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サイドブレーキの仕組み・調整の仕方・ランプが消えない原因

更新日:2024年08月14日

車を運転するときに何気なく使っているサイドブレーキですが、今回はサイドブレーキの仕組みや「サイドブレーキのランプが消えない」などトラブルの対応方法を簡単にですが解説していきます。困ったときやわからないときの参考にしていただければ幸いです。

サイドブレーキの仕組み・調整の仕方・ランプが消えない原因

サイドブレーキとは

一般的に良く使われているサイドブレーキいう言葉は和製英語で、ドライバーのすぐ隣(=サイド)にあるためにそう呼ばれています。

自動車業界やちょっと知っている方、海外などではパーキングブレーキと言ったりしますが、手で操作するためにハンドブレーキと言われたり、緊急で使用することからエマージェンシーブレーキとも言われていたりもします。

サイドブレーキの使い方

サイドブレーキの使い方をご紹介します。

足で踏むタイプのもの

足踏み式の使用方法は、まずサイドブレーキペダルをいっぱいまで踏み込みます。踏めなくなる位置(それ以上押せなくなる位置)がサイドブレーキがかかっている状態です。

解除の仕方は2種類あり、サイドブレーキがかかった状態で、ペダルを一度押し込んですぐに足を放すとペダルのロックが解除され、ペダルが自動的に上がり、サイドブレーキは解除となるタイプとメーター下側、ドライバーのひざの上辺りの右側か左側に丸にPの入ったマークがついた解除用のレバーがあり、それを引くと解除になるタイプがあります。

手で引くタイプのもの

手で引くタイプにも2種類あります。

一般的なもの

センターコンソール・シフトレバーのそば、またはドライバーシートの側面の床にレバーが付いていて、手で上に引き上げるとサイドブレーキがかかるタイプです。

解除は、レバーの先端にあるボタンへ親指をかけた状態でレバーを握り、引かれた状態から一度上に少し引き上げて、上げた時に先端のボタンを親指で押します。ボタンを押したままレバーを下げるとサイドブレーキは解除されます。

商業車に多いもの

トラックやワンボックスタイプの商業者に多いもので、ドライバーの左足下か右足下あたりから手で引けるレバーが付いており(PULL&TURNとレバーに記載されていることが多い)そのレバーを自分の方にいっぱいまで引くことでブレーキを効かせます。

解除は少し手前に引いてから、引いた状態のまま右側(もしくは左側)へ回転させるとレバーのロックが解除されるので、そのまま向こう側へ押せばブレーキは解除となります。

電動でうごくもの

最近増えてきたタイプで、センターコンソールやメーター下などに丸にPのマークが入ったボタン(レバー)が付いており、軽く押す(レバーを引く)とモーター音がしてサイドブレーキが自動的にONになり、軽く引く(レバーを押す)とモーター音がして自動的に解除となります。

このタイプは、操作された信号を車載コンピュータが受け、サイドブレーキの操作を行っています。

サイドブレーキの仕組み・構造

サイドブレーキの構造には大きく分けて2つの構造があります。

1.ブレーキライニング(ブレーキシュー)をワイヤーで引く構造のもの
2.ブレーキパッドを押し出す構造のもの

では、それぞれの仕組み・構造について詳しく説明をしていきます。

ライニング(シュー)をワイヤーで引く構造のもの

一番ポピュラーなタイプの構造です。室内のサイドブレーキレバー(ペダル)を操作するとブレーキワイヤーが引かれ、後ろ側のブレーキに装着されている(旧車などには前側に装着されている場合もある)ブレーキライニング(ブレーキシュー)が開き、ブレーキドラムに押し付けれて効かせます。

ブレーキライニングは、サイドブレーキを解除した際に「リアブレーキとして稼動するもの」と「リアブレーキとしては稼動しないもの」に大別でき、前者の場合は一般的に「ドラム式ブレーキ」といわれ、走行時のブレーキとしての役割を果たしており、生産、部品が低価格ですむというメリットがあります。

後者は、ディスクブレーキの一部で、ディスクの内部、中心部分がドラム式ブレーキの構造になっており、走行中は使用しない構造です。

両者ともブレーキに蓋をする構造になっているのでメンテナンスに関しては時間、料金が多少かかります。

ブレーキパッドを押し出す構造のもの

円盤状の部品を挟み込んでブレーキをかけるディスクブレーキは、ブレーキの挟み込む部品=ブレーキパッドへサイドブレーキの効果を持たせています。スポーツカーや高級車に多いタイプですが、昨今はこのタイプが一般大衆車にも採用されてきています。

サイドブレーキの操作をすると、リアブレーキに仕組まれた構造が動くことは同じなのですが、サイドブレーキレーバーへリンクしたワイヤーで走行時にブレーキパッドを押しているピストンを機械的に押し出しています。

ただし、このタイプにはサイドブレーキを効かせる力が弱い場合があり、坂道などでの駐車には注意が必要です。また近年では、このタイプには電気式のものが多く採用されており、室内のサイドブレーキレバーがボタン式になり、ボタン操作でモーターがワイヤーを引いたり、ブレーキピストンを直接押したりする仕組みになっています。

サイドブレーキの調整の仕方

基本は、どのような構造でも自動調整になっているので調整は不要です。

ドラム式ブレーキだけは強制的に調整が可能です。調整が必要な場合は、室内のサイドブレーキレバー(ペダル)にリンクしているワイヤーをレバー(ペダル)の根元部分から緩めてフリー状態にし、リアブレーキ側ライニングアジャヤスタを開く方向へ調整し、再び室内のワイヤーメーカーで定めるノッチ数(レバー・ペダルを操作したときのカチカチという音)へ調整します。

機械式ブレーキは室内のサイドブレーキ側だけでしか調整できません。

モーター駆動によるシステムが組み込まれている場合(サイドブレーキがボタン式の車両)は、車両のコンピュータで圧力が管理されているため一般の方には調整できません(診断機でのアクセスが必要です)

安易な調整は危険

サイドブレーキの調整は、分解整備に該当しますので安易な調整は危険です。分解整備には自動車整備士の資格が必要であり、作業実施後には国で定める分解整備記録簿の発行が義務づけられていますので、作業は近くの自動車整備工場へお願いしましょう。

サイドブレーキランプが消えないときの原因

サイドブレーキランプは、正式にはブレーキ警告灯といいます。ブレーキ警告灯はブレーキになんらかの不具合が発生した場合、ドライバーに危険を知らせるために点灯します。余談ですが、警告灯の色には、赤とオレンジの2種類がありますが赤色の警告灯のほうが危険度が高いとされています。

さて、このブレーキ警告灯は正常な場合、エンジンを始動し、サイドブレーキを解除すると消灯しますが、故障によってサイドブレーキを解除しても消灯しないでそのまま点灯している場合と、一度消灯してすぐに点灯する場合、走行中に点灯する場合があります。

解除しても点灯したままの場合(消灯しない)

解除しても点灯したままの場合の原因をご紹介しましょう。

検出スイッチの故障でブレーキが解除しきれていない

主にマニュアル操作で行うレバー式のサイドブレーキに多い不具合です。室内のサイドブレーキのレバー・ペダルには、稼動するための軸の周辺に検出用スイッチが装着されており、サイドブレーキをかけるとレバー・ペダルによってそのスイッチが押される仕組みになっています。

スイッチが押されることで通電されてメーター内のブレーキ警告灯が点灯し、ドライバーにサイドブレーキがかかったことを知らせます。サイドブレーキを解除するとスイッチはOFFとなって通電がなくなりブレーキ警告灯は消灯します。

このスイッチになんだかの不具合が生じてONの状態になったままになってしまうと、サイドブレーキを解除したのにブレーキ警告灯は点灯したままとなってしまいます。当然のことながら、レバー・ペダルが解除しきれていなければ、スイッチはONになったままになってしまいブレーキ警告灯は点灯したままとなってしまいます。

ブレーキのオイルが少ない

ブレーキはペダルを踏んだ力を油圧で各車輪に伝え操作する仕組みになっています。

このためにブレーキのオイルを入れているタンクがエンジンルーム内にあり(ブレーキペダルが直接押せる位置にある)タンク内には油量を測るフロート(浮き)が付いています。

ブレーキオイルの油面が下がるとフロートが下がっていく仕組みになっていて、一定の位置まで下がるとフロート内部でスイッチがONになり、メーター内のブレーキ警告灯を点灯させてドライバーへ危険を知らせます。

ブレーキオイルが減ってしまう原因には、「ブレーキパッドの残量が少なくなっている」「ブレーキオイルが漏れている」「フロート自体が故障している」などの原因が考えられます。

一度消灯してすぐに点灯する場合

最近では、車載コンピューターはエンジンのマネージメント(各センサーの数値から混合気を作り出すなど)だけでなく、さまざまな部分のコントロールを行っています。その中の1つがブレーキのシステムです。

エンジンを始動(イグニッションキーをオン)した際に、車載コンピュータは各コントロール部分のチェックを行います(イニシャライズ動作)。チェックがOKであれば各警告灯を消灯して走行できますが、チェックで不具合が発見された場合には該当部分の警告灯を再度点灯させてドライバーへと知らせる仕組みです。

ブレーキ警告灯が点灯した場合は、ABSやTRC(トラクションコントロール)などの警告灯を同時に点灯させる場合が多く、ブレーキの基本動作=ドライバーが踏んでブレーキをかけるといった部分以外のドライバー補助機能を車載コンピュータは直ちに停止します。

原因は?

原因は、ブレーキ関連のセンサーやアクチュエーター(モーター)など電気系統の不具合に関連するものが多いです。

走行中に点灯する場合

この場合もブレーキ関連のセンサー、アクチュエーターなど電気系統の故障が多いですが、「ブレーキパッドの残量が減ってしまった」「ブレーキオイルが漏れている」などの原因も考えられます。

いずれにしても走行中にブレーキ警告灯が点灯した場合には、車両を安全な場所にすみやかに停止させて走行を中止してください。

サイドブレーキをかけたまま走行する危険性

車のブレーキは、物と物がこすれ合って摩擦で停止させるようになっています。さて、物と物をこすり合わせているとどのようになっていくでしょう。だんだんとこすれ合っているもの同士が熱をもっていきます。これをサイドブレーキに当てはめて考えてみます。
 
サイドブレーキがかかった状態で走行すると、人間の手で物をこすり合わせることより、はるかに強い力と速度でブレーキがこすれ合います。当然のことながら、こすれていれば熱を発生するので、ブレーキはだんだんと高温になっていきます。

高温になったブレーキは、周辺に使われているプラスチックやゴムでできた部品を熱伝導により溶かしていきますので、各部品の焦げた臭いや煙が発生します。

具体的にどこを修理するのか

そのような状態のまま走行し続ければ、発生した熱はブレーキオイルを徐々に高温にしていき、ブレーキオイルの耐熱温度(オイルの種類によって差がありますが、一般的には新品で230℃くらい)を超えてしまうとフェード現象、ペーパーロック現象へとつながり、ブレーキは効かなくなってしまいます。
 
焼きついてしまったブレーキの修理は、広範囲で必要となり、大変高価になってしまいます。

サイドブレーキが解除されていることを確認しよう

近年では、このような事を防ぐためにサイドブレーキを引いたまま走行すると警告音を車内で鳴らしたり、ナビゲーションへ表示し、音声で案内を行って注意喚起をするようになっています。
また、電子式(ボタン式)のものは、走行を始める(スピード信号が入る)と車載コンピューターが判断し、自動的にサイドブレーキを解除するようになっています。

ただし、いずれの装置もあくまで補助ですので、あてにせずにしっかりとサイドブレーキの解除を行う、確認をすることが大切です。

サイドブレーキが解除できない

サイドブレーキが解除できない場合、走行するときに「いつもより加速しない」「エンジンが止まってしまう」などの症状が出ます。

・ブレーキライニングがブレーキドラム側へ張り付いてしまっている。
・サイドブレーキワイヤーが切れてしまい、常にブレーキライニングが展開してしまっている。
・サイドブレーキ用モーターがONのままになってしまっている。

などの原因が考えられますが、前項で説明したとおり、常にブレーキがかかった状態で走行することになり、たいへん危険です。メーターのサイドブレーキランプ(ブレーキ警告灯)が消灯しているか確認をし、直ちに走行を中止して救援を呼んでください。

サイドブレーキが凍結しないための対策

雪の降る地域では、サイドブレーキが凍結してしまうことがあります。これはサイドブレーキワイヤーに走行中に付着した雪やブレーキの修道部分に使用されている潤滑剤(グリス)が、外気温により凍らされてしまうためです。

どのようなタイプのサイドブレーキでも駐車の際に作動させないことが一番ですが、作動させないことで思わぬ事故がおこってしまうこともありますので、「サイドブレーキが効かないときの対処方法」を読んでいただき参考にしてください。

電動式サイドブレーキシステムの場合は、オート機能が付いている車種もありますので、事前にオート機能の解除を行ってください。

凍結してしまった場合は、タイヤのホイールナット周辺からお湯をかけるなどの対応が必要です。また、車両を暖める(暖機する)方法もありますが、時間と環境を考えるとおすすめできません。

サイドブレーキが効かないときの対処法

何かが原因でサイドブレーキが効かなくなってしまった場合、この場合は走行に支障はないのですが、駐車中にひとりでに車両が動き出してしまうことが考えられますので、あわてずに自走をして整備工場へ修理を依頼してください。

次項にマニュアル車、オートマチック車それぞれの対処方法を記載しますが、いずれの場合も2次災害を防ぐために車のタイヤ(最低でも対角線上の2輪)の前後に、必ず車止めを入れるようにしてください。

マニュアル車の場合

マニュアル車の場合はフットブレーキを命いっぱい踏み、クラッチペダルを踏んでクラッチをきります。その状態で平地、下り坂ではギアをリバースに、上り坂ではギアを1速にいれエンジンを切ります。

この場合、再度エンジンを始動する際はフットブレーキペダルをしっかり踏み込んで、必ずクラッチペダルを踏み、クラッチの接続を切った状態でエンジンを始動する必要があります。これを怠ってしまうと車が走り出してしまいたいへん危険です。

(最近ではクラッチペダルに安全装置が付いており、クラッチペダルを踏んでいないとエンジンが始動できない仕組みになっています。)

オートマチック車の場合

オートマチック車の場合は、パーキング(P)にシフトを入れておけば、変速機(ミッション)内のギアがロックされる仕組みになっています。

サイドブレーキの整備は重要

サイドブレーキは車検で国が定める規定の力が出ているかの検査が行われます。不具合のある(規定の力が出ていない)場合には検査に合格できません。また、ブレーキ警告灯(サイドブレーキランプ)が点灯している場合でも検査には合格しませんので、トラブルが発生した際はすみやかに整備を受けてください。

トラブルを未然に防ぐには1年ごとに定められている定期点検を受けてください。また、命を預けている部分でもありますので、無理に分解や調整はせずに自動車整備士の方々へ作業をお願いをしましょう。

走行中や外出先でサイドブレーキがトラブルを起こしたときには無理に走行をせず救援(JAFや保険会社の救援サービス)を呼びましょう。

初回公開日:2018年04月10日

記載されている内容は2018年04月10日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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