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ピロボールの交換の仕方・構造・メンテナンス方法・異音の原因

更新日:2024年08月08日

ピロ足と聞いてそれがピロボールの入っている足回りと知っている方、はかなりの車好きの方ではないでしょうか。今回はピロボールの交換の仕方や、その構造について詳しく解説し、ピロボールの正しいメンテナンス方法をご紹介していきます。

ピロボールの交換の仕方・構造・メンテナンス方法・異音の原因

ピロボールとは

車のサスペンションの接続部分にはゴムブッシュが使われています。サスペンションが動くときにゴムブッシュが第2のダンパ―の役目をしてある程度動きを吸収しています。そのゴムブッシュを金属に変えたものがピロボールになります。

レーシングカーなどシャシーから設計している会社では、ピロボールとは言いません。正式にはSPHERICAL JOINT(スフェリカㇽ・ジョイント)と言います。ピロボールは、商品名でそれが一般に広まったと考えられています。コピー=ゼロックスと同じと考えればよいでしょう。

ピロボールは、金属のボールをメタルで保持した部品で、良く交換される場所はショックアブソーバーのアッパーマウントでピロアッパーマウントと呼びます。

ブッシュをピロボールにした場合の乗り心地

ゴムブッシュをピロボールに交換すると乗り心地が硬くなると言われます。しかしそれはピロボールの交換した部位により変わってきます。

サスペンションアームにピロボールを使用すると、ショックアブソーバーが動くようになり、ショックアブソーバーの性能を引き出せます。なのでアーム類にピロボールを使い乗り心地が硬くなったり振動が出た場合はショックアブソーバーの動きが悪いと言えますからショックアブソーバーを交換する必要があります。

変わってピロアッパーマウントはストラットサスペンションには取り付けられますので、その場合は乗り心地が硬くなります。その理由は、ピロボールはフレキシブルな動きはしますが、垂直に対しての動きには苦手だからです。そのため路面にデコボコがあると、ピロボールは上下運動が苦手なのでダイレクトに振動が伝わり乗り心地が悪くなります。

ピロボールの交換の仕方

ピロボールで馴染みがある部品はサスペンションのアッパーマウントでしょう。車高調を購入すると一緒についてくる事が多く、キャンバー角を調整可能なものがほとんどです。

アッパーマウントをピロボール化すればショックアブソーバーはゴムブッシュに比べ良く動くようになり、またハンドルを回す時にゴムブッシュの時のようなよれがないので、ダイレクトなハンドリングが味わえます。しかしその反面今までゴムブッシュで吸収していた縦の動きをボディーで吸収するようになりゴツゴツとした乗り心地となります。

この他、アーム類には数多くのブッシュが取り付けてありますが、全て取り換えればかえってダイレクトなハンドリングで扱いずらくなる事もありますから、交換するにはショップの方と相談の上どこまでピロボール化するか決めるのが良いでしょう。

アッパーマウントの交換

サスペンションのアッパーマウントをピロボール化するには、車高調にピロアッパーマウントが付属した物を購入するか、車種別専用品の他、クスコのピロアッパーマウントのように、汎用品でプレートに穴開け加工してスタッドボルトを圧入し車両に取り付けるタイプがあります。

このピロボールアッパーマウントを取り付ければ、サスペンションの不要な動きが抑制されシャープな動きとなります。そのために旋回性が向上し、高速走行やブレーキング時も安定した車の動きになります。

交換にはスプリングコンプレッサーが必要になる事が多く、整備工場などで取り換えることが必要でしょう。また自分で取り換える際もスプリングの力は非常に強いので、針金や荷作りバンドを使ったやり方は非常に危険で重大な事故に繋がるので専用工具で作業しましょう。

アーム類の交換

足回りには多くのブッシュが使用されており、交換する数が多ければ足回りはダイレクトに動くようになるので、自分の好みでどこまで変えるかを吟味する必要があります。

このピロボールテンションロットのように、純正部品と置き換えで簡単に装着できますが、装着した後は必ずアライメントの取り直しが必修となります。この部品だけ交換するだけでもショックアブソーバーの動きが良くなり、コーナー進入時のハンドリングは格段に上がります。また、ハードブレーキングでもタイヤがブレークするのを抑えます。

ピロボールの構造

ゴムブッシュは全体でたわみが発生したりねじれたりしながら、サスペンションの動きに追従させようとします。その反面ピロボールは外側にボディーと言われる本体があり、その中に穴の開いたボールが入っています。そのままでは摩擦抵抗で動きが悪いので、ボールの表面にテフロンライナーが貼り付けられスムーズな動きとなっています。

このテフロンライナーは使用しているうちに劣化してすり減ったり剥がれ落ちてしまい隙間ができてガタが出てきます。

ピロボールのメリットデメリット

ピロボールは既存の車両に取り付けてあるゴムブッシュから取り換える事でその性能が発揮されます。

ピロボールを使うと車には多くのメリットやデメリットが発生します。またピロボールにも種類があり、メーカーによっても耐久性が変わってきます。

メリット

車のサスペンションをピロボールにすると高い性能を体感できるメリットがあります。かつてチューニング雑誌などで10万キロ走行したらブッシュが劣化しているのでフルブッシュ交換をすすめる記事が多くありました。

10万キロ以上走行しなくても、車のブッシュはゴム製なので次第に硬化してきます。そのままの硬化したブッシュは強化ブッシュ並みの硬さになっている事が多く、年数が経ったり距離を走った車は車の動きはクイックになっています。そんな古いブッシュを強化ブッシュや純正品と交換すると柔らかくなり、乗り心地が柔らかくなるでしょう。

そこで、どうせ交換するのであればピロボールと交換しましょう。ダイレクトに路面からの情報がドライバーに伝わり、車はクイックに動くようになることで走行性能が格段に上がるでしょう。

デメリット

車が走る時には、路面の状況をサスペンションが追従してショックアブソーバーが衝撃を吸収しながら走行します。サスペンションは金属でできているので、その可動部には全てゴムブッシュが使われ、摩擦や衝撃を吸収しています。

このゴムブッシュを金属性に交換すれば、動きがダイレクトに車に伝わり操縦性能は機敏になる半面、一般道のような荒れた路面では振動が極端に大きくなります。振動を気にしないとかサーキット専用であれば問題ありませんが、一般道では、すべてピロボール化すれば不快感が大きくなり後悔する事になるでしょう。

ピロボールのメンテナンス方法

ピロボールには2種類ありますが、車につかわれているピロボールには「テフロンタイプの無潤滑型」と、「メタルタイプの潤滑型」の2種類に分けられます。 アッパーマウントにつかわれるピロボールはテフロンタイプの無潤滑型となります。

テフロンタイプのピロボールは、自己潤滑性を持つテフロンインナーが接着してあるのでグリースなどの給油は不要です。しかし定期的に清掃する事で寿命を延ばすことができます。清掃には車体に取り付けた状態で、ナイロンブラシなどでホコリや砂利を取り除き、各部のボルトやナットにゆるみが無いか確認するようにします。

ピロボールの交換時期を調べるには、アッパーマウントを取り外し、ピロボールの穴に指を入れて動かしてみみます。このときにガタがあるようでしたら交換時期です。また動きが非常に緩い場合は交換時期が近いと判断できます。

ピロボールの異音の原因と対策

足回りからは、色んな異音が出る事があります。「コトコト」だったり「ゴンゴン」だったりと、ほとんどはショックアブソーバーが関係する音になっています。

ピロアッパーマウントの車高調を新しく装着した場合、新品だとこのピロボールが固着していて、ハンドルを切った時にスプリングがよじれる方向に力がかかり異音がでることがあります。この場合は、ピロボールの取り付けネジを少し緩めて潤滑剤を吹きかけると異音が止まります。この他スプリングシートをスプリングの下にもう一枚取り付けると異音は無くなります。

ピロボールは、もともと金属同士が擦れ合っているので異音が出やすいと認識する必要があります。音が気になるならゴムブッシュに戻すことも考慮に入れたほうがよいでしょう。

ピロボールにガタが出てくると異音が発生しやすくなるので、この場合は新しいピロボールに交換する事になります。

ガタ

ピロボールを使っていると、金属同士が常に擦れ合っているので、ピロボールはすり減りガタが発生します。このガタはゴムブッシュの劣化と同じで、交換するしか直す方法はありません。ただ交換に時間がかかる場合には、一時的な対処としてスプレーグリスを塗布すると止まりますが、早めに交換したほうが良いでしょう。

ピロボールは消耗品ですから、年数や走行距離にかかわらず、ハードな走行を繰り返せば早くガタが出ます。ガタは異音の原因ですからアッパーマウントを外してガタの状態を定期的に点検する必要があります。

ピロボール寿命

車高調にはピロアッパーマウントが採用されている事が多く、しかもキャンバー調整式なので、調整するクリアランスの隙間から、砂利やホコリがエンジンルーム内に上がってきます。実はこの穴からの砂利やホコリが、ピロボールに付着し、ピロボールが動くとボールが削れてガタが発生し寿命となります。

すこしでも寿命を延ばすには、この穴を下側とエンジンルーム側の両方からガムテープや養生テープを用いて塞ぐと効果があります。

砂利やホコリが入らなくても摩擦によりすり減って寿命がきますが、ピロボールは砂利やホコリによる傷での寿命がかなり多いと言えます。

車高調のピロボールにグリスアップの方法

車高調にはキャンバー調整ができるようにアッパーマウントにピロボールを採用している事が多いです。このピロボールには、テフロンライナーという自己潤滑性を持った素材を貼り付けているので、グリスなどの潤滑剤は不要です。

ピロボールにグリスなどの潤滑剤を塗布してしまうと、逆に砂利やホコリを吸い寄せて付着させ、ボール部分に傷をつけテフロンインナーが剥がれてしまい逆効果となります。もしグリスアップをするのであれば、テフロンライナーがすり減ったり剥がれたりして、異音が発生している時に潤滑剤を塗布すると異音が収まる事があります。

ピロボールジョイントは車検に通るのか

ピロボールが何処のブッシュと交換しているかにより車検に通らない可能性が高いでしょう。一昔前まではタイロッドエンドのようにエンドと付く部品はピロエンドに交換しても問題なく車検に合格していました。またロアアームなど、アーム類のピロ化は合格できませんでした。しかし現在はタイロッドエンドにはブーツがなくては車検に合格できません。

また他のピロボールを組み付けた部品も強度計算書が必要になる事が多く、車検対応品であれば、商品を購入する時に添付されていますからなくさないようにしましょう。

ピロボールはメンテナンスが大事

車を手足のように操るのは車好きにとっては非常に魅力的です。それを可能にするアイテムの一つがピロボールになりますが、間違ったメンテナンスで寿命を縮める事にもなります。

ピロボールに交換したら純正より頻度の高いメンテナンスが必要となります。定期的にピロボールを点検し気持ちよく走りましょう。

初回公開日:2018年04月08日

記載されている内容は2018年04月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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