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車のレゾネーターの仕組みや構造・外しの効果・取り外し方

更新日:2024年03月01日

レゾネーターについて、その成り立ちや仕組み、構造、また外した場合の効果や取り外し方を解説します。昔の車はズオーという吸気音が騒がしいのが常識でしたが、現在では空気の流れを制御することで音が静かになりました。そのようなレゾネーターの耳寄りな情報を招介します。

車のレゾネーターの仕組みや構造・外しの効果・取り外し方

車のレゾネーターの仕組みや構造について

車が好きな人には、愛車をより自分の好みに合うように手を加える人も多いでしょう。車のチューニングやドレスアップの仕方はたくさんあり、その目的もパワーアップやレスポンスの向上、コーナリングやハンドリングなど操縦性を良くする、乗り心地を改善するといった多様性を持ち自動車趣味の奥深さを表しています。

エンジンの吸気音を低減するためのパーツ

スポーツカーなど高性能車が好きな人は、愛車の音にこだわるという人も多いでしょう。車から出る音で代表的なのが吸気音と排気音です。特に吸気音は人間の感性を揺さぶる心地よい音として、スポーツ好き車愛好家に親しまれています。

しかし、一般のユーザーからすれば、吸気音はただ騒がしいだけの不快な音としか感じられません。そこで自動車メーカーは「レゾネーター」という部品を装着し、エンジンが発生する吸気音を抑えて静粛性を高めドライブを快適に楽しめるようにしています。

最近ではこのレゾネーターに、スポーツ好きの注目が集まっています。ウェブ上にはレゾネーターに改良を加えることでエンジンの吸気音を好みにチューニングしたり、エンジンのレスポンスが良くなったという記事が多く見られます。

そのようなレゾネーターについて、その成り立ちや仕組み、構造、また外した場合の効果や取り外し方を解説していきます。

昔の車では吸気音がうるさいのが常識

1960年代や70年代に製造された車に乗ると、ズオーという独特の音が車内に響きます。これはエンジンの燃料供給装置であるキャブレターに空気が吸い込まれる時の音です。

キャブレターとは、ガソリンを空気と混ぜた混合気として供給する装置で、エンジンの吸気管と直結しています。キャブレターはエンジン内部を下降するピストンの負圧を利用して、吸い込んだ空気を液体のガソリンと混ぜてエンジン内へと送ります。この吸い込む音がエンジンの吸気音です。

ピストンの負圧を利用して空気を吸い込むキャブレターエンジンでは、その空気をきれいにするためのエアクリーナーがキャブレターに直接取り付けられています。この方式では、中に勢いよく空気が流れ込むためにどうしても音が大きくなってしまいます。

このように昔の車では、運転中もズオーという吸気音がやかましく耳に入ってくるのが常識でした。

車は静かな方がいい

自動車の燃料供給装置にキャブレターが使われていた時代では、エンジンがエアクリーナーを通して勢いよく空気を吸い込むために吸気音が大きく、静かにするためには車内とエンジンルームとの間に遮音材などをたくさん入れるよりほかになく、その分重量やコストが嵩み、しかもそれほど大きな効果はありませんでした。

しかし、1980年代に入ると従来のキャブレターに代わって、多くの車に電子制御の燃料噴射装置が搭載されるようになり、エアクリーナーはエンジンから離れて車体の前部へと移動し、吸い込まれた空気を長いホースによって導入する方式へと進化します。

そこで、エアクリーナーホースへと通過する空気の流れ方を工夫することで、吸気音を静かにする「レゾネーター」が登場します。

レゾネーターの仕組みはヘルムホルツの原理を応用

レゾネーターとは「共振器」のことで、外気をエアクリーナーへと導くエアダクト、またはインテークマニフォールドへとつながるエアクリーナーホース部に空気室を設置することで、吸気時の騒音を低減する装置です。

これは19世紀に活躍したドイツの物理学者、ヘルムホルツの原理を利用した消音装置です。ヘルムホルツは、空気が共振することで音が発生することを発見した人物です。

それはペットボトルみたいな開口部のある容器の口に息を吹きかけると、容器の内部にある空気がばねとなって互いに共振し、音を発生させるという物で、例えばオカリナという楽器はこの原理を応用し、吹き口から入った空気が中の空気に当って共振し、歌口から外へと出て行くことで音を鳴らすことができます。

空洞構造で騒音を吸収しエンジンを静かに

レゾネーターはこの原理を応用した箱状の共振装置で、その構造は、内部は空洞でそこから小さな入口が筒状に伸びています。また、空洞の中には仕切りがあり空気を共振するための部屋が分かれています。

この共振器を空気の流入経路に取り付けることで流れを制御し、箱の中の空気と共振させることで不快な高周波の騒音を吸収します。これにより、エンジンの吸気時に発生する音が静かになり車内の静粛性が高まって、とても快適にドライブを楽しむことができます。

レゾネーター外しの効果について

スポーツ好きの自動車愛好家たちの間では、エンジンから出る吸気音を好みの迫力ある音にするために、レゾネーターを改造したり外して撤去してしまうことが話題になっています。

このようなレゾネーター外しによるチューニング効果について説明します。

レゾネーターを撤去すると

レゾネーターは騒がしいエンジンの吸気音を低減する吸気系の消音装置です。これは排気管に取り付けられ騒音を除去するサイレンサーと同じで、車を静かにして快適性を高めるのと同時に車が出す音が騒音公害の原因にならないよう、その車両ごとにメーカーによって開発された製品が取り付けられています。

そのため、レゾネーターを外して撤去すれば当然ながら音が大きくなります。音がうるさい方が好きという人にはそれでも良いでしょう。

とは言え、吸気音が大きくなるといっても、レゾネーターを外しただけではメーカー純正のエアクリーナーボックスをそのまま使用しているので、ヒューという小さな音が聞こえる程度でキャブレター車みたいな豪快な吸気音にはなりません。

吸気音に迫力を出すには、アフターマーケット品の外部むき出しタイプのエアクリーナーに交換する方が、費用は掛かりますがその分きちんとした効果を発揮します。

パワーアップやレスポンスの向上は?

レゾネーターを外すことで音がうるさくなる以外に、エンジンのパワーアップやレスポンスの向上は期待できるでしょうか。

残念ながら、レゾネーターを外してもそのようなチューンナップ効果は期待できないでしょう。その理由はメーカー純正のレゾネーターには吸気時の不快な高周波音を低減すると同時に、共振器によってエンジンに吸い込まれる空気の流れを制御することで空気のタメを作り、低速域でのレスポンスを向上させるよう設計されていることも多いからです。

それはターボなど高性能車を始め、軽自動車などの小さな排気量のエンジンでも低回転域でのもたつきを軽減させるために、レゾネーター入り口の口径や内部の構造を工夫して設計しています。そのため、取り外してしまうとかえって性能が悪くなってしまいます。

軽量化には有効

このように、ただレゾネーターを外すだけでは吸気音のチューニングはもちろん、エンジンのパワーやレスポンスのアップもほとんど期待できません。そのようなチューンナップを希望する場合は、高価ですがアフターマーケット品の高性能エアクリーナーや純正交換タイプの高機能エアフィルターへの交換がおすすめです。

しかし、レゾネーターの取り外しについては唯一メリットもあります。それは車体の軽量化です。

エアクリーナーへの空気の流れを制御するレゾネーターは車体の最前部に設置されており、また、レゾネーターはポリタンクに良く似た部品でそれなりに重量があります。そのため、取り外すことでフロント周りの軽量化が実現し、ハンドリングの向上などが期待できます。

サーキットでスポーツ走行を楽しむ人は、車体の軽量化の一環としてレゾネーター外しを試してみましょう。

レゾネーターでマフラーの音量調整する方法

レゾネーターはエンジンの吸気音を低減するための装置ですが、それとは異なり排気管に装着して排気音を調整するレゾネーターも存在します。このようなマフラー用のレゾネーターについて説明します。

サブサイレンサーと呼ばれる消音装置のひとつ

マフラーをノーマルからアフターマーケット品に交換して排気効率を上げると、パワーアップなど性能向上が期待できますがノーマルに比べて音量がかなり大きくなってしまいます。

そこでエキゾーストマニフォールドと直結するフロントパイプと、テールパイプとの間に中間パイプとしてレゾネーター(サブサイレンサー)を装着することで、マフラーの性能を生かしつつ大きくなり過ぎた音量を低減させます。

排気管用のレゾネーターはタイコ型をしたステンレス製のパイプで、内部の構造は無数に穴が開いたパンチングメタル製のインナーパイプの周囲に、吸音、耐熱効果の高いメタルウールを巻き込んでいます。

価格も1万円程度と手ごろなので、手軽に排気音の調節をしたい人にはおすすめです。

レーシングカー張りの高周波サウンドに

排気管用のレゾネーターにはもう一つあります。それはヘルムホルツの原理を応用してテールパイプの途中に排気だまりの空間を設置するという、本来のレゾネーターです。

この方式でマフラーにレゾネーターを装着すると、排気音の低くこもった低音域の音が吸収され、まるでレーシングカーみたいなうっとりするような甲高い音色へとチューニングすることができます。

フェラーリやポルシェなどの高級スポーツカーでは、独特の排気音もブランドイメージの一つとなっていることから、開発時にはレゾネーターを装着してテストを重ね、胸が躍るようなエキゾーストサウンドへと調律されています。日本車ではホンダS2000などにもこうした排気音を調整するレゾネーターが装着されています。

また、アフターマーケット品のマフラーにもレゾネーター付きの製品が販売されています。材質は主にステンレスで、いい音を安く手に入れることができます。

レゾネーターをホイールに装着することのメリット

レゾネーターには吸気音や排気音といったエンジンノイズだけでなく、路面からのロードノイズを低減するためにホイールに装着するタイプもあります。

そのような、ホイール用レゾネーターについて説明します。

高速道路の接ぎ目を越える際の音を軽減

高速道路を走行中にパコーン、パコーンという不快な音が車内に響くことがあります。これは道路の接ぎ目を越える際にタイヤの中の空気が共鳴して発生する音です。こうしたロードノイズは、静粛性に優れた高級セダンなどに乗ると余計に気になってしまい、厄介な問題でした。

このような走行中の不快なノイズを解消するために、ホンダが開発したのが「ノイズリデューシングホイール」という画期的な部品です。この部品はタイヤとホイールとの間に中空構造となった樹脂製のプレートを挟み込むことで、タイヤ内の空気の共鳴音を低減させます。

この中空構造の樹脂製プレートにはホイールリムに沿って穴が空けられており、これがヘルムホルツの原理を応用して、プレートの中と外の空気を共振させることで不快な共鳴音を打ち消し、高速道路での静かで快適なドライブを実現します。

レゾネーターの取り外し方について

エンジンの吸気音を大きくしてパワーアップやレスポンスの向上が期待できると、ネット上で話題のレゾネーターを取り外す方法について説明します。

エアクリーナーボックス装着タイプの場合

エンジン内に送られる空気の流れを制御して吸気音を低減するレゾネーターは、車体の前部に取り付けられていますが、車によってボディやエンジンルームの形状が異なるため、場合によっては片方のヘッドライトを取り外す必要があったり、フロントのインナーフェンダーを外して脱着するなど作業が困難なこともあります。

比較的容易なのはエアクリーナーボックスにレゾネーターが装着されているケースです。この際は、まず純正のエアクリーナーボックスを取り外します。

エアクリーナーボックスに取り付けられているポリタンク状の部品がレゾネーターです。車種によっては外れないようにボックスにはめ込まれていて、切断するしかない場合もあります。ねじ止め式で装着されている場合はまずねじを外し、その後レゾネーターをゆっくりと引き抜くと外すことができます。

レゾネーターは車を静かで快適にする装置

レゾネーターについて、その成り立ちや仕組み、構造、また外した場合の効果や取り外し方を紹介しました。

昔の車は燃料供給装置にキャブレターが使われ、ズオーという吸気音が車内に響いて騒がしいのが普通でした。それが電子制御の燃料噴射装置へと進化したことで、エアクリーナーへと入る空気の流れを制御して音を静かにするレゾネーターが登場します。

この装置はヘルムホルツの原理を応用した共振器で、空洞の箱で空気を共振させて騒音を吸収し静かで快適なドライブを楽しむことができます。

しかし、スポーツカーが好きで吸気音が大きい方が良い人はレゾネーターを外しますが、それほど良い音とはならずに性能が低下します。やはり吸気音のチューニングには高性能エアクリーナーへの交換がおすすめです。

レゾネーターは車を静かで快適にする優れた装置です。あなたもぜひ愛車のボンネットを開けてその仕組みに注目してみましょう。

初回公開日:2018年04月21日

記載されている内容は2018年04月21日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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