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ホモロゲーションの車の特徴・認証を受ける方法・モデルの特徴

更新日:2024年10月28日

ホモロゲーションについて、車両の特徴や認証の受け方、また各メーカーが製造したホモロゲーションモデルの特徴などを解説します。WRCやGT3など国際レースで優勝するため、各メーカーが心血を注いで開発した高性能な市販車、ホモロゲーション車の耳寄りな情報を招介します。

ホモロゲーションの車の特徴・認証を受ける方法・モデルの特徴

ホモロゲーション車と車両の特徴について

自動車レースの世界では「ホモロゲーション」という言葉が必ず出てきます。ホモロゲーションとは、あらゆるモータースポーツ競技に参加する車両が、満たさなければならない条件として、FIA(国際自動車連盟)によって定められたルールの一つです。

ホモロゲーションは、競技における公平性や、レースに参戦する選手の安全を確保するために不可欠な、レーシングカーやラリーカーといった競技車輛に課せられた規則で、車両に取り付けられた部品ごとに細かな規定があり、それらを全てクリアすることで競技への出場が可能になります。

このようなホモロゲーションについて、車両の特徴や、認証の受け方、また各自動車メーカーが製造したホモロゲーションモデルの特徴などを解説していきます。

ホモロゲーションとは

ホモロゲーション(Homologation)とは「認証(にんしょう)」という意味の英語で、イタリア語ではOmologato(オモロガート)といいます。

ホモロゲーションは、世界中の自動車レースを統括する組織であるFIA(国際自動車連盟)が公認する、モータースポーツ競技に出場するために必要な、車両の型式認定のことをいいます。また、FIA公認以外の、各地で行われているモータースポーツ競技においても、FIAの規定に準じた、ホモロゲーションが適応されています。

出場するレースや車両クラスごとに規定がある

FIAが定めるホモロゲーションは、例えばフォーミュラ1、WEC(世界耐久選手権)、WRC(世界ラリー選手権)といった全てのモータースポーツ競技において、LMP1、GT3、グループA、グループNなど、参戦する競技車輛のカテゴリーごとに規定が設けられています。

ホモロゲーションによって、競技車輛に規定が設けられる内容は、例えば量産市販車がベースの、ツーリングカーレースやラリーへの参加車両では、まず、大規模に量産されているツーリングカーであることが前提とされ、次に年間の生産台数と搭載されるエンジンの総排気量の上限が定められ、さらに取り付けられる部品ごとに細かな規定が設けられます。

最も市販車に近いグループN

例えば、市販車ベースの競技車輛カテゴリーのうち、最も市販車に近い「グループN」のホモロゲーションでは、連続した12か月間に2,500台以上生産された、4座席以上の車のうち、グループAのホモロゲーションを取得した車が対象となり、エンジンの総排気量が1,400cc以下をN1、1,401cc~1,600ccはN2、1,601cc~2,000ccはN3、2,000cc以上はN4となります。

さらに競技用に取り付けられる部品に規定が設けられ、グループNでは、最も改造範囲が狭いため、主に消火器などの安全装備や、ロールゲージによる車体の剛性アップ、その他サスペンションの強化といった程度に留められ、その範囲を超える改造はホモロゲーション違反となります。

ロールゲージとロールバーパッド

モータスポーツ競技に出場するには、競技への参加に必要な「義務部品」を必ず取り付けなければなりません。これは選手が安全に競技を行うために欠かすことのできない装備です。

ロールゲージ、およびロールバーパッドは、レース中の他車との接触や、コースアウトなど事故や車両が横転した場合に、衝撃によって室内が変形するのを防ぐことで、乗員を保護します。

四点式シートベルト

レース中に乗員の姿勢を安定させるために、競技車輛では市販車の物よりも支持力の強い、4点式シートベルトの装着が義務づけられています。4点式シートベルトは事故により車両が横転した際など、乗員が車外へ飛び出すのを防ぎます。

消化器

レース中のトラブルなどによって、車両に火災が発生した時のために、レーシングカーおよびラリーカーでは消火器の設置が義務付けられています。

タイヤ・ホイール

サーキットなどクローズドコースで行われるレースや、あるいはラリーなど一般公道を走行するレース車両においては、競技専用タイヤの装着が義務付けられています。サーキットレースなどではレーシングスリックタイヤ、ラリー競技ではラリー用タイヤなど、それぞれ指定されたサイズを装着します。

ホモロゲーションの認証を取得する方法について

モータースポーツ競技に出場するために、ホモロゲーション認証を取得するには、まずFIAが認定する競技用のベースとなる車両を購入し、そこに認証を取得するための義務部品や、その他ホモロゲーションで定められた範囲で、エンジンパーツやサスペンションパーツといった性能向上のための部品を取り付けて、競技用車両を製作します。

レースに出るための車を製作したら、FIA公認の車両申告書に、競技車輛についての事項を細かく記入します。それをレース前に行われる車検の際に、検査員の指示に応じて提示し、車両の状態に不備がなければ、ホモロゲーション認証が取得され、レースに出場できます。

ホモロゲーション認定外の推奨部品について

また、レースやラリーなど競技に出場するには、ホモロゲーションで義務付けられていなくても、レースをするためには必要不可欠なパーツが存在し、出場する選手が安全に競技を行い、成績を上げるためには、必ず装着すべき部品です。

例えばラリーカーでは、悪路を走行する際に車体を守るアンダーガードやマッドフラップ、競技中に乗員の身体をしっかりとホールドする、バケットシート、また路面状況に対応して安定した走行を可能にする、強化サスペンションなどがあります。

ホモロゲーション認定の解除について

FIAが総括する、ツーリングカーレースやラリーなど、量産市販車をベースとした車によるレース競技のホモロゲーション認定は、その車が生産を中止してから七年を過ぎた時点で、ホモロゲーション認定が解除され、その後はレースに出場できなくなります。

ホモロゲーションモデルの特徴について

世界の自動車メーカーには、自社で製造している車をユーザーにアピールするために、メーカーによるワークスチームを結成し、FIAが総括するWRC(世界ラリー選手権)やWTCC(世界ツーリングカー選手権)に積極的に参戦するメーカーが存在し、各メーカーがしのぎを削って勝利を競い合う事から、モータースポーツを大いに盛り上げています。

そのような自動車メーカーでは、競技に勝つことが車の販売促進につながるとして、出場するレースのホモロゲーション認証を想定した、「競技に勝つための車」を開発しています。

そういった車を「ホモロゲーションモデル」といい、モータースポーツファンには憧れの車となっています。

GTOはレースに勝つためにつけられた称号

このようなレースに出場することを前提とした市販車には、「GTO(ジーティーオー)」と呼ばれる車があります。

「GTO」とは、イタリア語で「Gran Turismo Omologato(グラン・ツーリスモ・オモロガート)」の頭文字を取った物です。Gran Turismo(グラン・ツーリスモ)とは、直訳すると「長距離移動用の車」ですが、これは紛れもなく「レースで勝利するためにつくられた車」を意味します。

Omologato(オモロガート)は、英語でホモロゲーション(認証)を意味しますから、GTOとは「GTとして認証された車」、つまり「レースに勝つために開発された事を、メーカーによって認められた車」という意味となり、その車の高性能をはっきりとアピールしています。

伝説のホモロゲーションモデル

GTOと呼ばれる車の代表は、何と言っても1962年に登場した「フェラーリ250GTO」を置いて他にはありません。この車は、当時の世界スポーツカー選手権のGTカークラスで、チャンピオンを獲得するために、エンツォ・フェラーリが心血を注いで開発した高性能スポーツカーで、正しく、モータースポーツ史に残る伝説の車でしょう。

他にもGTOを名乗る車には、アメリカンマッスルカーのポンティアックGTOや、日本製4WDターボのスポーツカー、三菱GTO、また同じ三菱のギャランGTOといった車がありますが、これらはどれもレースに出ることを想定してはいないため、特にGTとは認められず、「GTO」というよりは「GT・NO(ノー)」でしょう。

外国車のホモロゲーションモデル

海外のメーカーが製作したホモロゲーションモデルで注目すべきは、やはり1980年代のWRCにおいて、最も過激といわれるグループBカテゴリーで大活躍した車、「ランチャ・デルタS4」でしょう。

ランチャ・デルタS4は、ベースとなった同社のハッチバック車「デルタ」をベースに、WRCでチャンピオンを取るために大幅に改良を加えて開発された車で、前エンジンの小型ファミリーカーのデルタをミッドシップツーシーターに改造し、さらにフルタイム4WDシステムを組み込みます。

エンジンにはターボとスーパーチャージャーを組み合わせた「ツインチャージャー」を搭載し、最高出力は250馬力という、当時の量産小型車としては、飛び抜けた高性能モデルとして世間を驚かせました。

デビュー戦で見事に勝利したデルタS4

当時のグループBホモロゲーション規定の、年間200台の生産台数をクリアして、WRCにデビューしたデルタS4は、ランチャ・ワークスチームで2台が出場し、初戦で見事にワン・ツーフィニッシュを飾るという見事な成績を上げます。

その後も、あり余るパワーを利用した過激な走りで、ラリーファンを魅了したデルタS4は、現在もマニアには憧れの車となっています。

日産のホモロゲーションモデル

日本車にも、WRCで勝つために開発されたホモロゲーションモデルは、トヨタ・セリカGT-Fourや、スバル・インプレッサWRCなど、魅力的な車がたくさんありますが、中でも強烈な個性を放つ車が、日産240RSでしょう。

240RSは、日産のスペシャリティー・クーペとしてのシルビアをベースに、物々しいオーバーフェンダーを装着した、いかにもラリーカーといったスタイリングを持つ攻撃的な車です。

240RSは、日産がこの車のために専用に開発した高性能エンジン、総排気量2,400cc直列4気筒DOHCの「FJ24型」を搭載し、最高出力240馬力を発揮して後輪を駆動するFR(前エンジン後輪駆動)車で、ドライバーが大パワーで暴れる車を巧みに制御しながら、猛スピードで駆け抜けていく姿が、日産車が好きなラリーファンの心を捉えました。

ホモロゲーション車は車好き憧れの名車

ホモロゲーションについて、車両の特徴や認証の受け方、また各メーカーが製造したホモロゲーションモデルの特徴などを紹介しました。

自動車メーカーが、WRC(世界ラリー選手権)や世界GT選手権などの国際競技に参戦する理由は、各社が製造する車の性能をユーザーにアピールするためです。そのためにはレースに勝たなければなりません。

しかし、FIA(国際自動車連盟)は、そのような競技車に規定を設け、一年間に定められた数を製造しなければ認証(ホモロゲーション)が与えられず、競技に参戦できません。

そこで各メーカーは、レースに勝つことを前提とした高性能車を開発し、市販車として量産することで認証を取得し、競技に臨みます。それがホモロゲーションモデルで、生まれながら勝利を託された、正に自動車界のエリートです。

あなたも車選びの参考に、そのようなホモロゲーション車にぜひ注目してみましょう。

初回公開日:2018年04月09日

記載されている内容は2018年04月09日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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