ホットロッドカスタムショーの内容と車の選び方・販売店
更新日:2024年09月03日
ホットロッドカスタムショーの内容
「ホットロッド」とは、車のカスタムの一ジャンルで、その語源は「イカしたロードスター」的な意味の(hot roadster)とも、「熱いプッシュロッド」(hot pushrod)とも言われていますが、真偽のほどは定かではありません。ですが、車改造のジャンルでは最も「ホット」なものの一つです。
毎年12月に横浜で開催されるホットロッドの祭典、「ムーンアイズホットロッドカスタムショー」では、本場アメリカに負けない個性的なホットロッドが勢ぞろいします。
横浜で見られるカスタムショー
このショーでは、アメリカ車が好きな人達にとって、改造のヒントが散らばっていたりするので、好きな人にとっては絶対に見逃せない大イベントととなっています。
会場はパシフィコ横浜の室内なので寒さを気にせずにさまざまなホットロッドを見て楽しむことができます。
会場に展示されているホットロッドの種車はさまざまですが、その改造内容から年代を考察することができることも楽しみの一つです。
もしも自分でホットロッドを手に入れようと考えたら、チェックポイントはどこなのか、ステキなホットロッドライフを送るためにもぜひとも確かめておきましょう。
ホットロッドに見られる改造方法
ホットロッドは、そもそも車とスピードが好きな人の車です。
高校時代に車に魅せられて自分でホットロッドを仕立て上げ、ドラッグレースなどで無敵の活躍をしたディーン・ムーンは、オリジナルで燃料と燃圧を均一にエンジンに送り込むパーツである「フューエルブロック」を作り、知人のドライブインで販売したところ大となりました。
これがホットロッドのための改造パーツのブランド「ムーンアイズ」初のオリジナルパーツでした。
ホットロッドの文化の発展
1950年代にはこれらのパーツを自らの車に組み込んでホットロッドに仕立て、若者たちが週末にはドラッグレースやスピードトライアルに挑む姿が見られました。
近年では、低年式の車に高年式のエンジンを組み込む改造方法も見られ、youtubeでも型の古い車が猛然と白煙と爆音を上げて画像を見ることができます。
この様の車が、上に述べたホットロット好きがアガるイベントのカスタムショーに参加していました。ビーチボーイズの「Check My Costom Machine」は、自分が仕立て上げたホットロッドをイベントに見せつけるといった内容が歌われています。
「ストリートロッド」は公道向けホットロッド
しかしホットロッドの車趣味が定着して来るにしたがって、ドラッグレース専用かカスタムショー専用に特化した個体が多くなってしまい、普通の若者が「スピードを楽しむ」という事が少なくなってきました。
そこで生まれたのが「ストリートロッド」という街乗りの際の実用性を考慮したホットロッドでした。
日本車に置き換えて考えてみれば、スカイラインのGT-Rのサーキット向けの改造車で街中を走れるとは考えられません。そのような改造車はレースで速く走る事に特化しているので、いくら街中でも扱いにくい事は無いGT-Rの最速バージョンだからといって街中で乗る人はいないでしょう。
富裕層もハマるストリートロッド
つまりストリートロッドとは、確かに普通の車よりも強力なエンジンを積みながらも扱いやすさが考慮されており、インテリアも高年式のパーツをふんだんに使用しています。つまり、速さはもちろんのことですが自分たちの手掛けた世界に一台しかない車を得て、乗るという車趣味です。
フェラーリやポルシェも手に入れた最近の富裕層は、自分好みにストリートロッドを仕立てるという楽しみにハマっている人が少なくありません。最近では、昔からホットロッドのベース車の定番であった30年代のフォードのボディーパーツが手に入る事があり、自分たちで「オンリーワン」のホットロッドである「ストリートロッド」を仕立てることに精を出しています。
中古車のホットロッドの選び方
「これは」と思ったホットロッドを、ショーでも公道で見かけたら即「商談」が始まる事が、本場アメリカでは見受けられます。一応ダメもとでもアタックしてみるという気持ちもまた、良いホットロッドとの出会いのためには必要なことです。車の良し悪しとは別に、どの様な所に気を付ければ良いかを検討してみましょう。
ちなみに本家のホットロッドは生産数の多かった戦前型のフォードを選ぶ事が一般的でした。大衆車であった事から現存数が多かったことと改造パーツが揃っていたためです。ここでは日本車も含めた選び方を考えてみます。
パーツがキッチリとセットされているか
ホットロッドという車は、改造パーツを付けていたり、あるいはオリジナルの部品を外していたりする物ですが、そのような改造で見た目のバランスが変わってきます。まして現代のホットロッドは見た目のクールさも大切な要素であることも覚えておいてください。
そのクールさを壊さないための要素といえば、バーツがキッチリとセットされているかどうかです。例えばフェンダーの中にツライチ(タイヤの外側とフェンダーの外側の面が一直線になっていること)となってるかどうかはコダワリの大きなポイントとなります。
その他にも、バックミラーのパーツの角度に破たんが無いかといった細かい部分にもコダワリがあるかどうかを見逃さないようにしましょう。
自分で持て余すことは無いと判断できるか
探しているホットロッドの中には万全の物ばかりとはいかないケースもあります。その時、何らかの形で手を入れなければならないこととなりますが、自分のフトコロとよく相談しながら判断をしなければなりません。
後々の面倒を考えれば、多少値が張っても良い物を買った方が得策でしょう。
車高はやや低めになっているか
ホットロッドを始めカスタムカーをクールに見せているのは何といっても「車高」です。車高がやや低いとその車が精悍に映るというマジックをもたらします。
普通サスペンションを強化すると車高が多少下がるのですが、本場のカスタムショーでもツボを外した車があります。
良いホットロッドは技術だけでなくセンスも大きな要素を占めているので、もしも間違いのない選択をしたいならば良き相談相手や友達と一緒にショーでじっくり品定めをして目を肥やしていきましょう。
日本車のホットロッドがカスタムカーの本場で注目される
ホットロッドは、何も低年式のアメ車で、ボディにファイヤーフレームが描き込まれていて、ボディの後ろが跳ね上がった個体ばかりとは限りません。
近年のアメリカ西海岸やオーストラリアでは、日本の旧車の改造車がを集めています。海外で大であった日産のフェアレディZや510ブルーバードはもちろん、アメ車のマスタングに似ているということでトヨタの初代セリカも彼の地のカスタムショーで多数見ることができます。
面白いのは、アメリカ流にエンジンを取り換える方法まではホットロッドと一緒なのですが、日本流の外見の改造が注目されていることです。懐かしの「街道レーサー」スタイルはアメリカでも注目の的です。
フェアレディZのホットロッド
その性能で日本を代表するスポーツカーの1つであるS30フェアレディZは、ホットロッドになっている個体も数多く存在します。
カスタムショーに出品される物には定番のボディーパーツであるオーバーフェンダーやリアスポイラーはカーボン製で、派手過ぎない雰囲気が却って凄みを演出し、走り屋の雰囲気満点です。
S30フェアレディZに搭載されていたL型エンジンは、まだまだチューニングの限界に挑める余地を残しているためか、ゼロヨン専用のフェアレディZも素晴らしいタイムを叩き出しています。ですからエンジンのチューニングのノウハウの蓄積はちゃんとしたショップであれば確立されているので、この車を選ぶことにそう不安はありません。
ホットロッドの車検での注意点
ホットロッドの愛好家の方には、車に社外のパーツを取り付けていることも多いですが、改造の方法によっては公認車検が必要になるケースがあります。改造した車であっても陸運局の保安基準を満たしているという認定があれば公道を走る事ができます。
また車の改造の際には指定部品の規定がありますが、保安基準を満たしている物であればOKです。
まずエンジンや排気系に関する部品はエキゾースト・パイプやマフラーカッターです。これらのパーツが保安基準を満たしているか、ホットロッドの愛好家ならまず確認が必要です。
そして車体にパーツを付けている場合はエアスポイラー、フェンダーカバーなどのパーツ、内装では恐らく操作性をよくするためにステアリングを変えたりもしていることと考えられますが、その他にもシフトノブも確認が必要です。
それらの改造が施されている場合、陸運局に構造変更申請をする必要があります。
構造変更申請をするには
ホットロッドの様な改造車の書類審査には、車検証のコピーの他に、改造自動車等届出書・改造等概要説明書・改造箇所の添付書類などが必要となりますが、これらは陸運局で入手できます。
書類審査をスムーズにするためにも、車検対応証明書と保安基準適合証も準備しておく必要があります。
書類審査ではチェックが非常にシビアなために、詳細な記述をする必要がありますので気を付けましょう。
そして1週間の書類審査に合格すれば晴れて普通の車検と同様に受験予約の上検査ラインに並び、何も問題が無ければ無事新しい車検証が発行されます。
改造を請け負うカスタムショップならば車検に通すノウハウがありますので、多少コストがかかっても安心題だと考えれば委託する事もアリです。
ホットロッドの販売店
上述の車検の事を考えれば、特定の車種に強い専門店でホットロッドを購入することが一番確実となります。例えば有名なアメ車の1つであるシボレー・コルベットスティングレーならここ、というお店ならばそのままヴィンテージカーとして乗る事も、ホットロッドとして乗る事も相談が可能です。そして一番大きいのが車を通した「縁」ができる事です。
そのお店で自分のホットロッドの調子の悪い原因を見てもらえることから、常連の客と知り合いになって車に関する思い出のようなでき事や注意すべきことを聞き出すことができるようになります。そしてそのショップでつながった仲間とバーベキュー大会を兼ねた走行会で親睦を深めることもできます。
販売店から思い出と仲間が出来る
そして自分のホットロッドの事に関する知識がより増えたなら、自分でオイル交換などの手入れの他に色々な整備が可能になり、手にしたホットロッドはもはや唯一無二の相棒となるでしょう。人の生活は仕事や家庭ばかりではなく、仲間とのつながりや趣味も大きな位置を占める事を考えれば、豊かな生活を送る上で大切なことです。
ホットロッドのレビュー・口コミから見えるもの
上述の横浜のカスタムショーを見に行く人たちは車が好きな人が多く、当然ながらホットロットをみてワクワクするレビューや口コミは数多くあります。
しかし、何よりも彼らを引き付けているのはただ速い車といつだけでなく、そのクールな姿やエンジン音にワクワクするような「アガる」要素があることです。しかし車の趣味のジャンル以上に車に乗る人のタイプは多種多様ですから、ホットロッドに対してのイメージは良い悪いだけでなく硬軟取り混ぜて色々なものがあります。
ホットロッドが与えるイメージ
その排気音のボリューム、スピードからしてホットロッドは反社会的な車というイメージを抱く人は一定数います。日本で言えば暴走族のような連中と見ているためでしょうか、苦々しい顔をしてホットロッドを見ています。
ですがこの様な趣味への理解もまた、車のある生活の歴史と文化が垣間見えることも事実です。あくまでも自分だけの車を手に入れるためにホットロッドの趣味を楽しんでいるということを改めて自分に言い聞かせてみませんか。
ホットロッドに抱きがちな悪いイメージ
それなりにマニアックな車趣味であるホットロッドですが、ベンツとは少し違った意味の押し出しの強い外観と、迫力のある排気音、改造したエンジンがもたらす大パワーによる道路に黒々と残るタイヤの跡などに眉をひそめる人もいます。しかしながら普通のスポーツカーに対しては「走り」を楽しんでいる運転を見て
憧れているのに、です。
ホットロッドが理解の無い人に白い目で見られてしまうのは、改造車イコール暴走族というような、いわゆる「ガラの悪さ」を感じる偏見のフィルターをかけているからです。車を移動手段として、または家電的に捉えている人にはより速く走ろうという趣味があることを知らないだけです。
偏見を持っている人のために
キャラ的に学級委員タイプの人でしたら、「何てガラが悪くてチャラい車だ」と誤解してしまうような部分をホットロッドに感じる人が多いでしょう。しかし車にも人間みたいに魂があったら、身体を鍛えてカッコよくなってお洒落したい、と考えても不思議ではないことではありませんか。まずは想像力をもってみましょう。
ホットロッドが好きな人の気持ち
人に迷惑をかけてはいけませんが、それさえ守れば車趣味もまた自由なはずです。ホットロッドが好きな人は、少なからず車にたいする思い入れが人よりも多い訳ですから、人物的にはヤンチャというよりもオタクに近いです。
その醍醐味はスピードはもちろんですが、自分だけの唯一無二の財産を手に入れることに他なりません。多少排気音が他の車より大きくても最低限の運転のマナーさえ守れば周囲にもこの文化に理解を示してもらえることは間違いありません。
そもそもホットロッド愛好家はスゴみで人を驚かすために運転している訳ではありません。一緒にいてテンションが上がる相棒とのひと時を過ごす愛好家には暖かい理解を示すことが大切です。
ホットロッドのある生活を楽しむために
そもそもホットロッドは、1930年代に中古車を改造して走りを楽しむ事から始まった車趣味です。時代を経るにしたがって、見た目のカスタムの要素も加わりましたが、中古車をイカした速い車に仕立て直すという車趣味である事は変わりません。
自分のホットロッドをより速くするためにパーツを付けてチューンをしたり維持していく上では、困難はついてまわります。そこは車のスピードとは正反対に、ゆっくりとじっくりと付き合うことが求められ、我慢のしどころです。
ある指南によれば、自分のホットロッドをかけがえのない相棒にするためにはガレージを自分の部屋にするのもアリというものもあります。車に関する事で、「何かやるべきこと」を思いついたら即手を入れることができます。少し時間ができたら車をピカピカにすることもできます。「ホットロッド」の趣味とは、時間的にいえばゆっくりと車と向き合う趣味ということになります。
初回公開日:2018年02月26日
記載されている内容は2018年02月26日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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