日本にあるドライブインシアター|関東/関西/地方/東京
更新日:2024年11月16日
ドライブインシアターは日本にもあるのか
ドライブインシアターと聞いて、耳慣れない名前と思われる方も多いのではないでしょうか。名前が示すとおり、車に乗ったままで映画を観れる野外映画館のことです。少し古いアメリカの映画などには登場したりしますので、その存在をご存知の人は多いのではないでしょうか。
ドライブインシアターは、神奈川県小田原市で試験的に設置されたのが始まりで、その後、日本各地に約20ヶ所設置されました。しかし、色んな物理的制限や環境への配慮などの理由から徐々に衰退し、2010年には最後のドライブインシアターも営業を終了しました。
残念ながら、現在常時営業しているドライブインシアターはありません。しかし、期間限定での営業やイベントとして営業される場所もあったりします。そこで、各地域のドライブインシアター事情についてご紹介しましょう。
アメリカ生まれドライブインシアター
ドライブインシアターは、アメリカ合衆国の実業家リチャード、ホリングスヘッドが考案しました。1932年ホリングスヘッドは、自宅の駐車場で映画の野外上映のテストを行いました。裏庭の木にスクリーンを付けて、映写機は車に載せ映写を行いました。
このように、試験を重ねて4年後に特許出願を行った後、特許を取得しました。その後、ホリングスヘッドの経営するドライブインシアターがニュージャージー州で営業を開催しました。彼は、この時「どんなに子供が騒がしくても気にせず、家族みんなで楽しめます」とアピールしています。
この劇場は、わずか3年で閉鎖しましたが、これを機に全米のほかの州や都市でドライブインシアターが次々と開業していきました。
このような、流れの中からドライブインシアターが誕生することとなりました。それから、しばらくの年月を経て、日本で誕生することになります。
ドライブインシアターの思い出
映画を観る場合に、一般の映画館だとお子さん連れで行くと、お子さんが騒いだりする事などもあり、大人が映画に集中できない事があったりします。また、カップルで観る際も回りが気になったりしてムードが壊れたりすることも心配です。
ところが、車に乗ったままのドライブインシアターなら、そのような気遣いをする必要がなく、くつろぎながら映画鑑賞ができました。これは、当時画期的なレジャーで多くの人が詰め掛けました。
こんな、ドライブインシアターにも普及するにつれて、色んな問題が発生しました。天候的な問題は、スクリーン表示の関係で、夕方暗くなってからではないと上映ができない。天候に影響を受けやすい。騒音、排気ガスの問題で、アイドリングストップの指導が行われました。
これらの問題が徐々に各ドライブインシアターに広がり、全国規模で閉鎖の方向へ向いました。愛好家には、残念ですが納得するしかありませんでした。
ドライブデートに
すでに、日本中から無くなってしまったドライブインシアターですが、恋人とのデートの空間としてはお勧めです。車の中は、閉鎖空間なので二人の仲は当然近くなります。また、シアターの上映は夕方暗くなったから行われますので、スクリーンの明かりでムードは満点になります。
この空間、雰囲気で二人の恋もさらに盛り上がるでしょう。このような、ほんのり甘い想いでをお持ちの方もおられることでしょう。この時代は、時間の流れが緩やかだったように感じています。
ドライブと映画を同時に楽しめた
ドライブを趣味にしている人、映画鑑賞を趣味にしている人それぞれ多くおられるのではないでしょうか。ドライブと映画鑑賞を、同時に楽しめるドライブインシアターは当時、夢のような存在でした。会場では、自慢の車を並べて車好き同士で話したり、グルメを満喫することもできました。
ドライブインシアターは、今後大ブームになることは恐らくないでしょうが、散発的にイベントとして開催される事はあるでしょう。映画館ではなくて、自宅ではない空間で恋人や仲間達と映画を鑑賞する。懐かしんだり、新たな驚きを感じたり人それぞれでしょう。
もし、ドライブインシアターの臨時開催情報を知れば、会場に行きたい気持ちを抑えきれないでしょう。
ドライブインシアターが衰退した訳
日本におけるドライブインシアターはすべて衰退し、閉鎖となりました。その原因はどこにあるのでしょう。
第一に、映像作品のレンタルビジネスの普及がまずあります。レンタルビデオショップによる、映像DVDの普及増大にあります。レンタルビデオにより自宅などで映画を鑑賞する人達が爆発的に増え、アウトドアよりインドアで楽しむことが容易にできるようになりました。また、インターネットの急激な普及に伴って、ネットを介しての映画鑑賞が急増した点もあるのでしょう。
第二に、郊外に建設されたショッピングモール内の複合映画館の急増もあるでしょう。これらの複合映画館はその中に、ゲームセンターなどいろんな施設が併設されているので、映画以外もいろんな楽しみ方ができるので好評となりました。
第三に、映画以外のいろんな娯楽産業が登場し、映画より他の娯楽へ流れていきました。
これらが、衰退の一歩をたどった原因でしょう。
関東にあるドライブインシアター
関東地域でも、常時営業しているドライブインシアターは、現在ありません。かつては、都内に数箇所と神奈川県に2ヶ所、千葉県に2ヶ所営業されていました。ほとんどの施設が10年以上前に閉鎖して、駐車場に復元され、当時の面影はありません。
この章では、関東地域の開設されていた頃のドライブインシアターをご紹介しましょう。
東京
東京都内で、かつて期間限定でドライブインシアターが営業されていました。2014年10月、場所は東京タワーの麓、東京タワー駐車場で開催されました。当時の、ハリウッド映画が上映され大盛況でした。このイベントは、映像配信会社とラジオ局の試みとして、映像の音声をFMラジオ電波に乗せて鑑賞する方式で行いました。
参加者は、映像とラジオでの音声を、秋の夜長にゆっくり鑑賞しました。期間限定のドライブインシアターは、大盛況で幕を閉じました。
東京都多摩市
東京都多摩市に、1984年パークインシアターとして開業しました。多摩ニュータウンに隣接する駐車場に、スクリーンを設置したドライブインシアターでした。大スクリーンを車に乗ったまま鑑賞、飲食も自由で、家族連れにも大でした。駐車場は、広く車間もゆったり取られて、車高が高い車は後ろの方に並ぶなどの配慮があり、売店やトイレも常備されて便利でした。
映像文化を新しい形で提供するパークインシアターは当時、娯楽の中ででした。その後、惜しまれながら閉鎖となりました。
神奈川
神奈川県内で、最後に残っていた大磯プリンスホテルのドライブインシアターは2010年幕を下ろしました。しかし、昨年6月当時を懐かしみ映画を愛する人たちの手で、大磯ロングビーチ駐車場でドライブインシアターが2日間限定で開催されました。
イベント主催者は、車で出かける場所の一つにドライブインシアターが選ばれるようになれば良いと話しています。かつての、スクリーンは固定式やトレーラーの荷台でありましたが、今回は、エアで膨らませるタイプで映画終了後は容易に格納できるなど、画期的なスクリーンでした。
ドライブインシアターでは、参加者がゆっくりと日が暮れる湘南の夕暮れを楽しみながら、映画を満喫していました。
相模湖
神奈川県の相模湖で、一時的ではありますが、ドライブインシアターが開設されました。さがみ湖リゾートプレジャーフォレストの、駐車場に大型スクリーンを設置して行われました。この会場は、キャンプやバーベキューなどのアウトドア施設と遊園地を組み合わせた雄大なレジャーエリアです。会場すぐ側には、「さがみ湖温泉うるりの湯」があり温泉合わせて楽しむことができました。
昼は遊園地、夕方は温泉、夜はドライブインシアターで1日楽しく過ごせます。このドライブインシアターは、一時的な催しで現在はありません。
千葉
千葉県船橋市に、ららぽーとドライブインシアターが設置されていました。ららぽーとは、ファッションから映画までのアミューズメント、グルメエリアまで400店もの専門店で構成されてショッピングモールです。
ドライブインシアターは、ららぽーと内の湾岸南駐車場に巨大なスクリーンが設置され、FMラジオで音声を聴くタイプでした。このシアターも、2001年10月に惜しまれながら閉鎖となりました。
千葉県野田市
千葉県野田市の、ジャスコ野田店の駐車場にドライブインシアターが営業されていました。「ジャスコドライブインシアター野田」の名前で当時は、大でした。大型スーパージャスコで買い物をして、飲み物やファーストフードを買って、ドライブインシアターで映画鑑賞をこのコースが休日の娯楽の一つでもありました。
惜しまれつつ、このドライブインシアターも、時代の流れには勝てず2007年に閉鎖されました。
埼玉県
埼玉県所沢市の西友小手指店駐車場にドライブインシアターがありました。この小手指店は、デパート並みに大きい施設で、駐車場の2階に、巨大なスクリーンが設置されていました。当時、映像はフィルム映写ですから、映写室も片隅に設置されていました。
地下1Fに、コーヒーショップもあり、コーヒー片手に映画鑑賞を楽しむ人も多くおられました。現在では、すべて撤去され駐車場となっています。
関西にあるドライブインシアター
関西地区でも、現在の常時営業ドライブインシアターはありません。かつては、関西地区で、大阪の千里と舞州にドライブインインシアターが営業されていました。
この章では、それぞれのドライブインシアターをご紹介しましょう。
大阪
大阪の舞州にあったドライブインシアターは、舞州スポーツアイランドの中にありました。映画音声は、FMラジオで聴くタイプで、上映はスクリーンが反射するので暗くなってからです。大きなスクリーンを中心にして、鑑賞者の車がずらり並んで鑑賞します。
一つ難点は、天候に左右されやすく天気が悪化し雨が降り出すと、上映中止となる事がたまにありました。
千里万博公園
大阪市千里の万博公園近くの駐車場に、ドライブインシアターがありました。「スターダスト千里」と言う名前で、広い駐車場に大スクリーンが設置されていました。駐車あ場入り口の料金所で、チケットを購入して映画を鑑賞します。音声は他のドライブインシアターと同じで、FMラジオで聴きます。
この施設も、現在は閉鎖されて、スーパー銭湯に生まれ変わっています。
地方にあるドライブインシアター
地方のドライブインシアターも、関東や関西地区と同じように、常時営業しているドライブインシアターは現在ありません。
この章では、かつて営業していた愛知地域1ヶ所と、他の地域2ヶ所のドライブインシアターをご紹介しましょう。
愛知
愛知県春日井市の、春日井西武の駐車場に1982年の8月にドライブインシアターがオープンされました。春日井西武は、大型のコミュニティ型ショッピングセンターです。その駐車場の一角に大スクーリンを設置したドライビングシアターで、駐車場も非常に広く、車のシートにゆったりすわって映画を観られる開放的なシアターでした。
週末には、シアターへと言う言葉が飛び交うように大好評でしたが惜しまれながら、閉鎖となりました。
静岡県浜松市
静岡県浜松市の浜名湖パルパル遊園地に、ドライブインシアターの期間限定の開催がありました。遊園地の駐車場内に大きいスクリーンが設置されていました。
浜松は、スズキやヤマハが拠点を置いていて、ホンダの創業者本田宗一郎の出身地でもあり、車社会の浜松で駐車場の有効利用としても最適ではないかと開催が決まりました。
上映当日は、飲食店や雑貨ブースの出店、クラシックカーの展示なども行われました。
沖縄県
沖縄県読谷村の、読谷村飛行場跡地で開催されました。沖縄県は、米軍の関係でアメリカンカルチャーの色が濃く生き続けています。その象徴的なドライビングシアターへは、こぞってオシャレをして家族とまた、恋人と車の中で映画を観て楽しむ文化がここ沖縄に息づいていました。
この催しは、大盛況の中惜しまれつつ終了となりました。
ドライブインシアターを振り返る
ドライブインシアターのご紹介いかがでしたでしょうか。ドライブインシアターは、車に乗ったまま屋外で映画を観て楽しむことができる施設で、ピーク時は日本全国で20ヶ所以上があり、最後まで残っていた神奈川県の、大磯ロングビーチのドライブインシアターの営業を最後に終了しました。
これにより、日本でのドライブインシアターの歴史が終わってしまいました。その後は、復活を願う人達の努力で期間限定の開催が随時行われるだけとなっています。
できる事ならば、再度復活してあの感動を味わいたいとの声もありますが、いろんな事情により叶わないのが現実です。この記事で、ご紹介しました内容を通して懐かしさや、想いでを蘇らせて頂けたら幸いです。
初回公開日:2018年02月22日
記載されている内容は2018年02月22日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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