車のブレーキの仕組み・トラブル原因/解決方法など紹介
更新日:2024年10月29日
車のブレーキの仕組みはどうなってるの?
車を運転している時、スピードをゆるめるためや停車するためにブレーキをかけます。一般には、アクセルとブレーキがあり、走るためにアクセルを踏み、止まるためにブレーキを踏みます。車のブレーキも消耗品ですので、安全のために仕組みやトラブル原因など知っておく必要があります。
ブレーキというと走行中に使うフットブレーキを想像しますが、他にも駐車する時に使うパーキングブレーキ(サイドブレーキ)、トラックなど大型車にはエアブレーキなどもあります。そこで、まずブレーキの構造と種類を紹介していきましょう。
車のブレーキの構造
一番よく使われるフットブレーキで説明していきましょう。
ブレーキペダルを踏むと、ブレーキマスターのプッシュロットを押し、ピストンが動き、油圧の力に代わります。その油圧により、ブレーキオイルが各ブレーキラインに流れ、ドラムブレーキの場合はブレーキシューへ、ディスクブレーキの場合はブレーキキャリパーへいきパットが押し出され、摩擦が発生し速度が落ちます。
ブレーキの種類
ブレーキは車の制御装置であり、走行中に使うフットブレーキ、駐車時に使うパーキングブレーキ(サイドブレーキ)、重量が重いトラックやバスなどが使うエアーブレーキ(エアタンクに溜めた圧縮空気でブレーキをかける)、エンジンブレーキ(エンジンの回転を変えて減速する)など色々あります。
その中でもタイヤを停止させるのによく使うのは、足で踏んで止めるフットブレーキであり、2種類あります。
ディスクブレーキ
ディスクブレーキは、車輪と一緒に回転するブレーキディスク(ディスクローター)を、ブレーキキャリパーの中にあるブレーキパットで両側から挟み、ブレーキを掛けます。
特徴は、ローターもキャリパーもホイールの内側にありますが、常に外気にふれているため、放熱性が優れているので、フェード現象が起こりにくくなります。雨天時の走行も、付着した雨水を回転で飛ばせるので制動力を維持できます。
ドラムブレーキ
ドラムブレーキは、ドラムの中にあるブレーキシューが広がる事により、ブレーキが掛かります。ドラムブレーキのブレーキシューは、ブレーキを掛けるための面積が大きいため、より大きい制動力が生まれます。
特徴は、その大きい制動力で、大型車などに昔からよく使われています。最近は、大型車用の大きなディスクブレーキも使われ出しましたが、コストの面があるもで、現在もドラムブレーキが多いです。
欠点もあり、ディスクブレーキと違い、狭い空間の中で大量の熱が発生し、その熱を外へ逃がすことができないので、フェード現象が起きやすくなってしまいます。
車のブレーキのトラブルの原因と解決方法は?
車のブレーキは、車の故障の中でも最も重大なトラブルです。もし、ブレーキが故障して制動力が効かなくなると大事故につながる可能性が高くなるからです。重要な部分なので、センサーが付いていたり、ランプが点灯するなど工夫がされていて、突然ブレーキが効かなくなる事は特殊な欠陥以外はまずありません。
しかし、いくら工夫がされていても、それがどんなトラブルか解らなければ無意味です。ここで、よくあるトラブルの原因を説明していきましょう。解決方法としては、ほとんどは整備工場で見てもらってから、調整・交換などしてもらう事になります。異常を感じたら早めに点検してもらいましょう。
ブレーキを踏むと異音がする
車の異音は気になるでしょう。運転中の異音もありますが、ブレーキをかけた時の異音はキーという音が多いでしょう。これは、ブレーキパットのセンサーによるものと、ブレーキオイルによるものがあります。
ブレーキパットセンサーによる異音
ディスクパットには、消耗してディスクローターを傷付けないために、必ずセンサーが付いています。それによる異音は、言わば警告音であり、ブレーキパットの交換のサインなので、早めに交換しましょう。
ブレーキオイルによる異音
ブレーキパットが減ってくると、ブレーキオイルの量が減ります。油面が一定の量を超えて下がると、メーターパネル内のインジゲーターのサイドブレーキランプが点灯して、ドライバーに知らせます。車載の取扱説明書にも書いてあるとおり、ランプが点灯した場合は、分解整備になるため、整備工場へ持って行きましょう。
原因としては、ブレーキオイルが漏れて減っているか、ブレーキパットが減っている事が考えられます。
ブレーキが鳴く
車のブレーキ鳴きは色々な原因が考えられます。ディスクパットやローターの摩耗、ディスクパットの取り付け部分の不具合、サビによるものもあります。
カタカタ音がする
車のブレーキから聞こえる音は、色々あります。人によって感じ方の違いもあり、必ず決まった原因というのも実際はわかりません。カタカタと音がする時に多いのは、やはりブレーキパットの動く音や、部品の破損です。
ブレーキが効きにくい
車のブレーキが効きにくい時は、大きく2つに分かれていて、雨の日か普段かになります。雨の日に効きが悪くなるのは、水分を含んでしまうからと考えられます。
普段の日で考えられるのは、リアがドラムの車の場合、調整をしないと段々踏みしろが深くなり効きが悪くなります。他にも、ブレーキオイルが減っていたりします。特にドラムの車の中では、シリンダーカップキットのオイル漏れが多いです。
車のブレーキパットとは?
ブレーキパットとは、構造や種類でも説明したとおり、ブレーキパットがブレーキディスクを油圧で挟み、それによる摩擦で制動力が発生します。摩擦する訳ですから、勿論、消耗品になり、パットがすり減ってしまうとブレーキが効かなくなるので注意しましょう。
走行距離にもメンテナンスの目安はありますが、ブレーキパットの厚みが重要になり、3~4㎜以下になれば交換です。パットセンサーによる異音も交換のサインなので気をつけましょう。
車のブレーキパット交換は自分で出来るの?
ブレーキパットは、ブレーキキャリパーを外して交換しなければなりません。これは、分解整備になり、整備士の資格がない人が他人の車のパット交換をするのは法律で禁止されています。ブレーキパット以外でも分解整備にあたる交換などは、ディーラーや整備工場で整備してもらいましょう。
自身の車であっても、分解整備にあたる整備は点検整備記録簿が必要になってきますので、ディーラーや整備工場でお願いすることをお勧めします。特に制動力のブレーキは他人にも関わる事故にもつながりますので、その事を頭に入れておきましょう。
車のブレーキキャリパーの交換と調整方法
車のブレーキキャリパーとは、ブレーキローターとブレーキパットを押し付ける働きをする部分です。通常のブレーキキャリパー交換とは、シールキット交換の事が多いです。ブレーキキャリパーの中には、ダストシールとピストンシールというゴムの部品があり、ゴムなどは消耗品で劣化するのでそこを交換します。
ブレーキキャリパーの調整はできません。あくまでも交換になります。ドラムブレーキの場合は、キャリパーは付いていなくてブレーキシューになるので調整ができます。
ドラムブレーキの調整方法は、バックプレートのホールキャップを外すと裏にアジャスターが付いていて、それで調整します。それにより、フットブレーキの踏みしろとサイドブレーキの引きしろが変わります。
ブレーキとアクセルの踏み間違いを防止するには?
ブレーキとアクセルの踏み間違えの事故が多くなってきています。性別や年齢に関係なく発生していますが、原因はいったいなんでしょうか。
踏み間違いはなぜ起こるのか?
一番考えられるのは、AT車(オートマ)の普及です。МT車(マニュアル)はクラッチを踏んでギアチェンジするため、足元には、左からクラッチ・ブレーキ・アクセルと並び、クラッチのみ左足で踏みます。AT車は自動でギアチェンジするため、ブレーキとアクセルしかありません。
通常は、ブレーキとアクセル両方を右足で踏みますが、クラッチがないのでブレーキを左足で踏む人がいます。それも事故の元で、とっさの操作は右足が出やすくブレーキの位置を間違えやすい上、アクセルを踏んでしまってもパニックで踏み続けたりします。他にも、携帯電話やバック時の体のひねりも感覚を鈍らす原因です。
踏み間違いを防止するには?
まず、できる事としては、正しい運転姿勢を常にする事です。左足はフットレスに置き、右足でアクセル・ブレーキをいっぱいに踏み込んだ時は膝が少し曲がるぐらいで座席も調節します。携帯電話のイヤホンも集中できない時があるので、使用を控えます。
最近では、自動ブレーキシステムが付いている車が増えてきています。これは、勝手にブレーキをかけて停車してくれるものではなく、被害を軽減してくれるシステムと考えて下さい。各自動車メーカーにより色々な種類があります。作動速度のしばりがあったり、カメラなど映像で検知し緊急自動システムを作動したりします。
ブレーキの仕組み・トラブル原因を知り事故を防ごう!
これで、車の重要な制動力のブレーキの仕組みや種類・トラブル原因など分かったしょうか。ブレーキを知る事で、車のトラブル解決や事故を未然に防ぐ事ができるので、音やブレーキのあそびなどいつもと違うなと感じた時は、車を確認したり、ディーラーや整備工場へ相談したりしましょう。
そして、ブレーキの不具合だけでなく、運転操作の誤りから大事故へつながる事もありますので、普段から正しい運転をする事を心掛けて、楽しいカーライフをおくりましょう。
初回公開日:2017年10月19日
記載されている内容は2017年10月19日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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