タイヤのスキール音はどのような音なのか・ならないのはいいのか
更新日:2024年10月15日
タイヤのスキール音とはどのような音か
タイヤのスキール音と聞いても、その描写は多いです。そもそもどういうときになるものなのか、鳴らしたほうがよいものなのか、わからない方もいます。
今回は、タイヤのスキール音とはどういうものか、そして、ならすことによる効果などを書いていきます。
スキール音がなる状態
そもそもスキール音とはどういう状況でなるのか、まずはそのメカニズムを説明します。
一般的にスキール音というのは、タイヤが滑っているときになります。地面との摩擦係数、いわゆるミューが高いほどなりにくく、そのような状態というのは、タイヤがしっかり路面をとらえている状態です。別の言い方をすると、グリップ力が高い状態です。
しかし、路面状況やタイヤのコンディションによりミューが異なり、車のパワーが路面とのミューにおける摩擦が限界を超えると、摩擦の関係がなくなります。このときにタイヤが滑り、スキール音が出ます。つまり、スキール音というのは、タイヤがグリップ力の限界を超えてしまった時になります。
効果音
スキール音は、車の動きや、スピードによって音が変わります。
急ブレーキをかけるシチュエーションを例に説明します。ゆっくり進んでいる状態で急ブレーキをかけた場合、キュッというように短い音でなります。しかし、スピードが出ている状態の場合、キキーやキュルキュルといった、長い音でなります。
急ブレーキ以外にも、急発進した際や、急にハンドルを切って曲がった時にもなります。先に書きましたが、このような状態はグリップ力が限界を超えてしまっているため、スピンしたりする恐れがあります。くれぐれも、急発進や急ハンドルはせず、余裕をもって運転しましょう。
マンガにおけるスキール音の描写
頭文字Dや湾岸ミッドナイトなどの車をテーマにしたマンガは、スキール音の描写が非常に多いです。
特に頭文字Dは、ドリフトの描写だけで、さまざまなスキール音の種類を用いています。キキーや、キュルキュルといった単調なものではなく、ギュイイイや、グワッシャアアアアアアなど、ほんとにスキール音なのかと疑いたくなる擬音を用います。
このように、マンガの世界観を表現するために、作者はさまざまな擬音を用いてスキール音を再現しています。
スキール音が鳴らないのはいいことなのか
先程はスキール音はどういうときになるものなのか、なっている時の車の状態などを書きました。今度は、スキール音が鳴らないのはいいことなのか、これについて書いていきます。
先に書きましたが、スキール音がなるときは、グリップが限界を超えてしまった状態で発生する状態です。一見悪いことのように聞こえます。しかし、あえて鳴らす場合もあります。詳しいことは、後程説明します。
ドラフト
ドラフトと聞いても、多くの人は、野球のドラフト会議を思浮かべます。しかし、ここで言うドラフトは違います。
アメリカではドラッグレースというレースが非常に盛んです。ワイルドスピードでよく出てくるレースもドラッグレースです。そのドラッグレースにおいて、レース前に必ず行われる行事がドラフトです。
これは、わざとスキール音を出していますが、実はレースにおいて非常に重要です。確かにスキール音がなるときはグリップが限界を超えてしまっている状態ですが、これによりタイヤが暖まります。タイヤは性質上、未使用の状態より少し暖めたほうが実はグリップ力が高いです。
このように、タイヤの性能を引き出すために、あえてスキール音を出している場合もあります。
峠
ドラッグレースよりも、むしろドリフトのほうが、日本人には馴染み深いでしょう。頭文字Dをはじめとする多くのアニメで見かけるものは、峠で華麗にドリフトをしているシーンでしょう。
峠でドリフトをする一番の理由は、早くコーナーを抜けるためです。サーキットとの大きな違いは、急なコーナーが多い点です。コーナーが急なほど、ドリフトして後輪を滑らせることにより、しっかりブレーキを踏んで曲がるときよりも早く抜けられます。
ラリーの世界では、サイドブレーキを使用して素早くターンするテクニックがあるほど、ドリフトは重要です。このように、グリップ力の向上だけでなく、コーナーを素早く抜けるためにスキール音を出すこともあります。
加速
現在日本で売られている軽自動車や普通乗用車は、そこまでパワーがないため、加速時にスキール音がなることはほぼありません。しかし、一昔前のスポーツカーや、かなりパワーがあるチューニングカーは、加速時にスキール音がなる場合があります。
原因は、車自体が発生するパワーを路面につたえる力、いわゆるトルクが高いからです。タイヤのグリップ力が車のトルクに耐えきれないときにスキール音がなります。この状態は、完全にパワーを路面に伝えられていない状態です。
対処法は、マニュアル車の場合、2速からスタートすると押さえることです。オートマ車は、そもそも急にアクセルを踏んでもコンピューターが自動で制御するため、スキール音は出ません。
最近のスーパーカーはスキール音が出にくい
フェラーリやポルシェ、メルセデスベンツをはじめ、多くの新しいスーパーカーが発売されています。日本でもGT-RやNSXなど、多くのハイパワー車が出回っています。
しかし、いずれも共通していることは、オートマ車であることです。先に書きましたが、オートマ車は自動でアクセル開度を制御するため、スキール音が出にくいと書きました。現在のスーパーカーは、トラクションコントロールシステムというスキール音を検知してタイヤが滑ることを抑制するシステムが入っています。
公道でスキール音を出してはいけない
スキール音を出してはいけないというのは語弊があります。正確に言うと、タイヤ跡を残してはいけない、ということが正しいです。
山道や埠頭周辺にいくと、あちこちにタイヤの跡があります。大概走り屋のたまり場です。しかし、故意にタイヤの跡を残した場合、器物損壊として捕まります。また、公道でドリフト走行をした場合、騒音運転、安全運転義務違反で捕まることもあります。
くれぐれも、捕まらないように注意しましょう。
ブレーキをかけたときにスキール音は聞こえるか
先にスキール音がなるメカニズムについて書いた際、急ブレーキをかけた際なると書きました。確かに一昔前の車では急ブレーキをかけた際スキール音はなります。
しかし、最近はABSという、タイヤがロックする現象を押さえるシステムがあるため、急ブレーキを踏んでもならなくなりました。一昔前の車では、ABSがなかった分タイヤをロックさせてスキール音を鳴らしてグリップ力の向上をさせると同時に危険を知らせていました。
しかし、北海道などの雪国ではロックさせても滑ってしまって止まらないという事態が起こるため、現在ほとんどの車にABSがついています。最近ではバイクにもABSが採用されています。
ABSの仕組み
ABSとは、アンチロックブレーキシステムの略です。急ブレーキ時にタイヤが滑ってロックしそうなとき、ABSが自動的にブレーキの制御をするシステムです。
ブレーキの踏み方のひとつに、ポンピングブレーキという技があります。これは、ブレーキを踏みっぱなしにせず、ブレーキを強く踏んだ後にすぐ離し、離したらまたすぐ踏むことを繰り返す技です。これによりタイヤがロックすることを防ぎます。
ABSは、この操作を自動的に、かつ高速で行うことでタイヤがロックすることを防いでいます。
しかし、このシステムは一定の速度や温度を越えると全く機能しなくなることが多々あるため、チューニングにおいて、このシステムをなくす方も多いです。
エコタイヤはスキール音が聞こえにくいのか
近年燃費が重要視されている世の中、タイヤでも燃費向上を謳い文句としているものが、エコタイヤです。普通のタイヤと比べてかなり燃費が向上するとして、エコカーと一緒に購入している方もいれば、スポーツカー乗りだが少しでも燃費を向上させたいとしてエコタイヤを買う人もいます。
しかし、エコタイヤの場合、スキール音はなりにくいのか、その事について書いていきます。
エコタイヤの特徴
現在販売されているエコタイヤの特徴は、なんといってもその抵抗の低さです。一般的なタイヤとスポーツタイヤとエコタイヤの転がり抵抗を調べたところ、エコタイヤがかなり遠くまで転がることが証明されています。
この抵抗の少なさが燃費向上に貢献し、長く走ることができます。また、スポーツタイヤと比べて、グリップ力は低くなりますが、一般的なタイヤと比べて粘りがあるため、コントロールせいもきちんと確保されており、安全性もきちんとあります
エコタイヤでも鳴るときはなる
先に書いた特徴を踏まえて、エコタイヤはスキール音が出にくいということについてです。結論から言いますと、出ます。しかし、普段の生活ではまず出ません。
スポーツタイヤと比べてグリップ力が低いので、エコタイヤでドリフトをしようと試みると、あっさり出ます。むしろ、ドリフトを練習する際はエコタイヤで行ったほうが良いぐらいです。
しかし、エコタイヤはあまり耐久性がないため、無理な走行をして放置すると、パンクする恐れがあります。これでは燃料代を節約するはずが、かえって余計な出費となります。
しかし、一般的なタイヤよりはコントロール性が高いので、エコタイヤでスポーツ走行も悪くないです。
安全運転をしていればスキール音は出ません
ここまでスキール音について書きました。スキール音は悪くいえば騒音ですが、良くいえば危険を知らせるサインとなります。時にはレースにおいて優位に立つためにあえて発生させたり、速く走らせるために誘発させることもあります。また、マンガやアニメの世界観を読者や視聴者に強く伝えるためのツールとなっています。
しかし、故意にタイヤのスキール音を鳴らすことは、時に騒音問題となり、器物損壊や安全運転義務違反で逮捕されてしまうこともあります。また、スキール音が鳴る状態を放置すると、タイヤがバーストして、愛車や人を傷つけたり、最悪死に至る場合もあります。
公道を走る際は、歩行者や他の車にきちんと配慮することを忘れずにしましょう。そして、スポーツ走行を楽しむ際は、愛車と自分の実力をしっかり見極めたうえで、思う存分楽しみましょう。もちろん、日々のメンテナンスもお忘れなく。
初回公開日:2018年01月23日
記載されている内容は2018年01月23日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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