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三菱スタリオンのカスタム方法・燃費・価格|ターボ/マフラー

更新日:2024年12月17日

三菱スタリオンについて、その成り立ちや性能、メンテナンス、カスタムや中古車価格などを解説します。誰もがカッコイイ車に憧れていた80年代初頭に、若者たちのハートを釘付けにしたスポーツカーの魅力とは一体何か、そのようなスタリオンについての耳寄りな情報を紹介します。

三菱スタリオンのカスタム方法・燃費・価格|ターボ/マフラー

三菱スタリオンってどんな車?

三菱スタリオンという車をご存知でしょうか。1980年代の初期に、当時18歳で車の免許を取得した人や、またはその頃の高校生や中学生で、車やオートバイが大好きな、カタログや自動車雑誌を読みふけったり、プラモデルを必死になって作った、そのような少年時代を過ごしていた方なら、きっと記憶の片隅に残っている車でしょう。

三菱スタリオンは、誰もがかっこいい車に憧れていた、あの懐かしい時代に、当時の若者たちのハートを強烈に惹きつけた車のひとつです。そのような時代の最先端を担っていたスポーツカー、三菱スタリオンの成り立ちやその頃の時代背景、車の性能やカスタマイズ情報、また気になる現在の市場価格などについて解説していきます。

深刻な公害問題により規制が強化され高性能車が姿を消す。

1973年(昭和48年)に施工された「自動車排出ガス規制」以降、各メーカーは販売車両の全てに、排気ガス浄化装置の装着を義務付けられたことから、各車とも大幅なパワーダウンを余儀なくされ、新しく販売される車は、以前よりも走行性能が低下してしまうという事態になりました。

そればかりか、当時、大気汚染による公害問題が最も深刻化していた日本では、その後も排気ガス規制は1975年(昭和50年)、1976年(昭和51年)とますます強化されていきます。

オイルショックによるガソリンの高騰がさらに追い打ちをかける

また1973年に発生したオイルショックによって、ガソリン価格がわずか三年ほどで倍に跳ね上がり、社会は急速に省エネルギー化が推進されていきます。自動車メーカー各社は排気ガスの浄化と共に低燃費をも達成せねばならず、高性能を売りにしていたトヨタの2TG型や、日産のS20型などのエンジンは、燃費の悪さから軒並み廃止されることになります。

各メーカーの懸命な努力によって厳しい規制をパスする

しかし1977年に三元触媒による排気ガス浄化装置と、電子制御燃料噴射装置が登場すると状況は一変します。日本の各メーカーはこれら二つの装置を取り付けることで、1978年(昭和53年)に施行された最も厳しい排気ガス規制をクリアし、その上で低燃費と十分な走行性能を実現した車を続々ラインナップさせてゆきます。

元はアメリカで始まった排気ガス規制法案でしたが、肝心の本国では自動車メーカーからの猛烈な圧力によって施行が延期され、法案そのものが骨抜き状態になっており、またヨーロッパでも車の性能を大きく低下させてしまうことから、排ガス規制の導入には消極的でした。

厳しい規制を乗り越えたことで日本の技術が世界に評価される

そのような海外の動向に反して、日本だけは、公害による環境汚染が社会問題化していた背景もあり、当時としては最も厳格な排気ガス規制が施行されました。そして、それが結果的に日本の自動車メーカーの技術力を急速に高め、その頃から日本の車は、世界的に「低燃費で環境にやさしい車」というイメージを確立させることとなりました。

高性能車を求めるユーザーの声が高まる

そうなると、排気ガス規制によって言わば「牙を抜かれた」車たちに満足できなかったユーザーから、より高性能な車を求める声が高まってきます。そのような顧客の要望に答えるべく、また同時にメーカーのイメージアップを兼ねて、自動車メーカー各社は、高性能エンジンを搭載したスポーツ車の開発にしのぎを削っていくことになります。

1979年に日産が2000ccの電子制御燃料噴射装置付きL型6気筒エンジンに、米国ギャレット社製のターボチャージャーを装着した日本初のターボエンジンを登場させると、翌80年にはスポーティーモデルのスカイラインに搭載します。この車は最高出力145馬力と、当時の国産車としてはかなりの高性能を誇り、大きな話題を呼びます。

メーカーによる高性能化競争が勢いを増す

それまで最も最高出力の高い日本車は、1969年に登場したPGC10型スカイラインGT-Rで、総排気量2000ccの直列6気筒DOHCエンジンS20型を搭載し、その最高出力は160馬力でしたが、1981年2月に登場したトヨタ・ソアラは初めてそれを上回り、直列6気筒DOHCの5M-GEU型は、2800ccの排気量で最高出力170馬力を達成していました。

この5M-GEU型は同じトヨタのスポーティーカー、セリカXXにも搭載され、また日産からは1981年10月に、最高出力150馬力を誇る、4バルブヘッドを持つDOHC4気筒FJ20型を搭載したDR30型スカイラインRSとS110型シルビアRSが登場し、このあたりから各自動車メーカーの馬力競争が急速に加速していきます。

三菱スタリオンはターボエンジン搭載のスポーツカー

そのような状況の中、1982年5月に登場したのが、G63型直列4気筒SOHCターボエンジンを搭載したスポーツカー、三菱スタリオンです。

スタリオンは、当時、世界中の多くの自動車メーカーから注目を集めていた、新世代のスポーツカーとして1975年に登場したポルシェ924を目標にして、三菱が開発した、高い走行性能と実用性を兼ね備えたスポーツカーです。

スポーツカーの手本とされたポルシェ924

ポルシェ924は、当初フォルクスワーゲン社と共同開発することで量産実用車と部品を共有してコストダウンを図り、1963年より同社の主力車種である911よりも低価格でありながら、高品質かつ第一級の走行性能を実現したスポーツカーのお手本みたいな車でした。

ポルシェ924は、アウディ製の直列4気筒SOHC、125馬力のエンジンを車体前部に縦置きに搭載し、トランスミッションを後輪車軸に搭載する「トランスアクスル」を採用することで、前後の重量配分をほぼ同じとした高いコーナーリング性能を持つ車です。

なおかつ狭いながらも非常用として使える後部座席と、ガラス製のハッチを装備した実用的なラゲッジスペースを備えた、使い勝手に優れたスポーツカーで、1978年にはターボチャージャーで武装した、最高出力170馬力の924ターボが登場し、さらに魅力を増していました。

三菱製のターボチャージャーを搭載したスタリオン

三菱は、高性能車を望む日本のスポーツカーファンの要望に応えるべく、またスポーツカーのが高い北米市場において、好調な販売台数を誇っていたポルシェ924ターボに対抗すべく、同じくターボエンジンで武装したスポーツカー、スタリオンを登場させました。

スタリオンに搭載されるG63B型直列4気筒SOHC、電子制御燃料噴射装置付きターボエンジンは、総排気量2000ccで最高出力145馬力を発揮します。このターボチャージャーは三菱製のTC05で、戦前からの航空機メーカーであった三菱が、自動車用小型ターボをいち早く実用化した物です。

エンジンと車体に進化を続け1990年まで販売される

スタリオンは1984年に可変バルブ機構とインタークーラーを装備した、最高出力200馬力のエンジンに進化し、さらに1988年には実用域のトルクを重視した、輸出仕様の2600ccターボ175馬力を搭載し、ワイドボディと極太タイヤを装備したモデルにチェンジし、1990年をもって生産を終了します。

ポルシェ924ターボの対抗馬として十分な性能を持つ車

スタリオンは、このエンジンをポルシェ924と同じく車体前部に搭載し、後輪を駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)方式を採用しています。また924よりも広く、大人が何とか座ることのできる後部座席と、ガラスハッチを備えた実用性の高いラゲッジスペースを持つスポーツカーで、対抗馬として申し分のない内容の車となっています。

最大の魅力は優れたハンドリング性能

スタリオンの良さは、6気筒エンジンに比べると軽量で、低回転からトルクフルで力強く、扱いやすい4気筒ターボエンジンを搭載したことによる、軽快なハンドリング性能です。実際に海外のメディアが行った性能比較テストでは、パイロンスラロームで何とポルシェ944ターボよりも早いスピードで走行できるという結果が出ています。

944ターボは924の性能を大幅に向上させ、ポルシェ製の2500cc4気筒SOHCターボ、最高出力220馬力のエンジンを搭載した、「世界でハンドリングが良い車」と称されたスポーツカーです。その944ターボを上回るとは、スタリオンがいかに車としての素性が優れていたかがわかります。

絶対的な動力性能では、ライバルのRX-7やスープラ、フェアレディZなどには劣りますが、スタリオンは扱いやすい特性のエンジンとハンドリングの良さで、運転の楽しさを存分に味わえる車です。

伝説の車スタリオン4WDラリー

スタリオンにはWRC(世界ラリー選手権)出場を目指して開発された特別な車、「スタリオン4WDラリー」というモデルが存在します。

こちらは1983年に、当時ランチャ・デルタS4やアウディ・スポーツクワトロ、プジョー205ターボ16などが活躍していたWRCのカテゴリー、グループBへの出場資格を得るために、200台限定での市販を予定していたラリーに勝つための車です。

スタリオン4WDラリーは、市販車に搭載されていた、可変バルブ機構を装備のインタークーラー付きターボの排気量を2100ccにまで拡大し、最高出力360馬力という強力なエンジンのパワーを、最新の4WDシステムによって路面に伝えるというスペシャルな車です。

残念ながら市販化はされず伝説の車に

完成した試作車のテストでは、当時最強を誇るマシン、アウディ・クアトロを上回るコーナリングスピードをマークするなど高いポテンシャルを発揮していましが、WRCでの相次ぐ死亡事故の発生によって、グループBカテゴリーが1986年を持って終了することとなり、残念ながら実際に市販されることはありませんでした。

しかし、スタリオン4WDラリーは各種ラリーのプロトタイプクラスに出場しクラス優勝を飾り、また1986年には、プロトタイプでも総合優勝が狙える香港-北京ラリーに出場し、宿敵アウディ・クワトロに次ぐ総合2位でフィニッシュするなど、その実力の高さを証明しました。

現在、スタリオン4WDラリーの市販車仕様のレプリカが、三菱自動車の岡崎工場にて展示されています。

三菱スタリオンのカスタム方法は

三菱スタリオンは製造中止から27年も経過した現在でも、多くのファンが存在する日本製スポーツカーです。特に自動車趣味文化の進んだアメリカでは、たくさんの根強いファンによってが盛り上がりを見せ、カスタムパーツなども数多く販売されています。

そのようなスタリオンのメンテナンス、カスタム事情について説明します。

ターボ

スタリオンに搭載されているG63型ターボエンジンは、歴代のランサーエボリューションに搭載された、名機と呼ばれる4G63型DOHCターボエンジンの元となった物です。

こちらのエンジンは鋳鉄製シリンダーブロックを使用していて、耐久性が非常に高い頑丈なエンジンとして知られています。このためチューニング、カスタムの世界においても非常にが高いです。

スタリオンみたいなターボ車のチューニング手法としては、より大型でレスポンスの良いタービンに交換する方法があります。その場合、やはり同じ三菱製のTD05またはTD06といったタービンを使用する方が、エンジンとのマッチングも良好でしょう。

埼玉県草加市にあるショップ「SIRIUS」では、このようなスタリオンにベストマッチするタービンや、タービン交換に伴うエンジン強化など、さまざまなチューニングメニューを取り扱っています。

マフラー

スタリオンを始めとしたターボ車のパワーアップや、走行フィーリングの向上において絶対に欠かせないのが、マフラーやエキゾーストマニホールドといった排気系のチューニングです。

ターボエンジンはマフラーを交換して排気の抜けを良くするだけで、ブースト圧がアップし、相当なパワーアップ効果が望めます。

埼玉県草加市 三菱旧車専門店「SIRIUS」では、スタリオンG63型2000ccおよびG54型2600ccエンジン専用の、オールステンレス製エキゾーストシステムを販売しています。また、その他ブーストアップなど各種チューニングメニューを取り扱っています。

ホイール

三菱スタリオンに似合うホイールとしては、三菱純正のスタリオン2.6GSR-VR用アルミホイールがです。サイズは8Jの16インチ、装着されていたタイヤはフロントが205/55R16、リアが225/50R16です。

こちらは個性的な5本スポークスタイルのリムが深いアルミホイールで、さすがに純正デザインだけあって、ワイドボディのスタリオンが持つダイナミックなスタイリングに、非常に良く似合います。

また標準ボディの2.0GSR用では、純正の6.5J-15インチ、ディッシュタイプのホイールが、80年代当時の雰囲気をよく醸し出しており、ベストマッチでしょう。

いずれのスタリオン用純正ホイールも、海外のサイトで「スタリオン用OEMホイール」と検索すると、純正ホイールをリビルトした製品が多数出てきます。

三菱スタリオンの燃費性能について

三菱スタリオンの燃費性能について、2000ccターボエンジンを搭載したGSR-Ⅲから、同じエンジンでボディのみワイド化したGSR-Vまででは、レギュラーガソリン仕様で5速マニュアルミッション車が1ℓ当たり11.2~11.4㎞、4速オートマティック車で9.2㎞となっています。

また1988年にモデルテェンジした、輸出仕様2600ccターボエンジン搭載のワイドボディ仕様のGSR-VRでは、無鉛ハイオクガソリンが指定され、5速マニュアルミッション車で1ℓ当たり8.0㎞、4速オートマティック車で7.0㎞と、性能と排気量を考えれば、当時の車としてはかなり良好な燃費性能となっています。

しかし、このような昔のターボエンジン車は、長い時間高回転まで回したり、急加速などを繰り返すと途端に燃費が劣悪になるので、注意が必要でしょう。

三菱スタリオンの新車価格と中古車相場について

三菱スタリオンの中古車価格は、おおむね130万円から190万円といったところです。当時の新車価格が270万円から330万円ですので、25年以上も前に製造された車にしてはかなり高価だといえます。スタリオンを始め、日本製スポーツカーのは海外で相当に高まっており、価格の高騰はもちろん、程度の良い個体の多くは海外へ渡り、高値で取引されています。

何分非常に古い車なだけに、流通している車両はとても少ないですが、中でも前期の2000ccモデルは特に数が限られていて、後期の2600ccモデルの方が比較的探しやすいです。

三菱スタリオンは運転を楽しめるスポーツカー

三菱スタリオンについて、その成り立ちや性能、またカスタム情報や現在の中古車価格などを紹介しました。

スタリオンは80年代の日本車を代表するスポーツカーの一つとして、製造中止から27年経過した現在でもが高く、特に海外では根強いファンたちによって支えられ、メンテナンスやカスタムにおいても幅広い需要があります。

スタリオンの魅力はスポーツカーとしての優れた素性と、エキサイティングかつ美しいそのスタイリングにあります。そこには80年代ならではの頭をからっぽにして楽しめる純粋なカッコよさがあり、その姿を見るだけでも、現代のトヨタ86などには決して見られない、ウキウキした感覚が存在します。

あなたも思い切って80年代の最高に楽しいスポーツカー、三菱スタリオンを手に入れてみましょう。きっとこれまで経験したことのない、素敵なカーライフが待っているでしょう。

初回公開日:2018年02月22日

記載されている内容は2018年02月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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