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車のエアインテークの効果と自作方法・雨天時に影響はないのか

更新日:2024年06月21日

エアインテークについて、その成り立ちや効果、自作する方法、また雨天時に影響がないのかなどを解説します。スバルのターボエンジン車や、ホンダNSXなど高性能な車には、なぜかボディの目立つところに設置されている装備、エアインテークの耳寄りな情報を紹介します。

車のエアインテークの効果と自作方法・雨天時に影響はないのか

車のエアインテークの効果について

自動車に装備される部品に、「エアインテーク」というパーツがあります。「エアインテーク」とはその名のとおり、「空気を流入する入口」の役目をする部品で、多くは車のボディの一部に取り付けられています。

車が走るには空気が必要ですが

車が走るには、エンジン内でガソリンと同時に空気を燃焼させ、その爆発エネルギーを駆動力として利用します。そのため、インテークマニフォールド(吸気パイプ)によってエンジン内に空気を送り込みます。

また、車のエンジンは内部の燃焼が高まるにつれて過熱するため、それを冷却するには、走行風としてエンジンルーム内に空気を取り入れる必要があります。

そうなると、全ての車にこの「エアインテーク」が取り付けられていても、おかしくないと考えますが、実際には、一部の特徴的な車種にしか装備されていないのはなぜでしょう。

そのようなエアインテークについて、その成り立ちや効果、自作する方法、また雨天時に影響はないのかなどを解説していきます。

エンジンを冷やすために空気を送り込む

車にエアインテークを装備する目的の一つとして、「エンジンを冷却する」という物があります。自動車のエンジンは「内燃機関(ないねんきかん)」と呼ばれ、エンジン内で圧縮された燃料と空気を爆発させることで、その反発力をエネルギーに変えて動力を生み出しています。

つまり、車のエンジンは燃焼によってエネルギーを生み出す「熱機関(ねつきかん)」の一種であり、エンジンの発動そのものが熱を発生します。

そのため、過熱したエンジンを冷やさずにおくと、高温によってエンジンを構成する部品が膨張するなどして変形し、性能が著しく低下する他、焼き付きやピストンが溶けるなどして破損(エンジンブロー)し、また最悪の場合、火災を起こすこともあります。

エンジンを冷やす空気を導くラジエーターグリル

このような事態にならないよう、車のエンジンにはラジエーターという熱交換器が必ず装備され、エンジンを冷却します。またラジエーターは走行風を当てることで冷却効果を発揮するため、多くは車体前方に取り付けられています。このラジエーターに空気を導くためにボディに設置された流入口を、ラジエーターグリルといいます。

また同時に、ラジエーターグリルは、走行風をインテーク(吸気)パイプの入口へと導き、エンジンが空気を吸い込むのをうながす働きもあります。

ラジエーターグリルは、自動車の黎明期にあたる1800年代後半にはすでに存在し、現在もほとんどの車に採用されています。また、ラジエーターグリルの多くはボディの前部、車の顔にあたる部分(フロントフェイス)に設置されるため、デザイン上の重要なアクセントとしても使用されてきました。

ラジエーターグリルとどう違うの?

しかし、スポーツカーなどより速く走ることを追求した車では、車の最高速度を上げるため、車体の空気抵抗を減らすことを目的に、ノーズ(車の先端)をできるだけ低くしたデザインが取り入れられるようになります。

そうなると、従来のボディ前面にそそり立つみたいな、いかにも空気抵抗の大きなラジエーターグリルから、次第により薄く小さな物へと改良され、やがてはラジエーターグリルがどこにも見当たらない車まで登場してきます。

日本車で最初にラジエーターグリルがないデザインを持つ車は、初代サバンナRX-7でしょう。このRX-7はコンパクトなロータリーエンジンの長所を生かし、先端が低くスラント(傾斜)したデザインが採用されています。そのため、本来あるべきはずのラジエーターグリルがどこにも見当たりません。

車に空気力学を応用したエアインテークが装備される

その代わり初代RX-7では、日本車として初めて、フロントバンパーの下に走行風を取り込んで、ラジエーターへと空気を導く「エアインテーク」が採用されています。これにより、車体の空気抵抗を減らすと同時に、より効果的にエンジンルーム内に空気を取り込むことができます。

このように、エンジンを冷却するために装備されていたラジエーターグリルの技術が、時代の変遷と共に、空気抵抗の少ないボディデザインが求められるようになったことで、自動車開発に空気力学が応用された、「エア・インテーク」へと発展することとなります。

エンジン内に多くの空気を送り込む

エアインテークとは、自動車工学に空気力学が応用されるようになって誕生した技術で、従来のエンジンを冷やすために空気を送りこむラジエーターグリルが改良された物です。

しかし、それよりさらに前に、車体に当る走行風の圧力を利用して、エンジン内部に多くの空気を送り込むことで、エンジンのパワーアップを目的としたエアインテークが存在していました。それが1960年代後半から、アメリカ車のマッスルカーなどの高性能車に装備されていたラムエアインテークです。

ラム圧を利用して強制的に空気を吸い込ませる

ラム圧とは、走行中に車体が受ける空気の圧力の事で、ラムエアインテークは、V型8気筒エンジンを搭載したアメリカ車のボンネットに装着されています。

アメリカンV8エンジンは、V字の内側部分にインテークマニフォールドやキャブレター(燃料供給装置)といった部品が装着され、ラムエアインテークは、そのキャブレターの真上に取り付けられています。それがボンネットに空けられた穴から、上にポコンと飛び出すみたいにして設置されているのが特徴です。

レースの世界で瞬間の加速力を得るための装置

アメリカでのドラッグレースには、こうした車をチューンナップして、エンジンの馬力を大幅に高めた車が出場しています。

ドラッグレースとは、0-400mまでの走行タイムを競うレースで、勝つためには一瞬で最高速に達する猛烈な加速力が必要なため、ポンネットからそそり立つみたいにして飛び出した、巨大なラムエアインテークを装着し、エンジンに多くの空気を送り込むことで強力なパワーを発揮させます。

また、F1グランプリになどに出場するフォーミュラマシーンでは、エンジンが操縦席のすぐ後方にあるため、ドライバーが座る頭の上にラムエアインテーク(インダクションポッド)があるのが特徴で、時速300㎞/hオーバーの高速バトルで瞬時に加速力を得るために、エンジン内に強制的に空気を送り込みます。

市販車では見た目で速さをアピールするため

しかし、一般の市販車では、そういったレース場並の高速走行は考えられず、車体が受けるラム圧も小さいため、ラムエアインテーク自体のパワーアップ効果はあまり期待できません。市販車におけるラムエアインテークは、馬力の向上よりもアクセルに対する反応(レスポンス)が良くなる、または装着することで高性能をアピールする視覚的効果でしょう。

ターボチャージャーを冷やすエアインテーク

ラムエアインテークの技術が生まれたみたいに、車のエンジンは、エンジン内により多くの空気を吸い込ませることで圧力を高め、強力なパワーを発揮できることから、圧縮された空気を強制的にエンジン内へと押し込む、ターボチャージャーを装着した高性能車が登場します。

ターボチャージャーはシャフトで繋がれた左右の風車(タービンブレード)を、それぞれかたつむりによく似たハウジングの中に入れた部品で、エンジンの排気ガスの圧力でエキゾースト(排気)タービンを回転させ、その力でコンプレッサー(圧縮)タービンを回して空気を圧縮し、エンジン内に強制的に空気を送り込む装置です。

圧縮された空気は高温になるというターボの問題点

量産車初のターボ車は、BMWの2002ターボで、それよりわずかに遅れて、ポルシェが930ターボを市場へ投入します。日本車では1970年代の終盤から、ターボを装着するだけで簡単にパワーアップが実現するとして、ターボエンジン搭載車が次々に登場してきます。

このターボチャージャーの問題点の一つが、タービンが空気を圧縮することで、熱を発生し、エンジン内に送り込む空気が高温になることです。

インタークーラーで圧縮された空気を冷やす

気体は温度が上がると分子が膨張して体積が大きくなります。すると高温で膨張した空気は分子の密度が低くなり、その分シリンダー内に流入できる空気の量が減り、ターボでいくら空気を押し込んでも、パワーが出なくなってしまいます。

そこで、ターボによって圧縮された空気を冷やすことで温度を下げ、空気分子を凝縮させて密度を高めることで、シリンダー内により多くの空気を流入させて、さらに強力なパワーを生み出すターボの冷却装置、インタークーラーを装着します。

インタークーラーに空気を導くエアインテーク

このインタークーラーの多くは空冷式のため、ユニットに走行風を送り込む必要があり、そのためのエアインテークがボディの一部に設置されます。

エアインテークが設置される場所は、インタークーラーの搭載位置によって異なり、インタークーラーがエンジン前方にある場合は、フロントバンパーにエアインテークが設置され、またエンジンの上方で、ボンネットの下に水平に搭載される場合は、ボンネットの上に空気を取り入れるエアインテークが設置されます。

高性能をアピールする効果

このように、エアインテークには「エンジンを冷やしてオーバーヒートを防ぐ」、「ラム圧を利用してエンジン内に空気を送り込み、レスポンスを向上させる」、「ターボを冷やすことで、エンジン内への空気の流入量を増やして、さらにパワーアップする」といった効果があり、それぞれ目的に応じてボディに定められた場所に、エアインテークが設置されます。

またBMWをベースにしたチューニングカー、BMWアルピナ(ALPINA)のフロントスポイラーには、過熱によって性能が低下する、フロントディスクブレーキを冷却するためのエアインテークが設置されています。

実際には機能していないダミーインテーク

しかし、エアインテークには、こうした機能性に基づく理由から装備された物以外に、車体にエアインテークを設置することで、車の持つ高性能をアピールしたり、またはファッション性といったデザイン上の遊びとして、ボディにエアインテークが採用されることもあります。

こういった、いわゆる「ダミーインテーク(機能的効果のない形だけの装備)」と呼ばれるエアインテークには、日本車では1980年代にを博したスポーツカー、三菱スタリオンのボンネットに設けられた、大きなエアインテークや、スバル・アルシオーネのボンネット上のエアインテークなどが、正しくそれにあたります。

高性能車だとユーザーに強くアピールする

これら二台はターボエンジン搭載車ですが、エアインテークを必要とするインタークーラーは装備されていません。ですので、この二台のエアインテークは名目上、空気を取り入れてエンジンを冷却するという物でしたが、実際には、これを設置することで、高性能なターボ車だということを、ユーザーにアピールするためでしょう。

この他にも、エンジンを座席のすぐ後方に搭載した、ミッドシップ・レイアウトのスポーツカーでは、左右のドアの後ろあたりに、空気がたくさん入り込みそうな大きなエアインテークが装備されています。

こちらもエンジンの冷却用という名目ですが、ラジエーターへ空気を送り込む構造の物は少なく、やはりミッドシップ車だということを、視覚的に強くアピールしています。

エアインテークは雨などの影響は大丈夫?

雨が降った場合のエアインテークへの影響について説明します。

ボンネット上に設置されたエアインテークでは、雨天の際に雨水が侵入して、エンジンルーム内を濡らしてしまうのではと、心配してしまいます。エンジンルーム内にはイグニッションシステム(点火装置)やオルタネーター(発電機)、バッテリーといった電装部品があり、水にぬれた場合は故障の原因になります。

メーカー純正のエアインテークなら大丈夫

しかし、メーカー純正のボンネットに設置されたエアインテークでは、雨水などが侵入しても、内部できちんと水の排水路が備わっており、それでエンジンを濡らしてしまうことはありません。

また、アフターマーケット品のボンネットに交換している場合は、製品によっては装備されているエアインテークに、そのような排水機構が備わっていない場合も考えられ、注意が必要でしょう。

エアインテークの自作方法について

エアインテークの自作方法について説明します。

自作するエアインテークの目的には二種類あり、ひとつは車の性能には直接関係のない、デザイン上のドレスアップ、もう一つはエンジンの冷却など性能を高めるために設置する場合です。

車の安全性を損なう改造は事故の原因になる

デザイン上のドレスアップでは、必ず走行性能が犠牲にならないように考慮して、問題のない場所に取り付けましょう。ボルトオンのパーツでも、ボディパネルへの加工が必要な場合でも、走行に支障をきたす危険な場所への設置は厳禁でしょう。

また、性能向上のために取り付ける場合も、安全性を損なわないよう注意しましょう。チューニングカーなど、パワーアップ車の冷却効率を上げるため、バンパーなどに穴あけ加工をする場合は、下手に大きな穴をあけると空気抵抗が増えて、高速走行時のバランスが崩れて危険なため、寸法などをきちんと計測して慎重に行いましょう。

エアインテーク用アルミテープの効果について

エアインテーク用アルミテープの効果について説明します。

最近、車の性能向上パーツとして注目を集めている、アルミテープの効果は「静電気除去効果」です。車のエンジンは、発動中は常に外気から空気を吸い込み、同時に燃焼ガスを外に排出することを繰り返し行っており、そのために、エンジン自体が何と1,000ボルトもの高電圧を帯びることが分かっています。

そうなると、エンジンが空気を吸い込んだり、燃焼ガスを排出したりする際に、電気によって大きな抵抗が生まれ、エンジンの性能が低下するといいます。

静電気を除去して性能をアップする

そこでエンジン内に空気を導入するインテークマニフォールド(エアインテークとも言います)といった、樹脂製の部品にアルミテープを貼ることで静電気を除去し、エンジンの性能低下を防ぐことができます。

またエンジンだけでなく、ボディも走行中に高電圧を帯びることから、バンパーのエアインテークやラジエーターグリルにアルミテープを貼っても、除電効果で走行性能がアップするといいますから、アルミテープは驚きのチューニングパーツです。

車種別エアインテークの紹介

車種別のエアインテークについて説明します。

ハイエース

圧倒的な室内空間から、ビジネスにもレジャーにものワンボックスカー、ハイエースの性能を高めるため、アフターマーケット品のエアインテークシステムが販売されています。

こちらは、純正のエアクリーナーと交換することで、エンジンのレスポンスを高めて操縦フィーリングを向上させる効果があります。また同時に、カーボンファイバー製のインテークチャンバーが空気を共鳴させ、勇ましい吸気音を響かせて気分がアガります。

価格は58320円となっています。

エアインテーク・スタビライザー

エアインテークスタビライザーとは、トヨタ86やレクサスGSなどに搭載されている、エンジン音を意図的にチューニングして、最も気分を高揚させるエンジンの吸気音を、スポーティーな音色にする、「サウンドジェネレーター」の性能をより高めるために装着する、アフターマーケットパーツです。

この装置は、通常は樹脂製のじゃばら型インテークパイプを、専用のステンレス製へと交換することで吸入効率をアップし、アクセルに対するエンジンのレスポンスを向上させ、さらにサウンドジェネレーターが作り出す吸気音を、より乾いた気持ちのいい音へとアップグレードさせてくれます。

スバル車

歴代のインプレッサWRXや、レヴォーグなどのスバルの車の特徴として、ボンネット上に設置された大型のエアインテークがあります。これは、高さの低いスバルの水平対向エンジンならではの、エンジンブロックの真上に水平に搭載された、ボンネットの下に位置するインタークーラーへ空気を導くための物です。

このスバル車のエアインテークは、機能性と同時に、ハイパワーターボエンジンの高いパフォーマンスをアピールする、アイデンティティの一つとして、スバリストにはうれしい装備となっています。

ホンダNSX

エンジンを座席のすぐ後方に搭載した、ミッドシップ・スポーツカーの歴代ホンダNSXには、ミッドシップ車ならではの、ボディサイドからエンジンルームへと空気を導入する、大型のエアインテークが設置されています。

これはエンジンルームの冷却はもちろん、抜群のコーナーリング性能と高い動力性能を持ったハイパフォーマンス・スポーツカー、NSXが持つスタイリング上の重要なアイデンティティとなっています。

MINIクーパーS

BMWが製造販売している、MINIの高性能モデル「MINIクーパーS」のボンネットには、初代モデルから、他のグレードには無い特徴的なエアインテークが備わり、デザイン上の重要なアクセントとなっています。

これは初代モデルに搭載されていた、クライスラー製ペンタゴンエンジンのシリンダーヘッド上部に、この高性能版クーパーSモデルにのみスーパーチャージャーが装着されていたためで、新たなBMW製、MINIクーパーSのアイデンティティとして、現在のモデルにもその伝統が受け継がれています。

ホンダ・フィット

ホンダの大のコンパクトカー、フィットの走行性能を向上させるため、アフターマーケット品のエアインテーク・チャンバーが販売されています。

こちらも、純正エアクリーナーと交換することで簡単に取り付けることができる、車種別の専用品となっており、高速道路進入時の加速力や、燃費性能がアップするパーツです。

価格は32,835円となっています。

エアインテークカバーの使い方について

スバル・レヴォーグのアフターマーケットパーツに、エアクリーナーへ空気を導く純正エアインテークを保護する、カーボンファイバー製エアインテークカバーが販売されています。

こちらは、エンジンルーム内にある、レヴォーグのエアクリーナー用エアインテークの上にただ貼り付けるだけで、カバーを保護するパーツとなっています。また、カーボンファイバーの黒い輝きが、エンジンルーム内をカッコよく演出するのにも効果的なドレスアップパーツです。

価格は9,262円となっています。

エアインテークは高性能車の証(あかし)

エアインテークについて、その成り立ちや効果、自作する方法、また雨天時に影響はないかなどを紹介しました。

車のエンジンがその性能を発揮するためには、エンジンを効率よく冷却したり、またエンジンがより多くの空気を吸い込めるよう、エンジンルーム内に空気を取り入れる必要があります。そのための装置がエアインテークです。

エアインテークは、ラジエーターに空気を当てたり、走行風によるラム圧でエンジンのレスポンスを向上させたり、またターボチャージャーを冷やすことで、さらに強力なパワーを発揮させる機能性に基づいた装備です。

しかし、その他にも車の持つ高性能をアピールするための、ドレスアップパーツとしての効果もあり、デザイン上のアイデンティティとなっています。

エアインテークは選ばれた車だけに与えられた、高性能車の証明です。あなたも車選びの際に、ぜひエアインテークに注目してみましょう。

初回公開日:2018年04月10日

記載されている内容は2018年04月10日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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