ハブベアリングの交換の仕方・異音の原因や症状・交換費用相場
更新日:2024年08月09日
ハブベアリングの構造
車はタイヤが転がる事で動くことができますが、タイヤがスムーズに転がることができるように、ハブベアリングが使われています。ハブとは、ブレーキとホイールを固定する部品で、ハブナックルという車体への保持部材にベアリングを介して取り付けられています。
ハブベアリングには、小さい球やローラーを幾つも使ったものがあり、タイヤと一緒に回転するので、この部分に不具合が出ると異音や振動が発生します。走行中にハブベアリングに異常が出たことを「ハブベアリングのガタ」といいます。それほど頻繁に起こる症状ではありませんが、放置すれば走行不能に陥り最悪は重大事故に発展する事もあります。
ハブベアリングの場所
ナックルに封入されたハブベアリングは、車の全てのタイヤの軸受け部分に取り付けてあります。ハブベアリングは、タイヤを外しただけでは見ることができません。
タイヤを外してディスクブレーキやドラムブレーキを外すと、ハブナックルの全容が現れます。その中心にベアリングが圧入されていて、ベアリングの状態にもよりますが、グリスアップする事で異音を軽減したりタイヤの転がり抵抗を抑えることができます。
ハブベアリングの交換の仕方
ハブベアリングを交換するには、車からナックルを外さなければ交換できない車種や、ハブのみ外せる車種など外し方はは車種により違いがあります。またリアはドラムブレーキのドラムに圧入してある車種もあります。
車をジャッキアップさせてからリジットラックで車を保持させます。その後にタイヤを外して、ディスクブレーキまたはドラムブレーキを外しハブを車体から外します。
ハブベアリングの外し方は、プレス機を使いハブから外しますが、ハンマーを使いベアリングを抜く荒業もあります。しかし、かなりの労力がいるでしょう。
必要工具
ハブベアリングの交換はブレーキ廻りをバラスので、非常に多くの工具が必要になります。メガネレンチやボックスレンチの各サイズの他、ハンマー、スライドハンマーなどが必要になります。また圧入式のハブベアリングを外したり圧入するのにプレス機が必要となるでしょう。
(STRAIGHT/ストレート) スライディングハンマーセット 19-9431
自動車板金修理や、足回りの分解作業には欠かせないツールです。ホイールハブプーラーは、PCD:95.25~114.3(mm) と幅広い車種のドライブトレーンの修理に利用できます。7種類のアタッチメントが付属しているので、アイディア次第で幅広い修理方法に対応できます。
ハンマーの重さは2.2Kgなので、ハンマーをスライドさせる際に指を挟まないよう中央をもって使用します。抜き取り対象物に斜めに使用すると、対象物を破損させる恐れがあるので、必ず対象物に対し垂直に使用します。
重機の足回りに使いました。パンパンで、簡単に修理が終わってしまいました。プーリーも、簡単に抜けたー!重みがあるため、頑張らなくても、トントーンで外れました。良いんじゃなーい!
出典: https://www.amazon.co.jp/STRAIGHT-%E3%82%B9%E3%83%88%E3%8... |
DIYできるか
ハブベアリングの交換は、熟練した技術と道具が無ければ交換作業は難しいでしょう。ある程度自分で車のメンテナンスを行っている方なら、ドライブトレーンを分解することはできますが、ベアリングの脱着はプレス機が無ければ困難を極めます。
ベアリングを抜くときにはハンマーで力ずくで外すことができますが、圧入の時には新品のベアリングが破損しないように注意しながらあて板を使って慎重に、しかも力いっぱい叩かなくてはなりません。
このことから、DIYでハブベアリングを交換するのは、難しいでしょう。どうしてもDIYで交換にチャレンジしたい方は、ハブベアリングを整備工場に持っていき、ベアリングの交換だけ依頼するのがよいでしょう。
ハブベアリングからの異音の原因・症状
ハブベアリングが傷むと車を走らせている時に異音が聞こえてきます。その音は窓を閉めた車内にも聞こえてくるので、車に異常がある事は誰でもわかります。
ハブベアリングが、損傷する原因は過走行によりベアリングがすり減ったりベアリンググリースの劣化によることが多いでしょう。まれに縁石などにタイヤを強くヒットした時にもハブベアリング内部の損傷が起きる事があります。
ハブベアリングが損傷すると、ガタつきが出るのでタイヤがフラフラしてしまい走行が不安定になります。また、ハンドルを切るとガタが出るので、振動がハンドルに伝わってくるでしょう。
ベアリングの損傷は、タイヤをスムーズに回転させることができないので、燃費の悪化にもつながります。
異音の種類
ハブベアリングが損傷すると異音が聞こえてきますが、その異音は走行中に「ゴー」や「ジー」といった音で聞こえてきます。このような音がすればハブベアリングの損傷が考えられます。
比較的新しい車でも縁石にタイヤをぶつけたり、道路の穴に速い速度で落ちてしまうと、ベアリングが破損してしまう事があります。新しい車で異音が出た時に、この2点に身に覚えがあればハブベアリングを疑ってみる必要があります。
放置した場合どうなるのか
ハブベアリングから異音が発生しているにもかかわらず、そのまま放置して乗り続けるとやがてタイヤは回らなくなります。これだけで済めばよいですが、高速道路走行中にベアリングが完全に破損してタイヤが止まってしまうと大事故に繋がるでしょう。
異音やハンドルに振動が伝わったり、車の挙動がおかしいと感じるような今までと違った症状が出た場合には、そのまま放置せずに早めに修理工場で点検を受けなければ危険です。
ハブベアリングの交換費用相場
ハブベアリングには色んなタイプがあります。最近の車種で多いのは、ベアリングを抜き取れないハブと一体型の物です。このハブと一体型だと工賃込みで車種にもよりますが約4万円近くするでしょう。
ベアリングのみで交換ができる場合は、15,000円から30,000円で交換できることが多いですが、足回りの種類によって作業工程が変わってくるので、工賃に開きが出ます。また車種によっても外側と内側にベアリングを2つ使っている車種もありますから、部品代も車種により大きく違ってきます。
ディーラー
ハブベアリングの修理をディーラーに依頼すれば、片側で工賃15,000円~30,000円ほどかかるでしょう。ベアリングの値段が5,000円程度なので、トータルで20,000円以上かかる事になります。ただし車検整備の時に依頼すると、24か月分解整備があるので、ハブベアリング交換はベアリング込みで15,000円~となることが多く、車検時であればお得です。
しかし車検時に交換するタイミングであればよいですが、普段の走行でハブベアリングが故障してしまえば、かなりの出費になるでしょう。
ハブベアリングの平均寿命
ハブベアリングはそう簡単に壊れる部品ではありません。15万キロ走っても異音が出ない車もあります。車の種類や運転の仕方も関係しますが、FF車では駆動しながら操舵するので、ベアリングが傷みやすくなります。しかし車の足回りを純正のまま使用していて定期点検していれば、10万キロは持つと考えてよいでしょう。
ハブベアリングには、純正でもともと容量の小さい物や車の設計の問題で、早めにベアリングが劣化する事があります。この他、ハイグリップタイヤや車高調を入れてアライメントを極端にセットしている場合は、ハブベアリングへのダメージが大きくなり、早めに劣化してしまうでしょう。
ハブベアリングは頻繁にトラブルが発生する部品ではありませんが、縁石にタイヤをぶつけたり、純正以外のパーツなどを装着するとトラブルを発生させる危険がある事を知っておくと良いでしょう。
ハブベアリングの点検方法
ハブベアリングで異常が起こりやすいのはフロント側です。それはフロントは操舵しているので負荷がかかりやすいからと言われています。そこでハブベアリングのチェック方法ですが、車をジャッキアップして、リジットラックに車を乗せます。
簡易的な方法であればタイヤを装着したままでもできますが、外した方がハブベアリングのガタがよくわかります。タイヤを外してブレーキローターを掴みます。この時にローターが外れてしまうので、ホイールナットで止めておきます。ローターの上下を両手で持ち揺すります。この時にガタがあるとハブベアリングの不良が考えられます。
しかしこのガタの判断には、経験が必要な部分もあるので、一般ユーザーが判断する方法としては、走行中の異音やハンドルを切った時に、音が変化するかどうかで判断すると良いでしょう。
ガタ
ハブベアリングのガタを見る方法として、ローターを掴んで動かしても、この方法ではボールジョイントやストラットなどの不具合と見分けがつかないので、ブレーキを効かせて再度揺すってみるとよいでしょう。
理由としては、ブレーキキャリパーはナックルにボルトで止められており、ブレーキを踏むことでディスクが固定されます。その状態だとナックルにハブベアリングが固定されることになり、ベアリングにガタがあっても動くことがありません。
しかし足回りのボールジョイントなどに不具合があれば、ブレーキを踏んでいてもガタが出ますから、ブレーキを踏んでガタが出なければハブベアリングにガタがあり、ブレーキを踏んでもガタが出れば、ハブベアリングを含む他の場所にもガタがあると判断ができます。
ハブベアリングのグリスアップにおすすめのグリス
最近の車は圧入式のベアリングなので、ベアリングのグリス交換の必要は全くありません。したがって、ハブベアリングのグリス交換時期などの指定も無いので、ベアリングの異常に気が付いた時には、ベアリングの交換をするしかありません。
バスやトラックなどは、車検時にベアリングを分解清掃して新しいグリスを注入する作業があります。この他旧車などではベアリングにグリスアップする必要がある車種もあるので、20年以上前の車に乗っている方は注意しましょう。
グリスアップするにはベアリングを外して綺麗に洗浄したのちに、新しいグリスを充填してベアリングを組み立てます。
Omega(オメガ) 57 ハブベアリング用 極圧グリス 100gチューブ [HTRC3]
極圧性で、水、チリ、汚れをシャットダウンし耐熱性にも優れたグリスです。外部からの水分で乳化することも無く粘着性にすぐれているので、ベアリングがグリス切れになる事がありません。またグリス自体がシール性を持っているので外部からの異物進入を抑えることができ、全てのタイプのベアリングに使用できます。
古いバイクのOHでハブ、ステムなどに使用しました。
出典: https://www.amazon.co.jp/Omega-%E3%82%AA%E3%83%A1%E3%82%A... |
硬さも、バイクに乗った際の使用感も満足。
ハブベアリングのおすすめの交換時期
ハブベアリングは、新車から購入して一度も交換せずに一生を終える車種もあるでしょう。最近のハブベアリングは非常にタフで、10万キロでもびくともしない車種もあります。
車に乗っていていつもと違う異音がしたり、ハンドルを切った時に車の挙動が変だったり燃費が悪くなった場合は、修理工場に点検の依頼をしましょう。ハブベアリングが異常の可能性があります。
異音や振動は車の叫びです
最近の車はハブベアリングの交換頻度は昔ほど多くはないでしょう。しかしここまででご説明したように、異常が出たら直ぐに修理をしないと他の部品に悪影響を与え、さらに大きな出費に繋がるばかりか重大事故を引き起こす可能性があります。
車からの異音や振動は、車の不具合のサインですから、少しの変調でも車を点検して安全なカーライフを送りましょう。
初回公開日:2018年03月08日
記載されている内容は2018年03月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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