直列6気筒エンジンの特徴・搭載車種・メリットとデメリット
更新日:2024年09月11日
直列6気筒エンジンの特徴って何?
直列6気筒エンジンというものをご存知でしょうか。エンジン内の気筒配列形式の1つでシリンダーが6つ直列に並んでいるエンジン形式のことを言います。
直列の事を英語で「インライン」と訳されることから直列6気筒エンジンの事を略して「I6」と呼んだり日本では「直6」と略して言ったりします。記載される際シリンダーを「レシプロン」と置き換えて書かれる場合も多く、「L6」と略して記載されることも少なくありません。
6つのシリンダー内で燃料を同時に燃焼させるとクランクシャフトと呼ばれるところに同時に負荷がかかる事になり、エンジン全体が反作用を受けて激しく上下に振動するため通常は6つのシリンダーが1つずつ均等のタイミングで燃焼行程に入ります。このため、多くは直6の場合1→5→3→6→2→4の順番に燃焼されるようにしてあります。
音
直列6気筒エンジンの音は快感と言っても差し支えない程の音色を奏でてくれます。3000回転程でも進みたがるエンジンの音を感じることができ、「直列6気筒エンジンは高回転で快音に包まれてしかるべき」という言葉が車乗りの間にあるほどです。
振動
エンジンの振動の面では一次振動・二次振動および偶力振動をカウンターウエイトやバランスシャフトを用いずに完全に打ち消すことができる構成であり、「シルキースムーズ」とも例えられている程直列6気筒エンジンはバランスがよく、振動も少なくパワーも出せるので目を見張るものがあります。
日産エンジン開発を手掛けていた林義正氏も「レシプロエンジンでは振動がなくパワーも出せる直列6気筒がベストであり、理想のエンジンを作るなら直6かV12の2形式以外ありえない」と言っていたほどの代物です。
ディーゼルエンジンなど
直列6気筒のほかにV型6気筒・水平対向6気筒・狭角V型6気筒のエンジンが市販車用エンジンとして存在しています。6気筒エンジンのレイアウトはほぼ直列かV型が主流です。
近年の車ではノッキング抑制の為に1気筒当たりの排気量に足枷が課せられているガソリン車にはV型エンジンが主流となっていますが、足枷の無いディーゼルエンジンでは小型化優先であれば直4でパワー優先であれば直6の方が都合が良いとされ、ディーゼルではターボ車では直列6気筒は主流となっています。
直列6気筒搭載車種
直列6気筒で有名な車種は意外にも多く、代表的な車としても日産のスカイラインのエンジンも挙げられます。「RB25DE」と呼ばれるエンジンでそのエンジンより前の「RB20」と呼ばれるエンジンも直列6気筒のエンジンです。
スカイライン以外にもセフィーロやローレルと言った車が直6エンジン搭載車として名前が挙がってきます。他にも直列6気筒エンジンを用いた販売車は数多くのメーカーがある事でしょう。メーカー別に特徴を捉えて紹介していきます。
BMW
滑らかな振動でパワーバランスも良い直6ですが近年の車では使われなくなってきたエンジンであると紹介しました。しかし、BMWは別です。直6エンジンの事を「シルキーシックス」と訳されて親しまれている程BMWでは直6が現在でも主流のエンジンとされています。
排気量を下げてターボ過給を行うことで、低燃費・低排出ガス・パワーを高いレベルで成立させる「ダウンサイジングターボ化」というの波もあり、最近では直列4気筒エンジンや低排気量エンジンでは直列3気筒エンジンの採用が増えていますが、中核を制している3リッタークラスの車には依然として直6エンジンを採用しています。
マツダ
マツダでは直6をディーゼル車で採用しようとする動きがあります。しかし、ディーゼルだからといってトラックのような車ではありません。2020年に直列6気筒ディーゼルエンジンを量産しFR車に搭載する計画がある事もわかっています。
主力SUVの次期「CX-5」から「アテンザ」などにも採用を拡大する方針です。現行1.5と2.2Lの直4ディーゼルを次期ディーゼルで直6に増やして3L程度に大排気量化することも関係者が明かしていて、これはマツダにとって戦略転換でもあり高級路線に舵をきるのではないかとも言われています。
トヨタ
かつて高級車やスポーツカーの代表エンジンと言えば直列6気筒エンジンでした。トヨタの歴史にもスポーツカーには直6が使われていたことがあります。代表的な車として「トヨタ2000GT」という車がトヨタでは挙げられます。
また、クラウンにも直6エンジンは採用されていてパワーバランス共に優れていて、高級車としてふさわしい車と名をあげていました。国産で直6エンジンを採用していたのは、実はトヨタと日産だけで2007年8月のトヨタプログレで国産車直6エンジン搭載車は最後となってしまいました。
バイクなど
実は直列6気筒エンジンは車だけでなくバイクにも搭載されていたりします。直6と聞きますとやはりスペースを取る事を懸念されて現在ではV型が多く市販されています。ただでさえ車でもスペースを取るために懸念されているのに、幅の小さいバイクに直6なんて存在するのでしょうか。
しかし、存在しました。ホンダの「CBX1000」というバイクです。CBXと言えばバイク乗りでは聞いたことのある名前であることでしょう。パーツも多くバイク乗りにはサウンドもたまらないバイクですが同じCBXでもエンジンが直6でなんと車体からはみ出ています。
しかし、いざ乗ってみますと重ったるい音もせずパワーがありながら響きが気持ちの良い事この上ないです。
直列6気筒のメリットとデメリットとは?
直6の魅力について多く触れることができたことでしょう。各メーカーで強みを生かしながらエンジンを取り入れているのでここで直列6気筒エンジンのメリットとデメリットについてまとめてわかりやすく述べていきます。
メリットとしてはまず振動が少ないエンジン形式なので振動対策も不要です。そして吸排気や熱処理レイアウトが容易なのでターボ化など性能向上策が取り入れやすくなっています。デメリットはエンジンルームにおいて幅をとるため剛性確保や軽量化に欠けます。横置きも難しいためFF車に搭載しにくいという事も出てきます。
直列6気筒って安全なの?
エンジンブロックが長いので衝突の際エンジンにダメージが行きやすく安全面としてはV型よりも劣ると言われていることも事実です。しかし、縦置きしかできないとされている直6エンジンですが、バイクの「CBX」やボルボのエンジンでは横置きで配置したりして安全性を計っていたり、縦置きでも前を長くすることで衝突に対しての安全性をあげていたりされています。
直列6気筒搭載の国産車が少なくなっているのはナゼ?
直列6気筒エンジンのメリットデメリットについてここまでで理解できたことでしょう。回転バランスが良く振動も少ないのはエンジンにしては多大なメリットです。しかし、長いクランクシャフトというデメリットもあります。
クランクシャフトが長いという事はベアリングの個数が増えてしまい摩耗による熱損失が増えるという事です。つまり燃費で不利になってしまうという事に繋がります。今のご時世燃費勝負と言う所も大きいです。このため、直列6気筒エンジンの国産車は少なくなってきたという事がわかります。
直列6気筒はこんなに魅力的
それでも直列6気筒の魅力は隠されることはなく、デメリットを覆いかぶせられるほどの魅力で溢れています。直列6気筒はパワーを直につたえやすく振動も控えめでバランスの取れた非常に良い作りとなっています。
安全面でと言う方も多いですがそれ相応の対処は各メーカーもされていて横置きもできたりします。エンジン好きにはたまらない音も備えており特に中回転から高回転のうならずにスムーズに回ろうとするエンジン音には魅了されるものがあります。これからマツダが国産としてディーゼルに直6を取り入れるかどうかに大きく期待してしまいます。
初回公開日:2018年02月21日
記載されている内容は2018年02月21日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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