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【場所別】スパイクタイヤへの規制内容・作り方・価格

更新日:2024年01月23日

1970年代には爆発的なヒットを誇ったスパイクタイヤですが、現在では見かけることがほとんどありません。この記事ではスパイクタイヤへの規制内容・作り方・価格について紹介しています。スパイクタイヤが激減した理由についてご興味のある方は、ぜひ一度読んでみて下さい。

【場所別】スパイクタイヤへの規制内容・作り方・価格

スパイクタイヤとは

スパイクタイヤとは、金属製の鋲がトレッド面に打ち込まれているタイヤのことです。スパイクタイヤは1959年にフィンランドで開発され、以降欧米で急速に普及が拡大しました。スパイクタイヤの最大の特徴は、打ち込まれた金属鋲がグリップとなって雪や氷をしっかりととらえることです。そのため、雪の日や凍結した道路でも安定した走行が可能になります。

スパイクタイヤは、タイヤ交換やチェーンを巻く手間が省けるとあって爆発的にヒットし、北海道や東北の寒冷地では普及率が100%と言われるほどに拡大していきました。

スパイクタイヤへの規制内容

1970年代、寒冷地では装着率100%とまで言われるほど普及したスパイクタイヤですが、最近ではその姿をを見かけることも少なくなりました。爆発的にヒットを誇ったスパイクタイヤが激減した背景には、一体何があったのでしょうか。

1980年代初め、仙台や札幌を中心にスパイクタイヤによる環境や人体への悪影響を懸念する論争が巻き起こりました。その後相次いでスパイクタイヤへの規制を自治体が発表し、1990年には国がスパイクタイヤの使用の規制を決定しました。そして、その翌年には国内でのスパイクタイヤの販売が中止となりました。

スパイクタイヤへの規制とは、道路が積雪・凍結の状態にある場合に限り使用が認められ、それ以外の状態の場合は舗装された道路での使用は原則禁止とするという内容です。ただし緊急車両・身体障碍者が運転する自動車・原付自転車(125㏄以下のバイク)・軽自動車はこの規制の対象外となります。

スパイクタイヤはなぜ禁止されたのか

スパイクタイヤが規制され、販売中止に追い込まれたのはどのような理由からでしょうか。冬用タイヤであるスパイクタイヤを頻繁に利用するのは、主に寒冷地のドライバーです。積雪や路面凍結の可能性がある冬から春にかけて、寒冷地ではたとえ晴れの日であってもスパイクタイヤを装着したまま走行することが一般的でした。

しかし、1981年に仙台の河北新報に投書された「なぜ仙台の街は埃っぽいのか」という疑問がきっかけとなり、スパイクタイヤの金属鋲が乾いた路面を削ることによって粉塵が発生しているという考えが広まりました。それを受けて「仙台市道路粉じん問題研究会」が発足し、仙台の街の粉塵はスパイクタイヤが原因であるとの見解を発表しました。

1985年、宮城県は粉塵公害への対策として「スパイクタイヤ対策条例」を制定しました。それに続き、仙台と同じ粉塵問題を抱えていた札幌市もスパイクタイヤへの規制を制定しました。

スパイクタイヤに関する法律

仙台・札幌でスパイクタイヤへの規制が制定されたのち、1986年には通産省によるスパイクタイヤの出荷削減の指導が行われました。1988年には公害等調整員会において、スパイクタイヤメーカーと長野県の弁護士との間でスパイクタイヤの製造・販売中止の調停が成立しました。そして1990年6月、環境省が「スパイクタイヤ粉塵の発生の防止に関する法律」の施行を発表し、92年には罰則規定も施行されました。

「スパイクタイヤ粉塵の発生の防止に関する法律」の禁止・罰則によると、指定地域内の舗装道路が積雪または凍結していない状態でスパイクタイヤを使用することは禁止とされ、違反した場合は10万円以下の罰金が課せられることになります。

指定地域外ならスパイクタイヤを使用してもOK?

スパイクタイヤの規制は、法律では指定地域のみが対象となっています。では、指定地域外や未舗装の道路であればスパイクタイヤを使用しても構わないのでしょうか。結論から言うと、規制対象外となるので法律違反にはならず、もちろん罰則の対象にもなりません。

しかし、環境省は「罰則の対象とならない場合でも、スパイクタイヤの粉塵を発生させないように努めるべきである」とし、この法律が指定地域外でのスパイクタイヤの使用を容認しているわけではないとの見解を示しています。

場所別スパイクタイヤへの規制

スパイクタイヤの規制は、指定地域とそうでない場所によって異なります。指定地域とは北海道や東北などの寒冷地がほとんどですが、自治体によってスパイクタイヤを使用できる期間や条件は異なります。

北海道のスパイクタイヤの規制

北海道では、スパイクタイヤによって発生する粉塵のことを「車粉」と呼んでいました。規制が施行される以前の北海道では、雪が完全になくなる4月頃まで舗装された道路をスパイクタイヤで走行する車がほとんどでした。車粉が街に舞い散る光景は「札幌の春の風物詩」と言われ、目、鼻、喉の疾病や気管支喘息の悪化を訴える人が現れるほど、札幌の街の粉塵公害は深刻な問題となっていました。

しかし仙台での規制をきっかけに、北海道でも1987年に「札幌の街を車粉から守るためスパイクタイヤの使用を規制する条例」、1989年に「北海道脱スパイクタイヤ推進条例」が施行されました。その結果、現在では「車粉」という言葉が懐かしく感じられるほど、札幌の街は美しく生まれ変わりました。

仙台のスパイクタイヤの規制

仙台は札幌と比較すると雪の降る日が少ないため、スパイクタイヤが乾いた路面を走行する割合が高くなります。それゆえ、仙台の粉塵公害は札幌よりも深刻なものになっていました。当時の仙台の街は「仙台砂漠」と呼ばれ、路面に積もった粉塵を洗い流す清掃車が頻繁に見かけられました。道路脇には粉塵が砂場のように溜まり、外出時にはマスクが必要なほどでした。

粉塵公害に堪りかねた市民達は「スパイクタイヤのピンを抜こう」という運動を起こし、スパイクタイヤのピン抜き場として、市内に「ピン抜きセンター」を設置しました。そして1985年、ついに仙台市は全国発となる「スパイクタイヤに対する規制条例」を制定し、1992年からは違反者に対して罰金が科せられることになりました。

スタッドレスタイヤとは

スパイクタイヤに代わり、新しい冬用タイヤとして登場したのがスタッドレスタイヤです。スタッドレスタイヤとは、スタッド(鋲)の代わりにトレッド面に深い溝が刻まれたタイヤのことで、フランスのミシュラン社によって開発されました。

スタッドレスタイヤの特徴は、深い溝が回転のたびに古い雪を落とし、代わりに新しい雪を噛んで駆動力を得ることです。スパイクタイヤと比較してのメリットは、運転時の衝撃が少ないことと、粉塵が発生しないことです。しかし、スタッドレスタイヤは乾いた路面でも走行できることで万能タイヤのように思われがちですが、雪や氷が多く積もった路面においては、スパイクタイヤよりも性能が劣ると言われています。

タイヤサイズの見方

みなさんは自分の車のタイヤサイズをご存知でしょうか。その車の標準のタイヤサイズは、車体(運転席側のフロントドアのことが多い)に貼ってあるステッカーで確認することができます。装着しているタイヤ自体のサイズは、タイヤの側面を確認すれば分かります。

例えばタイヤ側面に「165/40R16 73V」と書かれている場合、165はタイヤの断面幅を表し、40はタイヤの扁平率、Rはタイヤの構造、16はタイヤのインチ、73は荷重指数(最大荷重)、Vの部分は速度記号を表します。表記方法については、現在はISO規格に統一されていますが、古いタイヤの場合では異なることがあります。

タイヤ用語

ここからはタイヤに表記されている用語について、ご紹介します。タイヤの断面幅とは、タイヤの総幅から文字や模様などの突起部分を除いた幅のことです。扁平率とは、タイヤの断面幅(W)に対するタイヤの高さ(H)の比率を表した数値のことで、H/W×100(%)で算出します。

タイヤの構造を表す「R」はラジアルのことで、Rの他にはバイアス構造を表す「B」があります。速度記号(スピードレンジ)は、タイヤが走行できる最高速度を表しています。

速度記号

速度記号はA~Yまでありますが、詳細についてはタイヤーメーカーのホームページなどで確認することができます。下表は一般的なタイヤによく使用されている記号のみを抜粋し、まとめたものになります。

速度記号SHVW
最高速度㎞/時180210240270

タイヤの偏平率で何が変わるのか

タイヤは偏平率が低いほど路面への接地幅が大きくなり、偏平率が高いほど接地幅が小さくなります。1980年代のタイヤは偏平率が82~70%がほとんどでしたが、タイヤの性能が向上した現在では、偏平率65%以下が主流となっています。

偏平率の低いタイヤは「低偏平タイヤ」「ロープロファイルタイヤ」と呼ばれ、応答性の良いハンドリングが好まれるスポーツカーに多く装着されています。見た目のカッコ良さも理由となって、現在ではタイヤの低扁平化が進み、中には偏平率35%以下のタイヤが標準装備された車も販売されています。

一方で、偏平率の高いタイヤは路面の影響が小さいので乗心地が良く、タイヤの消耗も抑えられるというメリットがありましが、ハンドリング性能は低偏平に比べると劣ります。

サイズ別スパイクタイヤの作り方

スパイクタイヤは路面が乾いている一般公道での走行は禁止されていますが、レースでの使用は違反になりません。国内でスパイクタイヤを製作・販売する業者もありますが、その数は少なく、費用もかかります。それならば自分でスパイクタイヤを作りたいと思われる方のために、サイズ別のスパイクタイヤの作り方と必要な道具についてご紹介します。

スパイクピン

スパイクタイヤ作りには、スパイクピンとスパイクガン、エアーコンプレッサー、タイヤの穴開け用ドリルなどが必要となります。現在は車用のスパイクピンを取扱っている店舗はほとんどないため、オークションやネットで購入するのが一般的となっています。

スパイクピンには、チップピン・マカロニピン・(ワイン)カップピンの3種類があります。チップピンは中央にピンが入っていて、先端に1ミリほどの出っ張りがあります。摩耗が激しく、抜けやすいというデメリットはあるものの、比較的安価に購入することができます。

マカロニピンは中が空洞の、マカロニのような形状でをしていて、耐久性に優れることが特徴です。それゆえ普通自動車だけでなく、トラックなどの大型車両にも使用されています。カップピンはワインカップのような形状で、氷や雪に食いつきやすいことが特徴です。3つのピンの中で最も効果が高いと言われるのが、このカップピンです。

スパイクガン

スパイクガンとは、エアーと使ってピンをタイヤに打ち込むための専用工具です。現在オークションやネットで出回っているものは、ドイツOKU社製の「OKU Automatik」、アメリカBW社製の「Bruno Wessel」の中古品がほとんどです。

価格はいずれも5万円以上しますが、品薄の状態です。スパイクピンのフランジ(出っ張った部分)の径・ピンの長さ・フランジの形状(シングルフランジかマルチフランジか)によって、どの種類のスパイガンを使用するかを判断します。

16インチ スパイクタイヤの作り方

ここで言う「インチ」とは、タイヤに組み合わされているホイールの直径(リム径)のことです。今回は、標準的なサイズである16インチ(約40㎝)のスパイクタイヤを作る手順をご紹介します。

初めにピンを打ち込む箇所を決めてから、その箇所にチョークなどで印をつけします。次に印をつけた箇所に電動ドリルで穴を開けるのですが、穴の深さが一定になるようにドリルにストッパーを取り付ておきましょう。

穴が開いたら、次はピンを打ち込みます。タイヤが柔らかい方がピンを打ち込みやすいので、あらかじめタイヤウォーマーなどでタイヤを温めておくといいでしょう。最後はスパイクガンにピンをセットして、打ち込んだら完成となります。スパイクタイヤ作りは、時間と根気を要する作業になりますが、意外にも慣れれば簡単に作ることができます。

二輪車用スパイクタイヤの作り方

125cc以下の二輪車は、公道をスパイクタイヤで走行することができます。二輪車のスパイクタイヤの作り方も16インチタイヤの方法とほぼ同じですが、専用の工具がなくても作れるというメリットがあります。

電動ドリルでタイヤに穴を開けたら、スパイクガン・ソケットドライバー・電動ドリルなどを使ってピンを打ち込みます。ピンを打ち込みやすくするためには、ゴムシーラーの使用をします。

ゴムシーラーはピンの打ち込み作業が楽になるだけでなく、ピンが抜けにくくなるという効果があります。ゴムシーラーが固まったことを確認したら、最後にハンマーを使ってピンを深く埋め込んで完成となります。

スパイクタイヤの価格・値段

すでに販売が中止されたスパイクタイヤを入手するには、競技用として販売されているものをネットやオークションで購入する、あるいは業者に依頼して作って貰う他に方法はありません。

ネットに出回る外国製のスパイクタイヤの価格を調べると、ピレル製のタイヤは1本5~6万円、ミシュラン製は1本7万円にもなります。中古のスパイクタイヤの場合は、ピンの本数や抜け具合によって価格が大きく異なります。

スパイクタイヤの違反での減点点数

スパイクタイヤの指定地域内で積雪していない道路や凍結していない道路を走行することは、法律違反で処罰の対象になります。スパイクタイヤの法律違反に対する処罰は、10万円以下の反則金のみで減点はありません。反則金は、大型自動車で7,000円、普通自動車・自動二輪で6,000円、原動機付自転車で5,000円になります。

雪道をノーマルタイヤで走行した場合

乾いた路面をスパイクタイヤで走行することは違反になりますが、それとは逆に雪道をノーマルタイヤで走行した場合はどうなるのでしょう。雪道をノーマルタイヤで走行することは非常に危険で、重大な事故に繋がる恐れがあります。それゆえ、ノーマルタイヤでの雪道走行は立派な法律違反になります。

違反基準は都道府県によって異なりますが、やはり北海道や東北などの寒冷地ほど基準が厳しく、積雪量の少ない関西・九州ではそれほど厳しくありません。最も南に位置する沖縄県は、降雪の心配がないからか処罰の対象外となります。。

処罰はスパイクタイヤと同じく、減点はなく5万円以下の反則金のみとなります。大型自動車は7,000円、普通自動車・自動二輪は6,000円、原動機付自転車は5,000円になります。

事故を起こした場合

スパイクタイヤでの走行が違反になる場所で事故を起こした場合、保険は適用されるのでしょうか。結論から言うと、たとえ法律違反であっても任意保険(対人事故・対物事故)は適用されます。車両保険については、加入する保険会社によって条件が異なるので確認が必要となります。

では、雪道をノーマルタイヤで走行して事故を起こした場合はどうなるのでしょう。こちらも任意保険については問題なく適用されます。しかし運転者側の怪我や車両保険については、雪道をノーマルタイヤで走行するという重大な過失行為があったとして、保険が適用されないケースが数多く発生しています。

雪の日のドライブを安全に楽しもう!

今回はスパイクタイヤへの規制内容と、スパイクタイヤの作り方・価格について紹介しました。現在はスタッドレスタイヤが冬用タイヤの定番ですが、深い雪道などではやはりスパイクタイヤの方が安心だという声もあり、スパイクタイヤへの需要は完全にはなくなっていません。そして何よりも危険なことは、雪道をノーマルタイヤで走行することです。

冬用タイヤとしてスパイクタイヤを使用する際は、走行するエリアの規制内容を事前に確認し、安全運転を心がけましょう。「備えあれば憂いなし」を心がけて、冬用タイヤの準備を忘れずに、雪の日でも安全にドライブを楽しみましょう。

初回公開日:2018年05月15日

記載されている内容は2018年05月15日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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