車のハロゲンライトとHIDライトの違い・特徴|明るさ/寿命
更新日:2024年09月30日
車のハロゲンライトとHIDライトの違い
車のヘッドライトの種類には、ハロゲンライト、HIDライト、LEDライトの3種類が主流に使われています。ハロゲンライトとHIDライトは発光の仕組みが全く違うので「光」意外にも多くの違いがあります。
ハロゲンライトは白熱球と同じタングステンのフィラメントに通電させて発光させています。内部にアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスにハロゲンガスを微量に混ぜる事で白熱球より明るくしています。
一方HIDは、ハロゲンライトより少ない電力消費量で2~3倍の明るさを得られることから近年では純正採用される車種も増え、ハロゲンライトからのコンバージョンキットが販売されています。HIDランプはhigh-Intensity discharge (高輝度放電)の略語で電極間の放電により発光します。ハロゲンライトのようにフィラメントが無いので長寿命となっています。
明るさの違い
ハロゲンライトはルーメン値(全方向に出している光の総量)を見るとHIDより約2,000ルーメンほど低くなります。また光の色もハロゲンライトは淡黄色ですからHIDライトのような白い色に比べると暗いと感じる事でしょう。
しかしルーメンはくせ者でヘッドライトバルブ単体での性能です。ハロゲンライトを車両に取り付けると内部のリフレクターで反射させたりプロジェクターで集光させて路面を照らしますから、バルブを純正以外に交換するとそのバランスが崩れ、ルーメン値は高いのに地面にうまく照らすことができずに暗くなってしまうことがあります。
しかしハロゲンライトより明るさでは1.5倍から2倍近い明るさがあるので、ハロゲンライトからHIDライトに交換すれば凄く明るくなったと感じるでしょう。
消費電力の違い
ハロゲンライトは電力消費量が多いので、エンジン停車時とエンジン始動後では明るさの違いが顕著に現れます。HIDライトの場合は電力消費量がハロゲンライトに比べ、およそ半分ですからエンジン停車時も始動後も明るさに変化はほとんど感じられないでしょう。
ハロゲンライトの点灯時に消費する電力は製品によっても異なりますが、約5AでHIDライトは約2.5Aが一般的です。しかしハロゲンライトに比べHIDライトは点灯時に非常に多くの電力が消費されますからバッテリーが弱い時に点灯不良を起こす事があります。
発熱量
ハロゲンライトは熱を持つことが多く知られていますが、実はHIDライトも発熱量が多いです。35WのHIDライトは55Wのハロゲンライトと同レベルの発熱量がありますが、より大きい55WのHIDライトを使うと70Wのハロゲンライト相当の発熱量となります。
意外に発熱量が少ないと思われがちのHID ですが、実はハロゲンライトとそれほど変わらない発熱量があります。そこでハロゲンライトからHIDに換装する場合バーナーがハロゲンバルブより長いので、ヘッドライトユニットのプラスチックレンズを痛める可能性があるので注意が必要でしょう。
ハロゲンライトのHID化のメリットとデメリット
消費電力の少ないHIDランプは、信号機のたびにエンジンがストップする最近のエコカーでは関心を寄せる人も多いでしょう。
ハロゲンランプからHIDランプに交換するメリットとしては、今までより格段に明るさが増し、消費電力が抑えられるのでバッテリーにも非常に優しいでしょう。
変わってデメリットは、HIDライトキットを装着するにはバラストと呼ばれるパーツと配線の取り付けが難しいので、専門業者に依頼するなど取り付け工賃が発生します。またバーナーは300℃を超える高温となるので取り付け時にヘッドライトレンズとのクリアランスが無いと熱でレンズを痛めてしまうので注意が必要です。
安物のHIDユニットの中には、耐久性に問題がある粗悪品も数多くなるので、HIDユニットを選ぶ際にもよく吟味する必要があるでしょう。
HIDライトの特徴
HIDランプは、12Vや24Vのバッテリー電圧をイグナイターで約20,000Vまで昇圧させ、高電圧の放電により点灯させる仕組みなので蛍光灯に似たシステムのヘッドライトといえるでしょう。
ライトの点灯の仕方に独特の特徴があり、最初に「ピカッ」と付いてから次第に明るさが増して安定します。点灯速度は速いですが明るさがMAXになるまでにタイムラグがあります。安定すると輝白色・青白色など透き通るような非常にキレイで明るい光が特徴です。
HIDのバーナーは色温度を選ぶことができ、ケルビン数の数字が大きくなるほど青白い光となり数字が小さいと黄色い色となるので、ファッション性を重視してより青白いHIDを好む人もいます。
ハロゲンライトのHID化で車検は通る?
ハロゲンライトからHIDに換装する場合、車検に合格しない事例が多くないっています。それは車検の方法が従来のハイビーム検査からロービーム検査に変わったことが原因です。
ヘッドライトバルブには種類があります。その中でH4バルブはロービームとハイビームを一つのバルブで切り替えられるバルブです。このバルブの場合、ロービームで測定するとHIDだと光量が強すぎてカットラインが狂い測定不能になる可能性があります。
色温度は2500ケルビン以上と決められており、車検に合格できる色は白色でなければいけませんが、平成17年12月31日以前の車は「白色または黄色」となっています。
上限のケルビン数は決まっていないので色を見るのは検査官の裁量ですから、実際に販売されているHIDを考えた時に6,500ケルビン以下が無難な数字といえます。
ハロゲンライトの特徴
ハロゲンライトは車用として初めて登場したのが1960年代で、明るくて寿命も長い事から1980年代に入り急速に一般車両に普及しました。
安価で長寿命で明るい事から、現在でも世界中の車の主力はこのハロゲンヘッドランプです。アフターパーツの中にはより明るいハイパワーハロゲンライトも販売されており、価格も数千円で購入できます。
交換も自分で簡単にできることも手伝い、世界では自分好みのハロゲンバルブに交換する人たちが非常に多くいます。
明るさ
現在HIDランプやLEDランプが販売されている中で、ハロゲンランプはそれらに比べると暗いのは否めません。
ハロゲンランプの色温度は3200K程度なのでやや黄色がかった色が特徴です。色温度を上げていくと白くなりますが雨の日などはかえって見にくくなってしまいます。
HIDランプの車に乗ったことがある人なら、ハロゲンランプには戻れないと感じるほどハロゲンランプは暗く感じられるでしょう。
寿命
ハロゲンランプの寿命は300時間から500時間と言われ使用頻度にもよりますが、2年から3年で切れてしまいます。HIDランプやLEDランプが登場してからは寿命が短いと言わざるを得ないでしょう。
しかしハロゲンランプは交換を前提に設計されたヘッドライトなので、交換作業が簡単なことが長所でしょう。今の教習所ではハロゲンバルブの交換方法の注意点なども授業に入っているほどなので、誰でも交換できるメンテナンスといえます。
色など
ヘッドライトには色の種類が黄色、白色、青白色と大きく3つの色が車のヘッドライトには取り入れられています。純正色は淡黄色がほとんどで、これを白くするハイパワーハロゲンランプなども販売されていますが、雨降りなどでは見にくくなってしまうでしょう。
人間の目は黄色に反応すると言われており、ケルビンを上げた場合の青白い色には反応しにくくなります。色は純正と同じレベルがハロゲンライトでは一番見やすいでしょう。
ハロゲンライトの交換の仕方
ハロゲンライトの交換はコツさえつかめば非常に簡単に行うことができます。車種によりますが工具は必要なく外すことができますので、急なライト切れでもハロゲンバルブが手に入ればすぐに交換することができます。
交換方法は、ボンネットを開けてライトの裏側を見ます。そこの丸い黒いゴムが取り付けてある場所がハロゲンライトのバルブを格納している場所です。そこにコネクターの配線があるので引っ張って外しますが車種によっては、コネクターの端をつまんでロックを解除しながら引き抜くタイプもあるので注意して引き抜きましょう。
コネクターが外れたら丸い黒いゴムを引き抜けばハロゲンバルブの後ろ部分が見えます。ハロゲンバルブはスプリングのピンでひっかけて止まっているだけですから、そのピンを外せばハロゲンバルブが取り外せます。
注意点はハロゲンバルブのガラス面は素手で絶対に触らないようにする事です。
バルブの種類
ハロゲンライトには数種類のバルブの形があります。主なタイプは2灯式ヘッドライトと4灯式ヘッドライトでバルブの形が違います。形状は取扱説明書に乗っていますから確認が必要です。取扱説明書が無い場合は、実物を外してガラスのバルブの下に書いてある品名を見るのが一番良いでしょう。う
H1は4灯式ヘッドランプに主に使われH4は2灯式ヘッドライトに使われています。この他にもH3やHB3などがあるので、購入の際は間違って違うタイプを購入してしまうと取り付けることができないので注意してください。
明るいハロゲンライトへの交換
ハロゲンライトはフィラメントが焼失してもハロゲンガスにより化学反応により再付着させることでより明るく長持ちさせています。古くなったからといって新品のハロゲンライトのバルブより暗くなっているかどうか見分けるのは難しいでしょう。
そこで暗いと感じたら安全のためにも、よりハイワッテージのハロゲンライトと交換するのも一つの方法です。
ハロゲンライトの平均値段・価格
ハロゲンライトのバルブはそれほど高くないので購入しやすい部品といえます。例えば純正採用もされている小糸製作所のハロゲンバルブならば、一番多いH4タイプでも700円から800円程度で販売されています。特殊なH8やH11などでも1,000円ほどで購入できます。
このことからハロゲンライトのバルブは消耗品としては非常に交換しやすいアイテムなので切れたら直ぐに交換しましょう。
明るいハロゲンライトの値段
ハロゲンライトのバルブには純正品よりハイワッテージの明るい事をうたい文句にしている商品が数多く販売されています。これらは数千円で購入できるものがほとんどですが、あまり明るさに変化がない商品があるのも実情です。
高い商品だと1万円を超えるハロゲンバルブもありますが、そこまで高額なハロゲンライトのバルブを購入するなら、HIDライトやLEDライトを買ったほうがライトを明るくすることができるでしょう。
技術進歩でライトも変わっていく
ハロゲンバルブとHIDの違いや特徴について解説してきました。ハロゲンライトからHIDライトに移行する車種が増えた中、今はより省電力で明るく熱を持たないLEDにシフトしてきています。
寿命や明るさを求めるならHIDライトにはかないませんが、交換しやすさと安価なことを考えればハロゲンランプにはかないません。しかし夜間の視認性を考えれば明るいランプのほうが安全なのは言うまでもないでしょう。それを考えると車のヘッドライトにはHIDランプやLEDランプが主流になり、かつてのシールドビームのようにハロゲンランプは消えゆく運命となるでしょう。
初回公開日:2018年02月28日
記載されている内容は2018年02月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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