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【メーカー・車種別】ツインカムの評判とエンジンの仕組み

更新日:2024年11月12日

かつて国産の自動車メーカーがスポーツカーの馬力競争をやっていた時代、ツインカムといえばスポーツカーのエンジンの代名詞でした。そのようなツインカムエンジンは、今でもその魅力を失っていません。ここでは、高性能エンジン技術のツインカムについて紹介します。

【メーカー・車種別】ツインカムの評判とエンジンの仕組み

ツインカムエンジンの仕組みについて

ツインカムはカムが2つ

エンジンの構造を簡単に説明すると、上下に動くシリンダーを中心に、下にエンジンの動力を伝える回転軸があり、上に吸気と排気のバルブと点火プラグが配置されています。

シリンダーが下がるタイミングで吸気バルブが開き、ガソリンの混じった混合ガズ入ります。また、ガソリンが爆発してシリンダーを押し下げた後、シリンダーが上がってくるタイミングで排気バルブが開き、排気ガスとして排出します。

この吸気バルブと排気バルブを開けるタイミングは、エンジンが高回転で動くほど細かい精度が必要です。そのため今のエンジンは、シリンダーの上にエンジンの動力で回る軸を取り付け、微妙なタイミングを調整したカムを設置して、吸気バルブと排気バルブを動かしています。

単にツインカムとも呼ばれるツインカムエンジンとは、吸気バルブと排気バルブを動作させる軸が2本あるエンジンのことです。

ツインカムのメリット

ツインカムは、シリンダーの上に軸を2本設置するため、エンジンが重く複雑になります。しかし、大きなメリットもあります。

一般的なガソリンエンジンは、回転数が上がると、シリンダーに混合ガスを入れたり、燃焼後のガスを排出する時間が確保できず、ガソリンによる爆発の威力が下がってパワーが落ちてきます。

そのため、回転数を上げるためには、吸気や排気の穴を大きくしなければなりません。しかし、シリンダーの直径が限られているので、バルブ用の穴の大きさも制限されます。

ツインカムでは、このバルブ用の穴を2つ設けることで、吸気と排気の効率を上げています。

ツインカムは低燃費も

ツインカムの特徴は高回転高出力ですが、メリットはそれだけではありません。最近のエンジンは低燃費が特徴です。そして、低燃費を実現するためには、エンジンの回転数に応じた小まめな制御が必要です。

例えば回転数が低い場合は、確実に燃焼するように濃い混合ガスをシリンダーに入れなければなりません。また、回転数が高い場合は、短時間に混合ガスと排気ガスを入れ替えしなければなりません。

そこで国産の最新低燃費エンジンでは、シリンダーの上に配置した2つのカム軸を利用し、回転数に応じて吸気バルブを制御する技術が使われています。このように、ツインカムエンジンはエコカーにも搭載されています。

ツインカムとツインターボの違い

ツインカムとターボは相性がいい

高速回転でもパワーが出るツインカムですが、残念ながら弱点もあります。特に顕著なのが、低速領域でのパワー不足です。これは、吸気の穴が大きいことで、低速中はガソリンの薄くなるのが原因です。

そのためレーシングカーでは、吸気側にターボを取り付けて、混合ガスを圧縮するエンジンを利用しています。スポーツカーでもツインカムターボエンジンは、高性能エンジンの代名詞です。

そのようなターボですが、ツインカムと似た言葉でツインターボがあります。これは、ツインカムがカムが2つのことと同じように、ツインターボとはターボが2つあることです。

ツインターボとは

ツインターボはターボが2つあることと説明しましたが、これを具体的に解説いたします。

まずターボとは、エンジンの排気ガスのエネルギーを使って、吸気ガスを圧縮する仕組みです。そのため、ターボ装置をエンジンのシリンダーから出ている排気管が集まった場所に取り付けます。その後、排気管はマフラーを経由して排出されます。

小さなエンジンではマフラーは1つですが、大きなエンジンでは排気管がエンジンの左右に配置されており、それぞれマフラーに繋がっています。そしてこういったエンジンでは、それぞれの排気管にターボ機構を取り付けます。

このように、1つのエンジンに2つのターボが付いている場合、これをツインターボと呼びます。ツインカムとは別物なので注意してください。

ツインカムのステッカー

かつては、ツインカムと言えばターボと並ぶ高性能エンジンの証でした。そのため、カー用品店にはよくツインカムのステッカーが売られていました。また、リアにそういったステッカーを貼った車もよく見かけまいした。しかし、今ではすっかり見かけなくなってしまいました。

メーカー・車種別ツインカムの評判

ホンダ

一般的には、ツインカムエンジンと言えば、DOHC(ダブルオーバーヘッドカム)エンジンのことを指します。

そして、国産メーカーでツインカムエンジンを初めて量産車に採用したのはホンダでした。そのため、ホンダのスポーツカーといえば、必ずツインカムエンジンを搭載していました。

特に1990年代後半に登場したシビックタイプRに搭載されたツインカムエンジンB16B型は、究極のツインカムエンジンと言われています。

そして、今のホンダを代表するスポーツカーのシビックTYPE Rは、2Lのツインカムターボエンジンを搭載しています。このエンジンは、ホンダ独自の可変バルブシステムVTECの効果により、低回転から高回転まで胸のすく吹け上がりが楽しめます。

トヨタ

かつてトヨタは、ツインカムがレーシングカー向けの特別な仕組みだった時代に、ラインアップしているほとんどの車種に、ツインカムエンジンを搭載したモデルを設定していた時代がありました。

また、往年のモータースポーツファンなら、ツインカムのトヨタセリカと、ターボの日産スカイラインのバトルを思い出すのではないでしょうか。

それほどツインカムに力を入れていたトヨタは、今はツインカムエンジンをベースにした、低燃費エンジンを開発しています。

それはツインカムを利用することで、吸気バルブと排気バルブを細かく調整できます。トヨタは、これに独自の可変バルブ機能を組み合わせることで、ハイブリッド車にも搭載される低燃費エンジンを実現しました。

16バブル

今の2000cc以下の国産車が搭載しているエンジンは、ほぼ4気筒エンジンです。そしてツインカムでは、1つのシリンダーに吸気バルブを2つ、排気バルブを2つの計4つのバルブで構成されています。

そのため、ツインカムの4気筒エンジンは、16個のバルブによって動いています。また、16バルブと言えばツインカムの別名の意味もあります。

ハーレー

車のエンジンでツインカムと言えば、DOHCエンジンの別名ですが、ハーレーファンにとっては違う意味です。

ハーレーといえば、V型ツインエンジンと搭載した、いかにもアメリカを感じさせるフォルムに特徴のあるバイクのメーカーです。そして、このV型ツインエンジンは、OHV(オーバー・ヘッド・バルブ)エンジンです。

なおOHVエンジンは、シリンダーの上には吸気バルブと排気バルブしかなく、シリンダーの下の回転軸に取り付けられたカムと、それで上下する長い棒を使って各バルブを動作させます。

OHVエンジンは、高回転ではパワーが出ない欠点がありますが、大きな排気量のエンジンでもコンパクトに作れるメリットがあり、アメリカでは多く使われているエンジンです。

また、ハーレーのツインカムとは、シリンダーの大型化に合わせて従来1つだったカムシャフトと2つにしたツインカム88エンジンのことを指します。

88キャブ

ハーレーのツインカムエンジンとして有名なのが、88キャブことキャブレター仕様のツインカム88エンジンです。88とは、このエンジンの大きさが88キュービックインチだったことに由来しています。ちなみに、88キュービックインチは1450ccに相当します。

そして、ツインカム88エンジンには、「キャブレター仕様」と「インジェクション仕様」がありました。「インジェクション仕様」は、エンジンに送る混合ガスをコンピュータで制御する機構であり、「キャブレター仕様」は昔ながらのキャブレターで混合ガスが作る仕組みです。

ハーレーといえば、その独特のエンジン音が特徴ですが、「キャブレター仕様」の方が昔ながらの音に近いと言われています。そのため、ハーレーファンによっては、自分で調整できるキャブレター仕様のツインカム88エンジンがいい、という方もいます。

高出力にも低燃費にもツインカム

今の時代は、低燃費でしかも高出力なエンジンが求められます。例えば、信号の多い町の中を走る車は、その燃費が気になります。しかし、高速道路では加速できなければ、車の流れに乗れません。

このような2つの要求を満たすのがツインカムエンジンのメリットです。もちろん、チューニング次第では、スポーツカーのエンジンとして十分な性能も発揮します。

そして、今のツインカムエンジンには、国産自動車メーカーが持つ高度な技術が詰まっていることをぜひ理解してください。

初回公開日:2018年02月06日

記載されている内容は2018年02月06日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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