車のラインロックとは・ラインロックの取り付けとやり方
更新日:2024年07月03日
車のラインロックとは
車のゼロヨンレースで、後輪から白い煙をモクモク出している動画や画像を見た事はないですか。それは意図的に駆動輪ではない車輪をロックさせ、駆動輪を空転させることでできます。車のブレーキは、ブレーキオイルの油圧の力でブレーキディスクをブレーキパットで挟み込み止めています。そのブレーキオイルの通るラインをロックさせることをラインロックと言います。
バーンアウト
バーンアウトは、意図的にホイルスピンさせることです。ゼロヨンレースでスタート前に白煙をまき散らしている場面をよく見ます。北米など、ゼロヨンレースが盛んな場所で良く見られますが、一般にホイルスピンはロスにしかなりません。
しかし、ゼロヨンレースのような数秒で勝負が決まるレースでは、スタート前にタイヤが最適なグリップを発揮できるよう、タイヤを暖める必要があります。また路面がウエットの場合は、ホイルスピンさせて路面をドライにさせ、トラクションを稼ぐ役目もあります。
タイヤは冷えていても熱すぎてもグリップは得られないので、そのレースによってタイヤの性能を最大限に発揮させるための方法の一つとなります。
AT車のバーンアウト
AT車でバーンアウトをする場合、ギアポジションをLに入れてブレーキを踏みます。そしてブレーキを踏んだままアクセルを踏んでいきます。その時にブレーキの踏み加減で、バーンアウトができます。AT車のバーンアウトは、意外に拍子抜けするほど簡単にできてしまいます。
MT車のバーンアウト
MT車はクラッチを踏み込み1速にギアを入れ、アクセルを踏みエンジン回転を上げます。この時に右足でアクセルとブレーキを踏む技術が必要になります。クラッチを一気に放すとタイヤは空転してバーンアウトします。MT車では、アクセル、ブレーキ、クラッチの操作のコツが必要になります。
しかしながら、こういった手法は、ATでもMTでも車にダメージを与えるのであまり推薦することは来ません。どうしてもバーンアウトをしたいのなら、ラインロックの装着を薦めます。
駆動方式の違いによるバーンアウト
駆動方式の違いで、バーンアウトのやり方は変わります。FRやMRではブレーキを踏みつつタイヤを回転させますが、FF車はサイドブレーキを引くことで、リアタイヤがロックできるのでバーンアウトさせることができます。4WDの車は基本的にバーンアウトできません。しかしGTRはアテーサを解除して意図的にFR化することでバーンアウトできます。
車のラインロックのやり方
ラインロックは、普段走行するには全く必要のないパーツなので、普通の車には一部アメ車を除き装備がありません。そこで、ラインロックをしようと考えた時には、車に細工をする必要があります。FR車のラインロックは、停車時にフロント側のみブレーキラインに電磁弁によりオイル圧力をかけフロントブレーキにロックをかけます。
その状態でアクセルを踏み込めば、リアタイヤが空転し始めます。GTRは、アテーサのフロント側をカットしてリア駆動にすることでラインロックを取り付けバーンアウトさせることが可能です。
ラインロックが純正装備
フォードマスタングは、市販車でありながらラインロックが装備されています。しかも2018年モデルから全車種標準装備になると発表がありました。この機能はステアリングスイッチで誰でも簡単に、インストゥルメント・パネルを見ながら操作します。
白煙を履くタイヤのアニメーションもあり、ラインロックをしてバーンアウトを決めたいユーザーの心を熱くします。日本からフォードが撤退した今となっては購入するのは難しいですが、平行輸入で購入する手もあります。
車のラインロックの取り付け方
車に取り付けるラインロックの主流は電気式のものとなります。マスターシリンダーとABSユニットの間に電磁弁を割り込ませます。取り付ける前にフロントのブレーキラインを確認して、マスターシリンダーのリザーバータンク内のブレーキオイルを注射器などで抜き取ります。ブレーキオイルは塗膜に悪影響を与えます。
もしブレーキオイルが付着すると塗装が剥がれますので注意が必要です。電気式ならば、ブレーキラインに割り込ませた後に、配線をしてスイッチを室内に設置します。最後にブレーキオイルのエア抜きを忘れずにしましょう。エア抜きは一人でもできますが、二人で行ったほうが確実です。
ラインロックの種類
ラインロックはアフターパーツが多く販売されていますが、そのほとんどはアメリカ製です。アメリカでは、ドラッグレースのが高いので、多くの人がラインロックの装着に憧れています。主に電気式で電磁バルブでブレーキを制御しているものと、ブレーキラインを室内まで配管して手動で切り替えるものがあります。
室内まで配管する場合は、ブレーキパイプをそれぞれの車にワンオフ制作しなければならず、専用のフレアーリングツールやブレーキパイプをカットするためのグラインダーなどが必要になります。その反面、電気式であればエンジンルーム内のマスターシリンダーとABSの間に割り込ませるだけなので、手動式より簡単に作成できます。
ラインロック
ラインロックで有名なのは、HURST (ハースト)のラインロックです。信頼と実績もあり、ドラッグレースで使用されています。価格もAmazonなら約22,000円ほど。車に取り付けるには、この他にパイプラインも必要になります。
ラインロックと車検
車検は、車が保安基準を満たしているかチェックをします。よって車検ラインで行われる検査において、ラインロックを作動させない限り車検に不合格となる恐れはないでしょう。しかし、ブレーキラインの取り付けに不備があり、ブレーキオイルが漏れていると不合格になります。漏れの程度も滲んでいるだけでもシビアに不合格になる場合もあるので、注意が必要です。
車検場でのブレーキテストは、車を専用のローラーに載せギアをニュートラルにした状態にすると、ローラーが回転し4輪がそのローラーにより回ります。ある程度の回転になるとブレーキを強く踏むサインが出るので、ブレーキペダルを床まで強く踏み込みます。
この時のブレーキの効き具合が適正か見るのが検査ラインのテストです。通常のディスクブレーキなら、ブレーキテストで落ちることはありません。よってラインロック装着のままでも取り付け方法に不備がない限り車検は問題はありません。
ラインロック取り付け工賃
ラインロックは、車種により取り付け方法が異なります。最近の車はほぼ全てABSが装着されていますが、古い車やABSを外した車は、取り付けが簡単なので最近の車より工賃は安くなります。ただ最近のABS装着車は、ラインロックを装着するにはABSをキャンセルするか、バイパスしなければ装着できない場合もあります。
部品代と工賃で6万円前後あれば、ほとんどの車はラインロックの装着ができるでしょう。
車を改造するときは、それなりの知識を持ったショップで行うことを薦めます。特にブレーキは命に係わる部分ですから、慎重に選ぶべきでしょう。
もしもDIYでブレーキを触ることをするなら、専門的知識がないと危険です。もしも何か問題があれば、ブレーキはおのれだけの命を守るものではなく、周りの人たちも巻き込む危険性が非常に高い整備となる事を忘れないようにしてください。
ラインロックは必要か
現実に、レースをやる人であればその車に装着する意味はあるでしょう。特にゼロヨンレースは必修になってきています。しかし一般に公道で使用することは周りの迷惑にもなりますから、使用することは良い事ではありません。
ラインロックは、見た目がスモークをモクモクと出し、タイヤからのスキール音も激しく非常に目立ちます。しかし、タイヤは空転して路面との摩擦で消しゴムのように減っていきます。昨今の車は安全走行のため電子制御でタイヤが空転しない制御に力を注いでいます。ラインロックはその逆の発想なので、通常は受け入れがたい装置でしょう。
ラインロックを使う場所を考えた時に、サーキットでゼロヨンを行う予定が無ければ、ただの宝の持ち腐れになります。しかし、一つだけ有意義な使い方があります。それはMT車の坂道発進。教習所でサイドブレーキを使った坂道発進を行いますが、ラインロックを使えば坂道発進で後ろに下がることが無くなります。ラインロックは、ドラッグレース用の部品ということです。
使用してあまりいいことはないので、ラインロックはなるべく使わないようにしましょう。
初回公開日:2017年10月18日
記載されている内容は2017年10月18日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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