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ブレーキフルードの交換|方法・交換目安・費用・工賃

更新日:2024年04月12日

ブレーキフルード交換はエンジンオイルと違い気にする方が少ないかもしれません。しかしブレーキを制御する非常に重要なオイルの一つです。交換するにはそれなりの知識と道具が必要ですが、ここではブレーキフルードの交換方法や、交換時期、そして工賃をご紹介していきます。

ブレーキフルードの交換|方法・交換目安・費用・工賃

ブレーキフルードの交換目安

車を安全に使用するためには、適正な状態に維持しなければなりません。その中でブレーキシステムはもっとも重要な保安部品の一つになります。メンテナンスを怠れば、自分だけではなく、周りの人全ての命を危険にさらす可能性がブレーキシステムにはあります。

その中でブレーキフルードは、ブレーキを作動させるために非常に重要なオイルになります。オイルといえば、エンジンオイルが思い浮かび交換を定期的に行いますが、ブレーキフルードも定期的に交換をする必要があります。

ブレーキフルードとは

車にはさまざまなオイルが使用されていますが、オイルは摩擦抵抗を軽減するなど滑らせる事を目的として使われます。しかしブレーキに使用されるオイルは、圧力を伝える役目を持っており、作動油(作動流体)の役目をしているのでフルードと呼ばれます。

ブレーキは自転車でも車でもブレーキドラムやディスクをパットで挟み、その摩擦力で回転運動を止め、自転車はワイヤーでブレーキパットを作動させています。しかし車やバイクでは、ブレーキペダルを踏むとその踏力に応じてブレーキオイルに圧力が伝わりその力でパットを作動させます。

車やバイクなどブレーキを長い時間使い続けると、ブレーキフルードもその熱で劣化していきます。そのために定期的な交換が必要になります。ブレーキオイルにはその熱に耐えられるように沸点が高めになっています。しかしブレーキオイルは水分を吸収しやすく、一旦開封すると水分の混入で沸点も下がってくる性質を持っています。

ブレーキオイルDOT規格

ブレーキオイルにはDOT規格に適合した物と、そうでないものがあります。DOT規格に適合しないブレーキフルードは、おもにレースに使用されるブレーキフルードで、耐腐食性や寒い冬でのABSの作動が悪くなります。

DOT規格とは、アメリカの交通局の略で、米国安全基準において規格分類をさまざまな項目から行っています。

基準主成分ドライ沸点ウエット沸点
DOT3グリコール205℃以上140℃以上
DOT4グリコール230℃以上155℃以上
DOT5.1グリコール260℃以上180℃以上
DOT5シリコン260℃以上180℃以上

ドライ沸点とは、新品時の吸湿率0%時の沸点です。変わってウエット沸点とは、およそ1~2年使用時の吸湿率3.7%時の沸点になります。ブレーキフルードの主成分であるグリコールは、空気中の水分を吸収します。吸湿率とは、ブレーキフルードが水分を取り込んだ吸収率の事です。

DOTの数字が大きくなれば、ブレーキ性能が良くなる部分もありますが、細かくは成分や用途で区分けされています。DOT5.1はDOT4と沸点はほぼ同レベルですが、低温の粘度性能は、DOT5.1が勝っています。北欧やカナダでは、低温時の流動性を考えて新車時から、DOT5.1を使用しています。

交換時期のサイクル

ブレーキフルードは、車の仕様未使用にかかわらず、空気中の水分を吸収して劣化していきます。水分が吸収されれば、沸点は下がっていくので山道などの下り坂ではペーパーロックになる危険が高まります。

DOT4以上のグレードを使用し、一般道を走行し、特に高速道路や峠道を多用しなければ車検ごとの交換でも問題はないでしょう。しかしDOT3を使用している場合は、たとえ一般道だけの使用であっても、1年ごとの交換がおススメです。また、高速道路や、山道を多く走行される方は、DOT4でも1年ごとの交換が望ましいでしょう。

ブレーキフルード量

車に使われているブレーキフルードは、全量交換で概ね800mlから1Lです。ブレーキフルードの交換終了後、残ったブレーキフルードは空気にさらされて劣化が始まりますから、取り置きする事は基本的に進められません。やむなく残った時は早めに使いましょう。

ブレーキフルードの色

一般に流通しているブレーキフルードは、新品では限りなく透明に近い薄い黄色をしています。使用頻度が進むにつれて、茶色から茶褐色に変色し、長い間無交換だと黒く変色します。各メーカーによっては緑や赤といった奇抜な色もありますので、色を見て判断する場合は、
リザーバータンクを確認して透明感のない黒ずんだ色になってきたら、ブレーキオイルは劣化が進んできていると判断できます。

ブレーキフルードの交換方法と費用・工賃

ブレーキオイルを交換する方法は、車検時に一緒にお願いしたり、自分で確認して自動車修理工場や、ディーラー、カー用品店にお願いする場合が一般的でしょう。

ブレーキフルード交換工賃は、ブレーキオイル代金とその作業工賃が必要になります。自動車整備工場とディーラーや、カー用品店とではその工賃が倍以上違う事もあります。それはブレーキフルードの交換の仕方に違いがあるからです。ブレーキフルードの工賃を安くするには車検時に交換すると安く済ませられます。

車検時に交換

一般的に多いのが、車検の際にブレーキフルードを交換する方法でしょう。しかし最近の格安車検では、ブレーキフルードの交換を指摘されることも無く車検が終了してしまう事が増えてきました。それはできるだけ車検に関係ないものは交換せずに安く車検を済ませる事に特化してるからです。

車検は2年に1回確実に実施します。その時に交換すれば、車検整備でタイヤを4本外しているついでの作業で、ブレーキフルード交換ができます。よって交換工賃が約2,500円前後と安く済みます。

車検時のブレーキフルード交換は一番コストパフォーマンスが高いでしょう。格安車検を利用してブレーキフルード交換の指摘が無ければ、こちらからお願いして交換すれば後々高い整備費用でブレーキフルードを交換しなくても済むでしょう。

整備工場

ブレーキフルードを一般の自動車修理工場でお願いすると、ブレーキ―フルードが1Lで約1,500円前後で工賃が5,000円から6,000円となり作業時間も1時間程度です。工賃だけ見ると車検時の倍近い金額となるでしょう。

オートバックス

カー用品店でもブレーキフルード交換を行っているお店もあります。例えばオートバックスでは、フルード代込みで4,320円からとなっています。しかも作業時間は30分からと非常に短い時間でできます。

ブレーキフルード交換は、リザーバータンクとブレーキライン内のオイルをすべて交換する必要がありますから、もしオートバックスでブレーキフルード交換をされる場合は、作業内容を確認し、納得してからお願いするのが良いでしょう。

diy

DIYでブレーキフルードを交換する場合、専用工具が必要になります。また、ブレーキフルードを交換することは、重要保安部品に手を付けることになるので、手順について自信がない方はむやみに作業しないほうが良いです。

ブレーキフルードの交換に失敗すると、エアーがブレーキラインに入りブレーキが効かなくなります。特に最近の車はABSブレーキが標準装備されていることが多いので、ABSにエアーが入るとディーラーに持ち込み修理が必要になります。バイクの場合も同じで、ABS装着車は車と同じく失敗するとバイク店かディーラーでのエアー抜き作業が必要になります。実際にDIYでブレーキフルード交換に失敗して、ディーラーや整備工場を訪れる人たちは非常に多くいます。

ブレーキオイルの種類

ブレーキフルードは用途に応じた選択が重要になります。また、規格の違うフルードを混合させると低い性能のブレーキフルードになります。必ず同じグレードのブレーキフルードと全量交換をしましょう。この他に全量交換せずに古いフルードとの混合は、本来のブレーキフルードの性能を発揮できませんので、交換の際は全量交換しましょう。

規格状況別適応用途
DOT3一般車輌用(小中排気量の重量の軽い車)
DOT4一般車輌用(大排気量車や重量の重い車)、スポーツ走行用
DOT5.1一般車輌寒冷地用(大排気量車や重量の重い車)、スポーツ走行用
DOT5主成分シリコン 特殊車輌用(ハマー、ハーレーダビッドソン)

ブレーキフルードの種類は、ドライ沸点とウエット沸点の違いが大きな違いになります。この他に市販されている物でレースで使用されるブレーキフルードも売られています。これはDOT5.1を軽くクリヤしたフルードなのでDOT規格であれば高価なブレーキフルードとなります。もしレース用のブレーキフルードを購入するならDOT規格のフルードを購入するか、サーキット走行したらDOT規格に入れ替えるようにしましょう。

この他にスーパーDOT4というブレーキフルードがあります。これはドライ沸点、ウエット沸点がDOT5.1と同等レベルでありながら、粘度性能はDOT4に準じています。

基準粘度(100℃)粘度(-40℃)PH値
DOT31.5cst以上1500cst以下7.0-11.5
DOT41.5cst以上1800cst以下7.0-11.5
DOT5.11.5cst以上900cst以下7.0-11.5
DOT51.5cst以上900cst以下7.0-11.5

粘度は数値が大きいほど流動性が悪くなります。上記の表のように、DOT3よりDOT4のほうが沸点で優れ、DOT4よりDOT5.1のほうが沸点、低粘度特性で優れています。低粘度が柔らかいからといって、ペダルタッチが柔らかくなることはありません。それは、走っていれば温度が上がっているので、ブレーキフルードの温度が100℃になれば、どのグレードも粘度は同じになるからです。ペダルタッチが変わるのは、ブレーキオイルの中に含まれる水分量でかわります。水分量が少なければペダルタッチは固く、逆に多ければ柔らかくなります。

交換に使う工具・ツール

DIYでブレーキフルード交換をする場合、用意したい工具の種類とブレーキフルード交換に使用する時の一般的な工具の使い方についてご紹介していきます。

ブレーキフルードキャッチタンク

ブレーキキャリパーについているブリーダープラグから古いブレーキフルードを排出させて、写真のブレーキフルードキャッチタンクにためます。専用のブレーキフルードキャッチタンクも販売されていますが、代用品として空のペットボトルでも使用可能です。

通常は2人でブレーキフルードを交換するのが望ましいですが、1人でもできるようにワンウェイバルブ付きのワンマンブリーダーが、写真の商品になります。2人で行う時は1人がブレーキを踏み、もう1人はブリーダープラグを開けてブレーキフルードを排出させます。ブレーキを戻す前に、ブリーダープラグを締めてブレーキを戻します。この作業を繰り返すことでブレーキフルードが交換されます。1人の場合は、すべて1人で操作しなければならないので、ブレーキを離したときに古いブレーキが負圧により戻るのを防ぐためにワンウェイバルブが必要になります。

フレアナットレンチ

ブリーダープラグを緩めるには、メガネレンチで行います。スパナだとナットへの掛が甘くなり角をなめる恐れがあるので、スパナでブリーダープラグの開け閉めはやめたほうがよいでしょう。

ブリーダープラグのサイズは主に、8mmまたは10mmが使用されています。普通のメガネレンチでも問題ありませんが、写真のようなフレアナットレンチだと、ホースをブリーダープラグに取り付けた後でもレンチをかけることができます、ほかにもストッパーがついていてブリーダープラグにレンチをかけてもガタが出ない、ブリーダープラグ用レンチも販売されています。

ホース

ホースはブレーキフルードを排出させる際に使用しますから、耐油性のものが必要になります。専用のワンマンブリーダーを購入していれば、ホースはセットでついています。ペットボトルで行う場合は、ホースを購入する必要があります。

写真の商品はワンウェイバルブ付きのホースですが、手に入らない場合は、ホームセンターで内径4.5mmの耐油ホースを購入します。ワンウェイバルブは、1回限りの使用と考えれば熱帯魚用の逆流防止バルブが数百円で売っていますから、それで代用できます。

注射器

注射器の使用方法は、主にリザーバータンクの古いブレーキフルードを抜き取る時に使用します。ブレーキフルードを交換するには、リザーバータンク内の古いブレーキフルードを全て抜き取り、新しいブレーキフルードを注ぎます。その後ブレーキラインに残った古いブレーキフルードをブリーダープラグから排出させます。

ブリーダープラグから注射器を使用して抜き取る方法も存在しますが、かなり大きめの注射器が必要な事と、ピストンが抜けてしまえばエアーがブレーキラインに入るリスクがあるので、注射器でブレーキフルードを抜くのはお勧めできません。

一人でブレーキフルード交換方法

ブレーキフルード交換は、2人で行うのが好ましい作業ですが、1人でもできるブレーキフルード交換方法を説明します。

①ジャッキアップをしてタイヤを外します。この時に全てのタイヤを外すのでリジットラックを使います。

②ブレーキフルードのリザーバータンクから古いブレーキフルードを全量抜き取り、新しいブレーキフルードを注ぎます。

③ブリーダープラグにメガネレンチを取り付けて、ホースをブリーダープラグに差し込みます。

④ブリーダープラグを緩めるとブレーキフルードが少量出てきます。運転席に戻り、ブレーキを何回も踏みます。この時に古いブレーキオイルが排出されますので、リザーバータンク内のブレーキフルードを切らさないように注意し、少なくなったら継ぎ足しします。

⑤排出したブレーキフルードが新品のフルードと同じ色になったら、ブリーダープラグを締めて次の場所に移動します。

この繰り返しでブレーキフルード交換をしていきます。ブレーキフルード交換はブレーキのエア抜きと違いどこから始めても問題はありません。

ブレーキフルード交換で注意する事

ブレーキフルード交換で必ず守らなければならない事と、注意すべき点をご説明します。

①ブレーキフルード交換する時にはエンジンキーをOFFにします。これはABSを作動させないためです。ABSが作動するとエアを噛み込む危険があります。

②エア混入を避けるために、リザーバータンク内を常に満たしておき、空にさせることが無いように注意しましょう。

③ワンウェイバルブの取り付けは、流れる方向に注意して装着させます。キャッチタンク内にはホースが浸るくらいのブレーキフルードを、万が一の逆流でエアの混入防止に入れておきます。

④ブレ――キフルードを排出している際に、エア混入が認められたら、エア抜きを行います。

⑤ブレーキフルードは塗装を侵しますので、万が一付着したらすぐに流水で洗い流します。

ブレーキは車の重要保安部品ですから、細心の注意を払い自己責任のもとでブレーキフルード交換は行うようにしましょう。見切り発車での交換は絶対やめましょう。

交換方法の車体別比較

bmw

BMWだからといって、特別なブレーキを装着しているわけではないので、通常の国産車と同じ方法でブレーキフルード交換は可能です。ただし、ブリーダープラグのサイズが9mmであったり11mmだったりと、日本車とはサイズが違うので確認してからの作業がよいでしょう。

交換工賃は、ディーラーや輸入車専門ショップでは約10,000円~約15,000円ほどで行ってもらえます。車検時に交換すれば日本車と同じく工賃は安く済むでしょう。

スカイウェイブ

スカイウェイブのブレーキフルード交換は、ブレーキフルードがこぼれたり飛び散ったりしたときの対策として、マスターシリンダーの廻りをしっかりタオルなどでマスキングして行うと良いでしょう。

フロントのブリーダープラグは、マスターシリンダーと近いので汚れた古いブレーキフルードの確認がしやすいので1人でもやりやすいでしょう。リアも少し遠くなりますが、車と違いワンマンブリーダーを近くに置けるよう工夫すれば、実際汚れたブレーキフルードを見ながら作業できます。

スカイウェイブ250は、車検がないので意外にブレーキフルードの交換をされていない人が多いのではないでしょうか。ブレーキフルードは湿気でどんどん劣化していきます。ブレーキが効かなくなる前に必ず交換しましょう。バイクショップでは、作業工賃1,500円~で行っています。

ワゴンR

ワゴンRのブレーキフルード交換は、通常の方法で簡単に交換作業ができます。軽自動車なので、工賃もブレーキフルード込みで5,000円程度で行ってもらえる整備工場も多いでしょう。
車検時に一緒に交換すれば、半値程度での交換となるので、2年に1度の車検時に交換していれば、無駄な出費を抑えられます。

フォルツァ

フォルツァのブレーキは左レバーを握るだけで前後にブレーキをかけるコンビブレーキシステムを採用し、ブレーキのかけ過ぎを回避するABSも搭載されているので、ブレーキフルード交換が少し複雑になります。

左レバーでリアとフロントにあるブリーダープラグからのフルード排出が必要になります。フロントキャリパーには、上部と真ん中に2か所ブリーダープラグがあります。全部で3か所のブリーダープラグからブレーキフルードを排出させる必要があります。また左右にマスターシリンダータンクがあるので、両方のタンクを開けてブレーキフルードを抜き取らなければなりません。

バイクショップでは、フォルツァがコンビブレーキシステムなので工賃約4,000円~約5,000円とが他のバイクより若干高めとなります。ブレーキフルードが1,000円前後なので
総額は5,000円~6,000円となるでしょう。

ハイエース

ハイエースのブレーキフルードは、ごく一般的な方法で交換できます。現行型の200系ハイエースはボンネットを開ければ、運転席側にリザーバータンクがあります。100系ハイエースは、運転席ドアを開けると、ダッシュボードのサイドにリザーバータンクがあります。

リアはドラム式のブレーキですが、基本ディスクブレーキと同じでドラムの後ろにホイールシリンダーが付いていますから、そこにブリーダープラグがあります。

ディーラーや整備工場でブレーキフルードを交換すれば、5,000円~となっています。車検時に交換すれば、半額程度で交換できますので2年に一度の車検で定期的に交換すればコストダウンになるでしょう。

ブレーキフルード交換は重要保安部品です

今回はブレーキフルードの交換方法についてご紹介しましたが、必要な工具が揃っていてもブレーキフルード交換は、必要な知識と作業に慣れていなければ、難しい事がご理解いただけたのではないでしょうか。

ブレーキフルードは、車の重要保安部品であり人命を左右する部品の一つになります。安易な作業は大事故にも繋がりかねません。自信が少しでもなければ、十分な作業経験のある人と一緒に行うか、整備工場に任せるのがよいでしょう。

初回公開日:2017年11月25日

記載されている内容は2017年11月25日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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