空冷エンジンと水冷エンジンの効果の違い|効率/空調/クーラー
更新日:2024年10月23日
空冷エンジンと水冷エンジンとは?
空冷エンジンと水冷エンジンの違いをご存知ですか?空冷エンジンは、名のとおり、エンジンを直接「空気」で冷却する方法です。水冷エンジンは、エンジンを「水」で冷却する方法です。このような2種のエンジンの冷却方法ですが、効果の違いやメリットデメリットなど気になる点をご紹介していきます。
そして、空冷エンジン、水冷エンジンを色々な機械で比べてみるとメリットデメリットなど、それぞれの良さがわかるでしょう。車やバイクなどの空冷エンジンか水冷エンジンか、というところは特に「好み」で分かれます。空冷エンジンと水冷エンジンの違いや効果についてもわかりやすくご紹介していきます。
空冷エンジンと水冷エンジンの効果の違い
空冷エンジンは、エンジンが発した熱を外気の空気で冷却する方法ですが、空冷エンジンには、「自然空冷式」と、「強制冷却法」と2種類にわけることができるので、自然に冷却したい場合は走行時の風を利用できること。また強制冷却法は、フィンなどを使用し強制的に排熱できますが、外気次第なので、安定した冷却は困難です。
水冷エンジンは、エンジン内部に水路を設け、エンジンを水で冷やす方法ですが、水冷エンジンは外気の空気など関係なく、効率よく冷却することができ、エンジンに優しく温度コントロールが安定した冷却が効果的にできます。
効率の違い
空冷エンジンは、外気の空気で冷却するため外気温が低いとよいものの、温かいとエンジンを冷却する機能が下がってしまい効率が悪くなってしまいます。一方、水冷エンジンは、外気の空気は関係なく、常に冷却することができるので、必然的に効率の良さは空冷エンジンより水冷エンジンの方が効率よく冷却することができます。
空調の空冷と水冷の違い
空調でも空冷エンジンと水冷エンジンでは違いがあります。冷やすことを役目としている「クーラー」の場合。暖房や冷房など両方を行える「エアコン」の場合の2つに分けて、違いをわかりやすくご紹介します。
クーラーの場合
空冷式は、クーリングタワーと呼ばれる「冷却塔」の代わりにコンデンサーと呼ばれる熱交換器「凝縮器」で高温高圧のガスをファンで冷却し液体にします。
水冷式は、コンプレッサーで圧縮された高温高圧のガスをレシーバータンクという「受液器」に溜め、室外のクーリングタワーの循環水を使い冷却し、高温高圧のガスを液体にします。
分かりやすく説明すると、クーリングタワーとは、水冷式に使われており、水冷の機械や、冷房専用のエアコンなどに使われる冷やすことを専門とした「熱交換機」です。
クーラーの場合の違いは、空冷式は、「ファン」で冷やすこと。水冷式は「クーリングタワー」で水を効率よく使い冷却させることが2つの大きな違いです。
エアコンの場合
空冷式は、外気の空気を使うので、外気の気温が上がると自然と冷房能力は落ちます。外気温が35度を超えてしまうと外気の空気を吸う際にさらに温度が上がってしまうため、冷房能力が下がります。しかし、暖房機能には強い部分があります。外気温が氷点下に達しても、冷媒が蒸発することにより熱交換が行えるので暖房の効果を発揮します。
水冷式は、外気の気温などはほとんど関係なく、熱交換を冷却水によって行うため、安定した冷房能力を発揮します。ですが、水冷式は、熱源である水温が15℃前後必要となります。そのため、冬場など外気温があまりにも低い場合には暖房の効果がうまく発揮されません。
クーラーとエアコンのまとめ
結果、空冷式、水冷式と比べると、クーラーであろうがエアコンであろうが「外気の空気」で冷却するのか、「冷却水」で冷却するのか、ということが大きな違いとなります。
また、エアコンのメリットデメリットでは空冷式は、暖房機能の効果を発揮しやすく、冷房能力が下がることもあるということ。水冷式は、安定した冷房能力を発揮できるが、冬場など熱源である水温が15℃は必要ということです。
簡単に言うと、空冷式の方が暖房能力が高く、水冷式の方が冷房能力が高いということです。
バイクエンジンの空冷と水冷の違い
バイクのエンジンでも、空冷エンジンと水冷エンジンがあります。空冷式は、走行中の風を活かしてエンジンの放熱をすることです。エンジン自体の構造も水冷式とは違い、シリンダーやシリンダーヘッドに冷却するためのフィンがついているので造形が独特で、エンジン音も大きくなるのが特徴です。
水冷式は、エンジンの内側にあるウォータージャケットと呼ばれる空間に水や冷却液を流しエンジンの放熱を行います。冷やすための水が暖まった場合はラジエターと呼ばれる熱交換機をとおり、また、冷却できる水温に下げることができる、循環するのが特徴です。
また、エンジンの周りを水が覆っているため、エンジン音が空冷式より静かで、安定してエンジンを冷却することができます。
ポルシェの空冷エンジンと水冷エンジンの違い
空冷エンジンで有名なポルシェですが、初代から993型までが「空冷」で、996以降は「水冷」となっています。初代の911が空冷エンジンのポルシェとしては有名です。ポルシェのエンジンでも、空冷と水冷では違いが大きくあります。
空冷エンジンは、メンテナンスが大変で、オイル交換の間隔が短く、量も多く必要になってきます。素人では、メンテナンスは厳しいと言えます。速度は空冷の方がスピード感を味わうことができるでしょう。排気音は甲高い金属音がします。独特の乗り心地やサウンドなどを味わえるのは空冷エンジンでしょう。
水冷エンジンは、メンテナンスが簡単で、オイル交換なども素人でもできます。エンジンの管理も必要なく、交換パーツも空冷に比べると比較的安く済みます。また、速度も水冷の方が早く感じる方が多く、排気音も気持ちの良い快音です。静かで乗り心地が良く速度が速いのは水冷エンジンでしょう。
コンプレッサーにおける空冷と水冷の特徴
コンプレッサーと言えば、空冷式が思い当たる方は多いでしょう。コンプレッサーにも、水冷式があり、ぞれぞれに特徴があります。
空冷式コンプレッサーは、自然放熱または、ファンでクーラーに風を通して冷却風を作り出し潤滑油、潤滑水、圧縮空気を冷却する方法です。
水冷式コンプレッサーは、クーラーに冷却水を流し、その冷却水で潤滑油、潤滑水、圧縮空気を水によって冷却する方法です。
コンプレッサーの場合は「冷却方式」が違うことで分類されています。
空冷と水冷の音の違い
空冷エンジン、水冷エンジンの大きな違いの一つとも言えるのが「音の違い」です。バイクや車で例えるとわかりやすく、音の違いもわかりやすいでしょう。
バイクならば、空冷エンジン独特な乾いた音や、ポルシェなら甲高い金属音がします。エンジンを水で覆っていない分、排気音が大きく独特な音がうまれます。
水冷エンジンは、バイクでも水冷エンジンの方が音は静かでシャープな音がイメージした感じでしょう。ポルシェでも水冷の方が音は静かです。空冷エンジンと違い、水冷エンジンはエンジンの周りが水に覆われているので、自然と排気音も静かになります。
空冷エンジンと水冷エンジンは好みでわかれる
ここまで、空冷エンジンと水冷エンジンの効率の違いやクーラー、エアコン、バイク、ポルシェ、コンプレッサーなどたくさんの機械から、空冷と水冷の違いをご紹介してきましたが、大きな違いとしては「音」「乗り心地」の2つが代表的でしょう。
しかし、どちらかが良くてどちらかが良くないということはなく、音や乗り心地などはあくまで「好み」できまるものでしょう。フィーリングや独特な音や乗り心地を楽しむか、燃費、静かさ走りなど、求めるものは人それぞれです。それが空冷エンジンと水冷エンジンの違いの良さでもあります。
初回公開日:2017年10月30日
記載されている内容は2017年10月30日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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