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パーキングブレーキの仕組み・使い方・解除方法・調整仕方

更新日:2023年12月28日

パーキングブレーキは不要?サイドブレーキ式とフットブレーキ式はどっちも同じ?パーキングブレーキに対する疑問は、ブレーキの構造を知ることで答えはおのずと見つかります。サイドブレーキだけが持つ機能とは?全ての自動車に搭載されたパーキングブレーキにまつわるお話です。

パーキングブレーキの仕組み・使い方・解除方法・調整仕方

自動車のブレーキの種類

自動車のブレーキと言っても、フットブレーキ、サイドブレーキまたはパーキングブレーキ、エンジンブレーキがあります。また最近は、電気自動車やハイブリッド自動車も当たり前で、回生ブレーキと呼ばれるブレーキも加わりました。

フットブレーキは走行中に4輪を止めようとするブレーキで、ディスク式やドラム式がありますが、油圧を利用した大きなブレーキ力を発生できます。また、エンジンブレーキはエンジンの回転時の抵抗を利用したブレーキで、走行中にしか作用しません。

さらに回生ブレーキは、モーターの抵抗ブレーキと共に、モーターの発電によって得られた電気をバッテリーに蓄えて再利用ができます。

そして、本題のサイドブレーキあるいはパーキングブレーキは、機械的な構造特性を持ちます。サイドブレーキは、英語でhandbrake(ハンドブレーキ)と呼ばれ、最近では足で踏み込むフット式のサイドブレーキもあります。

パーキングブレーキの仕組みや構造

サイドブレーキなどのパーキングブレーキを説明する前に、AT車では「P」レンジがあります。Pレンジにシフトして停車すれば、パーキングブレーキは不要?という声もありますが、まずは「P」レンジのパーキングモードについて、ロック方法の仕組みを説明いたしましょう。

AT車のパーキングモード

AT車は、停止時にドライブをPレンジにシフトすると、ギヤがロックされます。MT車の場合なら、1速ギヤ、あるいは後退ギヤにシフトしてクラッチをつないでいる状態です。また、最近の自動車では、押ボタンによるPレンジが搭載された自動車も増えてきました。

AT車のPレンジは、ギヤ(歯車)を使用して、自動車の駆動輪そのものを固定してしまう仕組みです。しかしながら、Pレンジに使用されるギヤの歯車は小さく、もしも金属できたその歯車が欠けてしまったら、自動車のギヤはニュートラルと同じ状態になってしまいます。これは、いったいどういうことを示すのでしょう。

Pレンジとサイドブレーキ

Pレンジにシフトして、もしも坂道にAT車を停車していたと仮定します。ここで、別の自動車が停車中のAT車に衝突してしまった場合、AT車のPレンジの歯車のギヤは小さく弱いので、壊れてしまう可能性があります。

もしPレンジのロック用歯車が欠けて壊れてしまった場合には、自動車は重力の思うがまま、どこまでも転がって、いったん進みだしてしまったら、もう止めることはできません。廃車になる可能性もありますし、最悪の場合、他の人やクルマを巻き込む可能性もあります。

一方、サイドブレーキあるいはパーキングブレーキは、ワイヤーで引っ張って、後輪を摩擦の力で固定しますから、大きなブレーキ力はないものの、解除しない限り、摩擦でブレーキがかかり続けます。結論から言えば、Pレンジにして停車する際は、まさかの事態でも摩擦ブレーキが利くパーキングブレーキはオンしていた方が良いと言えるでしょう。

パーキングブレーキの使い方

パーキングブレーキにはサイドブレーキ式とフットブレーキ式の2種類があります。

サイドブレーキ式パーキングブレーキ

そもそもサイドブレーキという言葉は和製英語で、英語ではhandbrake(ハンドブレーキ)と言われています。ハンドブレーキという名が示すように、手で操作するブレーキです。使い方は日本車のような右ハンドル車ならば、運転席に向かって左側にある長いレバーを上に引き上げることで、パーキングブレーキがオンとなります。

足踏み式パーキングブレーキ

足踏み式のサイドブレーキと言った方がわかり易いでしょう。引っ張り上げるサイドブレーキとは逆で、アクセルを踏むように、足踏み式パーキングブレーキを踏み込むことで、ブレーキがオンします。

中古や新車問わず、自動車をご購入の際は、パーキングブレーキの種類を必ず確認しましょう。また、足踏み式パーキングブレーキのメリットは、引っ張り上げるのではなく、強く踏み込む方式ですので、力の弱い女性や高齢者の方でもブレーキが掛けやすい点があげられます。

パーキングブレーキの解除方法

パーキングブレーキの種類によって、ブレーキの解除方法も異なります。

足踏み式の解除

足踏み式のパーキングブレーキの解除は、ハンドル脇などにあるレバーを引っ張り上げるレバー式と、もう一度踏み込むフットリリース式がありますが、足踏み式のデメリットとして、MT車で足踏み式のパーキングブレーキですと、坂道発進がやり難いという点があげられます。

パーキングブレーキをオンした後で、左足を踏み込んでブレーキ解除、即座に右足でアクセルオンといった具合の動作が必要で、左手のサイドブレーキを操作するのに比べると、左足と右足が逆の動きでバタバタするような、頭と身体が混乱する動作になってしまいます。

また、足の踏み込みによる微妙な「力」の加減は難しく、手の操作によるサイドブレーキの方が使い易いと感じる方も多いことでしょう。

サイドブレーキの解除

サイドブレーキであれば、レバーの先にある押ボタンを押しながら、レバーを下げ戻せば解除することができます。このように足踏み式に比べて、サイドブレーキ式は言葉で説明してもシンプルですし、MT車の坂道発進にはとても役立つパーキングブレーキです。

パーキングブレーキが解除できない場合

サイドブレーキ式のパーキングブレーキが解除できない事態に陥った場合は、まずは落ち着きましょう。そして、サイドブレーキを押し戻すのではなく、一旦、もう一度上に引き上げながらサイドブレーキ解除のボタンを押してみましょう。

ボタンが押せれば、簡単にブレーキを解除することができるでしょう。一方、足踏み式パーキングブレーキを解除するには、一旦足を離したパーキングブレーキを、もう一度さらに強く踏み込む必要がありますが、少し踏み込んだら、軽く戻すように解除してみてください。

パーキングブレーキの調整の仕方

サイドブレーキ、あるいはパーキングブレーキは、ワイヤーで引っ張る仕組みのものであれば調整が可能です。そもそも、毎回パーキングブレーキの度に、ワイヤーで引っ張り上げるのですから、だんだんとワイヤーが伸びてきてしまいます。最終的には、かなりストロークして(引っ張り上げて)もパーキングブレーキが利いてないほどにまで伸びきってしまいます。

この場合、サイドブレーキ側のナットを緩めて、後輪ブレーキ側で調整が可能です。そして、再び、サイドブレーキ側のナットを締めて調整完了となるのですが、ブレーキ部分の調整は、ディーラーなどの整備機関で行われることをします。なお、電動式パーキングブレーキには、メカ的な調整機構はありません。

電動パーキングブレーキのメリットとデメリット

電動パーキングブレーキに調整機能はありませんが、裏を返せば、ボタンを押す強さに関係なく同じ強さでブレーキがかかります。また、サイドブレーキなどの手動式パーキングブレーキは、ドライバーが手動で解除しない限りは、ひたすらブレーキ摩擦がかかった状態になることを意味します。

もしメカ式パーキングブレーキの解除を忘れて、そのまま走行を続けた場合、ブレーキの摩擦熱によって、本来は強力なブレーキ力を生むはずのフットブレーキ力を増幅する油圧の「油」自体を加熱することになります。最悪は加熱し過ぎによるブレーキオイル沸騰で、ブレーキが利かなくなるという恐ろしい事態に陥ります(ペーパーロック現象)。

電動式パーキングブレーキなら、走行を始めれば、通常は自動的にブレーキ解除が行われ、ブレーキ解除し忘れという事態は避けられるでしょうが、電動式故障リスクもゼロではありませんので、解除時ランプ消灯も確認しましょう。

パーキングブレーキとサイドブレーキの違い

停車時のブレーキという点では、サイドブレーキもパーキングブレーキも同じブレーキなのですが、サイドブレーキは運転席の脇にあるハンドブレーキ式のみを表します。パーキングブレーキの機能以外にも、サイドブレーキには単なるパーキングブレーキとは異なった特徴があります。

先のフット式パーキングブレーキの坂道発進では、別々に両足を使ってバタバタと混乱を招いて不便ですが、サイドブレーキ式のパーキングブレーキなら、走り好きなドライバーにも好まれます。その理由を知るために、サイドブレーキのもう一つの機能を説明しましょう。

走行中にも使用できるサイドブレーキ

パーキングブレーキは、停車時に使用するブレーキですが、サイドブレーキは、走行中にもドライバーの意思によって後輪をロックさせることができます。

ラリー競技において、サイドブレーキを使用したドライビングテクニックは頻繁に見られます。その運転テクニックのメカニズムを説明いたします。

高速で走行している自動車が急ブレーキをかけた場合、慣性力によって自動車はそのまま進行方向へと進もうとしますが、強力なブレーキによって荷重は前輪へと移動します。逆に後輪は荷重が軽い状態へと陥ります。

この時、荷重移動によって高いグリップ力を得た前輪を走行させながらハンドルを切って、サイドブレーキを引いて荷重の軽い後輪をロックさせると、前輪は進行方向へと急激に曲がり易くなり、ロックした後輪は遠心力に負けて大きく流れます。ですので、自動車は進行方向へよりノーズを向け易くなり、クルマが面白いように良く曲がります。

雪道でも活躍するサイドブレーキ

意図的に後輪をロックさせるサイドブレーキは、滑り易い雪道では遅い速度でも体感することができます。安全のため、FF車であれば前輪にスタッドレスタイヤかチェーンを装着状態で(前輪がグリップします)行います。

ゆっくりと走行しながら、ハンドルをゆっくりと切って、自動車が曲がり始めた際にサイドブレーキをクイッと引いてみると、後輪が滑ると同時に自動車のノーズが進行方向にクイックに曲がるのを体感できます。

一方で、踏み込み式のパーキングブレーキではロックと解除のタイミングを掴むのが難しいのでできません。またFF車では、高速走行から後輪を滑らせるドリフト走行を行う際にもサイドブレーキが使用できます。走り好きのドライバーがサイドブレーキを好む理由がお分かり頂けたことでしょう。

雪の坂道発進での予備知識

ところで、FF車で雪の坂道を発進する際に、もしも前輪タイヤが空転してしまったら、まずは落ち着きましょう。タイヤが空転すると、スタッドレスタイヤでも、周りの雪を摩擦熱で溶かしてしまうので、スタッドレスタイヤは溶けた雪によって、雪を掴めずにグリップすることができません。

こんな時は、ゆっくりとタイヤを回転させながら、ハンドルを右に左へと切ってみましょう。まだ溶けていない雪が残っていれば、スタッドレスタイヤが雪を掴んで、自動車は上へ上へと進み始めます。

それから雪の中で自動車を停車する際は、逆にパーキングブレーキの使用は控えましょう。摩擦式ブレーキは寒さで凍り付いてしまう可能性があるからです。雪の時は、平らな場所に自動車を止めて、MT車なら1速や後退ギヤでロック、AT車ならPレンジでロックしましょう。また、ワイパーも立てて、ワイパーゴムが窓に凍り付くのを防ぎましょう。

パーキングブレーキの仕組みと用途を理解しよう

このように、サイドブレーキあるいはパーキングブレーキは、摩擦によって後輪をロックさせる機構ですので、AT車のPレンジの駆動輪ギヤロック式の破損リスクに対して、補助的に事故回避をサポートするブレーキですので、利用することをします。

一方で、手動式のパーキングブレーキの解除し忘れは、重大な事故につながるペーパーロック現象を引き起こす可能性があります。また、電動式パーキングブレーキの故障リスクも考慮すると、普段からパーキングブレーキが解除されているのかオンしているのかを知らせる、パーキングブレーキランプの点灯、消灯を確認することが重要です。

またメカ式で、あまりストロークするパーキングブレーキは、ワイヤーが伸びてきている証拠ですし、ブレーキが有効に働いていない可能性を示唆します。早めのブレーキ調整を心がけると共に、車検時などはパーキングブレーキが固めに調整されたことに気づくでしょう。

パーキングブレーキ選びは自動車ライフを選ぶ基準

サイドブレーキ式パーキングブレーキであれば、走行中に利用できて、雪道でも活躍することでしょう。一方、ドライビングテクニックとして不要な方にとっては、フット式パーキングブレーキは、力が無くても簡単にパーキングロックできるブレーキになるでしょう。

さらに電動式パーキングブレーキであれば、「ギー」というワイヤーの音を聞くことも感じることも無く、いつでも一定にブレーキをかけることが可能ですし、ブレーキ解除をし忘れるリスクも大きく減ることでしょう。

このように、パーキングブレーキの種類によって、毎回発進と停車を繰り返す自動車ライフも大きく劇的に変化します。楽しくて安心で便利な自動車ライフをもたらしてくれるパーキングブレーキ選びは、マイカーの自動車ライフを大きく変える要素です。マイカー購入時には必ず試乗して確かめましょう。

初回公開日:2018年03月15日

記載されている内容は2018年03月15日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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