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モンスタートラックの仕組みや構造・平均価格・日本の特徴

更新日:2024年06月15日

モンスタートラックについて、構造や仕組み、平均価格、また日本でがある車の特徴などを解説します。大阪の舞洲スポーツアイランドで開催されたモンスタージャムは、度肝を抜く技の迫力と楽しさでが上昇中です。そのようなモンスタートラックの耳寄りな情報を紹介します。

モンスタートラックの仕組みや構造・平均価格・日本の特徴

モンスタートラックの仕組み・構造

自動車レースのことをモータースポーツと呼びますが、かつては誰が一番先にゴールするかといった車の速さを競うための競技でした。それは現在も根本的に変わってはいませんが、フリースタイルという新ジャンルの登場によって、モータースポーツの楽しみ方に新たな価値観が生まれています。

日本でも上昇中のモンスタートラック

特にアメリカンモータースポーツの面白さは常軌を逸しており、楽しければ何でもいいとばかりに自由な発想と独自の世界観で注目を集めています。中でも巨大なモンスタートラックが会場狭しと豪快に走り回る「モンスタージャム」は大変なぶりで、近年日本でも開催されて話題となっています。

ではこの「モンスタートラック」とはどういった車なのか、動画などで走りの凄さや競技の楽しさは知っていても、気になるそのメカニズムについて詳しく知る人はそれほど多くないでしょう。見る者に強烈なインパクトを与える、モンスタートラックが持つ驚愕の走行性能の秘密は一体どこにあるのでしょうか。

そのようなモンスタートラックについて、構造や仕組み、平均価格、また日本でがある車の特徴などを解説していきます。

始まりはピックアップトラックの改造車

モンスタートラックのルーツは、1974年に製作された「BigFoot:ビッグフット」です。これはフォードのF250ピックアップトラックをベースにした改造車で、製作したのはアメリカのミズーリ州セントルイスに住むボブ・チャンドラー氏と、その妻マリリン・チャンドラーです。

建設業者だったボブ・チャンドラーはオートバイ事故によって仕事ができなくなり、それをきっかけに当時流行していたクロスカントリー4WD車と改造パーツを販売する会社、「Midwest 4WD&Performance Center」を立ち上げます。

この頃、ピックアップトラックをベースにした4WD車「シボレー・ブレイザー」がその走破性と実用性の高さから大ヒットとなっており、そこに大きなヒントを得てモンスタートラック、ビッグフットが誕生することになります。

流行していたトラックベースの4WD車をヒントに

かつて本格的な小型4輪駆動車として唯一の存在だったジープ・チェロキーの対抗馬として、車体を専用設計して登場した初代フォード・ブロンコがオフロード走行を楽しめる車としてとなっていました。そのブロンコのを奪って瞬く間に大ヒットとなった車が、一般的な実用トラックをベースに安価に製作されたシボレー・ブレイザーでした。

ビッグフットは、この実用的なピックアップトラックをベースにして本格的な4WD車を作るというアイディアを元に生まれた世界初のモンスタートラックです。

66インチの巨大なタイヤと強力なエンジン

ブレイザーの成功にヒントを得たボブは、ピックアップトラックの頑丈なラダー(はしご型)フレームをベースにして、農業用の大型トラクターに使う巨大なハイフローテーションタイヤを装着し、強力なV8エンジンを載せればどのような場所でも走行可能な車ができるのではと考えます。

ハイフローテーションタイヤとは、砂地や泥地などでの走破性を高めた4WD車専用のタイヤです。早速彼はフォードのF250トラックを購入して車高をリフトアップし、そこにファイアストン製の直径66インチ(167㎝)という巨大なタイヤをはめ込みます。

さらにボブはフォード製の640Ci(立方インチ)という、総排気量が何と10,487ccで最高出力600馬力の強烈なV8エンジンをボンネットの中に押し込みます。こうして誕生したのが史上初のモンスタートラック、ビッグフット1号車です。

1979年には四輪操舵システムへと進化

ビッグフットのサスペンションは、強化アクスルシャフトを備えた軍用車用のリジッドアクスル(車軸懸架)で、後部サスペンションには5トンの荷重に耐えられる頑丈な部品が取り付けられています。

この懸架装置は形式的には4リンク式のリジッドサスペンションで、一個当たり320kgもの重さがあるタイヤを支えるため、それぞれに14インチの特製ショックアブソーバーが組み合わされています。ビッグフットはこの巨大なタイヤと強力なV8エンジンによって、驚愕の登坂能力とどのような悪路でも平然と走行が可能な無敵の走破性を実現します。

またビッグフットは1979年に、新たにリアステアリング機能を持った斬新な四輪操舵システムを装備します。これにより巨大なタイヤを装着しながらも恐るべき旋回能力を得ていとも簡単にドーナツターンが可能となった他、路面追随能力がさらに向上して走破性が高まります。

車を踏み潰しながら走行する姿でが爆発

四輪操舵に改良された1979年のビッグフットは、コロラド州デンバーで行われたイベントに初出場して注目を集めます。それを機に雑誌などにも紹介されてが高まります。

ボブはビッグフットの魅力をさらにアピールするために、走行不能となったジャンク車を数台並べ、その上をビッグフットが巨大なタイヤで車を踏み潰しながら走行する「Car crash」をやって見せます。その姿は多くの人々に衝撃を与え、全米でビッグフットのが爆発します。

ビッグフットは1983年にフォード社とスポンサー契約を結び、16台のビッグフットが製作されて各地のコマーシャルイベントで大活躍します。その効果もあってフォードのFシリーズピックアップトラックは世界の販売台数の多い車となりました。

ビッグフットを一躍有名にしたこの「Car crash」はハリウッド映画にも登場し、現在も伝説となっています。

チューブラーフレームとFRPボディへと進化

ビッグフットは1989年の第9世代モデルから、従来の市販車をベースにした車に変わってCADを使用して設計されたチューブラー(管状)フレームへと進化します。ボディはこれまでのビックフットと同じフォードFシリーズトラックをかたどったFRP製で、ここで初めて現在のモンスタートラックの原型が誕生します。

チューブラーフレームによって大幅に軽量化したビッグフットは、1999年にジェリー・ダルトンのドライブで何と217フィート3インチ(66.2m)の大ジャンプを成功させ、世界記録を達成しています。

新設計のサスペンションを得てエンジンも大幅に強化

また新世代のビッグフットはサスペンションも新たに設計され、オートバイのスイングアームに似た片持ち式のサスペンションとガス充填式の特製ショックアブソーバーに加え、ブレーキを内蔵したZF社製のアクスルを装備します。

エンジンは従来のレース用ガソリンから、インディーカーに使われるメタノールを燃料とした572CiのV8エンジンにスーパーチャージャーを装備して、1,000馬力を越える最高出力を発揮します。

その後もビッグフットは年々進化を続け、現在も全米各地を中心に開催されるモンスタートラックのレースイベントで大活躍しています。

モンスタートラックのタイヤは66インチ

現在のモンスタートラックに装着されるタイヤは、インド製のBKTというオフロードタイヤ専門メーカーが製造するFL-351・HF-3ハイフローテーションタイヤです。そのサイズは直径66インチ(167㎝)、幅43インチ(109㎝)という大人の身長に匹敵する高さのある巨大なタイヤが使われています。

ハイフローテーションタイヤとは砂地や泥地などでの走破性を高めた、地面に浮く(フロート)タイヤです。これによってモンスタートラックは抜群の登坂能力や驚愕のジャンプ力、信じられないほどに高い悪路走破性を誇ります。

モンスタートラックは、このタイヤと強力なエンジンによる豪快な走りでウイリー走行やバック転などを見事にやってのけます。

エンジンは9ℓで1,500馬力以上を発揮

モンスタートラックのエンジンは575Ci(立方インチ)のV8エンジンで、総排気量は9,423ccです。これにスーパーチャージャーを装備して最高出力は1,500馬力以上という、まさにモンスターです。

燃料は一般的なガソリンではなく、インディーカーレースで使われるのと同じメタノールを使用しています。

モンスタートラックの平均価格・値段

モンスタートラックの平均価格について説明します。

モンスタートラックは完全なフルオーダーメイド

モンスタージャムに参戦しているチューブラーフレームとFRP製ボディーのモンスタートラックは、全てフルオーダーメイドで製作されているため完成された車両の販売は行われていません。また、このようなモンスタートラックは競技専用に製作された車両ですので、一般向けの販売は行っていません。

しかし、モンスタートラックの製作に必要な費用の目安は、装備される部品の価格などを計算すれば知ることができます。

モンスタートラックのサイズとエンジンの価格は?

モンスタージャムに出場するトラックのサイズは、高さ11フィート(約3.35m)、幅12フィート(約3.66m)、重量は9,000ポンド(約4,082kg)以上で12,500ポンド(約5,670kg)以下と決められています。

モンスタートラックのエンジンは規定により575Ci(立方インチ)以下のV8エンジンで、総排気量は9,423cc以下です。これらは既製の大型エンジンをベースにカスタムメイドされ、スーパーチャージャーなどの過給機を装着してレース用のメタノールを燃料とする仕様へと改良されています。このエンジン1基当たりの平均価格は約40,000ドル(約438万1,161円)とされていますが、おおよその価格ですので参考程度にしてください。

ボディ製作とペイントに掛かる費用は?

モンスタートラックのボディーはFRP製で、専門会社によってオーダー製作されます。価格は平均して約50,000ドル(約547万6,451円)とされています。モンスタートラックのボディーにはそれぞれ個性的なカスタムペイントが施されています。その塗装費用が平均約3,500ドル(約38万3,352円)ですが、それぞれ内容によって変わるのであくまで参考程度にしてください。

モンスタートラックのタイヤの価格は?

モンスタートラックのタイヤは直径66インチ、幅43インチのハイフローテーションタイヤと決められています。その価格は1本あたり4,155.36ドル(約45万5,044円)です。

ショックアブソーバーの価格は?

モンスタートラックに装備されるショックアブソーバーは特製の窒素ガス充填式で、スプリングが組み合わされたコイルオーバーキットです。それを各タイヤごとに1本または2本使います。ショックアブソーバーの価格は1本あたり1,250ドル(約13万6,896円)です。

気になるモンスタートラックの価格はいくら?

このようにそれぞれのパーツ代をまとめると、エンジンが約40,000ドル(約438万1,161円)、FRPボディの製作に約50,000ドル(約547万6,451円)、塗装代が約3,500ドル(約38万3,352円)、タイヤが1本あたり4,155.36ドル(45万5,044円)4本で16,621.44ドル(182万176円)となっています。

さらに、ショックアブソーバーを含めたコイルオーバーの価格が1本あたり1,250ドル(約13万6,896円)で、これが4本なら5,000ドル(54万7,584円)、タイヤ一つあたり二本なら8本必要でその場合は10,000ドル(109万5,168円)になります。

これにチューブフレームやサスペンションユニットに30,000~40,000ドル(約329~438万円)掛かるとすると、モンスタートラックは総額で14万~16万ドル(約1,535~1,754万円)になります。

ここであげた価格は、あくまで目安としての参考価格ですので事前にリサーチした方が良いでしょう。

中古のモンスタートラックを購入する際の選び方

現在のモンスタートラックは完全なフルオーダーメイドで製作されており、また競技専用に設計された車ですので完成車両の販売は行っておらず、オークションでもない限りレースに使用された中古車が市場で販売されることはありません。

しかし、ごくまれにレースで使用された車両が販売されている事があります。またそれ以外に、ピックアップトラックなど一般市販車をベースにリフトアップを行い改造された車が、アメリカ国内のビルダーによって製作されており、それらの車が中古車として販売されています。

中古のモンスタートラックを購入するには

モンスタートラックを中古車で購入する場合は、まずレース仕様の本格的な車か市販車を改造した車かを選びます。

モンスタージャムに参戦したレース仕様の中古車はめったに出て来ませんが、現在本国の販売サイトに1台だけ掲載されており価格は85,000ドル(約932万2,220円)とのことです。この車はチューブラーフレームにフォードFシリーズトラックを模したFRPボディを仮装した本物のモンスタートラックです。

エンジンはスーパーチャージャー付きのフォード557Ciで、既にロールゲージなどの義務部品を装備しておりすぐにでもモンスタージャムにエントリーが可能です。とにかく本物を求める人には車でしょう。

これに対し、市販のピックアップトラックをベースに改造された車は多種多様で、価格も1,000~75,000ドル(約110~822万円)までと幅広いですが、その分選択肢が多いのがメリットです。

保安基準により日本では公道走行は不可能

このようにモンスタートラックの中古車価格は、それぞれ車の内容によって大きく異なるため基準となる値段がありません。そのため購入する際は改造された個所やエンジンのスペックなどを良く確認し、希望に見合った車を選びましょう。

しかしモンスタートラックは、日本では道路運送車両法の保安基準によってそのまま一般公道を走行するのは不可能です。そのため、購入を希望する人はこのような珍しい車を取り扱う輸入代行業者などと良く相談してから、希望に合った車を選んで購入しましょう。

モンスタートラックのレースでの走り方

モンスタートラックが爆走する迫力のモータースポーツ、「モンスタージャム」のレース内容について説明します。

レース形式とフリースタイル

モンスタージャムは、オートバイのオフロードコースに似た砂地のダートコースで行われます。競技内容は大きく分けて二種類あり、ゴールまでの速さを競うチャンピオンシップレースとモンスタートラックを使っていろいろな技を決め、その技術点を競い合うフリースタイルがあります。

フリースタイルで行われる技はジャンプやバック転、ウイリー走行やドーナツターン、さらに障害物であるジャンク車を壊すといったエンターテイメント性の高いもので、スノーボードやフィギュアスケートと同じでそれぞれトリックの難易度や美しさなどを審査して点数が与えられます。

モンスタージャムでは、各選手が限られた時間内にいかに多くの技を遂行できるかや、走行スピードをどれだけ維持しながら行ったか、また障害物のジャンク車を効果的に破壊できたかなどが審議されます。要するに、最も派手な技を決めて大いに観客を沸かせた者が勝者となります。

モンスタートラックのタイヤの平均値段

モンスタートラックが暴れまわるモータースポーツイベント、モンスタージャムに出場しているマシーンに使われるタイヤの価格について説明します。

全てBKT製のワンメイクタイヤを使用

モンスタージャムに参戦しているタイヤメーカはインドのBKT一社のみで、出場するモンスタートラックには全てBKT製のFL-351・HF-3ハイフローテーションタイヤが装着されます。BKTはインドを始め四大陸の全てに拠点を置く世界的なタイヤメーカーで、製品は全て農業用トラクターを中心としたオフロード用タイヤを製造し事業を展開しています。

モンスタートラックに使用されるFL-351・HF-3ハイフローテーションタイヤの価格は、1本あたり米ドルで4,155.36ドルです。これを現在の為替レートで換算すると日本円で45万5044.08円です。

モンスタートラックは最強のエンターテイメント

モンスタートラックについて、構造や仕組み、平均価格、また日本でがある車の特徴などを紹介しました。

モンスタートラックが爆走する「モンスタージャム」は、フリースタイルと呼ばれる技を競う競技がで話題となっています。その内容はジャンク車を踏み潰すカークラッシュや派手な大ジャンプ、ウイリー走行やバック転にドーナツターンなど想像を絶する迫力で観客を大いに楽しませています。

保安基準によって日本の公道をそのまま走行することはできませんが、が急上昇しているモンスタートラックを手に入れて、実際に運転してみたいという人はきっと多いでしょう。

そのような人はすぐにモンスタージャムの動画をチェックして情報を入手し、ぜひアメリカまで飛んで競技会場へ足を運んでみましょう。

初回公開日:2018年05月11日

記載されている内容は2018年05月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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