駐車場で当て逃げしてしまった時に知りたいこと3つと自首のその後
更新日:2024年10月18日
当て逃げとは
走行中の接触事故であれば、直ぐに車を停めて対処する人がほとんどですが、駐車場などで誰も乗っていない車にぶつけてしまったとしたら、どうすればいいのでしょうか。
中には誰も見ていないし、ちょっとぶつけただけだからと黙ってその場から逃げてしまう人もいます。しかし、黙って逃げた時点で「当て逃げ」です。ぶつけたのが電柱やガードレールでも、警察に連絡しなければ立派な当て逃げになってしまいます。
走行中の当て逃げ
走行中は車が高速で動いているため、車体が少しかすっただけでも相手にダメージを与えてしまいます。走行中に何かに当たってしまったときは大きな音を伴うことが多いので、気づかないうちに当たっていたということはないでしょう。
相手の車や電柱、ブロックなどを壊してしまうことは物損事故となりますから、道路交通法違反にはなりません。しかし、それを放置して逃げてしまうと「当て逃げ」となります。結果、違反点数が加算されてしまいます。
駐車中の当て逃げ
駐車場は自動車が密集する場所であり、右・左折やバックなど、走行中よりもテクニックを使う場面が多くなります。そのため、他の車との接触事故が起こりやすい場所です。
駐車場では、比較的ゆっくりと自動車を動かしているために、接触していても音がせず、気がつかないというケースも多いです。知らず知らずのうちに、当て逃げの加害者にも被害者にもなる可能性があります。
当て逃げで知りたいこと4つ
故意でも過失でも巻き込まれる可能性のある「当て逃げ」に遭遇してしまったとき、どのような行動をとれば良いのでしょうか。以下では、当て逃げに関するさまざまな情報を紹介します。
当て逃げは道路交通法に違反する立派な犯罪です。その処理は単なる事故ではなく、加害者と被害者に分かれる事件として扱われます。ただ、当て逃げというとちょっと擦っただけと、小さなことと軽く考えてしまう人が多いのも事実です。
1.検挙率
比較的起こりやすく、珍しくない「当て逃げ」の検挙率はそれほど高くありません。当て逃げに対して、人に危害が加わる「ひき逃げ」の場合の検挙率が90%(2018年)なのを考えると、社会全体として当て逃げを看過してしまう風潮があるように考えられます。
当て逃げは直接的な被害者がいない場合も多く、その現場を目撃されるか、録画されているかによる証拠がないとそもそも通報もされないという状況です。
2.証拠映像の影響
当て逃げの検挙率はそれほど高くない現実がありますが、低迷しているわけではありません。映像技術の進歩とともに上昇しています。
映像による証拠があれば、当て逃げをした加害者の自動車を特定することはそれほど難しいことではありません。動いている自動車のナンバーを認識できるほどに、今の映像技術は進歩しています。それでは、具体的にどのような映像が証拠として採用されているのでしょうか。
防犯カメラ
現代、街中に防犯カメラが設置されていることはごくごく普通のことです。この防犯カメラの映像は当て逃げの検挙率上昇に大きく貢献しています。
店の駐車場など事故が起こりやすい場所には多くの場合、防犯カメラが設置されています。その映像は一定期間自動的に保存され、警察も見ることができます。当て逃げをした人が逃げても映像から追跡できる可能性が十分にあります。
ドライブレコーダー
走行中の当て逃げには特に有効なのが、当てられた方の自動車のドライブレコーダーです。ドライブレコーダーはホームセンターやガソリンスタンドの売店などで気軽に購入することができます。
ドライブレコーダーは小型ではありますが、その映像技術は年々進化し、最近のものは非常に鮮明な映像を残すことができるようになっています。被害にあった時、この映像を証拠品として提出することもできます。
3.罰則
当て逃げは犯罪ですので、加害者は当然罰則を受けます。「ちょっとこすってしまっただけ」でも、処理をせずにその場から離れてしまった時点でそれは事故ではなく事件になってしまいます。
「遅刻しそう」「ばれずに済めばラッキー」「パニックになってしまった」など、当て逃げをする理由はさまざまですが、逃げずに自分で責任を取り、物損事故として処理をするのが最善でしょう。
減点
当て逃げは道路交通法に違反するものであり、自動車免許の点数に影響します。日本の免許は道路交通法違反をするたびに、それに応じて点数が減点(違反点数として加算)されていき、基準(違反を初めて犯した人で6点)をオーバーすると免許停止処分(免停)になります。
当て逃げは、安全運転義務違反で2点、危険防止措置義務違反で5点の合計7点の減点となります。なお、当て逃げで逮捕された場合は一発で免許停止になります。
罰金
当て逃げには罰金も科されます。自動車で物損事故を起こし、処理を怠った場合、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されることになっています。
当て逃げに関しては、罰金となるケースが多いと報告されています。物損事故であれば、壊してしまった物の修繕費を支払うだけで済むことを考えると、かなり痛い罰金でしょう。素直に報告した方が自分のためです。
4.自首のメリット
当て逃げを起こした後の処分の重さは、「自首するかどうか」にかかっていると言っても過言ではありません。自動車で事故を起こしてしまった時、自首をすることにはメリットがたくさんあります。
そもそも自動車免許は、「自己の責任において自動車を運転することができる人である」という証明書です。事故を起こしてしまった場合に、自ら適切に処理をすることができない人には免許証を持つ資格はありません。
処分が軽くなる可能性
当て逃げに対する処分の重さは、本人の反省の度合いによるところがあります。また、事故を起こしてから申告までのタイムラグも少ない方が良いです。
罰金や減点の度合いも、本人の反省度や被害者側の気持ちによって左右されます。真摯な態度で自分の罪を認め、自首をすることで反省の気持ちを表しましょう。もちろん、表面だけでなく心から反省することが最も重要です。
自責の念からの解放
事故を起こしてしまった瞬間にパニックになり、思わず当て逃げをしてしまった場合、嫌でも事故のことが頭から離れなくなってしまいます。自分の事故現場を目撃するたびに自責の念に駆られることになるでしょう。
自首をしてしまえば、この後悔の気持ちを裁いてもらうことができます。また、当て逃げは「加害者が特定されてから3年」の時効の期間があり、いつ終わるともわからない逃走を自首によって終わらせることもできます。
相手への心証
当て逃げをされた被害者が抱く感情は、自分の自動車が傷つけられてしまった悲しみ、それから加害者に対する怒りでしょう。当て逃げに対する処罰は、この被害者の精神的なダメージに応えるものといえます。
加害者が素直に自首をして真摯に謝る姿を見れば、この怒りや悲しみも少しは軽減される場合もあります。罪の気持ちが少しでもあるならば、自首をしましょう。
当て逃げにあってしまった時に備えましょう
当て逃げ被害にあった時に最も有効な証拠となるのはやはり映像です。個人として証拠を押さえることができるものと言えばドライブレコーダーです。
現代の映像技術は非常に進歩しているので、このような小型のカメラをフロントガラスの上の方に取り付けておくだけできれいな映像が撮れます。そして何より、「ドライブレコーダーが付いている」という事実が当て逃げの抑止力になります。
自首の方法とその後
当て逃げをした時の自首は、どのようにすればよいのでしょうか。また、自首をした後はどのような手続きを踏んでいくことになるのでしょうか。
事故に遭わないことが最も良いことですが、不幸にも当て逃げの加害者・被害者になってしまうこともあります。その時に備えて刑事的処理を知っておきましょう。
自首の方法
自首をする方法はとても簡単です。警察に電話をして事情を説明しましょう。事故直後は気が動転していて頭が働かないことも予想されますが、とにかく警察に一報を入れることが大事です。
電話をすべき警察署は、基本的には事故を起こしてしまった場所の所轄の警察署になります。ただ、他の警察に電話をしても大丈夫です。
自首のその後
電話で自首をした後はどうなるのでしょうか。自首後の処理は、「被害者が特定されているかどうか」によって変わってきます。
「被害者がいるかどうか」ということはつまり、「被害届が出されているかどうか」ということです。被害届が出されると、警察は事件として捜査を始めます。
1.被害届が出ていた場合
被害届が出されていた場合は、被害者が特定されていますので、罪の重さ(罰金の額や点数など)を決めるために被害者側と話すことになります。
被害届を出すということは、被害者は怒りや悲しみなど、精神的に良くない状態にあることが予想されます。この場合は、より慎重に真摯な態度で事件に取り組むことが必要となります。
2.被害届が出ていない場合
被害届が出されていない場合、警察が自首内容を参考に捜査を始めます。その一環で自首した本人に出頭を依頼されることもあるでしょう。
この場合、罰金や点数に関しては事故現場の破壊の程度によります。ただし、自首をした事実は反省している証拠として考慮されます。
事故でトラブルにならないために
自動車事故を完全にゼロにすることは難しいことですが、その後の対処でトラブルを避けることはできます。事故を起こした場合にも、巻き込まれてしまった場合にも、トラブルにならないように慎重に行動しましょう。
事故発生時の正しい対処法
事故を起こしてしまった時は、冷静になって自分から警察に連絡しましょう。また、被害者になってしまった時も、泣き寝入りをせずにきちんと警察に状況を説明しましょう。そして、これらの行動はなるべく早く起こしましょう。
ドライブレコーダーの必要性
交通事故・事件において、ドライブレコーダーの有無は解決の速さを定める大きなカギです。また、「録画できる状態にある」ということを知らせておくことは、加害者側が逃げようとする気持ちを踏みとどまらせる抑止力にもなりますので、ドライブレコーダーを設置することをお勧めします。
初回公開日:2017年12月29日
記載されている内容は2017年12月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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