排気ブレーキの仕組み・故障の原因・ブレーキが効かない場合
更新日:2024年08月08日
排気ブレーキの仕組み
排気ブレーキとは排気ガスとブレーキかなと、何となく読んだだけで少し想像がつきます。実は、エグゾーストブレーキと言われ、ディーゼルエンジンに特有の補助ブレーキの事です。
構造は、排気ガスの排気管の中にバルブを付けてこれを閉じることで、エンジンブレーキを高めます。大型トラックやバスなどに装備されています。
排気ブレーキは何故装備されてる
大型のトラックやバスは荷物や乗客を大量に乗せて運ぶため、通常のブレーキだけでは制動力が強くならない場合があります。
そんな場合に排気ブレーキを併用して使えば、ブレーキを補助しブレーキの効き目を上げる事ができます。また、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べてエンジンブレーキが弱いので、この点をカバーするためにも、排気ブレーキを装備しています。
排気ブレーキの仕組み
排気ブレーキの仕組みは、意外にシンプルな構造となっています。走行中にアクセルペダルを離してエンジンブレーキが作動する時に、同時に作動します。その時に排気管の中のバルブが閉じられて、排気ガスの排出が一時的に制限されます。
作動原理
エンジンの作動原理は、みなさんご存知のとおり吸入それから圧縮、爆発、排気の4つの工程で働いています。吸入と圧縮で、エンジン内のピストンが下がって爆発と排気でピストンが上昇します。
排気ブレーキを作動させると、排気ガスが出にくくなりピストンの上昇を邪魔します。この邪魔する力こそが、排気ブレーキです。エンジンブレーキやフットブレーキを補助する機能となります。
フットブレーキ負荷軽減効果
排気ブレーキの作動により、フットブレーキの負荷軽減が図られます。負荷軽減がされる事によって、フットブレーキに対するリスクを回避できます。
その一つは、フェード現象やペーパーロック現象の発生を抑える事ができることです。この現象は長いくだり坂などでフットブレーキを多用すると、ブレーキ部分が熱を持ち最悪ブレーキが効かなくなる症状です。
もう一つは、維持費やメンテナンス費用が軽減されます。フットブレーキは、使用回数に比例して交換やメンテナンスが増大して行きます。当然そのための、費用は高額になるでしょう。このような軽減効果を実現するためにも、排気ブレーキは必需品となります。
排気ブレーキの故障の原因
排気ブレーキの故障の原因はいろいろ考えられます。一番多い原因と言われてるのが、排気管にススが溜まって排気ブレーキの命とも言われているバタフライバルブが動作不良に陥ることです。
このバタフライバルブは排気ガスを制限したりするために、閉じたり開いたりするパーツです。このバルブが動作しなくなると、排気ブレーキがまったく動作しなくなります。また、動作したままになると、排気ブレーキの解除ができなくなります。
このように重要な部分ですので、排気ブレーキに異常を感じたらすぐにディーラーなどに相談しましょう。修理費用は、大体5万円から6万円くらいです。
排気温度の確認
排気ブレーキに不具合が発生した結果、排気管のバルブ作動の不具合の場合は排気ガスの排出が異常に制限されて、ガスが排出されにくい状況が予想されます。その状況になると排気ガスの温度が急上昇して、排気管以外の箇所にも影響が現れます。
このように、排気ガスの温度は排気ブレーキの故障発生を感知する大切な部分です。走行中にも容易に排気ガスの温度を確認できるメータが販売されていますので、ご紹介しましょう。
トラック 排気ガス温度計
排気ブレーキの作動については、排気ガスの温度が大きな影響を与えています。この排気ガスの温度を知ることは、重要な対策に繋がるでしょう。設置が容易で、比較的安価な製品です。気軽に、排気温度を確認できます。
排気ブレーキのランプ
排気ブレーキランプは、一般的にはエグゾーストブレーキランプと呼びます。このランプは、運転席のメーター類と同じ辺りに設置されています。ほとんどの車が、排気管の中にバルブがあるイメージの赤色ランプ表示となっています。
排気ブレーキが作動すると赤いランプが点灯しますが、時々排気ブレーキ故障のランプと勘違いされる方もたまにおられます。
排気ブレーキスイッチをONにして作動させても、点灯しない場合は不具合の可能性もありますので、ディーラーなどに相談して下さい。
排気ブレーキが効かない場合の対処法
排気ブレーキは大型トラックやバスなどの、車重が重たい車が長い下り坂や高速道路などでフットブレーキの補助として使う機能はすでにご紹介しましたが、排気ブレーキが効かなくなった場合の対処法をご紹介しましょう。
下り坂など走行中
排気ブレーキは、あくまでフットブレーキとエンジンブレーキの補助的な役目を果たしている事は、これまでご説明してきました。このブレーキが何らかの原因で効かなくなった場合などは、大事故に直結することはあまりないと言えますが、少なからずとも走行に影響がでるでしょう。
それは、走行中の道路状況にも大きく左右されます。峠道など、長い下り坂で排気ブレーキが効かなくなると大きな影響がでるでしょう。長い下り坂では、フットブレーキとエンジンブレーキだけでは、どうしても車速を抑え切れません。そのために、排気ブレーキを併用せざるを得ないです。
この状態で排気ブレーキが効かないのは、かなり重要な故障です。とにかく坂を下りきるのが最優先なので、できる限り減速して乗り切るしかありません。その後、早急に修理を依頼して下さい。
街中を走行中
排気ブレーキが効かない不具合発生が峠道や高速道路以外の街中などで発生した場合には、それ程深刻な状況ではないでしょう。たとえ、荷物を乗せたり乗客を乗せたりしている場合でも緊急停止して対処する必要はないでしょう。
対処法は、速度をできるだけ抑えてフットブレーキとエンジンブレーキの併用で安全な走行をすれば大丈夫でしょう。もちろん、その後にディーラーで点検を必ず行いましょう。
排気ブレーキの使い方
排気ブレーキはトラックやバスのように、重い荷物や乗客があり長い下り坂や高速道路などでフットブレーキを多用する場合に使用するのがお勧めです。このような条件で運転するドライバーの方の安全で疲労が少ない快適走行をするためにも、正しい使い方のご紹介をしましょう。
排気ブレーキの正しい使い方
運転席の排気ブレーキスイッチを、ONにします。走行中にアクセルやクラッチを戻すと、排気ブレーキが効きます。この操作で有効と解除をコントロールできます。
シフトダウンと合わせて効果的
排気ブレーキを併用しても減速が足りてない場合は、エンジンの回転数に気をつけながらギヤをシフトダウンしたりさらにフットブレーキも合わせて使うのがおすすめです。道路の状況や車速を判断して、一番有効な方法で使用する事が非常に大事になります。
排気ブレーキの悪い使い方
排気ブレーキは後輪に作用するため、荷物が空の時は使わないように気をつけましょう。荷物が空だと、後輪タイヤにかかる重量が不十分なので、排気ブレーキをかけるとスリップしやすくなります。雨の日はスリップやスピンに注意が必要です。仮に走行中にタイヤがロックした場合には、瞬時にスイッチを切るかアクセルを踏んでタイヤロックを解除しましょう。
無駄な使用は燃費悪化
排気ブレーキの使い方を誤ると無駄だけではなく、燃費の悪化の影響を及ぼしますので普段から注意して下さい。そもそも排気ブレーキは車重が重い状態の時、長い下り坂や高速道路などでフットブレーキの補助として使うのが目的です。
空荷なのに排気ブレーキをONにしておくのは、お勧めできません。この状態では車速が遅いのにブレーキがかかり過ぎて、元のスピードに戻すのに加速を繰り返しますので当然燃費が悪くなります。空荷の場合は、アクセルとフットブレーキだけでのコントロールを心掛けましょう。
パスーマンスエコキット
エンジンの排気圧力を低下させないで、排気ブレーキのパフォーマンスを上げてくれます。また付属のキットを利用し、シフトレバーにより手動排気ブレーキ可能になります。価格は少し高めではありますが、パフォーマンスが上がる事で燃費の向上にも繋がります。
排気ブレーキの使いすぎは
トラックやバスの排気ブレーキの使い過ぎはどうでしょうか。トラックやバスには、フットブレーキの他に排気ブレーキが装備されている事を申し上げてきました。この排気ブレーキは、運転者によって使用頻度に随分差があります。
一概に言えませんが、初心者の頃は排気ブレーキを入れたままにしている事が多いでしょう。また、ベテランになるとフットブレーキしか使わない人もおられます。そもそも、排気ブレーキに使い方はどのようにしたら良いのでしょうか。また、使いすぎるの悪影響があるのでしょうか。解説いたしましょう。
悪影響が発生
排気ブレーキを常に入れておく事で、壊れる事に直結はしないでしょう。フットブレーキと同じで、使いすぎのために少なからず影響がでるのは間違いありません。
壊れたケースによると、排気ブレーキの負荷が大きくなって排気ガスがエンジンへ逆行して、ピストンに過大の圧力をかけてエンジンが壊れる事に繋がったのでしょう。このように影響は図りしれないですが、常に発生している可能性があります。
状況により使用
悪影響を経験した人は、常時排気ブレーキを入れていないでしょう。このような経験をすれば、できないのは当然です。荷物積載時は、フットブレーキとエンジンブレーキで対応してどうしてもさらなる制動力が必要な場合の時だけ、排気ブレーキを入れるようにする方法をとる人がほとんどです。
特に急な下り坂などは、安全上の理由から常時入れている人が多いでしょう。ほとんどの人が、基本的な使い方を理解されているのではないでしょうか。
神経質にならない
あなたの運転する車がまだ新しくて、いつも重たい荷物を積んでの走行ではない限り排気ブレーキの使用に関してそれ程神経質になる事はないでしょう。
いつも最大積載量に近い荷物を積んでトラックも古くなっている場合は、気をつける必要はあるでしょう。それらの条件での使用でなければ、たまに気にする程度でよいでしょう。
排気ブレーキは使い方によっては便利で安全走行に貢献するものですが、悪影響がでる可能性がある事を忘れないで下さい。
排気ブレーキの音の特徴
排気ブレーキの音はどんな音なんでしょうか。知らない方にとっては、ブレーキの音といってもまったく想像がつかないでしょう。この章では、排気ブレーキの音の特徴などをご紹介しましょう。
音は大きくない
排気ブレーキそのものの音は、それほど大きいものではありません。排気ブレーキは、排気管の中で排気ガスを絞って出し難くするので、低温でゴオーと言うような音になります。
アクセルペダルを緩めた時に、この排気ブレーキが作動するので排気ガスを制限している時の音がこの音なんです。同じくアクセルを再度踏み込みと、排気ガス制限が解除されるのでこの時にも同じ音が発生します。
エアーブレーキ音とは違う
街中なのでトラックと遭遇した時に、プシュっとかなり大きな音をだしているのをよく耳にします。この音を排気ブレーキと勘違いされている方がいらっしゃるようですが、この音はまったく別の音です。
この音は、エアブレーキがタンクからエアーを開放した時の音です。乗用車はブレーキオイルの油圧を使ってブレーキを作動させていますが、トラックの場合はエアーを使ってブレーキを作動させています。この音は、ブレーキペダルから足を離した時の空気を開放する時の音です。
たまに見かけるのが排気音がかなりうるさいトラックです。これは排気ブレーキの原因ではなくマフラーなどを違法に改造をしている場合がほとんどです。
異音
排気ブレーキの正常な音は、低い音でゴオーと言うような音が一般的です。どんな音が異音だと結論づけることはかなり難しいのですが、普段運転しておられる方がよくわかることでしょう。普段と何かちょっと違う音を感じられた場合には、ディーラーにすぐ相談しましょう。
よく故障の前兆として言われている音は、排気ブレーキを効かせた時にキューンと高温の音に変わる状態です。これは、排気管のバルブの作動不良などを疑った方が良いでしょう。また、ジュジュと言う音であれば排気管のシールド不良で排気ガスが漏れている疑いが濃厚です。
いずれにしても運転者が少しでも音に違和感を感じたら、そのままにせずにすぐ行動することをお勧めします。
排気音をカスタマイズ
トラック運転ユーザーにとっては排気ブレーキの音は効きなれた音で、特にうるさい音ではないのではないでしょう。しかし、音のカスタマイズをやりたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。騒音レベルのような改造でなければ、カスタマイズを充分楽しむことができます。ここでは、マフラーサウンド変更グッズをご紹介しましょう。
ジェットサウンド
排気ブレーキの排気音は、決して騒音と言われるようなレベルではありませんが、重低音でずっしり響く感じです。トラックドライバーの方達の意見なども、上がっているのも確かです。あくまで、騒音基準以下で排気音をカスタマイズしたいとの声です。この商品は、音の領域を高音へ容易に変更できます。
トラックに取り付けました。結構 響きます。ターボみたいに高い音です。
出典: https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2E7F0RYMCIJ... |
排気ブレーキの配線
排気ブレーキも、他のフットブレーキなどと同じです。当然、配線やリレーも装備されています。排気バルブを、制御するスイッチやランプ表示用の配線なども多く設置されています。排気ブレーキの故障が発生した場合も、バルブの開閉などハード的な部分と配線やヒューズの箇所部分のどちらかの不具合かを見極める事が大切です。
ヒューズ不良対策
排気ブレーキの故障は、バルブなどのハード的な要因と配線不良やヒューズ切れなどが大きな症状でしょう。そんな故障の場合にヒューズ切れは簡単な交換で回復できるはずなのに、替えヒューズがなければそのまま回復できない事となります。
替えヒューズは、ダッシュボードに必ず常備しておきたいです。それではヒューズ不良対策で、お手軽で重宝する商品をご紹介しましょう。
トラックブレードヒューズボックス
予備として、常備しておきたい替えヒューズが詰まった商品です。さまざまな種類のヒューズが、100本入っており突発的なヒューズ切れにも対応できます。価格も安価で、購入し易さがおすすめです。
排気ブレーキでブレーキランプが
排気ブレーキを効かせたときに、ブレーキランプが連動して点灯する車種があります。排気ブレーキが効くたびにブレーキランプが点灯するので、周りの車からすると紛らわしい状態でもあります。
対処のやり方は、排気ブレーキからブレーキランプに繋がる配線を切断すればランプはつかずにフットブレーキのみでの点灯になるはずです。しかし、ご自分で行う前に整備工場などに必ずご相談下さい。車検で問題になる事も予想されます。
排気ブレーキを有効に使いましょう
排気ブレーキの仕組み、故障の原因などのご紹介しましたがいかがでしたか。トラックなどに普段から接する機会がない方にとっては、言葉やメカニズムなども初めて耳にしたのではないでしょうか。一方、トラックドライバー関係の方にとっては今更と思われた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、燃費の話や効かなくなった場合の対処などは、忘れていた事を思い出したという方も多いのではないでしょうか。いずれにしても、トラックやバスなど排気ブレーキが装備されている車に乗車される場合には排気ブレーキを有効に使うことを心がけて下さい。
初回公開日:2018年04月04日
記載されている内容は2018年04月04日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。