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リターダーの使い方・仕組み・おすすめの塗料・後付け可能か

更新日:2024年08月12日

リターダーと聞いてわかる人は、トラックに乗っていたり、バスの乗務員であったり、また塗装業に従事している人ではないでしょうか。そこでまるで関係ない乗り物と塗料ですが、リターダーはそれぞれどういった仕組みなのか詳しくご紹介します。

リターダーの使い方・仕組み・おすすめの塗料・後付け可能か

リターダーについて

インターネットでリターダーと検索すると2種類の意味が表示されます。一つ目は塗料に添加するリターダーで、2つ目はトラックやバスに装備されるリターダーです。

リターダーとは、「遅らせる」「妨げる」という意味があり、塗料に使われるリターダーも、トラックに使われるリターダーも同じ意味の商品や部品になります。

そこでリターダーの意味は同じですが使用方法が全く異なる塗料とトラックやバスへの使い方やその構造についてみていきます。

リターダーにおすすめの塗料

塗料に使うリターダーは、梅雨時期などの高温多湿時に塗装後の塗膜に結露が生じ、ブラッシング(白化)がおきます。また、温度が高い時に塗装すると早くシンナーが抜けて塗料の硬化速度が速くなり塗料の伸びが悪くなったり、ミストの馴染みが悪くなります。

これらを解決するためにリターダーを使用します。しかしあまり多く添加し過ぎると塗装面にチジミが発生したり乾燥不良を起こします。

リターダーとは遅乾剤のことでシンナーの乾燥速度が遅いタイプには、このリターダーが添加された商品として販売されています。必ず塗料に合わせたシンナーを使用しなければ、塗装後のトラブルとなります。

マイルド

リターダーマイルドは、Mrカラーに使用する専用のリターダーです。塗料に10%添加する事により筆塗り時に筆ムラが起きないようにし、高温多湿時のブラッシングを予防します。

Mr.カラー用ですが、アクリル塗料には使用する事ができます。例えば模型用の塗料でガンダムカラーもアクリル塗料なので使用することができます。

このリターダーマイルドには、小技として塗装した塗料を剥離する能力があります。使用方法は、筆にたっぷりとリターダーマイルドを付けて塗装面に塗ると、塗料が溶けますので優しくティッシュなどで拭き取ると綺麗に塗料を拭き取れます。ただしMr.カラーの塗料で塗った場合に限り使用できる小技です。

私もこれを使う前は、ラッカーの筆塗りが正直好きでは
なかったのですが、リターダーの添加によって格段に塗装
し易くなりました。ガンダムカラーもラッカー系なので、
使用の際はこの商品の併用をオススメします!

出典: https://www.amazon.co.jp/GSI-%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%AA%... |

タミヤアクリルリターダー

タミヤカラーからアクリル用のリターダーが発売されているので、模型に筆塗りで塗装する場合に筆ムラや塗料がだまになることを防いでくれます。特に高温多湿時には添加する事が重要で、添加しないと塗装面に不具合を起こしやすくなります。

使用方法は塗料に対して10%以下で配合して使用します。シンナーが抜けてくるとラッカー塗料はドロッとしますが、アクリル塗料はだまになります。エアーブラシを使用する場合には、ニードルに塗料玉が詰まり塗料が吐出できなくなる場合がありますが、このリターダーを使えば、そういった不具合が無くなります。

Mr.カラー

Mr.カラーは歴史のある模型用塗料メーカーです。Mr.カラーには前出のマイルドタイプのリターダーが販売されていますが、そのほかにもエーブラシ用のリターダーが最適に添加されたレベリングシンナーが販売されています。

エアーブラシで塗装する場合、薄め液とリターダーを混合して塗装しても良いですが、このリターダーシンナーを使えば、美しい仕上がりになります。

使用方法はMr.カラー1に対して2~3の割合で混ぜる事により塗料の伸びが良くなり、そして光沢が増します。通常の薄め液より乾燥が遅く指触乾燥までに10分程度かかります。冬場で乾燥が遅すぎる場合には通常の薄め液を使用しましょう。

ファレホ

ファレホの塗料は水性塗料なので、一般に水や精製水で希釈して使用することができます。ファレホの塗料は粘度が高いので希釈して使用する必要がありますが、リターダーも粘度が高くやはり希釈しなければ使えません。

そこでファレホの粘度は高くて使いにくいので、専用の希釈用シンナーを使う必要があります。もちろん水も代用できますが、塗装時の伸びがシンナーのほうが良いので、専用のシンナーを使ったほうが良いでしょう。またリターダーを加える時には5%程度を添加しますが、この時にもシンナーで希釈しないと全く使えないので注意が必要です。

ロックペイントなどの塗料

ロックペイントは、各種塗料メーカーで日本ペイント、関西ペイント、イサムペイントなどと同じ自動車用、建築用、工業用の塗料メーカーです。

自動車用塗料としては、おもに自動車板金塗装業者が使用する塗料で、各メーカーでは数多くの塗料の種類がラインナップされていますから、それに合わせたリターダーを使用する必要があります。

例えば塗料を希釈すrために使うシンナーも速乾タイプから遅乾タイプまであり、シンナーの乾燥速度に不足する分、リターダーを添加して使用しますが、気温や湿度により配合率を変える必要があるので、一般に使用する事は難しいでしょう。

リターダーの使い方

一般的にリターダーを使用する場合は気温、湿度が共に高く、ブラッシング(白化)の恐れがある時に使用します。

ブラッシングは塗装した時に塗料内のシンナーが蒸発する際に気化熱により部材の熱が奪われ、そこに空気中の水分が結露して起きる現象です。コップに冷たい水を入れた時に周りに水滴ができる現象と同じで、塗装中にこの現象が起きると、塗装を白く濁してしまいます。

また、気温が高いと塗料がミスト化して塗装面に付着した瞬間にシンナーが蒸発し、表面にミストの細かい玉ができたり、塗料の伸びが得られずにゆず肌となる現象になります。

これらを防ぐにはシンナーの遅乾タイプを使用しますが、それでも収まらないときにはリターダーを加えて溶剤の揮発を遅らせることでトラブルを回避します。

使用する時

リターダーを使用する時は、気温が30℃以上で適正なシンナーを入れて希釈していてもスプレーガンから出る塗料が粉っぽくなり対象物に色が付かないときや、塗装しても艶が出ず、塗装面にゆず肌と呼ばれる細かいデコボコが多い時に使用します。

刷毛塗りやローラー塗りの時には、一往復させるだけで、刷毛が塗料にくっつき引っかかる感じがある時や、刷毛目やローラー目が著しく目立つ場合に使用します。

またスプレーガンを使用する時も刷毛やローラーで使用して塗装する時も、雨天時や梅雨時期にはリターダーを添加したほうがトラブルを防ぐことができます。

使用する目安

ブラッシングを防ぐには基本的に温度が20度以上で湿度が80%以上ある時に使用します。気温によりシンナーを使い分ける必要があり、冬場のクイックドライタイプから真夏のスーパースロータイプまで数種類の乾燥タイプのシンナーがあります。

気温に合わせてシンナーを使用しますが、湿度があるとブラッシングが起きる可能性があることと、塗装してもどうしても塗料に伸びが出なかったり、ミストの馴染みが悪い時にはリターダーを使用します。

使用量

最初はリターダー無しで塗装をし、どうしても伸びが出ないなどのトラブルがある時には、シンナーの3割程度をリターダーに置き換えて使用します。リターダーを添加したあとはテスト吹きをして、塗装の肌に改善があるのかを確認してから本塗装をします。

テスト吹きをしてまだ白化したり、伸びが出なければリターダーを少しずつ足してみます。また乾燥が非常に遅くなった場合は、リターダーの量を減らしていきます。

刷毛塗りやローラー塗りをする場合はリターダーを5%ほど添加して塗ってみます。伸びが悪ければ、さらに5%足して塗装してみます。

最初から多く添加してしまうと塗装の硬化がいつまでも進まなくなりますから、少しずつ加えるのが良いでしょう。

排気ブレーキとリターダーの違い

トラックやバスなどの大型車には、車重に対しブレーキ容量が小さいので補助ブレーキが搭載されています。その補助ブレーキが排気ブレーキやリターダーになります。また補助ブレーキはドラムブレーキの摩耗低減に役立ち、フェード現象を防止させる役目もあります。

排気ブレーキもリターダーも補助ブレーキという意味合いは一緒ですがブレーキの掛け方が全く異なります。排気ブレーキはエンジンブレーキをさらに高める補助ブレーキで、排気管内にシャッターを設けてそのシャッターを閉じる事で、エンジン内の排気圧力を高めエンジンブレーキを強くします。しかし制動力はそれほど強くはありません。

変わってリターダーですが、こちらは直接プロペラシャフトに作動させてブレーキを掛けるシステムです。塗装の部分で触れた意味と同じくリターダーは、プロペラシャフトの回転力を妨げる事でスピードを落とします。

トラックなどやバスに装着する理由

トラックなどにリターダーが装着される理由は何といっても重量が重いことが大きな要因です。例えば、観光バスの重量は12トンから13トンあり、乗客をフルで乗せた場合の車両総重量は17トン近くになります。

これだけの重量物を通常のドラムブレーキのみで制動させようとすれば、すぐにフェード現象に陥ります。またドラムブレーキは放熱性がディスクブレーキより悪いのでフェードしやすい事も原因です。

それではディスクブレーキを装着すればよいと考えられますが、実は、ディスクブレーキは放熱性は良いのですが制動性はドラムブレーキのほうが格段に高いです。もし同じブレーキ性能のディスクブレーキをトラックなどに装着しようとすれば、とてつもない大きなものになってしまいます。

そこで補助ブレーキとして排気ブレーキやリターダーを装着すれば、高速道路や下り坂でのブレーキの発熱や摩耗を抑制させられるでしょう。

リターダーの仕組み・構造

リターダーは第4のブレーキと言われ、非接触型で物理的に消耗する部品が無い事から、理想的な補助ブレーキと言われています。

リターダーの仕組みはプロペラシャフトの回転に負荷を与えて減速させるブレーキで、主に電磁石を使ったリターダーやオイルを循環させる流体式を使ったリターダーがあります。

装置の位置はエンジンの後ろや、エンジンとトランスミッションの間に設けられていて、エンジンブレーキと同じように駆動輪にブレーキがかかる仕組みになっています。

また最近のLPGやCNGのガスを燃料として走行するトラックには排気ブレーキが装着できないので、リターダーは非常に強い味方です。

流体式

流体式リターダーは、リターダーの中で一番普及している方式で、全世界では25万台以上が装着している実績があります。

基本構造はトルクコンバーターと同じ原理で、シャーシ側のステーターと呼ばれる部分と、ドライブシャフトに固定されているローターの間にオイルなどの流体を入れて、ドライブシャフトが回転する力で流体を撹拌させる抵抗力で制動力を得ています。

抵抗を受ける流体は熱を発するので冷却する必要があり、冷却にはエンジン冷却水を利用しています。そのため冷却水の配管をリターダーのシステムまで引き込む必要があります。

流体式は後付けが難しく、重量があるデメリットがありますが、後述する電磁式より発熱に対する許容量が大きくまた電力を消費しないメリットがあります。

電磁式

電磁式リターダーは、ハイブリッド車や電気自動車に使われている回生ブレーキと広い意味で同じ原理と言えます。

電磁式リターダーは発電機や電磁石のような原理を使い、プロペラシャフトと一緒に回るローターに渦電流というものを発生させることで磁力が発生し、その反発力を利用して駆動輪を制動させるシステムです。

流体式とは異なり冷却水の水路は不要ですが、かなりの発熱をするので、その熱はローターのフィンから放熱できる仕組みをとっています。

電磁石式を使ったリターダーは、電気の強さを変えてブレーキの効きも変えられるようになっており、また永久磁石は軽量でメンテナンスもほとんど不要なこがメリットですが、バッテリーやオルタネーターの強化が必要になります。

リターダーは後付けできるのか

リターダーはブレーキとしては消耗する部品もなくメンテナンスフリーで、しかも排気ブレーキよりも制動力があるので非常に優れた補助ブレーキです。

そこで後付けですが、流体式リターダーはシステムが複雑でしかも重量があるのでトラックなどでは、最大積載量が変わるので構造変更の必要が出てくるでしょう。またバスでは流体式ではトランクスペースなどが削られるなど大きな改造が必要になるでしょう。

そして電磁式も電装系の見直しなどが必要になり、やはりかなり大がかりな改造になり費用は相当な額になります。

リターダーは金額さえ問題なければ後付けできないことはないですが、最初からオプションを選んでおいた方が確実に安く装着されますし、後付けで車を使えない期間が長くなるので、仕事に支障をきたすことは間違いありません。

同じ言葉でも違う意味のリターダーを理解すること

今回はリターダーについてご紹介してきました。リターダーは「遅らせる」「妨げる」という意味から、塗装用品にもその名称が使われ、また大型車の補助ブレーキの名称にも使われています。

リターダーはトラックやバスに携わる仕事をしていれば、補助ブレーキの事ですし、塗装業や趣味でホビーの塗装をされる方は、シンナーに添加する乾燥遅乾剤のことになります。

それぞれの用途に合わせて、正しく使う事でリターダーは性能を発揮しますから、リターダーを使う場面があれば、周りの人の指示に従い使用するようにしましょう。

初回公開日:2018年05月03日

記載されている内容は2018年05月03日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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