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S2000の燃費は良い?悪い?|チューニング方法・燃費悪化の対処法

更新日:2024年07月27日

1999年に販売が開始されたホンダS2000と言う車の燃費はオープン2シーター・スポーツカーと言うジャンルの中で良いのか、悪いのか。カタログデータとインターネット内のS2000オーナーズクラブにおける意見を拾い上げてご紹介します。

S2000の燃費は良い?悪い?|チューニング方法・燃費悪化の対処法

S2000の特徴

ホンダS2000は、本田技研工業創立50周年を記念して1999年4月に販売が開始され2009年8月に生産を終了したスポーツ・2シーター・オープンカーです。

S2000の歴史

S2000と言う車の最大の特徴は、ホンダとしては29年ぶりとなるFR(フロンド・エンジン、リア・ドライブ)駆動であることです。

「ハイXボーンフレーム構造」と名付けられたオープンカー特有のボディ剛性の脆弱さを補うための独特のボディ構造で、この特徴によりスポーツカーらしい挙動と、クローズド・ボディ並のボディ剛性を実現させています。

S2000は2モデルある

モデルとしては大きく分けると前期(AP1)、後期(AP2)の二種類に分けられ、そのスペックは、以下の通りです

AP1が2000cc250馬力、車両重量1260kg、カタログ燃費(12.0km/l)
AP2が2200cc242馬力、車両重量1270kg、カタログ燃費(11.0km/l)

ちなみにAP2で排気量が2200ccになったので、「S2000ではなくてS2200にすべきではないでしょうか?」と言う意見もホンダ内であったそうですが、「S2000は2000ccのスポーツカーと言う意味だけではなく、2000年ミレニアムを記念するスポーツカー」との命名由来からAP2が2200ccになっても車名をS2000のまま据え置いたと言う逸話が残っています。

余談ですが、それでは今でも市販されているS660の命名由来はどうなるの?と突っ込みたくなりますが、そこはホンダ内部の販売事情等もあったと推測するにとどめましょう。

S2000の魅力

この車の魅力は何と言っても”美しさ”ではないでしょうか。スタイルはもちろん、エンジンサウンドや挙動まであらゆる物に美しさを感じさせてくれます。

特に走りに関しては現代では絶滅危惧種と言ってもいいFRなので、ハンドリングとアクセルワークで思う通りの挙動を生み出すことができます。

決して無茶苦茶に振り回さなくても、ステアリングを切りながら少し強めにパワーを掛けただけで方向を変えてくる反応の良さがこの車の魅力です。

ホンダS2000の燃費は良い?悪い?

S2000は燃費の良い車種なのでしょうか?サイトでのレビューや同等の車種と比較してみます。

オーナーズクラブサイトで読み取った数値

自動車の燃費は走行環境やドライブスタイルによってカタログ数値からは大きく違ってくるものです。特にS2000の場合は6速MT(マニュアル・トランス・ミッション)のみの設定だったので、オートマチック車に比べて個人差は出やすくなります。

SNS内のS2000オーナーズクラブのサイトで見た全国のユーザーからのレポートには様々な情報が寄せられていました。中でも反響が大きかったのが燃費についての書き込みで、カタログ値を超えているものからカタログ値の1/3ほどにしか到達していないものまで、かなりの開きがありました。

かなりの例外値を除くと、S2000オーナーズクラブ会員内での燃費の平均値は6~8km/lが最多分布でしたのでこれがS2000の実燃費だと言えます。

ネットでのレビュー

主立ったレビューサイトでの意見を平均すると、8~10km/lという値が出ましたが、これも走行条件にムラが多いので一概に当たっているとも言えません。

何故かというとS2000の場合MTのみ設定車種なので、信号や一旦停止などにより発進停止が多い場合、クラッチ操作回数が少なくて済む信号の少ない地方のユーザーが結果的に燃費が伸びる傾向にあるからです。

ホロの開閉で燃費は変わる?

よくネットで書き込みのある「オープンカーは幌を開けると空気抵抗が増えるので燃費が落ちる」といった意見はS2000に関して言うとほとんど当たってないようです。

幌を開けても窓を閉めていれば空気の巻き込みはまず無いようで、帽子を被っていても飛ばされたことがないとの書き込みもありました。ですからS2000の場合幌を開けても空気抵抗はそれほど増えることもなく、実燃費にそれほど影響はないと言えそうです。

タイプ別S2000の燃費比較

大きく分けて二つあるS2000で、AP1とAP2ではエンジンそのものが排気量から違うことは先ほど書きました。

一見すると排気量の大きなAP2の方が燃費が悪そうなのですが、逆に馬力はAP2の方が低く抑えられています。

この辺りを比較してみたいと思います。

AP1

AP1の燃費はカタログ値では12.0km/lですが実燃費はその六割程度だと言えます。

2000cc四気筒自然吸気エンジンで250馬力という出力は、1999年当時の国産車のスペックとしては相当なハイパワーです。これを達成させるためにS2000では87.0mm×84.0mmとショートストロークシリンダにより、9000回転まで回る高回転エンジンを採用しています。

一般的な自然吸気エンジンの市販車と比べると、1.5倍も回ることになるので、通常市販車のレベルでは到達できないほどの高回転において高出力を発揮させることができます。

ドライバーは知らず知らずに車の持っている強みを生かした運転をしがちです。そのためAP1の場合は高出力エンジンが真価を発揮する高回転域を使いがちになり、カタログ値と実燃費では開きが生まれがちなのです。

AP2

S2000AP1はその高回転寄りなエンジン仕様によって、日常用途での扱いにくさと言う問題を生み出してしまいました。それによりS2000AP2では様々な改良が施されることとなりました。

簡単に言えば超高回転型のエンジンから、実用性や乗り易さを考えた高回転寄りのエンジンへの変更がAP1からAP2への大きな変更点だと言えるでしょう。

最も大きな改良点は排気量をAP1の2000ccから200ccアップの2200ccにしたことです。またボア・ストロークも87.0mm×90.7mmとストロークを伸ばしたことによって22.5kg・mへとトルクもアップさせています。

また、AP1からAP2へのモデルチェンジの際に国土交通省のカタログ燃費の測定方法が10・15モード燃費からJC08モード燃費へと変更されたため、AP1の12.0km/lからAP2は11.0km/lへと減少しました。

実質燃費が向上しているのにも関わらず何故カタログ燃費が落ちているのはどうしてでしょうか?それは10・15モードからJC08モードへと国土交通省の燃費計測方法がより厳密に実燃費に近い測定方法に変わったためです。

10・15モードではエアコン使用時も測定しながら加速、巡航、減速を繰り返して燃費を測定しましたが、JC08モードについてはそれに加えてエンジンが冷えた状態からの始動やよりこまめな加減速により燃費を測定することとなり、一般的に10・15モードよりも一割ほど燃費が低下する傾向にあります。

そのためAP2はAP1と比べて1.0km/lの低下に収まっているので実質的には燃費が向上したと言えます。

AP2タイプS

S2000タイプSはAP2の後期に追加されたよりスポーティなモデルで、足回りや空力パーツが加えられたモデルです。

エンジンそのものはAP2と同じスペックになっていますが、セッティングに変化を持たせてはいるので、燃費のカタログ値は0.4km/lの低下となっています。

このことから燃費よりも走行性能を重視したモデルだということがわかります。

S2000のスーパーチャージャーと燃費悪化

スーパーチャージャーの追加は魅力大

S2000に搭載させることのできるスーパーチャージャーはGTS7040 Pro Kit/Fuel Upgrade Kit for S2000の商品名でHKSから発売されています。

AP2に取り付けた結果では329馬力で87馬力のアップ、トルクは32.4kg・mで9.9kg・mの大幅アップになっています。S2000ユーザーレビューを幾つか見ましたがやはりトルクのアップに一番の効果を感じているユーザーが多いようです。

そもそもS2000のVTECエンジンにおいては高回転時にパワーもトルクも不足を感じることは、よほどの走りをしない限り感じることはありません。そのためターボチャージャーよりも低速域でしっかりトルクを稼ぐことのできるスーパーチャージャーに魅力を感じるユーザーが多いのです。

過給器の追加は燃費を悪化させる

しかし、スーパーチャージャーの追加によって燃費の悪化は免れません。信用のおける燃費比較のデータ例が少なく、パワーアップの数値からすると10%以上低下するのではないかと思われ5~8km/lに低下するのでないかと想像します。

「高回転域まで回す必要がなくなるのだから、AP1からAP2への改良のように燃費は逆に良くなるのではないか?」と疑問を持たれる方もいるはずですが、過給器を付けて燃費向上になるとは考えにくいです。

また仕組み上から近年のダウンサイジングターボのようにエンジンを小さく軽くするなら別ですが、同じエンジンにスーパーチャージャーやターボチャージャーを取り付けて燃費が向上することはまずあり得えません。

燃費をよくするためのS2000チューニング方法

自動車の燃費向上に最も近道となるのは軽量化です。

ただし、S2000の場合オープン2シーターで、しかもすでにボンネットにアルミを使用しているので軽量化できるパーツが限られています。
トランク容量も小さいので日頃から荷物を満杯に積んでいるユーザーも少ないはずです。

しかもハイパワースポーツと言うジャンルに乗っている以上、燃費向上にあまり労力を掛けるユーザーも少ないのが事実です。それでもやはり燃費は自動車ライフに直結する問題なので、周りは皆涙ぐましい努力をしていました。

ここからはS2000で燃費を向上させる方法について、S2000オーナーズクラブ内で見つけた事例を書いていきます。

スペアタイヤを外す

AP2からはパンク修理キット搭載に仕様変更されたのでこれはAP1についての事例ですが、AP1のトランクには緊急用のスペアタイヤが積まれていますが、これを外して軽量化をしたといった例があります。

確かに10kgほどの軽量化になりますが、こればかりは自己責任なのでもしパンクした場合のことを考えると、スペアタイヤは取り付けるか、別途パンク修理キットを用意したほうが良いでしょう。

マフラーの交換

S2000ユーザーには、車両を購入した際まずやりたくなることはマフラーの交換だと言う意見が多くありました。オープンスポーツカーのユーザーになったからには、コックピットから聞いても街中で耳にしてもいい音にしたいと考えるものによるでしょう。

それ以上にマフラー交換で期待できることは、エンジンフィーリングの変化です。社外マフラーに交換した際に、エンジンの吹け上がりがよくなると実感したユーザーが多く見受けられました。

これと同時にマフラーが軽量化したことによる燃費のわずかばかりの向上も期待することができるとされています。

ボンネットの交換

S2000のボンネットはアルミ製なので、片手で持ち上げられるほど軽いのですが、さらにそれをカーボン製に交換して軽量化しているユーザーもいました。

カーボンボンネットは非常に高価ですが、ドレスアップや軽量化を目的にカーボンボンネットに変更する例があります。S2000のユーザーのなかには、徹底的に改造してS2000のポテンシャルを引き出すというタイプの方が多いため、このような社外部品が豊富です。

S2000の燃費悪化の対処法

S2000のようなMTのハイパワーなスポーツカーの燃費は乗り手の乗り方次第と言ってしまえばそれで結論になってしまうのですが、誰にでもできる燃費向上の方法を書いていきます。

こまめなオイル交換

S2000のような高回転エンジンの場合、短いサイクルでオイル交換をすることでオイルの劣化による燃費の低下などを抑え、確実に燃費の向上を図ることができます。

どのブランドのオイルがいいかはS2000オーナーズクラブでも意見が分かれましたが、ホンダと関係性が深くVTECエンジンの特性を良く理解しているメーカーとして、無限VT-α 5W-40オイルの使用例が多く見受けられました。

かなり高額なオイルですが、これを距離に関係なく半年に一回オイル交換を行うことで数%の燃費向上を図ることができるということでした。

S2000は高回転エンジンを搭載していることもあり、エンジンコンディションと寿命を延ばす意味でもこまめにオイル交換を行うことを推奨されています。

頻繁なオイルフィルターの交換

オイルを頻繁に交換するとフィルターも同じサイクルで交換すべきです。ハードな環境で使用されるケースが多いスポーツカーのオイルフィルターにはオイルに合わせた性能のものを使うことが重要となります。

オイルと同じく無限の製品はホンダ車と相性がいいとされており、無限15400-XK5B-0000オイルフィルターを使っているケースが多く見受けられました。

このフィルターをオイル交換時に二回に一回の頻度で交換すれば燃費の向上のみならず、エンジンコンディションの維持にも貢献します。

こまめな清掃

これこそ涙ぐましい努力ですが、常にエンジン内を埃なくきれいに保つことによって、エンジンとラジエーター効率を上げて燃費向上に努めたと言う意見もありました。

特にS2000の場合はフロントグリルが前面下部に作られているため、ゴミなどの付着により冷却効率を下げてしまうことが多々あるそうで、冷却効率が下がってしまうと結果的に燃費悪化となってしまうことから、小さな努力ですがやはり車はきれいに保つべきです。

それでS2000の燃費っていいの

結論から言ってS2000はAP1、AP2共に現代の車として燃費がいいとは言えません。同じ排気量で2シーターオープンの三台目マツダ・ロードスターNC系が13.0km/lであることから比べても劣っていることがわかります。

ただ、NC系が170馬力なのに対して、AP2は242馬力なのでパワーを加味すると同等とも言えますが、街乗りにおいてはロードスターに劣ります。

エコカー全盛期の現代では、ハイパワーの2シータースポーツカーが時代に合わなくなったことも、S2000と言う車の販売が振るわなかった要因です。またMTのみ設定によりAT免許の時代に合わなかったこともあります。

しかしここ5年ほどでスポーツカーを取り巻く世界情勢は変わりつつあります。四台目マツダ・ロードスター、レクサスLC500が高い販売台数を誇っていることから見ても、現代に合った形でS2000のような庶民に手が届くスポーツカーがあってもいいのではないでしょうか。

初回公開日:2017年09月01日

記載されている内容は2017年09月01日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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