スノーボードのエッジの角度・研ぎ方・メンテナンスの方法
更新日:2024年10月15日
スノーボードのエッジの角度
ターン中のスノーボードのサイドカーブは板自体がもつサイドカーブとエッジ角によって決まります。したがって同じターンで滑る場合、スノーボードをフラットに踏む前提ではスピードによってエッジ角が変化します。
単純に言えばサイドカーブが大きいスノーボードは高速、小さいスノーボードは低速にで滑った方がエッジのサイドカーブとターンを一致させやすいです。
スノーボードのエッジの研ぎ方・削り方
新しいスノーボードを買ってすぐにゲレンデで滑りたい気持ちはありますが、買ったばかりのスノーボードはノーズの先端からテールまでエッジが全部立っている状態なので、雪面に引っかかって転倒の可能性が高いです。
その不要なエッジを落とすのが「ダリング」で、初心者にとっても、とても大切です。滑りに合わせてエッジを削る「ビベリング」と併せエッジの研ぎ方と削り方をご紹介します。
【用意するもの】
・ファイル
・ファイルガイド
・ミニガムストーン
・ダイヤモンドファイル(中目と細目)
・淡水ペーパー
ダリング
ノーズのダリング
ノーズ、テール部分の雪面に触れてない部分のエッジは買ったままの状態にしておくと危険です。そこでその部分のエッジを丸めることが必要ですがそのことを「ダリング」といいます。
テールのダリング
ダリングする範囲は有効エッジの始まりの接雪ポイントからアルペンボードは指1本分、フリースタイルボードは指2本分くらいが目安です。丸めるコツは接雪ポイントから徐々に角が丸みを増すようにします。
ミニガムストーンで仕上げ
ファイルで丸くした上から砂消しゴムのようなミニガムストーンで面を整えます。この時に接雪面にかからないように、指を当てて目印にするといいでしょう。
ビベリング
エッジの角度をつけるのがビベリングですが、ファイルにテープを巻くことで角度を調整します。市販のビベルスリーブを使用しても大丈夫ですが、テープを巻く回数によって角度が微妙に変えられるのが、このやり方の利点です。だいたい1回巻いて0.1度くらいです。
バックサイド側のビベリング(ノーズ部分)
ファイル1本分を目安に削ります。バックサイド側のエッジはフロントサイド側よりも多く削ります。エッジの削り始めから角度が変わるポイントまで削りますが力を徐々に力を抜いていくように行いましょう。
フロントサイド側ビベリング(ノーズ部分)
バックサイド側がファイル1本ぐらい削るのに対してフロントサイド側はその半分くらい削ります。手前にファイルを引く場合は徐々に力を抜くように行います。一度にたくさん削るのではなく、少しづつ削っていくようにしましょう。
ミニガムストーンで調整
実際にゲレンデでスノーボードを使って滑ってみて、アイスバーンなどで引っかかる場合はミニガムストーンでなぜるだけでも大きく変わります。小さくて荷物にならないので持って行くといいでしょう。
サイドエッジの研磨
スノーボードがぐらぐらしないようにしっかりと固定し、ノーズからテールまで一気にたくさん削ろうとせず、ファイルを一定の力で動かして少しづつ削るのがポイントです。
エッジの仕上げ
滑走面エッジの仕上げ
ファイルで削ったエッジを、さらに滑らかな刃物のように仕上げていきましょう。一般的にはオイルストーンが多いですが、使っていくうちに部分的に減ってきたりして取り扱いが難しいので、ここではあえてダイヤモンドファイルをします。まずエッジに水を垂らしてからダイヤモンドファイルで仕上げます。
焼きが入ったところをとる
少し荒めのダイヤモンドファイルを使ってエッジに焼きが入ったところを直しましょう。あまり荒いものを使用すると滑走面を傷つけてしまうので、中目ぐらいのダイヤモンドファイルを使いましょう。
サイドエッジの仕上げ
手がふらつかないように細心の注意払います。軽くなぜる程度にしましょう。
ペーパーで仕上げ
800#くらいの耐水ペーパーを平らなものに巻き付けて使います。この時も力を入れずに軽くなぜるくらいにしましょう。
最終仕上げ
接雪ポイントを中心にして3㎝くらいの幅を800#程度の耐水ペーパーで調整します。この幅を大きくすればルーズさが増し、なくしていけば敏感に反応します。気持ち的にはノーズから足元にかけて徐々に鋭さが落ちるイメージで行いましょう。
傷
滑走面に傷がついた場合、とくにコア材まで達するような傷の場合は、滑走性の確保と水の侵入を防ぐために溶かしたポリエチレンのリペア剤で修理します。リペア材にはエクストルード用やシンタード用がありますが、これらはたいてい滑走面の材質よりも分子量が小さく強度も低いです。
したがって全面張り替えや部分的にパッチを張る以外のリペア方法だと、本来の滑走面よりどうしても性能的に怠ってしまいます。
修理の際は軟らかいリペア材だとくっつきやすいのでエッジの付近には軟らかいリペア材を使ったり、深い傷では最初に軟らかい補修材を使い、その後滑走面になるべく近い材質のものを使ったりする方法もあります。
スノーボードのエッジのメンテナンス方法
ここではスノーボードのブラッシングとワクシングでのメンテナンス方法をご紹介します。クリーニングの意味も含めた初歩的なものなので、スノーボードを楽しむためにも覚えておくといいでしょう。
「ワックスを塗ると滑り過ぎてこわい」「初心者にワックスは必要ない」と思う方がいますが、ワックスなしのスノーボードでは急ブレーキがかかったように止まったりして危険な上に、上達の妨げにもなります。
【用意するもの】
・真鍮(しんちゅう)ブラシ
・ナイロンブラシ
・スクレイパー
・ファイパーペーパー
・キッチンペーパータオル
・アイロン(家庭衣類用アイロンではありません)
・オールラウンド系ワックス
ブラッシング
真鍮ブラシでブラッシング
真鍮ブラシを必ずノーズからテール方向に向けて直線的にブラッシングします。そうすると滑走面の溝に入っている汚れを掻き出すことができます。
ブラッシングの悪い例
ブランケットする時は、ブラシは必ずノーズからテールに真っすぐ動かしましょう。斜めに動かしてしまうとソールを傷つけてしまうことにもなります。
ファイルペーパーで磨く
ブラシにファイバーペーパーを巻き粉状のゴミを全部拭き取ります。これでワックスを塗る前の準備が終わりです。
ワクシング
ワックスを生塗り
アイロンでワックスを溶かしながら、滑走面にまんべんなく固形ワックスを生塗りします。こうすることでアイロンが直接滑走面に触れるのを防ぐことができます。
ワックスをたらす
アイロンで伸ばす前にワックスをアイロンに当ててワックスを溶かしてスノーボードの上に垂らしましょう。煙が出る程アイロンが高温にならないようにしましょう。
アイロンで伸ばす
スノーボードについているワックスをアイロンで伸ばしていきます。ワクシングで一番重要なポイントはアイロンを止めない事です。アイロンを止めてしまうとソールを焦がしてしまいます。手早く一定の速さでアイロンがけしましょう。
スノーボードのエッジの修理の方法
割れ
スノーボードを楽しんだら風通しが良く直射日光が当たらないところでしっかり乾かし正しく保管する事が大事です。これを怠り保管してしまうと劣化の原因になります。酸化して劣化したスノーボードの滑走面は分子があちこち切れたりして強度が低下しひび割れが起こったり、そこから水が入るとスノーボードの表面はどんどんはがれ落ちます。
スノーボードのエッジのチューンナップの
スノーボードのエッジは鋭い刃物のようにするということがエッジのチューンナップのイメージとしてあります。しかし、単純に鋭くさせればいいわけではなく部分的に少し丸みを入れたりする場合もあります。鋭さと丸みを入れたところのバランスが乗り味を左右するといっても過言ではありません。
アイスバーンでエッジが抜けやすい時はエッジを鋭角にすることでエッジがかみやすくなりますし、その反対にふかふかの雪面でエッジ自体の角度が鋭角だとかみすぎてしまい雪面に潜りやすくなります。
ベースエッジ(滑走面のエッジ)
スノーボードの種類やタイプによりますが、165㎝以下のアルペンボードは0~2度、それ以上の長いアルペンボードでノーズ、テール部分のみ3度に削る方法もあります。160㎝以下のフリースタイルボードは0.5~2度、それ以上の長いフリースタイルボードもアルペンボード同様にしましょう。
サイドエッジ
基本的にベースエッジとの関係があります。例えばビベル(ベースエッジを落とす表現)1度落とせばサイドエッジも1度落としてサイドエッジの角度を89度にすればスノーボードのエッジ自体の角度は90度になります。
これが基本ですが、これを鋭角にすればするほど雪面に入りやすくなり、鈍角にすることで雪面に入りにくくすることができます。いずれも自分でスノーボードで滑ってみてエッジングのタイミングの癖やスノーボードの特性によって変わってきますのでご注意ください。
スノーボードのエッジを研ぐのは大切です!
初心者の多くの方が購入したままの状態で、滑っているのではないでしょうか。「スノーボードのエッジの研ぎ方・削り方」でも書きましたが、なにもせずにゲレンデへ行くと転倒やケガの原因になります。かといって初心者でいきなり削れと言われても難しいでしょう。初心者の方はご自身の癖などわからないですし、不安な方はプロに任せるのも大切な事です。
ある程度、スノーボードの経験があってご自身の癖や、スノーボードの特性、ゲレンデの状態などある程度把握されている方は、ご自身に合うエッジの角度にするとより楽しく滑れるでしょう。
初回公開日:2017年11月21日
記載されている内容は2017年11月21日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。