【メーカー別】全車速追従機能付クルーズコントロールの比較
更新日:2024年08月21日
全車速追従機能付クルーズコントロールの比較
日本では1964年にトヨタクラウンが初めて採用したクルーズコントロール機能ですが、従来はコントローラーで指定した速度を保って走るというだけのシンプルなものでした。
今日では先行する車両をレーダーやカメラで捕らえ、指定した最高速度以下で追従することができるようになりました。さらにこの対応速度が全車速にまで広がり、最低速度は0Km、渋滞などで完全に停止する場合にも対応できるようになりました。
この機能を総称して「全車速追従機能付クルーズコントロール」と呼ばれ、メーカー各社の車に搭載されています。では各メ ーカー毎に、この「全車速追従機能付クルーズコントロール」の対応状況の違いについて紹介していきます。
メーカー別全車速追従機能付クルーズコントロール
全車速追従機能付クルーズコントロール機能は、各メーカー毎に微妙な違いがあります。これらを比較しながら紹介します。
トヨタ
トヨタの全車速追従機能付クルーズコントロール機能は、「レーダークルーズコントロール」もしくは「DRCC(Dynamic Radar Cruise Control )」と呼ばれます。先行車や前方の障害物は、ミリ波レーダーとカメラによってセンシングが行われます。
次に、全車速追従機能付クルーズコントロール機能の各走行モードにおける動作について詳しく紹介します。
[1] 定速走行制御
全車速追従機能付クルーズコントロール機能では、従来のクルーズコントロール機能と同じように、ドライバーが速度を設定することで定速走行を開始します。
[2] 減速/追従走行制御
全車速追従機能付クルーズコントロール機能では、ミリ波レーダーで先行車との距離を認識しながら一定の車間距離を保って速度を調整しながら走行します。あらかじめ設定した速度よりも先行車の速度が遅い場合には、自動的に減速し所定の車間距離になるように調整します。
そしてあらかじめ設定した速度内で先行車を追従し、先行車の速度に応じて一定の車間距離を保つ機能です。
[3] 加速走行制御
全車速追従機能付クルーズコントロール機能では、先行車の車線変更などで前方があいたときに、スムーズに加速して定速走行を再開します。先行車が出口車線などから退出した場合や、他の車線に車線変更したときなどが対象です。
[4] 停止保持制御
全車速追従機能付クルーズコントロール機能では、渋滞などで先行車が減速・停止したときに、自車も減速・停止し、一旦停止した状態を保持します。先行車が再び発進したときは、ドライバーの発進操作により先行車追従を再開します。
※車によって全車速追従機能が搭載されていないモデルもあります。その場合は時速30km以下ではドライバー自身で制御が必要となります。
マツダ
マツダの全車速追従機能付クルーズコントロール機能は、「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(全車速追従機能付)」もしくは「MRCC(Mazda Radar Cruise Control)」と呼ばれます。
フロントに設置されたレーダーセンサーとフォワードセンシングカメラにより先行車を検知することで、ドライバーがアクセルやブレーキペダルを操作しなくても、設定した速度での定速走行や、先行車との車間距離を車速応じて一定に保ちながら走行することができます。
定速走行や追従走行の動作はトヨタのものとほぼ同じで、先行車が渋滞などで停止したときには自動で停止状態を保持し、ドライバーがRESスイッチなどの発進操作をおこなうことで追従走行を再開する機能です。
ホンダ
ホンダの全車速追従機能付クルーズコントロール機能は、「アダプティブクルーズコントロール」もしくは「ACC(Adoptive Cruise Control)」と呼ばれ、あらかじめ設定した車速内で車が自動的に加速をおこない、先行車と適切な車間距離を保ちながら追従走行をおこないます。
定速走行や追従走行の動作はトヨタのものとほぼ同じです。
「渋滞追従機能付き」の場合には、先行車が減速・停止したときに自車も完全に停止し、前車が走り出したらスイッチ操作もしくはアクセル操作で追従を開始します。
スバル
スバルの機能は、「全車速追従機能付クルーズコントロール」と呼ばれます。スバルのアイサイトがサポートする1つの先進機能です。
アイサイトの場合にはミリ波レーダーを使わずステレオカメラで先行車両を検知しており、先行車両がいなければ、あらかじめ設定された車速で定速走行を開始し、先行車がいる場合には速度に応じた車間距離を保ちながら追従走行をおこないます。
こちらも基本的な動きはトヨタのものと同じです。渋滞などで先行車が減速・停止した場合でも、自車を停止させその状態を保持します。ただし、12分以上の停止が続いた場合には、電動パーキングブレーキを使用した停止状態に切り替わります。
日産
日産の全車速追従機能付クルーズコントロール機能は、「インテリジェントクルーズコントロール(全車速追従)」と呼ばれます。前方の障害物を検知するレーダーセンサーを利用して先行車両を認識して制御をおこないます。
日産の場合には、従来は時速40km以下の追従モードを「低速追従機能」と呼んで別機能にしていましたが、インテリジェントクルーズコントロール化によってこの境目をなくし、先行車両の減速・停止時にも自車を減速・停止させその状態を保持します。
また、「ナビ協調機能」に対応したものでは、前方のカーブの情報を基にして、必要に応じ自動的に減速をおこないます。
日産の場合は、インテリジェントクルーズコントロールと呼ばれる全車速追従機能付クルーズコントロール機能にハンドル支援機能を組み合わせ、高速道路での自動運転に近い機能を実現しています。
車種別の全車速追従機能付クルーズコントロールの特徴
レクサス
最近フルモデルチェンジをしたばかりのレクサスLS500にも、全車速追従機能付クルーズコントロール機能が搭載され、「レクサスレーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」と呼ばれ標準搭載されています。
ミリ波レーダーと単眼カメラを用いたセンシング機能により 、設定した車間距離での追従走行を可能とします。
もちろん先行車の減速や停止に追従して自車を減速・停止保持します。スイッチ操作もしくはアクセル操作によって追従システムを再開します。
レクサスLSにはレーンキーピングアシスト機能も搭載されており、高速道路における車線逸脱を防ぐステアリング支援もおこないます。
日産セレナ
他社の全車速追従機能付クルーズコントロールシステムでは、先行車に追従して一旦停止してしまうと、システムの再開にはスイッチ操作もしくはアクセル操作が必要でした。
全車速追従機能付クルーズコントロール機能を含む「ProPilot」を搭載した日産セレナでは、渋滞などにより先行車が完全詩停止してから3秒以内に再発進するような場合には、自動発進してシステムを再開することが可能です。
全車速追従機能付クルーズコントロールで高速道路での疲労を軽減
高速道路でのドライビングは、道路が空いている場合でも長距離になると同じ姿勢を持続し続けなければならず、アクセルを一定に踏み続けるのも意外と疲れます。
一方渋滞したときには、走ったり止まったりと単調な運転の繰り返しをする上に、誤って追突しないようにある程度の緊張感を持続させてくてはなりません。
そんなときに全車速追従機能付クルーズコントロールがあれば、高速道路でのドライバーの疲労を大きく軽減することができます。
レーンキープアシスト機能と同時に利用することで、さらに快適な高速運転をすることができ、万が一の危険な状況を車が自動的に回避してくれる場合もあります。
近い将来やってくる完全自動運転への第一歩のようなこの全車速追従機能付クルーズコントロール機能、これからの高速運転にはおすすめの必須機能です。
初回公開日:2018年01月23日
記載されている内容は2018年01月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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