化するには、どんな車でも必要なパーツがありますが、軽トラのように小さい車では、いかにスペースを確保するか、スペースを作り出せるかがカギとなるでしょう。
ターボ化に最低限必要なパーツは、ターボチャージャー、エキマニ、アウトレットパイプ、遮熱版、吸気管ホース、オイル配管、水配管、イリジウムプラグ、サブコンやフルコン、アウトレットに適合できる触媒、マフラーが最低限必要になります。この他、エアクリーナー、インタークーラーなどがあります。
室内側では、ターボを付ける事でエンジン状態を把握するためにタコメーターやブースト計、油温計、油圧計、水温計が追加メーターであれば安心です。
だいたいこれらのパーツを全て揃えて取り付けしてセッティングまで出して貰うと100万円近くかかるでしょう。
キャリー
スズキキャリーには、タービンキットの販売があります。対応しているのはDA63T型で、エンジン内に手を加えることなく装着することができます。
必要なパーツは全て揃っているので、車の整備に詳しい方であれば、自宅でも取り付けができてしまうでしょう。ただしインタークラーはこのパーツには含まれていませんので、必要な場合は別途購入することになります。
軽トラはスペースが狭いので、取り外しや取り付けに工夫をしなければなりませんが、このような専用パーツであれば気軽にターボ化が簡単にできます。その反面汎用品を使って一から作成するとなれば、時間とコストは多くかかるでしょう。
サンバー
サンバーといえばリアエンジンですが、2012年発売の7代目からダイハツからOEM供給を受けています。今販売されているサンバーはハイゼットとエンブレムやグリルなどが違うほか細かい部分での違いはあるものの、サンバーといえ中身はハイゼットです。
2012年より前のサンバーをターボ化するには、サンバーがリアエンジンでスペースが非常に小さいことから、ターボ化にはかなりの加工が必要になります。ポン付けのタービンキットが販売されていないので、エキマニやタービンアウトレットもワンオフ制作する必要があります。
ハイゼット
ハイゼットにターボを取り付けるには、他の軽トラより流用パーツが多いのでやる気さえあればターボ化は行えます。
ハイゼットS201P用にはタービンキットが販売されており、制御はeマネージアルティメイトで行っています。このキットはパーツのみの販売は行っておらず取り付け工賃込みで450,000円(税抜き)パワーハウスDTMから販売されています。
軽トラのターボ化によるメリットとデメリット
軽トラをターボ化すると、今までのNAの時とは全く違った加速をするようになり、走る事がとても楽しくなるでしょう。しかしその一方で、軽トラはもともと農業などで物を運ぶことを重点に開発された車両なので、足回りやブレーキをパワーに見合ったものに交換しなければ危険な軽トラとなってしまいます。
軽トラをターボ化した場合、メンテナンスにも気を使わなければなりません。ノーマルより高品質なエンジンオイルを3,000kmごとに交換する必要がありますし、各部にノーマル以上のパワーがかかるので、定期的に点検が必要になります。
パワーを上げれば軽トラは軽い分素晴らしい動力性能を発揮しますが、メンテナンスやアフターパーツにお金がかかってきます。またトータルでチューニングを行わなければ、危険な車になりますので、ターボを付ければそれで終わりというわけにはいきません。
軽トラのチューニングは無理をしない
軽トラのターボ化について今回は解説してきました。ターボに改造するにはその改造費は高額になります。またターボキットが無い車種でも、資金さえ用意できればどんな車種にもターボは取り付けできます。
ターボ化はエンジンに与えるダメージも大きくなることも忘れてはいけません。メインの使い方が仕事であればターボ化はリスクが高すぎます。趣味の範囲で軽トラを改造するのであれば、非常に面白い改造方法でしょう。軽トラの用途を考えて、無理のないチューニング計画をしましょう。
初回公開日:2018年04月05日
記載されている内容は2018年04月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。