タワーバーの効果・取り付け方法・効果なしのときの原因
更新日:2024年08月10日
タワーバーとは
タワーバーとは正式にはストラットタワーバーと言います。サスペンションの取り付け上部の左右を連結する棒で、フロントの場合はボンネットを開けるとストラットの取り付け部分を利用して連結されます。またリアの場合はリアのストラット上部に取り付けて連結します。
タワーバーにより左右のタイヤが上部でも連結されるので、ボディー剛性が上がる半面どちらか一方が損傷した場合、本来無事であるはずの反対側のストラットにも損傷が波及するデメリットもあります。
高性能のスポーツ車には、最初から装着されている車種もありますが、そうでない車にはユーザーが好みで装着する事があるパーツです。
タワーバーの効果
タワーバーを取り付けた場合の効果が、一般的に言われることはハンドリングの向上です。サスペンションが上部でタワーバーにより連結されて剛性が増すことにより、ハンドリングにシャープさが出るのでそういわれています。
車の剛性は、大きな開口部で走行中に大きなねじれが発生し、サスペンションを使い切ることができません。フロントのエンジンルーム内はサスペンション下部にサブフレームが付いているので剛性は出ますが、上部はがら空きなのでどうにもなりません。リアもトランク内は同じことが言えます。
通常はボディーがねじれて車の上下左右の動きを吸収しコーナリングしますが、ボディーのねじれが動きを吸収するので、サスペンションは100%性能を発揮できません。そこでタワーバーを入れるとボディー剛性が上がり、サスペンションストロークを大いに使うことができるようになり、車の動きはシャープになります。
フロントに付ける場合
タワーバーをフロントに取り付ける場合、ショックアブソーバーを上部で止めているストラットタワー同士を連結させます。
装着するとコーナリングの限界で操作性が良くなるのと同時に、車の左右に対するねじれがなくなり、サスペンションのストロークがフルに生かされて本来の操縦性能が発揮できます。
装着方法には一般にナットを利用してショックアブソーバーのアッパー部分に共締めされる形となりますが、レースなどでは完全溶接されて剛性が高められています。しかし一般道路を走行する場合では限界まで車を走らせることも無いので、その違いは感じられないでしょう。
リアにつける場合
リアにもタワーバーを取り付けることができますが、トランク内は複雑な構造をしているので、取り付けに工夫をしなければならない車種もあります。
取り付け後に感じることは、フロントよりリアのほうがゴツゴツ感が増すことでしょう。ちょっとしたギャップでもタイヤは路面を確実にとらえ、ドライバーが車の挙動をとらえやすくなります。
この他にはトランクからのきしみ音が無くなったり、開け閉めがスムーズになるなど、リアにつけるとフロントよりも違いを感じる事が多いでしょう。
純正品と社外品の違い
車の中にはスポーティーな車種には始めからタワーバーが純正装着されていますが、それを外して社外品に交換するメリットは全くありません。
しかし純正ショックアブソーバーから社外製の車高調に交換する場合は、純正のストラットタワーバーが取り付けできない事が多いでしょう。そこで社外製を購入する必要がありますが、選ぶ場合はネットオークションなどで安物を購入すると、対応車種でもネジ穴の位置がズレていたり、エンジンの補器類などと干渉し取り付けに困難を極める事があります。
社外のタワーバーを購入する際は、メーカーから直接購入するか、信頼ある販売店から購入をするようにしましょう。
タワーバーの取り付け方法
タワーバーを取り付ける際は、ストラット上部のナットを取り外して、そこに取り付けて終わりではありません。車はモノコック構造で、全ての鉄板が相反しあい、車の剛性やねじれなどを吸収しあっています。
そこで間違った取り付け方をするとその効果を発揮できないばかりか、適正な車の寸法を狂わすこととなり、操縦安定性を悪化させる事にもなるでしょう。
ジャッキアップ
タワーバーを付ける場合、ジャッキアップをして取り付けを試みる方がいますが、車の足回りには1Gの力が加わった状態で締め付けなければなりません。
一般車の場合、各足回りにはゴムブッシュが使われており、車体を持ち上げて締め付けたあとにタイヤを接地させて1Gがかかると、ゴムがねじれた状態になりストレスがかかります。ピロボールを使っていればジャッキアップしたまま締め付けても良いですが、ゴムブッシュではやってはいけません。
またジャッキアップしてストラットの上部のナットを外すと、ストラットが抜け落ちてしまうので、作業的にあまり良い方法とは言えないでしょう。
ジャッキアップをして取り付けた時にジャッキアップナシより効果があると感じる方もいますが、これは接地状態でボディーの寸法が歪みで狂っている事が考えられます。ジャッキアップして元の寸法に車体が戻る事で車体剛性が良くなったと感じるのでしょう。
フロント
フロントにタワーバーを取り付ける際、ストラットを留めているナットを外します。緩める場合固く締め付けられているので、メガネレンチを使用して緩めてから、ラチェットレンチを使用してナットを外すと良いでしょう。
ナットが外れたらストラットタワーバーを仮留めします。左右のタワーバーのステーを仮止めする事がポイントです。トライアングル形状のタワーバーはバルクヘッドにボルトで取り付けます。
全てのネジやボルトが仮留めされたら、バルクヘッドから締め付けていきます。その後は左右のナットを本締めして終了になります。テンションを付けることができるタワーバーもありますが、闇雲にテンションを掛ければよいというわけではありません。ニュートラルが基本です。
ストラットの穴の位置もボディー寸法図では重要な場所であり、テンションを掛ける事でその位置に狂いが生じることは車の挙動の乱れに繋がってしまうでしょう。
リア
リアにタワーバーを取り付ける場合は、内張りを剥がし手作業する必要があります。トランクの内張りは車種により大きさが異なりますが、左右のストラットアッパーが見えるようになるまで外す必要があります。
ストラットタワーが見えたら、ショックアブソーバーを留めているナットを外します。外す際は固く締め付けられているので、メガネレンチで緩めてからラチェットレンチで一気に回して外すと良いでしょう。
ナットが外れたら、タワーバーのステーをストラットのボルトに合わせてはめ込みナットで左右仮止めします。仮止め後、バーを取り付けてナットを全て締め込みます。タワーバーの調整はニュートラルになるように調整しますが、その際にテンションを掛けないよう注意して調整しましょう。テンションをかけ過ぎるとボディー寸法の基準値を狂わすことになり、車の挙動に影響が出ます。
おすすめタワーバー
タワーバーの種類には材質やパーツの組み合わせに違いがあります。素材に関しては、鉄、アルミ、カーボンあります。強度と値段を考えれば鉄が良いですが重量増となるのがデメリットです。その点高価ではありますがカーボンのタワーバーは強度もあり軽い事がメリットです。
タワーバーにはストレートタイプのジョイント式と、ジョイントレスのトライアングル式、ストレート一体型とに分かれます。
この中で一番おすすめは、ジョイントレスのトライアングル式ですが、取り付け穴が合わなく苦労するのがデメリットです。簡単に取り付けられるタイプは、ジョイント式となりますが、デメリットとしてジョイント部の増し締めが必要になってきます。
ジョイント式でも調整タイプがありますが、こちらはおおすすめしません。調整式は部品点数が多くなるので、耐久性が落ちる事と、調整の仕方で車を壊す事があるからです。
タワーバーの効果なしのときの原因
タワーバーをつけて効果が無い原因は、古い車種でブッシュが劣化していたり、新しい車でもブッシュが柔らかいタイプを使っていると街乗りでは効果は感じられないでしょう。
しかし、40km/hほどのスピードでコーナーを曲がる時に車はねじれが起きます。タワーバーが無いとロールが抑えられ車は姿勢変化をそれほどせずにコーナーを曲がりますが、タワーバーを付けて同じ速度で同じコーナーに進入した場合、ボディーのねじれは起きずにその分ショックアブソーバーが沈み込み車がロールします。
これはボディーのねじれでコーナーを曲がろうとせず、きちんと足回りの動きでコーナーを曲がる事に変化しているからです。この時に純正の足回りではストロークのキャパシティーが不足し乗りにくい車になる場合があります。そこでタワーバーの性能を発揮させるには、トータルでチューニングする必要があるでしょう。
取り付け方法の確認
車は走行していれば振動がでるので、その振動によりタワーバーの取り付け部分が緩んでくることがあります。特にジョイント部分は緩みやすいので一定の割合で締め付けを確認する必要があります。
また取り付けを完了して最初の走行で効果が感じられない場合は、取り付けの不備が考えられます。取り付け時にナットやボルトが確実に締められているか確認しましょう。
このほか、ジャッキアップして取り付けてしまった場合は、ブッシュに反発力がかかるので、効果を実感できない事があります。ジャッキアップしての取り付けで本締めする場合は必ずタイヤを接地させ、1Gをかけて本締めしましょう。
タワーバーの自作方法
タワーバーは新品を購入すると安い物でも10,000円以上しますから、格安で自作方法を紹介します。
基本的に左右のストラットを繋ぐことを考えればよいので、ホームセンターに売っているステンレスパイプで十分使えます。
作り方は、ストラット上部は2ヵ所で止めるようにします。そこで車種にもよりますが約20cmのパイプを両端ハンマーでつぶし、ストラットのボルト穴が通る穴をドリルで開けます。片側をストラットのナットで止めて、もう片方を頂点とする二等辺三角形を作るように止めます。
両側のストラット上に2本のパイプで二等辺三角形を作ったら、その頂点にバーを取り付けます。車により部品が当たるのでそれを避けるように曲げたり潰す必要がでてきますから、現車合わせしながら作成します。
何処にも干渉しないように取り付けができれば、ボルトとナットを利用してバーと三角形の頂点を左右で留めて完成です。
タワーバーの乗り心地
タワーバーを取り付ける事で乗り心地はかなり変わってきます。特に段差を乗り超える際には、足回りがしっかりと仕事をしている事がわかり、今までより振動がボディーに伝わらなくなります。
また、車の剛性が上がるので、きしみ音が無くなるといったメリットと、でこぼこした道を走るとステアリングが微動だにしないメリットがあります。車体からのキシミ音が軽減され、ショックアブソーバーのストローク範囲内では、突き上げ感もマイルドになります。
悪化する原因
タワーバーを取り付けて悪化したと捉える場合は、路面からの情報が豊富に入るので、ハンドルがシビアになることからそう感じる方が多いでしょう。また、ショックアブソーバーのストロークを超えるギャップでは、車体の突き上げが急に来るので、乗り心地が硬くなったと感じるでしょう。
そこで悪化したと感じたら外して同じ道を運転していると良いでしょう。人間の感覚はかなりいい加減なので、交換前と交換後で比較すると、本当に悪化しているのかがわかるはずです。
仮に本当に乗り心地が悪化している場合は、取り付け方法が間違っている事が考えられます。調整式であればテンションのかけ過ぎが考えられ、また古い車ですとボディー剛性が落ちているので、タワーバーを取り付けたことで剛性が高くなり、乗り心地が悪くなったと感じる事が多いです。
タワーバーの注意点
タワーバーを取り付ける注意点は、取り付けの際に方向と向きがあるので、取り付けできないと早合点せずに工夫をしてみましょう。また、ストラットのナットは足回りで重要な部分ですから、工具やサイズを適正なものを使用して、ナットをなめるようなことのないよう作業しましょう。
取り付け後の注意点として、サスペンションが動くようになるので、ショックアブソーバーのストローク以上は車はロールしません。そこでタワーバーを付けてコーナー進入速度が高いと、ロールアンダーステアの現象が起きます。この時にいくらステアリングを切っても車は曲がりませんので、コーナーの進入速度に注意が必要です。
このロールアンダーステアを改善するには、ストローク量の多いサスペンションに変更すると良いでしょう。ただショックを固くしてもある程度緩和されますが、ストローク量が同じであれば、気休めにしかなりません。
タワーバーの効果を楽しもう
タワーバーを付けると効果がはっきりと変わった事に気が付くはずです。もし効果なしと感じたら一旦外して走ってみましょう。性能が上がった事より悪くなった方が人間の五感は感じやすいからです。
タワーバーはコストが安い割に非常に実感しやすいお手軽チューニングです。自分の走るステージに合わせてタワーバーを選んだり、セッティングを替えたりすることで車はもっと楽しくなります。タワーバーをいくつか取り付けたり外したりしながら、その動きの違いを楽しむのも面白いでしょう。
初回公開日:2018年04月06日
記載されている内容は2018年04月06日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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