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軽自動車に軽油を入れるよくある間違い・どうなるのか

更新日:2024年01月16日

ついうっかり軽自動車に軽油を入れてしまった!こんなトラブルが近年増加しています。軽自動車には「軽」がつきますがガソリン車です。もしも軽油を入れてしまったら一体どうなってしまうのか、対処法はあるのか、今回はそんな疑問を中心にご紹介していきましょう。

軽自動車に軽油を入れるよくある間違い・どうなるのか

軽自動車に軽油を入れてしまう・・・よくある間違い

近年、ガソリンの給油作業がセルフサービスのガソリンスタンドが増えてきたことで、給油時の油種間違いが話題になっています。レギュラー、ハイオク、軽油、灯油と3種類の油があります。初めて車に乗った人や新しく車を購入してまだなれていないなど、原因はいろいろですが、なかでも軽自動車だから「軽」油でしょ、と勘違いした話を耳にすることが増えてきました。

一見そう思うことはありますがこれは大きな間違いです。軽油とは属に言うディーゼル車に使われるもので、一般的な軽自動車はガソリン車だということを必ず覚えておかなければ大変なことになってしまします。

今回はそんな「軽自動車に軽油を入れてしまう間違い」に関する情報をご紹介します。この記事を参考に、給油の際間違えないよう基本的な知識を身につけておきましょう。

ガソリンとディーゼル(軽油)の違いは?

そもそも、軽自動車が一般的に使うガソリンと軽油は何が違うのでしょうか。どちらも石油から造られているものですが、作り方とそれぞれがもつ特性に大きな違いがあります。まず、石油から必要な成分だけを取り出すために高温に加熱して蒸留することで、ガソリンや軽油が作られます。

この時の加熱温度で取り出せる成分が変わるという点にポイントがあります。石油を加熱し30℃~230℃で発生した蒸気がガソリン、140℃~380℃で発生した蒸気が軽油として製品になります。燃料は蒸発して気化したものを爆発させて使うものなので、「温度が低く気圧があまり高くなくても気化して燃えやすいのがガソリン」で、それに比べて軽油は「高温高圧では気化しやすい」とされていますが、気温が低くなると気化しにくかったり、極端に冷えていくと凍ってしまうこともあります。

ガソリンと軽油のエンジンの仕組みの違い

まずガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いについて見てみましょう。

◆ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い◆
ガソリンと軽油では気化する温度と気圧が違うのでそれぞれを使うエンジンにも仕組みに違いがあります。一般的な軽自動車のガソリンエンジンの場合、空気とガソリンを混ぜて気化したものを圧縮したところに電気をショートさせて引火、爆発させます。一方でディーゼルエンジンはまず空気だけを圧縮します。圧縮された空気は約600℃以上になっていて、そこに気化している軽油を吹き込んで自然着火させます。

このように着火の方法がガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは違いがあることが分かります。

軽自動車に軽油を入れるとどうなる?

上記でご説明しましたように、低温や常圧でも気化しやすいガソリンと、低温では気化しにくい軽油ですが、この特性の違う二種類の燃料を軽自動車に間違えて給油するという事は一体どういう事が起こるのでしょうか。あえて間違えて入れる必要はありませんので、ここで詳しく解説していきましょう。

ガソリンエンジンの軽自動車に軽油を給油すると?

では、実際にガソリンエンジンの軽自動車に軽油を給油してしまったとしましょう。一体どうなるのかというと、もちろんですが給油しているだけでは何も起こりません。ただ乗ってきた軽自動車の燃料タンクが軽油で満たされていくだけです。そのため、間違えて入れていることに非常に気づきにくいです。

軽油をたっぷりと満たした車におこる問題は給油したその後にあります。給油が終わり運転席に乗り込みエンジンをかけると、場合によってはもうエンジンがかからないこともあるので、その時に間違いに気づくでしょう。

軽油に気づかずエンジンをかけて走り出したら・・?

燃料タンクからエンジンまでは細いパイプでつながっていますので、そこに残っていたガソリンが先にエンジンに入ればエンジンは通常通りかかります。そのため軽油を入れたことに気づかずエンジンをかけてしまい、さあ次の目的地へ~なんて考えながら車を走らせていると、徐々に徐々にエンジン内には燃料タンクから送り込まれてきた軽油が入っていきます。このタイミングから車に次のような異変が起きはじめます。

①ノッキング

俗に言うマニュアル免許を持っている方はお馴染みのノッキングになります。ガソリンエンジンの軽自動車にエンジンの特性に合わない軽油を入れてしまったことで、エンジンが止まりかけたり動いたりと繰り返す症状です。これはタンクに残っていたガソリンと軽油が混ざってエンジンに送り込まれているために起こります。

ノッキングが起こるとどうなるかというと、車が前後に酷く揺れることで、誰でも異常に気づく振動となります。分かりやすい例えだと、走っているときにアクセルを短時間で連続的に踏んだり離したりしたような事になります。人によっては恐怖を覚えるでしょう。

②白煙、黒煙が上がる

乗っている軽自動車の後ろから白煙が上がります。それもモクモクといった本格的な煙です。この症状はガソリン車にとって軽油が燃やしきれないことと、排気ガスの浄化装置が軽自動車のガソリンエンジンでは軽油には対応できないことからマフラーから白煙や黒煙が上がり続けることにあります。

時々道路を走っているトラックやバスから白煙が出ているのを見かける事がありますが、あの比にならないくらいの白煙が出ることもあります。この症状が出ると周囲を走っている車も、自分自身も恐怖を覚えるだけでなく、焦ってしまい冷静な判断ができなくなってしまい重大な事故につながる可能性もあります。

③エンスト

ノッキング、白煙。自分の運転してる軽自動車にいろいろな異常が出てきました。これはおかしい、点検をしないと危ない、と焦りながら車を止められる所を探して走っていると途端にエンジンが止まってしまうことがあります。これがエンストの状態です。

この症状が出た時点で、エンジンにはガソリンと混ざった軽油ではなく、軽油のみが送り込まれています。エンジン内で上手く着火ができなかったことでエンジンが止まってしまい、エンストしてしまいます。ここで焦ってエンジンをかけ直そうとしても車は反応してくれません。こうなるとロードサービスを呼んで修理工場まで届けてもらうほかないでしょう。

軽自動車に軽油を入れるトラブル例

軽自動車に軽油を入れてしまうトラブルは決して少なくなく、身近にあるトラブルです。軽自動車だから軽油、という間違った思い込みで誤給油というトラブルが増加していることは、Web記事や新聞、ニュースなどでも取り上げられています。

ここではそんな「軽自動車に軽油を入れる故障例」を紹介しましょう。

記事から見る誤給油でのトラブル

給油を間違えて行ってしまうケースが実は非常に多く、JAF(社団法人日本自動車連盟)による調査によると2015年12月の1ヶ月間で誤った給油による救援依頼が全国で269件も発生しているようです。

出典: https://carnny.jp/2480#1269 |

なんと、記事を見ても分かるように、一ヶ月の間に全国で合わせると269件もの「軽自動車に軽油」の誤給油トラブルが起こっています。もしかすると、何気なく隣で給油している軽自動車の方が軽油を誤給油している、なんて事を見かけてもおかしくなさそうな状態です。このように軽自動車の流通が増えて、軽自動車がよく走っている時代になったからこそ、昔にはあまり見られなかったトラブルが増加していっていると考えてよいでしょう。

朝日新聞から見るトラブル

新聞社でお馴染みの朝日新聞ですが、軽自動車に軽油の話題に関わるものとしてちょっとしたハプニングのようなものがありました。2010年の1月と古い記事にはなってしまいますが、燃料高騰と減税に関する記事の中で「軽自動車の燃料となる軽油」という誤表記があり、もちろんこちらの一文は翌日訂正の発表がされましたが、軽自動車に乗っている方には混乱と誤解を招くものとなってしまいました。デジタル版朝日新聞での同日の記事も同じように誤表記があったのですが、現在は修正されているため確認できません。

軽自動車に軽油を入れてしまった場合の修理方法

もし軽自動車に軽油を間違って給油してしまったらどうしたら良いのでしょうか。間違いは誰にでもあります。普段お仕事で軽油を日常的に給油していて、休日などで軽自動車に給油するときなどは普段の癖で一瞬でも軽油を選択しそうになるでしょう。万が一軽自動車に軽油を給油してしまった時には修理が不可欠です。

誤給油をして、そのまま走り出してしまっては上記で紹介したようにトラブルが次々に起こってしまいます。軽自動車に軽油を入れてしまった場合、どのような修理が必要になるのかをご紹介しましょう。

エンジン始動前(給油している時に気づいた)

給油が終わった時に軽自動車に軽油を給油してしまった事に気付いたとしたら、絶対にエンジンをかけてはいけません。その場でスタンドの店員に事情を説明してロードサービスを依頼しましょう。スタンドで車検や整備の工場併設の所ではその場で修理や点検をしてくれるところも場所によってありますので万が一の際は確認を行います。もしその場で対応できなければレッカーで整備工場に運び入れ、そちらで対応というかたちになります。

作業内容としては軽自動車の燃料タンクの軽油をすべて抜き取り、タンクや配管に付着してしまっている軽油を洗浄した上でガソリンを入れ直す、というのが簡単な流れになります。修理費ですが軽油の抜き取り、洗浄、点検とあわせて2~3万円程度で済むことがほとんどです。車を故障させるよりは安くすむので必ず対処を行いましょう。

エンジン始動後(給油後走行含む)

軽自動車に軽油を給油してしまった事に気付かずにエンジンをかけてしまった、走行してしまった場合ですが、誤給油に気付いたり車に異常が出たりしたらすぐに安全なところに車を止めてエンジンを切りましょう。エンジンをかけっぱなしにしてしまうと症状はどんどん悪化していってしまいます。

この場合もレッカーにて整備工場に持ち込み修理になるのですが、エンジン始動前の軽油抜き取りとタンク洗浄のほか、エンジンの分解洗浄や部品交換などが加わってくる事がほとんどですので、エンジン始動前と比べると修理費は約30万くらいに膨れ上がってしまいます。

軽自動車に軽油車はあるのか

これまで軽自動車に軽油を誤給油してしまったら、という問題について解説してきました。実際に軽油を入れてしまうと大変なことになってしまいますが、軽油車(ディーゼル車)であれば、燃費が良くなるだけでなく、給油は安くすみますし、パワフルで加速も早いといったメリットも多くあります。

実際に軽自動車に軽油車はあるのか、ということですが現在は一台もありません。すべての軽自動車がガソリン車となっているため「すべての軽自動車はガソリン車である」ということが通ることがご理解いただけるかと思います。しかし、過去には一台だけ軽油OKのディーゼルエンジンを積んだ軽自動車がありました。それについてご紹介しましょう。

車種は?

日本で唯一軽油を入れても壊れることのないディーゼルエンジンを搭載した軽自動車が1960年前後にヤンマーから販売された「ポニー」という車です。可愛らしい名前からも連想できるように、ころんとしたフォルムが特徴の軽トラックで、軽自動車が650㏄なのに対し、こちらは360㏄の排気量となっています。

ディーゼルエンジンは大型で振動が大きいのが難点ですが、ヤンマーのポニーは見事にディーゼルエンジンを小型化して搭載し振動をも軽減させることに成功しています。燃費も良いですしまさに理想の車ではありますが、当時の技術を駆使しても同じ排気量のガソリン車にはかなわず、わずか二年で生産終了となってしまいました。

そのため、現在は中古でもポニーは出回っておらず費用は不明となっています。

なぜ軽自動車でディーゼル車はないのか

以前一台だけでもディーゼルエンジン搭載の軽自動車があったなら、なぜ今はなのかと疑問に思う方も多いでしょう。その答えは意外なところにありました。今の技術をもってすれば軽自動車にディーゼルエンジンを積むことはもちろん可能だと言われています。しかし、いくつかの理由があって開発されていないのでその理由をご紹介しましょう。

◆軽自動車にディーゼル車がない理由◆
・価格が安いのが魅力の軽自動車なのに、ディーゼルエンジンを搭載させるための開発。生産コストがかかるために軽自動車自体の価格をあげなければならなくなる。そうなると「価格重視」である軽自動車にとって本末転倒な結果になるため。
・ディーゼルエンジンのデメリットであるエンジンの音や振動を減らすと燃費悪化に繋がり、軽自動車のメリットがなくなる。音や振動、価格や燃費、パワーを考えると全ての面で軽自動車にとってはガソリン車である方が優位だということ。

軽自動車にディーゼルエンジンの予定は?

上記で紹介した理由が軽自動車にディーゼルエンジン搭載車を販売しない理由として挙げられています。しかしながら、今は開発予定がなくとも今後、「軽自動車にもディーゼル車を」といった声が強く上がれば開発が進むこともないとは言い切れません。現にスズキが800㏄ではありますが、ディーゼルターボエンジンを発表しています。

このようなニュースが軽自動車の代表格であるスズキから発表されたということは、軽自動車にディーゼルエンジンが組み込まれるのもそう遠くはない未来だと感じます。

軽自動車はすべてガソリン車なので誤給油に注意しよう!

今回は軽自動車に軽油を誤給油してしまったら、ということをテーマに記事をお送りしました。軽自動車は「軽」がつくから軽油だと勘違いしてしまう人も多いですが、軽自動車にはガソリン車しか現行では存在していないことを覚えておく必要があります。

もし給油の際、隣の人が軽油を手にかけていたら忠告してあげるのも間違いではありません。軽自動車には正しい油を入れて快適なカーライフを楽しみましょう。

初回公開日:2017年12月09日

記載されている内容は2017年12月09日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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