パワステの種類・オイル漏れの原因・故障の症状|異音/重い
更新日:2024年09月30日
パワステの種類
何気なく運転している車ですが、現代の車のハンドルは非常に軽やかに回すことができます。これはパワーステアリングが装着されているおかげで、もしパワーステアリングが無ければ、ハンドルを回すことは非常に困難でしょう。
現在パワーステアリングのタイプは、電動タイプと油圧タイプとに分かれます。そのうち現在主流になってきているのは、電動パワーステアリングです。
油圧式パワーステアリングは、エンジンの出力を停車中でも利用しているのでエネルギーのロスがあり燃費に悪影響を及ぼしていました。そのため現在のパワステは油圧式と違い停車中でも走行中でもエンジンの出力を利用していない、電動式にシフトしています。
電動パワーステアリングはジェネレーターやバッテリーに負荷を与えますが、ハンドル操作を感知して初めて作動します。直進状態のパワーロスはゼロなので、バッテリーなどへの負荷はほんのわずかと考えられます。
油圧パワステの構造
パワーステアリングの構造は、ステアリング、ステアリングコラム、パワーステアリングポンプ、リザーバータンク、ステアリングギアボックス、パワステオイルから構成されており、ハンドルを操作すると、ステアリングからステアリングコラムに動きが伝わり、ギアボックスに伝えています。
パワステポンプはエンジンのプーリーを介してベルトで駆動されており、内部のオイルが加圧されてステアリングギアボックス内のパワーシリンダーに圧送されます。ハンドルを切ると停車している時と走行している時でハンドルを回す力が違います。そこでトーションバーを利用し油圧の圧送圧力を変えています。
ステアリングコラムとギアボックスを連結する場所にトーションバーを使いそのねじれる力の状態により、加圧する力を変えています。ある一定以上の力が加わると、トーションバーがネジ切れるのを防ぐために力を逃がす工夫がされています。
電動パワステの構造
電動パワステは油圧と違い高価なポンプを使用しなくても良く、ステアリングコラムの下にセンサーを配置し、ハンドルの切る量を感知して、それに見合ったパワーをギアボックスにあるモーターでアシストしています。
最大のメリットは、エンジンパワーを取られないので燃費向上に貢献できることです。よって最近の車には電動パワステが主流となってきました。また電動パワステならではの機能として車庫入れアシストがあります。これはコンピューターによりモーターを回して人の手に寄らすハンドル操作をするシステムです。
このように油圧では不可能であっったコンピューターによる自動化が、電動パワステの最大のメリットとなります。またかつてデメリットと言われていた操作の違和感も技術進歩でほとんど感じられなくなりました。
パワステのオイル漏れの原因
パワステオイル漏れは、繋ぎ目やパッキンの劣化により発生します。繋ぎ目はポンプと高圧ホースのジョイント部分やギアボックスと高圧ホースのジョイント部分に多く見られます。この場合はホースごと交換となるでしょう。
またパッキンはポンプ内のシールやギアボックス内のパワーシリンダーのシールが劣化してオイルは漏れ出してきます。いずれの場所もゴムでできていますから、経年劣化は避けられない部分でしょう。
また油圧パワステは常に高い圧力がかかっているので、停車状態でハンドルを操作する据え切りを多用すると、ポンプやギア内部に負荷がかかり損傷してしまいます。
パワステポンプからの漏れ
パワステポンプからのオイル漏れがひどくなると、ハンドルを切る度に「ウィーン」といった音が聞こえてきます。パワステポンプは分解してメンテナンスを行うことができないので、故障すると交換するしか方法がありません。
ステアリングラックからの漏れ
ステアリングラックからのオイル漏れは、車の下に数滴のオイルが落ちている事が多く、エンジンオイル漏れと勘違いされるので、ギアボックスに問題があると考えて修理に出してくるユーザーが少ないのが現状です。そのままにしていると、突然ハンドル操作ができなくなり、慌てて停車させることになります。
高圧ホースとギアボックスの繋ぎ目に問題がある場合とギアボックス内部のパワーシリンダーのシールに問題がある場合とに分かれ、いずれの場合もホースを交換するか、ギアボックス本体を交換しなければ修理できません。
パワステの故障の症状
パワステの故障としては、いきなりパワステが効かなくなるパワステベルトの切れから、パワステポンプやギアボックスの故障が考えられます。
主な症状は、ベルト切れなら突然パワステが効かなくなり非常に重たいハンドルとなります。この場合ギアボックス内のパワーシリンダーの負荷も加わるので、パワステのない車よりはるかに重いハンドルとなります。停車時にハンドル操作するのは女性ではほぼ無理でしょう。
パワステポンプが故障すると異音が発生し、パワステポンプの廻りにオイルが漏れてきます。オイルがリザーバータンクに残っているうちは良いですがリザーバータンク内にオイルが無くなるとポンプが焼き付きハンドルは重くなるでしょう。
重い
パワステが故障するとハンドルが重くなるという話を聞きますが、その重さは尋常な重さではありません。車を停車中にエンジンを始動せずにハンドルを回してみましょう。その状態がパワステの効いていない状態のハンドルです。
現在の車は、ハイグリップタイヤで幅の広いタイヤを履いていますから、路面との摩擦抵抗も大きく、またFF車ともなればハンドルは非常に重くなり人力での操作は難しいと言えます。
走行中に急にハンドルが重くなった場合は、直ぐに安全な場所まで車を走らせて停車させレッカー車を呼ぶことが先決です。真っ直ぐや緩いカーブではなんとかハンドル操作する事はできますが、交差点など直角に曲がる場合や車庫入れなどは特に女性では不可能に近いハンドルの重さとなるでしょう。
異音・異音ウィーン
パワステが故障すると一番多く発生する症状は異音です。多くの音は「ウィーン」といった音で、ハンドルを回す時になったりハンドルをいっぱいまで回したときだけ異音が発生する場合があります。
パワステポンプが異音を出す場合、ただ単にオイルが不足しているために音が鳴る場合があります。しかしパワステオイルは密閉された中にあり、通常は減ることが無いのでもし減っていれば、何処からか漏れがあると考えられるでしょう。
パワステのポンプ交換にかかる平均費用
パワステポンプを交換するにはディーラーや整備工場で修理をする必要があります。ディーラーでは、純正のパワステポンプの交換をすすめてくる事が多く、その費用は5万円を軽く上回る金額となります。しかし一般整備工場では、その半額で修理を行ってもらえる事が多いでしょう。
一般の整備工場では、新品のパワステポンプを使用せずにリビルト品を使用しての修理を多くすすめてきます。それは新品と同程度の性能でありながら、金額は半額以下で購入できるからです。
パワステポンプにはオークションなどで中古品も多数出品されています。しかし中古品はその使用状況が不明なことから、故障がいつ起きるかわかりません。長く車を乗り続けるのであれば、中古品の使用はかえって高い買い物となるでしょう。
リビルトポンプと純正新品
パワステポンプには純正品とリビルト品がありますがその性能と耐久性はほとんど変わりありません。それはリビルト品は使えるボディーはそのままで、内部の消耗品を新品と交換する事が理由です
パワステの仕組み
ステアリングを回すと簡単にハンドルを切ることができますが、それはパワーステアリングのおかげです。
油圧の場合、ステアリングギアボックス内に油圧で作動するパワーシリンダーが組み込まれています。ごく簡単に説明すると、左右のタイヤを1本のジョイントで繋がれています。その真ん中にギアボックスがあり、ハンドルを回すとそのギアが回りジョイントのギアを動かしてタイヤが動きます。
この動かす時に油圧のシリンダーの力でジョイントを動かすサポートをしています。車のプラモデルを作った事があれば思い出していただくと、左右のタイヤを繋げて動かすバーがありますが、そのバーを油圧シリンダーで動かすようにサポートしていると考えていただくとわかりやすいでしょう。
変わって電動パワステですが、ステアリングギアボックスにモーターを取り付けコンピューター制御でアシストする力を変えて動かしています。
パワステオイルの交換・補充方法
パワステオイルは、作動油なのでパワステフルードという言い方が正しいでしょう。パワステフルードは自動車メーカーで交換時期を明確に表記していないので、いつ交換すればわからない人も多いでしょう。パワステフルードの役目は焼き付き、潤滑、冷却をおこなっており、長く使えばフルードは劣化して性能が劣化します。
フルードの交換は、全量交換するには専門的知識と技術が必要なので、整備工場で行うようにします。自分で行う場合は、リザーバータンクの古いフルードをスポイトで吸い取り新しいオイルを入れて、エンジンを始動して左右にハンドルを切るといった繰り返しで、リザーバータンク内のフルードが綺麗になるまで行います。
パワステオイルの補充は、基本必要がありません。補充が必要という事は、何処からか漏れがある場合ですから、早急に修理が必要となります。
エア抜き
パワステオイルを交換する際にリザーバータンクを空にしてしまうとエア抜きの作業が必要になります。
エア抜きの作業方法は車をジャッキアップしリジットラックをかけます。リザーバータンク内にオイルを規定量いれてハンドルをロックtoロック(左右にハンドルをいっぱいに切る)を繰りかえします。エアーが噛んでいると「ゴボゴボ」と出てきますからリザーバータンク内のオイルが無くならないように気を付けながら、繰り返し行います。
エアーが出なくなったら、エンジンを始動させ同じようにロックtoロックを繰り返します。これでエアが出なくなれば終了です。この時に細かい泡が出てきたら、エンジン始動前のエア抜き作業が不十分ですから、もう一度初めからやり直しとなります。
パワステオイルの平均値段
パワステオイルは、ATFフルードで代用できますが、メーカー専用のパワステオイルと交換するのが良いでしょう。パワステオイルは1Lで約1,000円で購入でき、交換に使用するオイルも1Lほどなのでオイル代金は、1,000円程度で済みます。
パワステオイル交換を整備工場などで行ってもらうと工賃込みで2,000円から4,000円程度で交換してもらえます。
パワステからのサインを聞こう
パワステは車を運転するには無くてはならない機構となっています。パワステはオイルの圧力で作動する油圧式であれば、定期的なオイル交換により内部のパッキンの劣化を防ぐことができます。
パワステは10万キロ程度故障しない事が多いですが、パワステからの異音を早期に察知して修理すれば、故障を広範囲に広げずに済むでしょう。常日頃から車の定期点検を行い急な故障に遭遇しないように心がけ、快適なカーライフを送りましょう。
初回公開日:2018年04月07日
記載されている内容は2018年04月07日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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