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減速比の計算方法・トルク・回転率・モーターとの関係|公式

初回公開日:2018年01月26日

更新日:2020年02月12日

記載されている内容は2018年01月26日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

歯車と言えば、メカっぽい雰囲気が否めません。私たちの身近にある自動車を支配する歯車の減速比で、その自動車の速度性能が決まります。でも、減速比と密接な関係にある自動車業界にも変革の波は押し寄せています。そんな減速比の正体と、その未来に関するお話です。

減速比の計算方法・トルク・回転率・モーターとの関係|公式

減速比の計算方法

減速比とは、動力によって「駆動する歯車」と、「駆動する歯車によって回される歯車」の比を表します。例えば、駆動する歯車の歯数が10だとして、回される歯車の歯数が30だとしたら、その減速比は、駆動する歯車を「1と」すると、減速比は「3」となります。

この例で駆動する歯車は、1回転で10の歯が回ります。これに対して、回される歯車は30÷10で「1/3回転」しか回りません。つまり、駆動する歯車が3回転すると、回される歯車はやっと1回転するので、回される歯車の速度は「駆動する歯車」の「1/3」であることがわかります。つまり3倍遅いということです。

自動車の減速比と変速比、違いって何?


自動車において「減速比」は「変速比」と呼ばれます。その理由は、減速比によっては必ずしも減速の意味にならないからで、ギヤ比を表すという点では減速比も変速比も、実質的には同じ意味を示します。減速比が1よりも大きければ減速となりますが、1よりも小さければ速度は速くなります。

一方で自動車に使われる減速比として、トランスミッション(変速機)とディフェレンシャルギヤ(差動歯車)の比は、「最終減速比」と呼ばれ、自動車の速度性能を決定づける重要な意味を持ちます。

公式

減速比の特性は、1速のギヤは歯車が大きく、停止状態からの加速トルクは大きいのですが、エンジンがウンウンと唸るように、その回転速度は遅くてスピードは出ません。一方、小さな歯車はトルクは小さいですが、回転速度は速くなります。自動車の発進には大きなトルクが必要で、速度が乗った後はトルクよりも速い速度が求められます。

MT車のドライバーは、タコメーターやエンジン音の情報によって、走行速度に合わせた適切な減速比のギヤを、自ら選んで運転しています。

ところで減速比は、エンジンの回転数に対する自動車のトルクと速度を決める数字で、変速比と最終減速比が求まれば、理論上の速度が求まります。自動車速度に関係する公式は「エンジンの回転数(rpm=1分当たりの回転数) 」÷「 変速比」 ÷「 最終減速比」 ×「タイヤの円周(=タイヤ外径×3.14)」× 60分 = 理論速度(km/h)」で求められます。

速度

減速比は速度とトルクの大きさを決定づけます。エンジン自動車では、ドライバーがアクセルを踏んで燃料を送り込んだエンジン内部の圧縮空気の爆発力によって、結果的に生じるピストンの回転運動の速度とトルクが、減速比を介してタイヤへと伝わります。

つまり、減速比が決まると、速度やトルクも決まります。それでは、先ほどの関係公式にあてはめて、実際の自動車の理論速度を求めてみましょう。

公開データと理論速度

今日も技術の日産が製造する、日本が世界に誇るスーパーカーのR35GT-Rは、直進でもコーナーでも、純粋にクルマの走る「速さ」を追求したスーパーカーマシンです。その「速さ」を、日産が公開する減速比のデータから、実際に求めてみましょう。

日産GT-Rの理論速度はやっぱり速い?

6速ギヤを持つR35GT-Rの変速比は、第1速:4.056、第2速:2.301、第3速:1.595、第4速:1.248、第5速:1.001、第6速:0.796、後退:3.383です。最終減速比は3.700です。

出典: http://history.nissan.co.jp/GT-R/R35/0710/XML/eq4isr00000... |

R35日産GT-Rのタイヤ外径はフロントが712mmで、リアが707mmです。外径の小さい方のリアタイヤ外径と、530馬力を発揮する6400rpmのエンジン回転数を、先の公式にあてはめて求めると、第1速は6400rpm(=1分当たりの回転数)÷ 4.056 ÷ 3.70×(0.707m×円周率3.14)× 60分 = 56.8km/hとなります。正しく計算する上で、単位をそろえることが重要です。

同じように、他の減速比についても求めると、第2速は100.2km/h、第3速は144.5km/h、第4速は184.7km/h、第5速は230.3km/h、第6速は289.6km/hです。つまり純正R35GT-Rは、公道では4速で最高速180km/hのリミッターが作動します。ちなみにR35GT-RはGPSが装備されていて、「サーキット」を検知して、リミッター解除ができる機能が備わっています。

減速比が大きくなるとトルクも大きくなるのか

このように、エンジンの回転数に対する減速比は、大きなギヤである1速ほど、加速に必要なトルクが大きくなります。つまり、減速比が大きいほど発生トルクは大きくなり、加速が良いということにつながります。一方で、6速などのより小さなギヤは、発生トルクは小さいのですが、得られる速度が速くなり、スピードが出るという特性を持っています。

ただし減速比が大きいと、単純にトルクが増大する面だけかと思えば、そうとも言えません。減速比の増加に伴って歯車が大きくなると、歯車自体が持つ慣性力(イナーシャ)も大きくなります。

これは、ギヤを動かす時にはより大きなパワーを必要とし、速度が乗った後で回転を止める際にも、より大きなブレーキ力が必要なことを意味します。つまり、より大きな減速比は、よりパワーロスが大きいです。もしも同じギヤ比なら、より軽い材質の歯車か、より小さな歯車の方がイナーシャは、より小さくなります。

減速比と回転率の関係

減速比が大きいほど(回されるギヤの回転率は小さくなり)回転速度は遅くなりますが、加速に必要なトルクは大きくなります。反対に、減速比が小さいほど(回されるギヤの回転率は大きくなり)回転する速度は速くなるのですが、加速に必要なトルクは小さくなります。

簡単に言えば、大きなギヤはトルクは大きいが、スピードが出ない。小さなギヤはトルクは小さいがスピードが速いということです。そして、トルクは発進時の加速に大きく影響します。これは、多段変速ギヤを搭載した自転車に乗ることを思い浮かべるとわかり易いでしょう。

自転車の1速発進はラクですが、いくらペダルをこいでもスピードは出ません。と言って、3速で発進するのは至難のワザです。でも速度が乗れば、3速のギヤほどラクにスピードが出せます。このように発進時には加速が必要で、減速比が「速度」と加速に影響する「トルク」に関係することが、身をもってわかるでしょう。

減速比とモーターの関係

ここで、電気で働くモーターの特性を考えます。電気で動くモーターは、停止状態からいきなり全開のパワーを出力できることが最大の特徴ですが、燃料圧縮後の点火による爆発力によってパワーを得る、タイムラグのあるエンジンとは大きく異なります。またモーターは、ある一定の回転数までは最大トルクを維持できるのですが、一定の回転数を超えると、急激にトルクが低下するという特徴を持ちます。

絶対的パワーが小さい電気モーターを搭載している場合は、その非力な力を増大する方法として減速比の力に頼らざるを得ませんが、減速比が大きな歯車は、大きくなってしまう歯車のイナーシャをカバーするのにもより大きなパワーが必要になり、逆に速度を得た回転歯車を止めるのにも、より大きなパワーを必要とします。

つまり理論的に、より大きな減速比は、より大きなパワーロスとエネルギーロスの可能性を含んでいます。

減速比の定義

減速比は、エンジンなどの動力によって、駆動しようとする歯車を1とした時の、駆動する歯車に回される歯車の比を表します。またこの場合、減速比が1よりも大きければ、回される歯車は「減速比」の文字が示すとおりに速度は遅くなり、その代わりに大きなトルクを得ることができます。

一方で、減速比が1よりも小さい場合には、駆動する歯車よりも、回される歯車のトルクは小さくなり、回転する速度は逆に速くなります。ですので、自動車の場合は「変速比」という言葉が用いられます。またデフ(差動歯車)を含めた「最終減速比」は、エンジン回転数よりも、タイヤの回転速度が遅くるので、減速比という言葉があてはまります。

減速比の記号

自動車では、エンジンなどの動力によって回転数する歯車(駆動歯車)を1とした時、減速比は、小数点を含めた1よりも大きな数字、あるいは小さな数字で表さるのが一般的ですが、モーターなどに使用される減速比を表す場合に、単純に「1:3」や「1:2」などの比で表記されることも一般的です。

CVTは革命?

近年、あらゆる自動車に採用されているのがCVTと呼ばれる変速機です。CVTとは、英語で「Continuously(コンティニゥアスリー) Variable(ヴァリーエブル) Transmission(トランスミッション)」略した言葉で、日本語では「無段変速機」と訳されます。

これまでの減速機は、クラッチを切り離して、歯車と歯車の組み合わせを変えるトランスミッションが採用されていましたが、CVTは、円錐形の歯数の無いプーリー(滑車)を使用してすることで、速度に応じた無段階の変速機構を実現しました。CVTの登場により、これまでの変速機構を無理矢理電子制御するAT車に代わり、ギヤチェンジの際の切り替えショックは減少し、走行燃費も大きく向上しました。

クロスミッション

変速比の特性を知る上ではクロスミッションもあります。ラリーで知られる三菱ランエボなどは、クロスミッションと呼ばれるギヤ比をイジルことによって、速さに関してより走行性能を追求しています。

エンジンには、低回転域のトルク域と、最大パワーを発揮する最大馬力域の二つの回転域が存在します。起伏の激しい路面を走行する際、1速や2速、3速のギヤ比を近くすることで、コーナーでも回転数を落とさずにパワーバンドを維持することが可能です。

自動車の速さのポテンシャルを決める変速機の未来

エンジン特性と自動車の走行性能を支配してきたとも言える、重大な役割を担う変速機が、近年大きな変化を迎えようとしています。これまでの重い金属でできたガソリンエンジンに代わり、世界ラリーの舞台にも、電気自動車のデビューが日が近づいています。

速さを求めるEVクラスの実現に向けて、実際にテストも行われています。爆発燃焼による熱を伴わない電気自動車であれば、重い金属エンジンを脱ぎ捨てられる可能性にメーカーは期待しています。

一方で、石油燃料を節約するガソリンエンジン技術と、電気エネルギーをいかにして供給するかという、人類のエネルギー問題を背景とした「せめぎ合い」は、まだまだ始まったばかりです。二つの相反する自動車業界の行く末を見られるラッキーな時代を、おおいに楽しみましょう。

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