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水冷と空冷の違い・メリット・デメリット|バイクエンジン

更新日:2024年01月17日

エンジンや、AT車に使われているATFというオイルや、コンプレッサーや空調など、冷却装置のあるものについて、水冷と空冷の違いを解説しています。とくに水冷と空冷の構造の違いやメリット・デメリットなどを、わかりやすく解説しています。

水冷と空冷の違い・メリット・デメリット|バイクエンジン

水冷と空冷の違いとは?

今回はオートバイのエンジンを冷やす方法を中心に、水冷と空冷の全般についてお話です。

バイクの水冷と空冷ってどう違うの?

エンジンというのは高速でエンジンが回転します。その行程は、原則的にはガスの吸気・圧縮・燃焼・排気の4行程です。これを4つの行程として行うなら4ストロークエンジンで、2つのストロークで行うなら2ストロークエンジンです。いずれにしても点火や燃焼があり、それも高速回転するのですから、エンジンはどんどん熱くなってしまいます。

このエンジンを冷やすには、水冷方式と空冷方式があります。自動車の場合はほとんど水冷エンジンですが、バイクでは大きいバイクや値段の高いバイクで水冷が採用されることが多いです。

空冷エンジンの構造は?

水冷エンジンは、エンジンの周りに冷却水を循環させてエンジンを冷やす構造になっています。

この冷却水は、ただ循環させるだけでなく、温度が熱くなれば外気を使って冷却水を冷やします。この外気で冷やす部品がラジエータです。ラジエータを通らず、冷却水が冷えているときは、エンジンの周りだけを循環させたり、冷却水が熱くなったときだけラジエータまで循環させて冷却水を冷やしたりする構造になっているものが一般的です。

空冷エンジンの構造は?

空冷エンジンはバイクでは一般的です。特にバイクが世に出てしばらくは空冷しかありませんでした。

空冷エンジンのバイクであれば、エンジンのシリンダー周りの金属がヒダヒダになっているのを見た人も多いでしょう。そのヒダヒダは、冷却フィンといい、エンジンを冷やすために金属の表面積を増やして空気に触れさせ、エンジンを冷やす構造になっています。

自動車と違って、多くのバイクはエンジンが露出しているので、走行すると風が十分エンジンに当たり、風で冷却させることができます。ただし、エンジンが露出していないスクーターの場合は、ファンを使ってエンジンに風を送っています。

オイルクーラーにも水冷と空冷があるの?

エンジンの各部ではオイルが巡っています。たとえばエンジン内部では、ピストンやカムシャフトなど、エンジン内部全体を冷やし、摩擦が起こらないようにする役割も含めて、エンジンオイルが循環しています。

しかし、オートマ車においては、エンジンの回転をミッションにつなげる部分にもATFというオイルが使われています。このATFオイルを冷やすのがオイルクーラーで、これにも水冷と空冷があります。

水冷オイルクーラーの構造は?

このATFを冷やすために、水冷の場合は外側に冷却水が巡るという二重構造になっていて、オイルの熱をもらった冷却水は、ラジエータで冷やされ、ふたたびオイル周りに戻って熱をもらうという構造です。

このような二重構造にすることで、オイルを冷やすためだけでなく、もし外気が非常に冷えていたとき、オイルが外気にさらされて冷たくなりすぎないようになっています。

空冷オイルクーラーの構造は?

このATFを冷やすためのオイルクーラーは、ほとんどのAT車が空冷となっています。また、オイルクーラーがない場合も外付けで取り付けができるようになっています。

空冷オイルクーラーは、パイプを通して放熱板のついたラジエータにオイルを通し、空気中に熱を発散させて冷却します。単純な構造ですので、市販品を購入して、自分で取り付けてみるのもよいでしょう。パイプの取り付けは、ボンネット内におさめるのが普通ではありますが、あえて車外に露出させている車を見かけることもあるでしょう。

コンプレッサーの水冷と空冷の違いは?

コンプレッサーというのは、空気やガスを圧縮して放出する機械です。工場や工事現場で用いるさまざまな機械を作動させるために、多くの機械はコンプレッサーの圧縮空気やガスの放出や膨張しようとする力を利用しています。

このコンプレッサーには、空気やガスを圧縮するときにエンジンを使う、エンジン付きコンプレッサーもありますが、通常コンプレッサーは、電気でモーターを回しピストンを作動させて圧縮したりローターを回転させて圧縮したりします。

水冷と空冷のコンプレッサーの構造は?

空気やガスを圧縮するため、ピストンが運動したりローターが回転したりしますが、このとき、エンジンでいうエンジンオイルのように、潤滑用のオイルがシリンダーなどにある仕組みになっているコンプレッサーがあります。このようなコンプレッサーは長時間使用に耐えることができます。

このオイルを冷却するためには水冷と空冷があります。オイルを冷却するクーラーに冷却水を循環させているなら水冷で、ファンで風を送って放熱板から熱を発散させる方法なら空冷です。

空調での水冷と空冷の違いは?

コンプレッサーなら空調システム、つまりエアコンでも用いられています。

エアコンは室内機と室外機がありますが、この間を冷媒というものが循環しています。これはコンプレッサーによって循環しています。

クーラーのしくみと冷却方式は?

夏は室内を冷やしたいので、室外機の中にあるコンプレッサーで冷媒を圧縮して熱くしたところで、外気によって熱を放出します。このとき、蒸発熱が奪い取られ、冷媒は大きく冷却されます。それを室内機に送り込み、室内機で室内の熱を冷媒に吸収させています。こうして暖まった冷媒を室外機に運び、室外機でまた熱を放出します。

このように室外機では熱を放出します。このとき、冷却水を使って冷媒を冷やすなら水冷なのですが、その冷却水はある程度冷たくなければなりません。そこで地下水を利用することになりますが、冷たい地下水の確保も難しいこともあり、水冷の空調システムはほとんどないというのが現状です。

一方、空冷のエアコンは一般的です。冷媒がため込んだ熱を外の空気にさらすことで外気に放出させます。

水冷と空冷のメリットとデメリットは?

このように、エンジンを冷やすときも、オイルを冷やすときも、エアコンの冷媒を冷やすときも、水冷と空冷がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

水冷のメリットとデメリットは?

水冷の場合のメリットは、冷却効果が優れていることです。

デメリットとしては、構造が冷却水が熱を十分吸収できるように、構造二重になっているので、構造が複雑になります。また重量が増えるということもあります。当然ながら値段も高くなるということもあります。

また、もし冷却システムが壊れてしまい、冷却水が循環しなくなったりしてしまうと、温度は上昇し、非常に危険になります。この点、空冷では、冷却水が存在しませので、壊れる心配もなく、外気によって冷やす仕組みですから、多少効率が悪くても危険なレベルにまではならないといえます。

空冷のメリットとデメリットは?

空冷のメリットは水冷と逆になりますが、構造がシンプルです。放熱用にフィンがたくさんついていて複雑そうに見えても、特別に複雑な構造ではありません。またファンを使うものも多いのですが、特別複雑ということもありません。従って重量も軽くなり、値段も安くないというメリットが多くあります。

デメリットとしては、水冷より冷却効果が劣ることです。また、放熱板が露出していることも多く、人間が触れやすいこともあり、やけどなどの危険が伴います。実際、バイクなどに乗っていて、エンジンに足が触れてやけどした経験をもっている方もおられるのではないでしょうか。

水冷と空冷の効率の違いは?

水冷の方が空冷より効率がよいのですが、人間の肌でも、冷やすときは冷たい風より冷たい水に触れたときの方が冷えるのがよくわかります。

しかも、ただ冷やすばかりでなく、冷やしすぎないというメリットもあります。たとえばエンジンなら外気に直接当たらず、冷却水のためにエンジンが覆われていることで、外気が非常に冷たいときに、冷えすぎから守られます。

空冷の場合は、外気だけでは十分冷えにくいのは理解しやすいことでしょう。ただ、問題はそればかりでなく、十分冷えなければ徐々に温度が上がり、連続使用ができなくなるなど支障を来すこともあります。ときどきエンジンや機械を停止させて休ませるなどの非行率的なことをしなければならない場合もあるでしょう。

そのように考えれば、水冷は単に冷却において効率がよいばかりでなく、エンジンや機械の稼働、ひいては工場の稼働においても効率的といえるでしょう。

水冷と空冷の維持費の違いは?

水冷と空冷では維持費にも多少の違いが現れます。水冷では冷却水のメンテナンスも必要ですが、それほど劣化したりしません。ただときどき補充などのメンテナンスが必要になります。とはいえ、水冷で使う冷却水は水に幾分かの薬品を少量混ぜたものであり、値段も安いです。

一方、空冷の場合は、特別にメンテナンスはありませんが、水冷より冷却効果が劣るため、エンジンやオイルなどが高温になることも多く、どちらかというとエンジンの劣化、あるいは、オイルの汚れや目減りなども空冷の方が水冷の場合よりも多いと言えます。その点、修理やオイル交換にかかる費用も増えることが予想されます。

水冷と空冷の音の違いは?

エンジンやコンプレッサーなどはかなり音がうるさいもので、騒音問題になることも多いです。しかし、この点でも水冷と空冷に違いが現れています。

水冷では、冷却水のために二重構造になっているため、音も漏れにくく静かです。一方、空冷はエンジンなどが露出しているため、大音量となります。とくにバイクの空冷エンジンは高速回転になったとき、音が非常にうるさくなるため、騒音問題になることもあります。深夜や早朝に空冷エンジンをかける場合は回転数を上げないように気を使っているライダーも多いです。

水冷と空冷の温度の違いは?

水冷でも空冷でも、エンジンやコンプレッサーやオイルなどを、どれだけ冷やしたかを知ることは難しいことですが、水冷の場合、冷却水の温度がどれほどかを知ることができます。大抵は冷却水の温度計を見ることで、エンジンなどの温度も推測していくことができるでしょう。

水冷の場合は冷却効果が高いため、温度の上昇を十分押さえることができますが、空冷の場合は、真夏の暑い日の場合、外気も熱く、冷却効果がほとんどなくなってしまうこともあります。またエンジンが連続的に高速回転して、温度の上昇が徐々に上昇し、非常に高くなってしまうこともあります。

度を過ぎて温度が上昇すると、エンジンも劣化したり、エンジン内部が焼けてしまうこともあります。また空冷のオートバイなどでは足に触れていなくても、やけどをしたりということもあります。やはり温度の管理も必要で、時には休ませていかなければなりません。

水冷と空冷の違いを知って乗り物選びをしよう!

このように、水冷と空冷では、さまざまな点で違いがありますが、それぞれのメリットとデメリットをよく知り、必要に応じて、状況に合わせて、適切な選択をしていくことが肝要です。これからオートバイや自動車を買おうとしている方は、どのような乗り方をしたいのか、ということをもう一度考え、それに合わせた乗り物選びをしていきましょう。

初回公開日:2018年05月10日

記載されている内容は2018年05月10日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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