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【種類別】フットブレーキの使い方・サイドブレーキとの違い

更新日:2024年10月17日

フットブレーキは、使い方を誤ると命を落としてしまうほどに重要な部品です。そして最近のエコカーでは、命を落とす危険を下げるだけでなく、いろいろな効果をもたらしています。そもそもフットブレーキの原理は17世紀にまで遡ります。過去と未来のフットブレーキのお話です。

【種類別】フットブレーキの使い方・サイドブレーキとの違い

種類別フットブレーキの使い方

フットブレーキは英語では「Foot brake(フットブレーキ)」です。Footは足を意味する言葉で、言葉が示すように「足で操作する」ブレーキを意味します。一方、足で操作するフットブレーキも、自動車とバイクではその構造と操作特性が異なります。では、具体的に見てみましょう。

自動車

自動車のフットブレーキは、足でブレーキペダルを踏み込んだ力を、油圧の力で増幅して、全4輪を摩擦ブレーキによって止めようとするブレーキです。油圧の原理は、フランスの哲学者、ブレーズ・パスカルが発見した「密閉された容器内の流体圧力は、単位面積あたりに同じ力がかかる」という原理に基づきます。

油圧技術はこのパスカルの原理を応用した技術で、面積を変化させることで、小さな力を大きな力に変換することが可能になり、フットブレーキの「足の踏力」を大きな力に増幅させて、強力なブレーキを4輪に伝えることを実現しています。

自動車に搭載されたエンジンブレーキ、パーキングブレーキ(サイドブレーキ)、回生ブレーキ(電気自動車やハイブリッド自動車)に比べて、フットブレーキは自動車において最も大きなブレーキと言えます。

2輪バイク

2輪バイクは、前輪用の右手レバー操作ブレーキ(左手はクラッチ)と、後輪のフットブレーキがあります。バイクは前輪のディスクブレーキは大きな径で強力ですが、後輪は小さな径のフットブレーキで、前輪ほどの大きなブレーキ力は発生しません。

4輪自動車に比べて、2輪バイクは軽くて不安定な特性上、前輪の強力なブレーキ力は、かえって走行中のバイク転倒の要因になります。ですので、後輪のフットブレーキは、2輪バイクの走行を制御する上ではとても重要で、S字などバイクを上手に乗りこなすには、後輪のフットブレーキ操作が鍵となります。

フットブレーキの解除方法

油圧を用いて強力なブレーキ力を発生させるフットブレーキは、足で踏み込むことでブレーキがオンしますが、足を戻せば自然にブレーキが解除されるブレーキです。もし解除できない場合には、メカ的な部分の故障が考えられます。

ペダルが戻らない?

フットブレーキが戻らない場合、ペダルがメカ的に引っかかって戻れない可能性が考えられます。通常、純正自動車であればペダルが引っかかることは考えにくいのですが、足元に敷いた社外製フロアマットなど、強く踏み込んだブレーキがメカ的に引っかかる可能性も考えられます。

フットブレーキは、自動車を停止させるための最重要部品です。もしブレーキペダル付近に、純正以外の部品を組み付けした場合は、走行前に必ずベタ踏みして、フットブレーキがきちんと戻るか、ブレーキの安全性を確かめましょう。ブレーキの不具合は死亡事故に直結します。

フットブレーキとサイドブレーキの違い

フットブレーキもサイドブレーキも、いずれも摩擦力によってタイヤを直接停止させようとするブレーキですが、その構造と特性は大きく異なります。サイドブレーキは、英語ではhandbrake(ハンドブレーキ)と呼ばれ、右ハンドル車であれば左側の自動車中央付近に位置して、大きなレバーを上に引き上げることでブレーキがオンになります。

サイドブレーキはワイヤー式が主流で、油圧のフットブレーキに比べブレーキ力は小く、後輪に作用する摩擦ブレーキです。停止中の安全ブレーキのみならず、ラリー車など走行中にサイドブレーキを引くことで、意図的に後輪をロックすることが可能です。

走行時に強力なフットブレーキを組み合わせることで、自動車の荷重移動を利用して、前輪タイヤをよりグリップし、後輪荷重が軽くなった瞬間、サイドブレーキで後輪をロックさせて前輪を進行方向へ走らせることで、自動車はより速く曲がることが可能になります。

フットブレーキが効かない時の原因

油圧を利用するフットブレーキが利かなくなる原因は熱にあります。摩擦ブレーキによって
運動エネルギーは熱に変換されます。

回転するディスクローターを摩擦力によって停止させようとするブレーキパッド部品は、熱によって温度が上がり過ぎると、パッドによっては性能が低下します(フェード現象)。

さらにサイドブレーキの解除し忘れや、長い下り坂でのフットブレーキの使い過ぎによって、ディスクローター周辺の温度がより高温になってしまうと、油圧の油が沸騰してしまい、ついには油圧の力を伝えられない事態に陥ります(ペーパーロック現象)。

こうなると、フットブレーキが全く利かない恐ろしい事態に陥ります。もし、フットブレーキが全く利かない事態に陥ってしまったら、冷静に自動車を停止させることに努めるしかありません。エンジンブレーキを使用してとにかく速度を減速させ、最後は自動車をガードレールに擦って停止させましょう。

フットブレーキの仕組み

フットブレーキの仕組みは、パスカルの原理に基づく油圧を使用しての強力なブレーキ力を生み出します。また、フットブレーキを踏み込んだ際、ある程度までは軽くペダルを踏み込めますが、急にフットブレーキが重くなる部分が感じられます。

これは「ブレーキの遊び」と呼ばれる部分で、遊びが無い自動車は、ブレーキに触れただけで急にブレーキがかかってしまい、運転し難いだけでなく、走行中に危険と伴うことになります。

油圧式のフットブレーキが故障する原因には、油圧に関わる部分と、メカ的構造に関わる部分が考えられます。

故障原因を知る

フットブレーキの故障原因は、踏み込んでもブレーキ力が発生しない場合にはブレーキ油に関する不具合が考えられます。また、ブレーキが利くのにフットブレーキが戻らない場合には、ペダルがメカ的に引っかかっている可能性が考えられます。

ブレーキは利く?利かない?

ブレーキが利かない場合は、油圧が正常に動作できていない可能性があります。エンジンオンの停止状態でブレーキ力が感じられない場合、ブレーキ油が漏れてしまっている可能性が考えられます。あるいはブレーキ油を交換した際にエア嚙みなど、油圧内に空気を巻き込んでしまった可能性が考えられるでしょう。

ブレーキ力は感じるが、ブレーキが戻らない場合、ブレーキペダルが引っかかっていないか確認しましょう。フットブレーキは運転するドライバーのみならず、周囲の歩行者を巻き込み命に直接影響を与えます。ブレーキメンテは自己責任ですが、確かな知識と技術のある整備工場での点検・修理をします。

フットブレーキの調整方法

ブレーキペダルの裏側にあるナットを緩め、ロッドを調整することで、ブレーキが利き始める「遊び」を調整することができますが、調整の失敗は死亡事故の原因にもなり得ます。ブレーキのメンテナンスは確かな知識と技術のある整備工場で行いましょう。

エコカーとフットブレーキ

足で踏めば強力なブレーキでクルマを停止させるフットブレーキは、17世紀のフランス人哲学者のパスカルが発見した流体力学の原理に基づく油圧を応用したブレーキです。天気予報でもお馴染みの言葉「パスカル」は大気圧ですが、圧力の原理を発見したパスカルの名に由来しています。

パスカルが今からおよそ400年前に発見した原理に基づく技術で、現在の私たちはフットブレーキの恩恵を得ています。フットブレーキの多用で熱が発生すると、恐ろしい事ですが、ブレーキ油が沸騰して、ブレーキは利かなくなります。

でも最近のハイブリッド車や電気自動車は、回生ブレーキ機構を備えることで、ブレーキパッドに伝える力を最適制御して、ロスしていた熱エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄え、再利用が可能になりました。ブレーキパッドの寿命も伸びました。過去から未来へ向かう技術の進歩のベクトルの行進は、まだまだ続きます。

初回公開日:2018年03月27日

記載されている内容は2018年03月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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