【車種別】タイヤの締め付けトルクの一覧・ナットとの違い
更新日:2024年08月10日
タイヤの締め付けトルク一覧
念願の車を手に入れたら、愛車を好みに合うようにドレスアップしたいと考える人も多いでしょう。それならまずはタイヤとホイールの交換からやってみてはいかがでしょう。車は足元を飾るタイヤとホイールのデザインが違うだけで、ガラリと印象が変わります。
タイヤを交換する際に注意すべきなのは、ホイールナットの締め付けトルクです。締め付けトルクとはナットを締め付ける際の強さの値のことで、タイヤとホイールを固定するボルトの種類や締め付ける場所、またその目的によってそれぞれ適正値が定められています。
そのようなタイヤの締め付けトルクについて、ボルトの種類や目的および車種別の一覧と、ホイールナットとの違いを解説していきます。
ホイールナットは力まかせに閉めてはダメ
実際に愛車のタイヤ交換を行っている人には、できるだけ強く絞めればいいと考えホイールナットを力任せに締め付けている人がいます。
タイヤとホイールは、走行中に常に車に掛かる荷重を支える重要な役割を担っています。そういった理由から強く絞めるほど良いという認識を持ってしまい、このような勘違いが生まれるのでしょう。
ホイールナットをあまり強く締めすぎると、中でタイヤとホイールを固定するホイールハブという部品に、ナットを締め付けるための「ハブボルト」を破損してしまいます。
ハブボルトが破損するとホイールが正しく固定できずに大変危険です。そのため、タイヤ交換の際は絶対に力任せにナットを締め付けてはいけません。
タイヤの締め付けトルクって何?
タイヤの締め付けトルクとは、走行中にタイヤが正しく固定されるために規定された、ホイールナットを締め付ける力の強さです。締め付けトルクが規定値よりも弱いと走行中にナットが緩みやすくなり、また強く締め付けすぎると中のハブボルトを破損させてしまう危険があります。
そのため、安全に走行するためには車種ごとに定められた適正な締め付けトルクでタイヤホイールを固定する必要があります。ホイールナットを規定された適正トルクで締め付けるためには、「トルクレンチ」という工具を使用して行います。
トルクレンチとは、レンチ本体に目盛りが刻まれており、それで長さを調整してナットを締め付けると自動的に適正なトルクで締め付けることができる便利な工具です。締め付けが適正値に達するとカチッという音で知らせてくれます。
締め付けトルクは車の種類によって違う
タイヤの締め付けトルクは車の種類によってそれぞれ異なります。これは車体の重量に関係していて、車重の大きい車ほど規定される締め付けトルクの値も大きくなります。
タイヤの締め付けトルクの値はN.m(ニュートンメートル)で表します。N.mとは、ある定点から1m離れたポイントでその定点に向かって直角方向に1N(ニュートン)の力を加えた場合、その定点周りに掛かる力の大きさを表す単位です。
タイヤの締め付けトルクの規定値は、一般に普通自動車で100N.m、軽自動車で90N.mです。大型車では小型トラック(2トン)が420N.m、中型トラックが500N.m、大型トラックが600N.mです。
しかし、これらはあくまで参考値ですので、メーカーや車種ごとに規定されている締め付けトルクの数値は異なります。
使用されるボルトやナットのサイズによって違う
タイヤの締め付けトルクの違いは車両重量によって異なります。それはホイールを固定するナットやハブボルトのサイズの違いによる物です。
車両重量が大きな車ほど、その重さに耐えられるようナットやハブボルトのサイズも大きくなり、さらに使用される数が増えます。ホイールに4穴や5穴といった穴の数やその口径に違いがあるのは、装着される車種によって使用するサイズや数が異なるからです。
ナットのねじ穴の直径により締め付けトルクが異なる
タイヤを固定するホイールナットのサイズが大きいほど締め付けトルクの数値が大きくなります。ナットのサイズはM10といった記号で表します。Mとはミリメートル(mm)で、数字はナットのねじ穴の直径を示しています。つまりM10とはナットのねじ穴の直径が10mmという意味です。
軽自動車によく使われるのはM10のホイールナットで、締め付けトルクは90~100N.mです。普通乗用車ではM12のナットが使われ、締め付けトルクは110~120N.mです。また、トヨタ・ランドクルーザーといった大型SUVクラスやレクサスLS、日産GT-RなどはM14のナットを使用し、締め付けトルクは140N.mです。
車種別締め付けトルクとタイヤ交換の方法
車種別の締め付けトルクとタイヤ交換の方法について説明します。
ダイハツ・タント
ダイハツのスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車、タントのタイヤ交換の方法は、まずボディサイド底面にあるジャッキアップポイントを探してジャッキをセットし、初めはタイヤが地面から離れない程度にジャッキアップします。
タイヤを外す
次にホイールキャップ装着車の場合はキャップを外し、レンチを使用してナットを軽くゆるめます。この時はナットが外れない程度にしておきます。でなければ、この後でさらにジャッキアップをした際にタイヤが外れ落ちて危険です。
ナットをゆるめたらタイヤが完全に地面から離れるまでジャッキアップし、ナットを外してタイヤを外します。
新しいタイヤをはめ込みナットを手で軽くしめる
新しいタイヤを用意し、車の取り扱い説明書で締め付けトルクの規定値を確認します。タントの締め付けトルクは103N.mですのでトルクレンチの目盛をその数値に合わせます。
車のハブボルトに新しいタイヤとホイールをはめ込み、ホイールナットで固定していきます。ナットの締め付けは必ず対角線上に行います。タントは4穴ホイールですのでナットをしめる順番は上→下→左→右です。まず、ホイール穴の中央にハブボルトが来るように調整しながら順番にナットを手で軽く閉めていきます。
トルクレンチでカチッと言うまで締め付ける
ナットを全て取り付けたらジャッキをおろし、トルクレンチを使ってさらに締め付けていきます。この時も必ず対角線上に順番に行います。ナットにトルクレンチをはめ込み締め付けていきます。カチッという音が鳴ったら規定トルク値に達しています。
スズキ・ワゴンR
ワゴンタイプ軽自動車の代名詞、スズキ・ワゴンRのタイヤ締め付けトルクは85N.mです。ワゴンRも4穴ホイールですので、タントと同じ要領で対角線上に順番にナットを締めつけて固定します。
三菱キャンター
三菱の小型トラック、キャンターのタイヤ締め付けトルクは550N.mです。キャンターなどトラックのホイールは5穴です。5穴ホイールの場合も締め付ける順番は対角線上に行います。
キャンターのホイールナットを締め付ける順番は、上→右下→左上→右→左下です。
ホンダ・ステップワゴン
人気のホンダのミニバン、ステップワゴンのタイヤ交換の方法を説明します。ステップワゴンを始め、日本製の中、大型ミニバンのホイールにはM12のナットが使われておりホイールの穴数は5穴です。
そのため、ステップワゴンのホイールナットの締め付け順は上→右下→左上→右→左下です。また規定締め付けトルク値は118N.mです。
小型トラック
小型トラックのタイヤ交換の方法について説明します。小型トラックとは最大積載量が2トンくらいのトラックのことで、一般に2トントラックと呼ばれています。
小型トラックのタイヤ締め付けトルクは、アルミホイール装着車とスチール(鉄)ホイールとではトルクの大きさが異なり、例えば日野自動車の2トントラック、デュトロの場合ではアルミホイールが420N.m、スチールホイールが590N.mです。
トヨタ・エスティマ
トヨタのミニバン、エスティマのタイヤ締め付けトルクは105N.mです。エスティマも5穴ホイールですので、ホイールナットを上→右下→左上→右→左下の順番にトルクレンチを規定値にセットして締め付けていきます。
タイヤのホイールナットと締め付けトルクとの違い
タイヤのホイールナットと締め付けトルクとの違いについて説明します。
ホイールナットとは
ホイールナットとは、タイヤとホイールを固定する際にハブボルトに締め付ける部品のことです。ナットには、ホイール穴の取り付け座の形状によって三種類あり、テーバー座、球面座、平面座があります。
また、ナット自体のタイプにも二種類あり、貫通ナットと袋ナットがあります。
締め付けトルクとは
タイヤの締め付けトルクとは、車が走行中に正しくタイヤが固定されるように定められた、ホイールナットを締め付ける強さのことです。
締め付けトルクはメーカーや車種によってそれぞれ規定値があり、ナットの締め付けが規定値よりも小さいと走行中にナットが緩みやすく、また締め付けが強すぎると、タイヤを固定するハブボルトを破損する危険があり注意が必要です。
安全のためタイヤの締め付けトルクには注意を
タイヤの締め付けトルクについて、ボルトの種類や目的および車種別の一覧と、ホイールナットとの違いを紹介しました。
タイヤとホイールは、走行中に車が受ける荷重を常に担っているため、正しく固定されていることが必要です。そのために規定されているのがタイヤの締め付けトルクです。
締め付けトルクは、走行中にタイヤが外れないように強くしめれば良いというわけではありません。力任せに締め付けるとハブボルトが破損して大変危険です。
あなたも愛車のメンテナンスでタイヤ交換をする時は、締め付けトルクに注意しましょう。
初回公開日:2018年04月23日
記載されている内容は2018年04月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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