エキマニのバンデージの巻き方・車検・効果・加工方法
更新日:2024年09月22日
エキマニとは
エキマニとはエキゾーストマニホールドのことでエンジンの各気筒から排出される排気ガスを一つにまとめて、マフラーに送る部分の事です。エキマニの他に、たこ足、EXマニ、エキパイと呼ばれます。
エンジンから排出される排気ガスが一番最初に出てくる場所で、4気筒エンジンであれば4本のパイプがそれぞれの燃焼室の排気出口に取り付けられており、最終的に一つにまとめられマフラーへと排気ガスが出ていきます。エキマニはエンジンの爆発後の一番温度の高いガスが最初に出てくる部分なので、エンジンの外にある部品の中で一番高温となります。
エキマニは超高温にさらされていますから、その過酷さから信じられないほどの錆が発生します。そこでエキマニには鋳鉄製の鋳物で作成されています。鋳物は表面に錆が発生しても内部まで進行がほとんどないため、エキマニにはもってこいの素材と言えます。
エキマニのバンデージの巻き方
エキマニに包帯のようなバンデージをぐるぐる巻きにした車両を見かける事があります。何のためにエキマニに包帯を巻いているのか不思議に感じた方も多いでしょう。このエキマニに包帯のようにバンデージを巻くには理由があります。そしてその巻き方にも方法があるのでご紹介します。
巻き方
エキマニにバンデージを巻く場合、巻き始めと巻き終わりの処理方法をどうするかでしょう。良く使われる方法は、ステンレスの針金できつく縛る方法です。その他ステンレスのホースバンドも使うことができます。
エキマニにバンデージを巻くためには、エンジンからエキマニを取り外す必要があります。エキマニを外すとガスケットも交換する必要があるので、事前に注文するのを忘れないようにします。また、エキマニを使いこんでいると、ボルトやナットが錆びて固着している場合が多く、CRCなどの潤滑剤を吹きつけて外す必要があります。
エキマニが外れたら、マフラー側からバンデージを半分重ねるようにして巻いていきますが、そのまま巻こうとしても滑って上手く巻けないので水に濡らして巻くと滑らずに綺麗に巻けます。素材にはグラスファイバーがほとんどでガラス繊維がチクチクするので手袋の着用をして作業を行います。
エキマニバンデージの効果
エキマニバンデージはサーモバンデージとも呼ばれ、昔からエキマニに巻く派とエキマニに巻かない派とに分かれています。
エキマニからは放射熱が出ているので、バンデージを巻くことでその熱を抑えることができます。しかし良く間違ったことを言う人がいますが、エキマニバンデージの役目は断熱であり遮熱ではないという事です。遮熱は読んで字のごとく熱を遮る事が目的ですが、断熱は熱を外に出さないことが目的だからです。
バンデージを巻くことで排気ガスの熱を閉じ込めると、エキマニ内の排ガスは膨張します。すると排ガスは狭いエキマニ内から早く出口に向かおうとします。しかし出口はマフラー側1ヵ所なので、結果的に排ガスの流速が早くなり排気効率が上がります。
特に高回転を多用して走る人にはサーモバンデージによる恩恵は大きいでしょう。しかも断熱効果があるので、エンジン内の電装品などに悪影響を与えにくくなるでしょう。
エキマニバンデージをメーカーが採用しないのは
エキマニバンデージはメーカーでは巻いてきません。それは遮熱版を取り付けて排気熱を遮蔽しているのと同時に、断熱効果を持たせているからです。
ターボ車ではタービンが見えないほどの遮熱版を取り付けて、しかもマニフォールドにも本体が見えないように遮熱版が取り付けられています。これは熱害防止と触媒を早く高温にするためにエキマニを断熱しているからで、バンデージ効果と同じと言えます。
F1などのレーシングカーにはバンデージは巻かれていませんが、それはエンジンが市販車と比べ物にならない熱量を発していることと、エキマニにコーティングをしているレーシングカーがあるからです。レーシングカーは熱害を起こすような非効率的なレイアウトではないので、熱害防止を考えた断熱はしません。
エキマニバンテージ
エキマニバンデージにはガラス繊維の商品が多く、エキマニに巻く際には、手袋をはめて作業しなければ、手にガラス繊維が刺さりチクチク痛い思いをします。また多くのガラス繊維のエキマニバンデージを巻くときに良く濡らして巻かなければ綺麗に巻くことができません。
そこでこのチタニウムエキゾーストラップは、チタンを繊維化し織り込んだもので、従来のガラス繊維より耐久性もあります。何よりチタニウム製なので耐熱と摩擦に対する耐久性もあり、ガラス繊維のような毛羽立ちや棘もありません。見た目も白い包帯のようではなく、ゴールドに輝くので高級感もあります。
素材が柔らかく表面がるツルツルしているので巻きやすく何より水に濡らす手間が無くなるのが取り付ける時のメリットです。
店舗ではこういう商品は扱っていないし、安いし、配送も早いのでとても良いサービスです。
出典: https://www.amazon.co.jp/DEI-%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%BE%... |
エキマニは車検に通るのか
エキマニにサーモバンデージを巻いても巻かなくても関係はありません。それは社外のエキマニに交換した場合でも同じことが言えます。
排気系を交換したり加工して問題となるのは排ガステストと遮熱が行われているか、そして音量の問題でしょう。これらで関係するとすれば遮熱の問題だけで、バンデージを巻けば車検にはメリットとなるでしょう。
エキマニを社外品に交換した場合、多くはステンレス製に交換するでしょう。そのメリットは薄く作れるので軽量化に繋がる事が挙げられます。またステンレスは熱伝導率が悪いので外に熱が出にくいことから、遮熱版も必要なくなります。
社外製のエキマニに取り換えてもキャタライザーを外さなければ、車検には問題なく通すことができます。しかし車検対応品でなければ音量や素材に問題となる事があり、長期的に使うと車検をクリアできない状態になる事があるでしょう。
たこ足
エキマニは「たこ足」とも呼ばれています。それは各気筒から出た排気ガスを集合させるまでの距離を同じ長さにするためにくねくねさせて、まるでタコの足のような形状となっているからです。
排気ガスを集合させるまでの長さを同じにしているエキマニを等長エキマニと言います。等長にするメリットは、排気脈動を揃えることです。排気管の長さが変われば、それぞれの排気ガスがぶつかり合うときに排圧の違いから排気抵抗となり排気干渉が生まれます。そして不等長であると排気抵抗により回りにくいエンジンとなります。
例えばスバル車はあの独特のドロドロ音が有名ですが、それはエキマニが不等長なために奏でられる音として有名です。しかし最近のスバルのボクサーエンジンから独特の音が消えました。それは数々の改良からエキマニを等長化したことが原因です。
エキマニの効果
エキマニはかつて、等長であることがお互いを排気干渉させずに排出させることができ、高回転まで回りスムーズなエンジンになると考えられてきました。しかし近年では、完全等長ではなく、長さを変える事でお互いの負圧を利用して、排気ガスを吸い出す方がエンジンの性能を引き出せる事がわかってきました。
エキマニを等長にして得られるメリットは、排気の流れを良くするだけの恩恵だけしかありません。しかし若干の不等長とすることで、それぞれの気筒から排出される排ガスの流れを助け、その結果排ガスの流速が高まります。そのうえ若干の排気抵抗を利用したトルクアップも望めます。
排気慣性効果
エンジンは、空気を吸い込めば排気しなければなりません。この排気管を細くしたり詰まりのあるものにすれば、空気を吸えなくなりパワーダウンします。
排気は吸うために行う作業であり、流速を高めて多くの排気ガスを排出させる慣性を大きくできれば、パワーも上がり良く回るエンジンになります。排気バルブが閉じても流れ続けようとする慣性があれば、パイプ内は真空に近くなり次に排気バルブが開くと一気に排気ガスが流れるようになります。
エキマニの加工方法
エキマニの加工方法として非常に効果がある方法はバリ取りです。純正のエキマニは個体差が非常に大きくまた作りが大雑把な場合が非常に多い事から、出口付近の段差やバリを取り除いてあげるだけで、エンジンフィーリングはかなり変わるでしょう。
エキマニを取り外して、ベルトサンダーやリューターを使い、排気入口付近のバリと段差を整えていきます。またフィッティングも精度が悪いので、フランジ部分をフラットにします。
これらの加工を施せば排気音が静かになり、アクセルのピックアップが良くなり、そして全域のトルクアップが体感できるでしょう。
溶接の種類
溶接には、ガス溶接とアーク溶接とにわかれます。そしてアーク溶接にはMIG溶接やTIG溶接などがあります。
ガス溶接は、エキマニ溶接には向いていないので、アーク溶接を用いて溶接をします。また純正エキマニは鋳鉄製なので、溶接の難易度が非常に高い事で知られています。それは鋳鉄に含有されている黒鉛が原因で、専用の溶接棒を使用して溶接します。
仕上がりの美しい溶接にはTIG溶接が向いていますが、この溶接機は一般には高価で手に入れずらいでしょう。一般にホームセンターで売られている溶接機は、手棒溶接のアーク溶接機が主流ですが、ノンガスワイヤーの半自動溶接機も販売しているホームセンターもあるので、予算が合えば半自動の購入を勧めます。
耐熱塗装
耐熱塗料として販売されているスプレー缶は、ほとんどが600℃の耐熱温度となっています。しかしこのTVHT 耐熱 スプレー タイプ 塗料の耐熱温度は704°C-1093°Cと高く、高温になるエキマニにも安心して使用できます。
カラーバリエーションも黒、白、青、赤、そしてクリアーがありますから、好みの色で塗装することができます。
エキマニの磨き方
エキマニをステンレス製に交換していたり、バイクなどでステンレス製のエキマニを装着していると、使用しているうちに汚れが焼き付いてしまいます。
汚れの付着度合いにもよりますが、耐水ペーパーやピカールを使用して磨くと新品の輝きを取り戻すことができます。耐水ペーパーを使用する場合は、400番程度から初めてもし汚れが取れなければ、320番や240番で磨いていきます。
汚れが取れたら磨き傷を取るために、800番の耐水ペーパーで磨いてペーパー目を消していきます。その後ピカールを使い丹念に磨くと新品の輝きが蘇るでしょう。
エキマニの排気漏れの症状
エキマニからの排気漏れは、割れによるものがほとんどでしょう。特に多いのは社外製のステンレスのエキマニに交換している場合です。社外製のステンレスのエキマニはパイプの取り回しが複雑で、根元に負荷がかかりやすくなっています。長く使用し続けると金属疲労を起こして割れてしまいます。
純正の鋳鉄製は、割れるまでには非常に長い年月がかかるでしょう。それは鋳鉄は厚みもあり耐久性が高いので、エンジンの振動による金属疲労に強いと言われているからです。しかしやはり金属である事には変わらないので、いずれ長期使用していれば割れは起きてしまうでしょう。
この他、溶接の繋ぎ目で割れが起きます。溶接箇所のすぐ脇の部分が金属の弱い部分であり、その部分が金属疲労で割れを起こします。
排気漏れが起きれば、アクセルのピックアッップが悪くなり、排気漏れの音と共にパワーダウンも起きるでしょう。
音
エンジンをアイドリングしていても「ボソボソ」といった音が聞こえれば、どこかで排気漏れが起きている可能性が高いでしょう。
排気漏れはマフラーから起きる事が多いので、車のどこから異音が出ているのかを耳を澄ませてくまなく確認する必要があります。ある程度音の方向が分かれば、その部分を徹底的に目視で調べます。エキマニでしたらボンネットを開けて、エキマニ周辺をよく観察すればどこから排気漏れが起きているのかわかるでしょう。
音にもいろいろと種類があり、「ピチピチ」だったり「ブブブブブッ」だったりと音としては何か隙間から漏れている独特の音がします。
エキマニの修理方法
エキマニを修理するには一般的に溶接修理がほとんどです。しかし溶接機械が無ければマフラーパテで応急処置も可能です。
エキマニは高温となるので、溶接してもまた熱による歪みで違う場所が割れてしまう確率が多いです。一回割れが起きたエキマニはそろそろ交換時期と考えた方が良いでしょう。
割れ
特にターボ車の社外製エキマニは割れやすい事で知られています。それは製造過程に秘密があります。
ステンレスのエキマニのほとんどは肉厚が2mm程度であり、作成する時に治具に取り付けて溶接して作成します。この時の溶接による熱でステンレスは熱膨張を起こします。しかしそのまま冷却されてしまうので溶接部分に応力が残ったままとなっています。
その製品をエンジンブロックに組み付けてエンジンを始動すると、熱がエキマニに入り応力を逃がそうとする力が働きます。しかしすでにエンジンにボルト止めされているエキマニは応力を逃がすために動くことができません。結果弱い溶接部分に力が溜まって最後に割れてしまいます。
割れが起きないようにするには熱処理を行い販売すればよいのですが、それには多くのコストがかかりメーカーでは行っていません。そこで最近では割れ対策として肉厚が3mmを超える商品が出ています。
バンデージを巻くことは良い事ばかりです
バンデージを巻くには、熱害を防ぐためと排気効率を優先するため、そして触媒効率を高めるための3つの効果をもたらします。
純正でもゴツイ遮熱版が触媒まで取り付けられているのは触媒の効率を高めるためと熱害を防ぐために取り付けられています。このことからエキマニバンデージは巻くことは良い事でしょう。
最近は海外ではセラミックコーティングをすることが流行りを見せています。セラミックコーティングすることで熱を封じ込め熱害防止、そして排気効率の向上になります。
巻き方は人それぞれです。NAエンジンやターボ車でも変わってきます。熱害を防ぐにはエキマニ以外にもセンターパイプまで巻く人もいるでしょう。バンデージを自分の理想に合わせた巻き方で、楽しいカーライフを送りましょう。
初回公開日:2018年04月27日
記載されている内容は2018年04月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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