移動販売車の許可の取り方と自作方法|中古/レンタル
更新日:2024年09月11日
移動販売車って?
『移動販売車』と一言に言っても飲食物を販売するのか雑貨物を販売するのかなど数多くの種類があります。ですが、基本的には『常設店舗で作ったものを車に乗せて出先で販売するための車』という点では変わりありません。
移動販売車の作り方や販売形態によって許可の取り方であったり、届出先が変わっていきます。これからは最近台数の増えてる飲食物を販売する場合の特徴を踏まえて移動販売車をご紹介していきましょう。
移動販売車の種類
移動販売車が手軽になってきている今の時代、その種類は多種多様となってきています。そこでまずはいろいろな移動販売車のベースとなる種類をご紹介します。
移動販売車の種類『車』編
まず移動販売車の命とも言える車をご紹介します。それぞれメリット・デメリットがあるので見た目や値段だけで選ぶと思わぬトラブルになりかねないので注意が必要です。
軽自動車
お値段的にも購入しやすい価格帯の軽自動車ですが、やはりそのメリットは『維持費が安い』『初期投資を抑えられる』『誰でも運転できる』といったところです。
ですがデメリットもあります。『販売スペースが限られている』『基本的に一人でしか営業できない』『移動が大変』といった点があります。また、最近では軽自動車そのものが高くなってきているのでその中でもより良いものを探しましょう。
種類としては『バンタイプ』『トラックタイプ』どちらをベースとするかによっても初期投資は変わってきます。どちらも商用車向けのためカラーバリエーションも少なく個性を出すには全塗装必須です。
バンタイプ
バンタイプをベースに移動販売車を作ろうとしたときに1番大事な事は利用者の身長に合ってるかどうかです。室内の高さを変えられないので中で作業するとなったときには、中腰、もしくはいすなどに座ったままの作業となります。あまり身長の大きな人や体格のいい人には無理が出てきてしまい身体を壊してしまう可能性があります。
バンタイプの場合、中古の移動販売車を購入しても内装の工事やカスタムがしやすいので初期投資をだいぶ抑える事ができます。
《車種例》ハイゼット・サンバーバンなど
トラックタイプ
トラックタイプの移動販売車の場合ですが、イメージは荷台部分に販売スペースを載せるといったイメージです。ですので新たに部屋となる物を作らなければならないので室内空間は調整がききます。ですがもちろん法律で決められた範囲内での話ですので注意が必要です。
荷台部分に販売スペースを載せるため、室内への出入りが少し大変です。作りが軽トラックなので踏み台もしくは階段があったほうがより便利になります。
バンタイプに比べて後々の加工がしにくいので移動販売車の中古車を探す際にはなかなか自分のやりたいものと合うものが少ないです。
《車種例》ハイゼットトラック・ミニキャブトラックなど
普通自動車
普通自動車を移動販売車にする場合軽自動車に比べて車種が多いので自分のやりたい移動販売車の形に近づく事が可能です。サイズもいろいろあるのでやり方によってはその都度装備を入れ替えたりすることで、より多く移動販売が1台でできます。
一般的な普通自動車の移動販売車は大きく『バンタイプ』『トラックタイプ』に分けられます。
バンタイプ
バンタイプの場合比較的室内高は低めですが長さがあるので少し大掛かりな装備も積めます。中ですれ違うことは厳しいですが、2人ぐらいであれば並んで作業も可能なので作業を分担してやることができます。
ハイエースやキャラバンなど車種もあるので中古車の数は圧倒的に多いです。
《車種例》ハイエース・NV350など
トラックタイプ
一言で言えば上記でご紹介した軽トラックの移動販売車の普通車版です。ですが載せられる範囲が広いためアイデア次第ではどんな風にでもカスタムできます。
注意点は、ディーゼル車が多いと、排ガス規制で主要都市に入れなかったりしてしまうので営業したい範囲をよく見極めてから購入しましょう。後から排ガス規制に対応することも可能ですが莫大な費用がかかります。
《車種例》ライトエーストラック・ボンゴトラックなど
その他の自動車
その他の自動車としては『マイクロバス』『中・大型バス』などがあり、これらは中で食事まで完結させてしまう改造をしてしまう方もいらっしゃいます。
また、普段使っている乗用車で『トレーラータイプ』の移動販売車を引いてオシャレに演出してる人もいるのでアイデア次第では個性を前面に出せて唯一の移動販売車を作る事が可能です。
バスベース
こちらは移動販売車の中でもイートイン可能な『食堂車』として稼働してる車やスーパーなどの店先で出張包丁研ぎなどをする『加工車』として稼働してる場合が多いです。
イートイン可能な食堂車の場合、調理も同一車両内でやるため相当な工夫が必要ですがイベント出店でのテイクアウト形態に比べて室内で食べれるという点から、あまり天候に左右される事がありません。
基本的に中型以上のサイズが多いため旧普通免許もしくは新中型免許が必要です。
トレーラータイプ
次にちょっと個性を出したい人向けにトレーラータイプの移動販売車をご紹介します。
トレーラータイプの場合長期間の出店にも対応が可能な利点があります。というのも、トレーラータイプの場合普通車で牽引して現地に向かうのですが現地でトレーラーを引き離して据えつけてしまえば普通車で足りないものの買い出しやホテルまでの移動が安易になるので、数日間出店といったときに毎回全てを片付ける必要がなくなるのです。
また、普通車に人が乗れる状態なのでスタッフも確保しやすく長時間の出店でも適度に休憩を取ったりが可能になります。
注意する点は、牽引するトレーラーによっては牽引免許が必要になってくるということと、狭い土地での出店は入れない場合があるということです。
移動販売車での開業方法
移動販売車で開業するにあたって抑えておきたい点が『車検に適合する車両を作る』『何を販売したいか明確にしてもれなく許可申請をする』『なるべく個性をだして唯一無二の存在になる』です。先の2つが特に大切で車両を作っても許可が降りなければ営業できません。
また、食品を扱う場合車両の許可の他に『食品衛生管理者』もしくは『調理師免許』が必要になってきますので注意が必要です。
移動販売車の許可の取り方
ここまでは車について説明しましたがここからは移動販売車で営業するための許可の取り方を説明していきます。
移動販売車で営業するにあたって取らなきゃいけない許可が車を公道で走らせるための『車検』、移動販売で食品を販売する場合には『保健所』の許可も必要になってきます。
まずは車を公道で走らせよう
車なので公道で走れなければ何もできません。近年車検制度は目まぐるしく変わってるのでとくに注意しましょう。また、軽自動車とそれ以外では管轄も変わってきます。軽自動車は軽自動車検査協会の管轄。それ以外の車両は運輸支局の管轄なので車両について問い合わせる際には注意してください。
移動販売車に適している車検証上での用途区分ですが大きく『食堂車』と『加工車』に分けられます。食堂車は主に食品を扱い車内で食事までできる車両。加工車とは車内で包丁研磨やゴルフクラブ磨きなど物を加工することができる車両です。
ご自分で車両を持ち込んで車検を受ける際には構想ができ上がった時点で管轄の軽自動車検査協会や陸運支局に行き相談するといろいろ指摘などしてくれます。あくまでも車検は、車両を公道で走らせるための許可なのでこの時点では何を販売するかは関係ありません。車の規格や改造などが法律に適合してるかどうかの検査です。
飲食物を販売したいときは加工車
上記で説明したとおり飲食物を販売したい場合食堂車と思った方もいるとおもいますが違います。
食堂車の場合中で食事ができるスペースがないと車検に受からないため必然的にバスベースになってしまいます。ですのでお弁当や軽食の販売したいのであれば加工車で登録をして登録完了後に必要な装備を搭載して保健所の許可を取りましょう。
なぜ保健所が後から申請するかというのは後ほど解説いたします。
保健所への許可申請
無事車検に受かったら移動販売車で飲食物を販売するために保健所へいきましょう。『保健所で構造上改造が必要な場合もあるので車検が後の方がいいのでは?』と思う読者の方もいるかもしれませんが保健所の許可を受けるために『公道を走ることができる車両』というのが条件になってきます。
ですので保健所の許可が受けれる装備を備えていても車検に通っていなければ保健所の許可がおりないのです。
保健所の許可には図面の提出も必要になってきますので車両の種類が決まり車両寸法がハッキリしたらどこにどんな設備を置くかなどを記載したものを持って管轄の保健所へ行きましょう。相談と同時に許可申請に必要な書類なども貰えるのでなんでも相談してください。
保健所の許可申請の方法
保健所の許可申請ですが、車両について検査項目は公道を走ることが許可されてる車両ということ以外ありません。あくまでも食品衛生法に基づく設備が搭載されてるかというところになります。その装備内容は何を販売するかで変わってくるためやはり事前相談が大切です。
販売内容によっては車両以外にも仕込み場所の許可も必要になってくる場合があります。こちらの許可は飲食店を開業するにあたっての許可申請と同等レベルになるので販売するものが仕込み場所が必要かどうかもよく相談しましょう。
事前相談はとても重要
車検と保健所の許可申請で大切なことは事前に良く相談するということです。車両が決まり販売内容も決まったらそれぞれ相談に行きましょう。着手してからでは車両が使えなくなってしまうこともあり得るのでそうなる前に相談することが大切です。
先述したとおりここ数年で車検制度は目まぐるしく変わってるので直接管轄の機関に問い合わせるのが1番です。
また、車検の際には室内装備は車検に必要なものだけ装備します。それ以外の物を装備してしまうと危険物と見なされてしまうこともあり車検にとおりにくくなってしまう可能性があります。その代わり、保健所の許可申請の際には水道から水が出るかなども検査するため、すぐに営業出来る状態で管轄の保健所に持ち込みます。
保健所申請のアドバイス
保健所の申請ですが1番問題なのが『水』問題です。移動販売車の大きさでも必要な水の量は変わってきますし、同じ規模でも何を販売するかで許可を得るための水の量が変わってきます。
例えば1日100食を販売するドーナツ屋さんとアイスクリーム屋さんではアイスクリーム屋さんのが水の量は多くなります。これは使う調理器具の衛生管理の問題で保健所で目安が定められています。
さらに注意が必要なことは『給水タンク』と『排水タンク』が混在または隣同士になってしまってはダメということです。ということは例えば保健所で最低40リットルの水が必要と判断された場合40リットル以上入る給水タンクと排水タンクを装備する必要があるので2個タンクが必要になります。
タンクの位置決めを最初にすると空間もうまく使えるので設計図が書きやすくなります。
移動販売車の作成方法
移動販売車の作成方法は『ショップに全てお願いする』『自分で作成する』の2とおりがあります。ショップにお願いする場合車検はもちろんですが、保健所の許可に至るまで全てお任せできますがそれなりの費用がかかります。また、作業に取り掛かってしまうと途中でちょっとした仕様変更も難しい場合がほとんどです。
移動販売車を自作しよう
移動販売車で開業するにあたってできるだけ費用は抑えたいところです。そこでなのが思い切って自作にチャレンジです。車両の整備は整備士免許を持っていないとできませんがそれ以外は自分でできることが多いです。
厨房設備が必要な場合は車両サイズの合った厨房設備を購入ししっかりと据え付け、棚などが必要な場合ホームセンターなどで材料を購入して作ることで世界に一台だけの移動販売車ができ上がります。
時間はかかりますが費用かかなり抑えることもできて使い勝手を考えた仕様変更なども思い立ったらすぐにできます。なんといっても愛着が違います。また、許可申請まで自分でやると2台目、3台目と台数を増やすことになった際に営業開始までの要領がわかっている分営業幅が広がります。
中古の移動販売車
移動販売車の中には中古車もあります。ほとんどの場合主要な装備は取り外されている場合がありますが大切なのはどのような営業形態で許可を取っていたのか?何を販売していたのか?という点です。中古車だからといってそのまま許可が取れるとは限らないですし、車検も通るとは限りません。
自分の販売したい物と以前販売していたものがある程度近くないと改造費はかさむ一方です。例えば唐揚げをメインで販売してい移動販売車でクレープを販売したいとなると丸ごと設備を入れ替えなきゃならなくなり何もない状態の中古車を買うのと同じ状況になってしまうだけでなく既存設備の廃棄費用もかかりコストがかさんでしまいます。
移動販売車のレンタル
最近増えてきた移動販売車のレンタカーですがハッキリいってです。移動販売車で営業するにあたって踏み出すのにはリスクが大きいと感じてる人はまずレンタカーでイベント出店してみるのも一つの手です。レンタル費用は平均10万円ぐらいと安くはないですがすぐに営業できますので、保健所などの許可申請の流れを考えるといいきっかけになります。
中には移動販売車で営業しつつ稼働していない移動販売車をレンタルしている企業もあるので参考にすると新たな移動販売車の営業方法が見えてきます。
移動販売車での出店場所
街中のスーパーなどの店先で移動販売車で営業してる人を見たことがあるかとおもいます。基本的に移動販売車での出店場所に決まりはありません。出店しようとしている土地の所有者もしくは店舗責任者などに交渉して出店する場合がほとんどです。いわば場所を借りて営業させていただくという形です。
場所によっては契約金が発生したり固定の時間帯や曜日を指定されたりする場合があるのでよく話し合い気持ちよく営業を始めましょう。トラブルを回避するためにもきちんと契約書を取り交わして実績を上げて出店場所を広めていきましょう。移動販売車の1番の広告は口コミです。
イベントでの出店
もう一つの出店場所としてはイベント会場での出店です。テント型の出店と違い移動販売車での出店は人目をひきます。そこで話題を作り他の出店者と仲良くなると色々なイベントに呼ばれやすくなります。
移動販売車での開業は夢が広がる
ここまで移動販売車の話をしてきましたがハッキリ言って移動販売車での開業はアイデアとどうやって目立つかという2点で売り上げはかなり変わります。開業する前に数多くの移動販売車を見て真似できることは真似をしてもいいとおもいます。その中で唯一無二の自分スタイルを見つけて下さい。その際に今回ご紹介した内容が少しでもお役に立てればありがたいです。
やり方次第で可能性は無限大になります。販売が未経験な場合いかに視野を広げ人脈を作るかで楽しさやりがいも変わってきます。せっかくなら楽しい移動販売車ライフを送りましょう。
初回公開日:2018年02月20日
記載されている内容は2018年02月20日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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