交差点で緊急車両が接近した場合の対処法・サイレンの特徴と種類
更新日:2024年06月28日
交差点で緊急車両が接近した時はどうすれば良い?
緊急走行をしている緊急車両(パトカーや救急車など)が自分の車の近くにいるときには、サイレンの音で接近してきているかどうかが分かります。道路交通法に定められているとおり、一般の車両は緊急車両が接近してきた場合には緊急車両の走行を優先させる義務があります。そのため、交差点で緊急車両が接近してきたときには速やかに道を譲らなければなりません。
ケースその1:交差点に進入する手前で緊急車両に気が付いた場合
交差点に進入する手前で緊急車両に気が付いた場合には、速やかに車両を左に寄せて交差点の手前で一時停止をします。もしも自分の車が右側の通行帯(追い越し車線)にいた場合は、できるだけ左車線へ車線変更を行い一時停止をします。なお徐行では不十分ですので、必ず完全に車を停止させなければなりません。
ケースその2:交差点の中で緊急車両に気が付いた場合
交差点の中に進入したあとに緊急車両に気が付いた場合には、緊急車両の通行の妨げにならなように速やかに交差点から出て行かなければなりません。そして交差点を抜けたあとに車両を左に寄せて一時停止をします。なお徐行では不十分ですので、必ず完全に車を停止させなければなりません。
もし、道路が混んでいて進めないなどの事情で交差点の中で動けなくなってしまった場合は、臨機応変にできる限り緊急車両の妨げにならないように車両を移動させます。
ケースその3:緊急車両のマイクで指示を受けた場合
道路の状況によっては、緊急車両に付いているマイクで職員に車両の動きを指示される場合があります。その場合には、速やかに指示に従って車両を移動させます。
緊急車両のサイレンの特徴とは?
さまざまな種類がある緊急車両のサイレンですが、「サイレンの音の大きさは、その自動車の前方20m の位置において90dB 以上120dB以下であること」と、道路交通法では音の大きさのみが定められています。
そのため、緊急車両の走行目的によってサイレンは使い分けられています。今回は、緊急車両の中でも消防車・救急車・パトカーの公共の緊急車両と、民間の緊急車両のサイレンの種類や特徴、傾向についてご紹介いたします。
消防車のサイレン
消防車には、サイレンと鐘を使った三種類の音があります。
「ウーウー」というサイレンの音だけを鳴らしている場合
「ウーウー」というサイレンの音だけを鳴らしている場合は、「レスキュー」や「警戒」など、火災以外の目的の際の音です。
「ウーウー カンカンカン」というサイレンと鐘の両方を鳴らしている場合
「ウーウー カンカンカン」と、サイレンと鐘の両方を鳴らしている場合は、火災の現場へ向かっている時の音です。
「カンカンカン」と鐘の音だけを鳴らしている場合
「カンカンカン」と鐘の音だけを鳴らしている場合は、消火を終えた火災現場から消防署へ戻る時の音です。
救急車のサイレン
救急車のサイレンには2種類の音があり、そこからさらに2種類ずつ場面によって使い分けられています。
「ピーポーピーポー」と鳴らしている場合
救急車が緊急走行(現場へ向かう際や病院へ向かう際)している時に一番鳴らされている音です。昼間には「シーソーシーソー」という音階で鳴らされていますが、夜間は付近の住民への騒音の配慮から「ラーファーラーファー」という低い音階でサイレンが鳴らされています。
なお、サイレンの音量は法律で90デシベル以上と定められていますので、昼間でも夜間でも音の大きさ自体は同じとなっています。
「ウー」と鳴らしている場合
救急車の「ウー」という音は、交差点や見通しの悪い道路など、危険な場所を緊急走行する際に周りのドライバーや歩行者へ注意を促す際に鳴らされます。
この「ウー」という音は2種類で、低音の「ウー」という音と、高音の「ウー」という音があります。高い音は低い音と比べて周囲へ音が届きやすいので、高音の「ウー」は低音の「ウー」よりもさらに注意を促したい時に鳴らされます。
なお、低音の「ウー」は6秒周期に音程が変わるのに対して、高音の「ウー」は救急車に乗っている隊員の判断によって音の間隔が自由に調節されています。
警察車両(パトカー)のサイレン
警察車両(パトカー)のサイレンは「ウーウー」という1種類の音となっていますが、4秒周期と8秒周期と手動の3つの周期が存在しています。周期の明確な使い分けは定められていませんが、短ければ短いほど緊急性が高いと言われています。
ガス会社などの民間の緊急車両のサイレン
道路交通法では「サイレンの音の大きさは、その自動車の前方20m の位置において90dB 以上120dB以下であること」と音の大きさのみが定められていますので、民間の緊急車両のサイレンの音の種類には明確な決まりは存在しません。
しかし、公共の緊急車両のサイレンに則って、ドクターカーなどの医療系の緊急車両は「ピーポーピーポー」という音、ガス会社やJAFなどの医療系以外の緊急車両は「ウーウー」というサイレンを鳴らす傾向にあります。
緊急車両にはどんな種類がある?
緊急車両は、道路交通法で「消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう」と定められており、大きく分けて以下の2種類のものがあります。
・公共の緊急車両
・民間の緊急車両
公共の緊急車両と民間の緊急車両にはともに、さまざまな種類の緊急車両があります。
公共の緊急車両
公共の緊急車両は、警察車両(パトカー)や救急車、消防車などの地域や市民の治安の維持のための緊急車両が主です。その他には、皇居警察の車両や自衛隊の警務車両、高速道路の道路管理作業車や都道府県知事の救援活動用司令車、水道事業者の救援車も公共の緊急車両に当たります。
なお海上保安庁は、守備範囲が海上であるために緊急車両として登録ができないこととなっています。そのため救助に向かう際には警察車両(パトカー)の先導が必要となっており、対応が遅れる可能性があることから緊急走行できるようにすべきだという声も上がっていますが、いまだに実現できていないのが現状です。
民間の緊急車両
民間の車両であっても、公安委員会から緊急自動車指定書が交付され、国土交通省運輸支局へ登録が完了していれば緊急車両として走行することが認められています。(緊急自動車指定書を常に該当車両に備え付けている場合のみ)
民間の緊急車両には、電力会社やガス会社、鉄道会社、レッカー車(JAFなど)、電気通信事業者や製薬会社、日本放送協会の所有車両や病院のドクターカー、赤十字血液センターの輸血用血液搬送車などがあります。
なお、警備会社のパトロールカーや貴重品輸送車などは緊急車両とは認められていません。
緊急車両と事故を起こしてしまった場合どうすれば良い?
道路交通法によって、一般の車両は緊急車両が走行してきた場合には車を左に寄せるなどして緊急車両の走行を優先させる義務があります。しかし万が一、緊急車両と事故を起こしてしまった場合はまずは現場の緊急車両に乗車していた隊員に指示を仰ぎます。
その理由は、通常では交通事故を起こした場合にはできる限りその場に留まる義務が発生しますが、緊急車両は特例として、業務を継続しその場を離れても良い事になっています。そのため、事故のあとどのような行動を起こせば良いかはその緊急車両の隊員に判断を仰ぐのが良いでしょう。
緊急車両と事故を起こしてしまった場合の過失割合はどうなる?
サイレンを鳴らし緊急走行をしている緊急車両がいた場合には、一般の車両は車を左に寄せるなどして緊急車両の走行を優先させる義務があります。しかし、万が一サイレンに気付かなかったなどして事故を起こしてしまった場合、過失割合は一般的に以下のようになります。
自分の車が優先だったときの事故
自分の車側が青信号の交差点だった時や、自分が優先道路を走行していた時の交通事故の場合は、自分の車が8割:緊急車両が2割の過失割合が基本となっています。
ここに、見通しの良い交差点だった場合や緊急車両が明らかに先に交差点に進入していた場合など、重大な過失が自分の車にある場合はさらに過失割合が大きくなります。
道路交通法によって、緊急車両が通行していた場合には交差点の手前で車を左に寄せて一時停止をするなどルールが定められています。そのため、緊急車両との事故は一般の車との交通事故よりも過失割合が大きくなります。
緊急車両が優先だったときの事故
自分の車が赤信号の交差点だった時や、緊急車両が優先道路を走行していた時の交通事故の場合は、自分の車に重大な過失があるとしてほとんどの場合自分の車10割:緊急車両0割の過失割合になるでしょう。
緊急車両のサイレンに気を取られて信号の色の確認を忘れてしまうなどの可能性もあります。自分の車の周りの状況をしっかりと把握した運転に努めましょう。
緊急車両の運転にはどんな資格が必要?
緊急車両を運転するには、該当車両の免許を取得しているのはもちろんのこと、免許を取得したあと必要な年数を満たしている必要があります。
・自動二輪車(大型二輪免許または普通二輪免許)の場合:通算2年以上
・四輪自動車(大型免許、中型免許、普通免許、大型特殊免許):通算3年以上(普通自動車は2年以上)
なお、公安委員会の審査に合格することができれば、規定年数に達していなくても運転しても良いことになっています。また、これらの規定年数は緊急走行している緊急車両の運転に限りますので、通常の走行をするときには必要ありません。
緊急車両の法定最高速度とは?
緊急車両は、緊急走行する際の任務の重要性から一般の車両よりも速度を出しても良いこととなってします。
一般道の場合
一般道における一般車両の法定最高速度(標識などによって設定されていない場合)は時速60キロメートルとなっていますが、緊急車両の緊急走行時の法定最高速度は時速80キロメートルです。
高速道路の場合
高速道路における一般車両の法定最高速度(標識などによって設定されていない場合)は時速100キロメートル(高速自動車国道の本線車道のうち、対面通行でない区間)ですが、緊急車両も同じ条件下であれば法定最高速度は時速100キロメートルです。ただし、大型はしご車などの通常時速80キロメートルに制限されている車両も緊急走行時であれば時速100キロメートルで走行することができます。
交通違反車両などを追尾しているパトカーの場合
交通違反車両や凶悪犯の追跡などをしているパトカーは、その緊急性から違反車両と同等のスピードを出しても良いこととなっています。そのため、そういった場合の速度の制限は特に設けられていません。
緊急車両も速度違反で取り締まられる?
緊急車両が緊急走行をしている場合であっても、道路交通法で定められている最高速度よりも速いスピードで走行をすれば道路交通法違反となります。
これまでも、京都府警察と岡山県警察が最高速度超過の違反を犯し処分を受けています。緊急走行中であっても、すべての道路交通法を無視しても良いということにはなっていません。
緊急車両を妨害した場合の罰則とは?
緊急走行をしている緊急車両を妨害した場合、道路交通法の「緊急車妨害等」違反となり、行政処分として違反点数1点が加点されます。また、大型車の場合は7000円、普通車は6000円、小型特殊車は5000円の反則金が科せられます。
救急車の緊急走行を妨害し搬送中の患者が亡くなってしまった場合
救急車の緊急走行を妨害し搬送中の患者が亡くなってしまった場合、まずは道路交通法の「緊急車妨害等」違反となり、行政処分として違反点数1点が加点されます。また、大型車の場合は7000円、普通車は6000円、小型特殊車は5000円の反則金が科せられます。
その上で、緊急走行の妨害による死亡との因果関係や過失などが立証されれば、運転手は民事上もしくは刑事上の責任を負うこととなります。
救急車には、一刻を争う患者を搬送しているケースも多いです。救急車の緊急走行のサイレンの音が聞こえたら速やかに進路を譲るようにしましょう。
一方通行の道で緊急車両が接近したらどうすれば良い?
一方通行の道であっても、緊急走行中の緊急車両は特例として逆走しても良いこととなっています。従って、例え一方通行の道であっても、緊急車両の通行が優先されますので、一般の車は進路を譲らなければなりません。
基本的には道路の左側に寄って進路を譲りますが、一方通行の道では幅が狭いために左側に寄ってはかえって緊急車両の妨げになる場合もあります。そのようなときには右側に寄っても良いこととなっています。
もしもどちらに寄っても緊急車両の妨げになってしまう場合には、バックをして道幅の広いところまで行かなければなりません。それを防ぐためにも、細い一方通行の道路を通行する際には進入する前に道路の状況をよく確認しておいた方が良いでしょう。
緊急車両を優先させるのは一般車の義務です!
サイレンを鳴らして緊急走行をしている緊急車両が向かう先は、さまざまな緊迫した現場となっています。交通事故現場や急病人、火災現場など一刻を争う場面であることも少なくありません。
そのため道路交通法で定められているように、一般車は緊急車両の走行を優先させる義務があります。もしも自動車を運転中に緊急車両のサイレンが聞こえた際には、
・緊急車両の位置を確認し、速やかに車を左に寄せて通行の妨げにならないようにする
・交差点の手前で車を左に寄せ、一時停止をする
・すでに交差点に進入している場合には速やかに交差点から出て車を左に寄せて停止する
・マイクで指示を受けた場合は速やかに従う
以上のことを忘れないようにしましょう。
初回公開日:2018年01月29日
記載されている内容は2018年01月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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