空冷エンジンの特徴とオイル・オーバーヒートした時
更新日:2024年06月29日
空冷エンジンはどういう特徴があるの?
エンジンは色々な型式があり、そのなかでも「空冷エンジン」という形式があります。エンジンは爆発を繰り返す機械ですので、アイドリング状態ではどんどんと熱が上がって、しまいには焼き付いてしまいます。つまり、常に冷却する必要があるのが空冷式のエンジンですので、空気でエンジン熱を下げる形式をもった車両ということです。
水冷エンジンとは異なり、発熱量が多いのですが、余計なパーツを必要としないため軽量な車両が作れることも空冷エンジンを積む車両の大きな特徴です。
最新のエンジンでは少なく、どちらかと言えば旧い形式です。ですが、構造がシンプルで整備がしやすく、壊れた場合でも修理箇所が容易に判断できるという良い特徴があるエンジンです。
バイクの場合は?
水冷エンジンに比べると、シンプルな構造なので生産コストが安いため、昔から多く普及している基本のスタイルです。その反面、エンジン表面に当たる空気が冷却要素となるため、風を受けていない状態が続くと、熱ダレやオーバーヒートを起こします。
循環しているエンジンオイルも重要な冷却要素となっており、空気とオイル両者の冷却が合わさることでとても調子の良い車両となります。
どちらかと言えば真夏のような暑い時期よりも、気温が低い時期に最適です。風に当てながらエンジンを冷やすバイクですので走行にもコツがありますが、味わいある走りを実感できます。
車の場合は?
車の空冷式エンジンは、排出ガス規制への対応が難しく、温度変化の幅の大きさは、シリンダーやピストン間の熱膨張によるクリアランスや真円度の変化にまで及ぶため、対策が必要となり、高性能化には多くのコストがかかる車両が多い特徴があります。
アイドリングばかりで、大渋滞にはまってしまうとエンジンが適正可動不可となり、ストールしてしまったり、中には「エンジンが焼き付いて破損してしまう」ということが稀に起こる性質があります。
空冷式のエンジンにオイルとは?
空冷エンジンは熱を持ちやすいエンジンですので、オイルに気を配る必要があります。エンジンは温まるとオイルも温まり、粘度が低くなります。ですので夏場などの高温の時期は、エンジンへのダメージが大きいのが空冷エンジンのデメリットと言えます。
ですが、適したオイルを使うことで、デメリットも緩和することができます。エンジンオイルは「粘度の高いもの」です。バイク・車共に、純正のオイルよりも1段階粘度の高いものを使いましょう。
粘度が高ければ、エンジン保護にもなりますし、冷却効果も高まります。表記の数値が大きくなると粘度が高いオイルです。各空冷エンジン車両に最適なオイルがありますので、さらに詳しいい内容は専門ショップにて相談しましょう。
季節によって使うオイルを変えることもできる
オイルにも色々な種類があり、慣れてくると「季節に合わせたオイルを使う」ということも可能です。たとえば、夏場には粘度の強いオイルを使い、冷間期には少し粘度を抑えたオイルを使うということもできます。
冬場はオイルの粘度が高くなりすぎて、エンジン始動がしにくくなるのも空冷エンジンの特徴です。かかりづらい中で、無理にセルを回しているとバッテリーが上がってしまうという弊害も生じます。
ただ、冷間期はエンジンへの負担も軽減できますので、夏場ほど走り方に気を付ける必要がありません。
空冷式エンジンがオーバーヒートした時はどうすればいいの?
空冷エンジンの最大のデメリットは「オーバーヒート」という症状です。どういった症状かと言えば、エンジンが高熱になりすぎて正常な可動ができなくなり、ストールしてしまう症状です。
つまりエンジンが悲鳴を上げて、自然とストップしてしまいます。こういったことは、夏場や気温の高い時期に起こりやすい症状です。
または、渋滞に長時間はまってしまい、エンジン熱が異常に高騰してしまった時に起こります。オーバーヒート後はエンジンがかかりにくいことが多く、無理やり始動させればエンジンを壊してしまいます。
中には、ピストンやバルブが溶けてしまい、走行不能になるケースもあり、修理費用は多額となるケースがあります。オーバーヒート時はとにかくエンジンを冷やすことが最善の方法です。直射日光を避けて、日陰まで車両を運び、数時間ほどエンジンを休ませましょう。
急激に冷やさないことが大事!
もしくは、ロードサービスを利用することも良いでしょう。24時間365日運行していますので、すぐに駆け付けてくれます。
特に数時間エンジンを休ませて、その後に「再始動を試みてもエンジンが掛からない」など、そういった症状は各箇所の点検をする必要があります。自己判断で難しい場合は、やみくもにいじらず、専門店までレッカーしてもらう方が良いです。
中には、「冷やせばいい」と勘違いをして、オーバーヒートしたエンジンへ水をかけるケースもありますが、過度に暑くなっている空冷エンジンに急に水をかけて冷却をさせようとすると、エンジンが変形したり、急な温度変化で損傷を引き起こしてしまいます。
やはりオーバーヒートしてしまった場合は急に冷やさず、数時間休ませても始動しなければレッカーを依頼することが望ましいです。
空冷式エンジンを塗装するのは専門性が高い!
エンジンの装飾や保護として塗装を施すケースがあります。ですが、空冷エンジンが温まった時の表面温度は100℃以上に達します。ですので、一般的な塗料ではばく専用の「耐熱塗料」を使って行います。
耐熱塗料というのは、塗装後に火力を使って熱を加えることで、しっかりと硬化して固まる塗料です。排気量によってもさまざまですが、空冷エンジンの表面は非常に高熱になります。市販の缶スプレーですと色は付いても、すぐに剥がれ落ちてしまったり、熱によって劣化を招きます。
1度エンジンを車体から降ろし、さらに塗りたい箇所を外して塗装しますので、専門の工具が多量に必要となる上、重たいエンジンを運ぶには相当の力と経験が必要です。DIYとして行うこともできますが、塗装に自信がない場合は専門のショップへ依頼することをいたします。
空冷エンジンの音は独特な良い音がする
以上のように、空冷エンジンは熱をもちやすいエンジンと言えます。そのため、同じエンジンでも水冷エンジンとは形式が異なり、排気音にも大きな違いがあります。これには、装備しているエキパイやマフラーによっても音質は異なりますが、空冷エンジンは乾いた排気音がします。
そして、空冷エンジンは高回転型ではないので、どちらかと言えば重低音です。機構自体が旧く、「旧式のOHV」という形式が多いのが特徴です。
空冷エンジンはどうしてフィンが多いの?
空冷エンジンは冷却方法が「風」と「オイル」のみですので、少しでも風の冷却を活用できるようにエンジン自体の「フィン」の数が多いのも特徴です。これにより、エンジンの表面積を増やし、少しでも風が当たるように設計されています。
空冷エンジンには適切な温度があるの?
空冷エンジンは、高温には弱い機構です。真夏では特に気を付けて走行しなければ、破損をしてしまいます。油温計という装置を付けることで、エンジンの調子を判断することができます。つまり、エンジンオイルの温度計です。そして、約90℃~100℃が適切な温度の目安です。
希少価値が高まっている車両がある!
空冷エンジンを積んだ車両は時代の変化と共に生産台数が減っています。つまり、これからは中古で購入することが多くなる車両です。
中には貴重な車両もあり、付加価値が付いている高額な車両もあります。乗り物の歴史を辿るには最適な車両ですので、現代でも空冷エンジンをこよなく愛するファンも数多くいます。ぜひ、貴重な空冷エンジンを見掛けたらエンジン音を聴いてみてください。
初回公開日:2018年01月13日
記載されている内容は2018年01月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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