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2018年05月26日

ブローバイガスの対策・成分・交換・温度|大気開放/白煙

マフラーから白煙が出ていて、しかも臭い、という場合にまず考えられるのは、大量のブローバイガスに混入したエンジンオイルのミストの燃焼です。この記事ではブローバイガスの処理方法、ブローバイガスが白煙になる原因、メンテナンス方法などについて説明します。

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何この白煙!ブローバイガスが原因?対策は

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寒いわけでもないのに、愛車のマフラーから白煙が出ているし、臭いもある、という時には、まず第一にブローバイガスに混ざった霧状のエンジンオイルが原因の可能性が考えられます。白煙の発生原因と対策について解説します。

ブローバイガスにはどんな対策と処理方法が?

エンジンが稼働している時、ピストンとシリンダーの間には未燃焼の混合気に若干の排ガスの混ざったものがあります。

これらがシリンダーとピストン、ピストンリングの隙間から漏れて、クランクケース側に漏れ出したものがブローバイガス(blowby gas)です。現在の4サイクルエンジンの構造では、金属部品の膨張率などの理由で、漏れの発生を完全に防ぐことはできません。

このガスがクランクケース側に残れば、ピストンが上下する時の抵抗となります。この状態でエンジンを停止して温度が下がれば、ガスの成分が液化して、ベタベタした汚れとして付着します。

それだけでなくエンジンオイルが未燃焼のガソリンによって薄められ、あるいは排ガスの酸性成分によって劣化する原因にもなります。そのため、現在販売されている車やバイクには対策が取られています。

大気中にそのまま開放するのはアリなのか?

ブローバイガスが発生しても、外に排出してしまえばエンジンは問題ないだろう、というのが大気開放です。

シンプルな解決案ですが、光化学スモッグの原因物質を大気中に撒き散らしてしまいます。昔はエンジンの効率アップを狙って、ブローバイガスを大気開放するように改造するという話もあったようですが、道路運送車両法に違反した違法改造として車検に合格しません。現在、市販車で大気開放しているものはありません。

エアクリーナーケースに戻し再燃焼させる方式が義務

現在は循環方式の採用が法律上義務付けられています。ほとんどの車、バイクはクローズド方式を用いています。これには2系統の循環の流れがあります。

アイドリングやエンジンブレーキ時に使用する系統

1つはアイドリングやエンジンブレーキ時に使用するもので、クランクケースとスロットルより下流のサージタンクにつながっている系統です。後で述べるPCVバルブがつけられています。

スロットルが閉じていても、インテークマニホールドの負圧によってこの系統からブローバイガスを吸い出している時、別系統からは新鮮な空気をクランクケースに流します。実はブローバイガスはアイドリングの時に多く発生するので、重要な系統です。

通常走行時に使用する系統

もう一つはヘッドカバー部から直接スロットルより上流につながっている物です。通常走行時にはこの系統が作動します。インテーク内部の流速が上昇して負圧が高まることによって、クランクケース内のブローバイガスを吸い出します。この時には先に書いた系統のPCVバルブは閉じています。

2系統の組み合わせで常にブローバイガスを再燃焼

走行状態によりこの2系統が切り替わることで、スロットルの状態にかかわらず、常にシリンダヘッドからブローバイガスを吸い出してエアクリーナーケースに戻し、インテークマニホールドを通じてシリンダーで再び燃焼させるという循環が行われています。

影の立役者PCVバルブ

この吸い出し作業で大事な働きをするのが、PCVバルブ(還元装置)です。これはPositive Crankcase Ventilation Systemの頭文字を取っています。

ブローバイガスの逆流を防ぎ(ワンウェイ)、吸い出したガスをブローバイホースを通じてエアクリーナー側に送ります。ガスを吸い出すことにより、クランクケースを負圧に保てるので、ピストンの効率も良くなるという一石二鳥の仕組みです。

より簡単なシールド方式も

オートバイや一部の車には、シールド方式が使われています。これはクローズド方式の2系統目と同じようなもので、シンプルに走行中のクランクケースからブローバイガスを吸い出します。

なぜブローバイガスが白煙になるのか?

簡単に言えば、クランクケース内のブローバイガス量が増え、その動きにかき回されるために、通常より多くのエンジンオイルがミスト(霧)状に混じって燃焼室に運ばれるからです。これはブローバイガスの発生量が増加した、あるいは処理する能力が低下した、その両方の組み合わせによって生じます。

白煙が発生しているという事は、ブローバイガスがクランクケース外にも拡散してしまっている、あるいはブローバイガスによってクランクケースやターボチャージャーといった大事な部品の性能が低下している、という可能性があります。

年式の古い車、走行距離の長い車、荷物の積み過ぎや長い渋滞走行などで負荷のかかった車で、定期的にきちんと整備をしていない場合には注意が必要です。

摩耗したエンジンはブローバイガス発生量も多い

前に書いたように、発生したばかりのブローバイガスは、圧縮中のピストンリングとシリンダーの間を通って、クランクケースに漏れ出してきた空気と燃料です。これらの金属部品は、わずかな余裕を設けて組み立てられているので、元からガスの漏れを完全に防ぐことはできません。

シリンダー、ピストン、ピストンリングは長い期間使えば、当然摩耗します。結果として、すき間から漏れ出すブローバイガスの発生量も増えます。

バルブも汚れれば機能は低下する

PCVバルブは小さくて精密な部品です。長期間ブローバイガスにさらされれば、表面にカーボンなどの汚れが付着することによって、吸い出し機能や逆流防止機能も低下します。

温度の高いブローバイガスはホースも劣化させる

クランクケースから吸い出されたブローバイガスは100℃以上です。そのガスを流し続けているホースも、次第に熱で劣化します。そのうえブローバイガスが通過する際に温度が下がると、凝結した液体成分がベトベトとホースの内側に付着します。最悪の場合は材質が老化し、亀裂が入るという事態になります。

処理能力が下がれば、クランクケースに問題が

上に挙げたような状態が重なれば、ブローバイガスの量は増え、排出能力は落ちるという事で処理能力は低下します。結果としてクランクケースの内圧が高まります。それがピストンの効率を下げるため、ドライバーはよりアクセルを踏み込むようになるでしょう。その結果として、ブローバイガスの発生量が増えるというマイナスの連鎖になります。

そしてマフラーからの白煙に

クランクケースに大量のブローバイガスが蔓延すれば、ミスト(霧状)として取り込んでしまうエンジンオイルも大量になります。そのオイルミストが循環して大量に燃焼室に流入します。エンジンオイルはガソリンより引火点が高く、完全に燃焼しきれません。通常の排気ガス用のフィルターは、この不完全燃焼の炭化水素のミストにはあまり効果がありません。

そのため排気ガスと一緒にマフラーから大気中に放出されて白煙や臭いとなります。環境に有害な物質なので、これをまき散らして走るのは、歩行者や自然にとってもありがたくない話です。

ターボチャージャー付なら更に問題が

クランクケースとターボチャージャーはつながっているので、クランクケースの内圧が上がるとターボチャージャーの内圧も上がります。その結果としてターボチャージャー側でのオイルの循環がうまくいかなくなり、オイル漏れの発生や、それによる焼き付きといった問題が発生する場合もあります。

ターボチャージャーから漏れ出したオイルもクランクケースのブローバイガスと混ざってしまいます。

それにターボチャージャーはノーマルエンジンと違って、高圧の空気と燃料を強制的にシリンダーに送り込む形式のため、発生するブローバイガスも圧力が高く、クランクケースだけでなく、インタークーラー部にも汚れが付着する場合もあり得ます。

白煙ぐらいと放置すると後で大変かも

最近白煙が出ていることに気がついた、といった場合に、原因として、まず最初に疑うのはこのブローバイガスでしょう。そうした時に「ちょっと臭いし目立つけど、まあいいか」とは思わないでください。

なぜなら、原因には愛車の性能を低下させるような、シリンダ関係のものの可能性もあります。それに、白煙の原因はブローバイガスだけとは限りません。「オイル上がり」「オイル下がり」といったエンジンのオーバーホールを必要とするものもあります。

オイル上がりとは

オイル上がりとは、ブローバイガスの発生原因でもあるシリンダとピストン、ピストンリングの間隔が一層広がったために、隙間からエンジンオイルが燃焼室へと上がってきた状態です。ブローバイガスに混ざったオイルミストよりも燃焼するオイルの量が多いため、マフラーから盛大に臭い白煙を吹きます。

こういう状態になれば、エンジンも以前のような馬力はでなくなっています。オーバーホールしてピストンリングの交換で済めば良いのですが、シリンダを削ってサイズの大きいピストンに取り換えるとか、エンジンそのものの交換となれば手痛い出費です。ブローバイガスによる白煙が出始めた時に対処していれば、この事態は防げたのではないでしょうか。

オイル下がりとは

燃焼室の上部にはバルブがあり、通常はバルブシールによってオイルが燃焼室に入らないように防いでいます。バルブシールは合成ゴム製ですが、長年の使用で熱やオイルの影響を受けて劣化し、固くなったり変形する事もあります。

当然、バルブ自体も損傷したり汚れが付着して、きちんと動作しない場合があります。そうした時はエンジンオイルがバルブ部分を伝って燃焼室に流入する場合もあります。

この流入はエンジンを止めて駐車している時にも起きています。そのため、エンジンを始動すると燃焼室に貯まっていたエンジンオイルが一気に不完全燃焼状態で排出されるので、一時的に多量の白煙が発生します(走行中も発生しているのですが、始動時ほど目立ちません)。

この状態の場合、バルブの気密性が保てていないため、当然エンジンの調子は良くありません。

早期の整備点検を!

こうした事から、これまで出ていなかった白煙が出る場合は、早期にきちんと整備点検をするべきです。エンジン周りに何かのトラブルご発生している可能性が高いです。放置したためにエンジン周りの状態がより一層悪化して、後で大きな出費になると大変です。

ブローバイガスの成分は何?

発生した時のブローバイガスは主に未燃焼のガソリンと空気、一部排ガスです。

クランクケースに漏れ出すと、前に述べたようにエンジンオイルがミスト上になったものも含みます。このため成分には、CO2、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)など、エンジンのタイプによっては不完全燃焼によるカーボンなどからなるPMと呼ばれる粒子状の物質を含む場合もあります。

当然、これらをそのまま排出すると、光化学スモッグなど大気汚染の原因となります。

箇所別ブローバイガス対応の交換方法

正しい原因の究明には、専門家による点検、診断を受けるのがお勧めです。手先が器用で車の知識があり、工具を備えている人なら、ある程度はセルフメンテナンスも有効です。

エンジンオイルの交換

ブローバイガスの発生量が増えると、エンジンオイルの劣化も進み、減りが早くなります。新しいオイルに取り換えるのも重要なメンテナンスです。最近のエンジンオイルはエンジン保護性能の強化をうたっているものもあるので、そうした銘柄も検討価値があります。

粘度の高いオイルなら、一時的にシリンダーとピストン、ピストンリングをシールして、ガスの発生を抑える効果も期待できます。逆に粘度の低いオイルを用いると、オイルがクランクケース内に移動する量も増えるので、ブローバイガスの発生量が増える可能性もあります。

オイルの銘柄を変えたときに、新しいオイルが洗浄性が高いものであれば、クランクケース内にこびりついていたブローバイガス成分が固まってできた汚れを溶かして取り除きます。それらも循環させて燃焼するために、一時的に白煙の量が増えるということもあります。そういう時は、慌てずに数日様子を見ることが必要です。

エンジンの圧縮圧力を調べる

確かにエンジンオイル交換や添加剤は効果のある場合が多いですが、あくまで対処であって解決ではないということに注意すべきです。

発生源であるシリンダやピストン、ピストンリングの状態が適切かどうか、圧力計を用いてシリンダの圧縮圧力を計測して調べます。カタログスペックと比較することで、摩耗による影響が出ていないかを調べる事もできます。

もし、実際の数値がスペックに比べて低すぎる場合や、シリンダー間で圧縮圧力に大きなばらつきがあったりする場合は、専門家によるオーバーホールや修理をお勧めします。

ブローバイガスフィルターエレメント交換

エアクリーナーのフィルターに付属する形で、ブローバイガス用のフィルターが取り付けられている車も多いです。エアフィルターと同時に点検し、交換するのは比較的簡単ですので、試す価値があります。

オイルセパレータの交換

ディーゼルトラックなどオイルセパレータがついている車は、メーカーごとに走行距離や期間を定めて交換を推奨しています。汚れ具合を確認し、必要に応じて交換することをお勧めします。

PCVバルブのメンテナンス

過酷な状況にさらされている部品なので、定期的な点検、整備は必要です。慣れた人であれば、自分で外して汚れを取り除いたり、新品と取り換えることもできるでしょう。経験が少ない場合、専門家による点検、整備がお勧めです。

ブローバイホースのメンテナンス

耐油性や耐熱性、温度変化による劣化を防ぐため、メーカー推奨品の使用をお勧めします。

ホースをエアクリーナー側に接続する前に、オイルキャッチタンクを取り付けるという改造をすると、白煙の発生を抑える効果が期待できる場合もあります。オイルキャッチタンクをセパレータとしてエンジンオイルや強酸性物質の溶け込んだ水といった液体成分を分離して貯めることで、ブローバイガスを多少クリーンにする事ができるからです。

キャッチタンクは元々レースに使用する車に、アクシデント(転倒など)があった時にコースへのオイル散乱を防止するために取り付けが義務化されていました。

白煙対策と言っても、費用はさまざま

白煙対策とひとくちに言っても、必要な費用はオイル、PCVバルブ、フィルター類の交換といった、自分でやれば数千円のものから、エンジンのオーバーホールのようにプロに依頼して10万円超のものまでさまざまです。調べてみないといくらかかるかわからないのが、頭の痛いところです。

ブローバイガスの適正な温度

クランクケースから吸い出されたブローバイガスは100℃以上であっても、エアクリーナーを通って燃焼室に戻された時には温度が下がっています。それなりの距離の走行を続けたエンジンにブローバイガスを取り込むことは、エンジンの過熱を防ぐ効果があります。

しかし、近距離の移動やアイドリングストップなど、まだエンジンが温まっていない時にエアクリーナーを通って流入すると、エンジンを痛めかねません。

なぜなら低温のブローバイガスによって温まる途中のエンジンの温度上昇を妨げると、熱で膨張していないシリンダとピストン、ピストンリングの隙間が大きくなりますから、ガスの発生量が増えます。低温のため排気ガス中の水蒸気が液化し強酸性物質を取り込めば、金属部品に悪影響を与えます。

エンジンが充分温まるまでブローバイガスの流入を抑止したり、ガスを加熱し水蒸気を液化させないといった処理を行っている車も多くなりました。

愛車と環境のために

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以上がブローバイガスが原因で白煙が発生した時の対策です。通常の発生量ならブローバイガスを循環させて燃焼させる時に、オイルミストが原因の白煙が発生することはありません。

前述したように、何らかの原因でガスの発生量が増えたのか、処理能力が落ちたのか、あるいはその両方が考えられます。放置せずに原因を切り分けて、適切なメンテナンスを行う事が大切です。早期に対処することによって、大きなトラブルを回避できる可能性があります。

もし白煙がマフラーから立ち上ったら、それはエンジン周りの点検・整備をしてもらえませんかという愛車からのサインのような物です。早めのケアで、愛車のコンディションを整え、長い間、快適な運転を楽しみませんか。

白煙をきっかけに愛車をこまめにケアすることは、結果として大きな出費になるのを食い止めることにもなり得ます。当然、快適な運転にも役立ちます。

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