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サイドスリップの調節方法・料金の目安・DIYでの調節方法

更新日:2023年11月14日

サイドスリップと聞いても何のことか全く理解できない人がほとんどでしょう。そしてサイドスリップとアライメントが全く同じと勘違いしている人も多いのではないでしょうか。そこで今回はサイドスリップの正しい測定方法と調整の仕方と料金を詳しく解説します。

サイドスリップの調節方法・料金の目安・DIYでの調節方法

サイドスリップとは

車の用語でアライメントの事は知っているけどサイドスリップについて詳しく知っている人は少ないでしょう。しかし、ともにサスペンションの調整に関係する言葉で、車を真っ直ぐ走らせるために非常に重要な調整になります。

車のタイヤは真っ直ぐ取り付けられているようで、実はハの字に取り付けられています。そしてこのサイドスリップとはフロントタイヤの横滑り量の事です。

横滑り量をもっとかみ砕くと、タイヤは前を向いているとは限りません。車のタイヤはトー角を付けてあります。トーインなら内股でトーアウトがガニ股となっています。この傾きが左右同じでなければ、車は真っ直ぐ走りません。その真っ直ぐ走らない状態が横滑りで、この動きをサイドスリップテスターで見る事になります。

タイヤの偏摩耗との関係

サイドスリップが狂っているという事は、トー角が左右で違うという事で、そのまま走行すればタイヤには大きな負荷がかかり片減りなどの偏摩耗を起こします。

またサイドスリップが狂っていると車は真っ直ぐ走らないので、ハンドルを常に修正しながら走らせるので、運転操作も普段より疲れるでしょう。

フロントタイヤが片側だけ変な減り方をするようなら、タイヤは左右で違う方向を向いている可能性が高いので、サイドスリップ調整をする必要があります。

サイドスリップの調節方法

サイドスリップとは、車のハンドルを真っ直ぐにした状態で車を1メートル進ませたときにどのくらい車が横にずれるのかを測定します。その量はプラスマイナス5mm以内と決められており、この基準をオーバーすると車検には合格できません。このテストは車検場で専用のテスターで計測されます。

サイドスリップの調整は、左右のトー角を調整します。車のステアリングギアボックスとタイヤの間にタイロッドと呼ばれる部品が付いており、この部品がアジャストして長さが変わるようになっています。このタイロッドの長さを変えるとトー調整ができます。

トー調整の仕方

サイドスリップの調整は、トー調整をすることになります。トー調整の仕方はタイロッドの長さを変える訳ですが、実際にはラックエンドという部分を回して長さを調整します。

ラックエンドを調整するにはタイロッドエンドにロックナットが締めこまれていますから、それを緩めないとラックエンドをアジャストすることができません。しかしこのロックナットは固着している事が多く、スパナやモンキーで強引に回すとナットを高確率で舐めてしまいます。

そこで潤滑剤を吹き付けてからサイズの合うスパナで回します。100均などで売っているスパナでは、精度が悪いので舐める確率が高いのでメーカー品のスパナを使うか、しっかりとしたモンキーを使い緩めます。専用のロックナットレンチも販売されていますから必要と考えるならば購入しても良いでしょう。

調整はラックエンドを回してタイロッドを長くするのか短くするのかを考えてから作業します。

サイドスリップの料金・工賃の目安

サイドスリップ調整をお願いすると、最初に車のサイドスリップを計測し、基準内に調整といった順序で作業が行われます。料金設定はそれぞれのお店や整備工場で違いますが、数千円での調整が一般的です。

特にサイドスリップ調整は車検時に検査場で不合格になった場合に調整する事が多いので、車検場の廻りにはテスター屋さんを含め数多くの車屋さんでサイドスリップ調整を行っています。そのために比較的車検場近くの整備工場では安くサイドスリップ調整を行っています。

ディーラー

ディーラーでサイドスリップ調整を行う場合、4000円(税抜き)前後の相場となっているところが多いです。

サイドスリップ調整は、早ければ10分程度で終わる作業ですが、ロックナットが固着していると作業が長引くことがありますが、基本的にディーラーでは作業時間当たりの工賃が決まっているので、多少長くかかっても料金が高くなることはありません。

ただしタイロッドに問題があり交換作業をしなければならない状況だと料金は変わってきます。例えば、縁石などにタイヤをぶつけてサイドスリップに狂いが生じた時などは、料金が高くなる事があります。

テスター屋さん

テスター屋さんとは陸運局(車検場)の近くにある民間運営の予備検査場です。自動車関係の方なら馴染みのある場所で車検ラインと同じ設備があり、車検前に調整をして本番の車検に備えることができる場所です。また車検に不合格になった場合もここで調整を行こともできます。

そこでサイドスリップ調整ですが、今はユーザー車検をされる方が増え、一般の方の受け入れも多く行っています。一般的なサイドスリップ調整より安く2000円~3000円程度で測定と調整を行ってもらえます。

テスター屋さんであれば、毎日非常に多くの車種を扱っているのでメーカーにとらわれず多くのノウハウを持っていますから、安心してサイドスリップ調整をして貰えます。

タイヤ館

タイヤ館で行っている作業はサイドスリップ調整ではなくアライメント調整です。サイドスリップ調整はフロントのみの調整ですが、タイヤ館で行うのは4輪トータルアライメント測定と調整なので、料金もまるで別物です。

タイヤ館ではアライメント測定のみと、測定と調整の両方を行う2種類のメニューがあります。
測定のみは16,200円(税込)~で測定と調整をすると21,600円(税込)~となっています。タイヤ館ではサイドスリップ調整ではなくトータル4輪アライメントを測定するのでこのように高い金額となっています。

サイドスリップのDIYでの調節方法

サイドスリップ調整をDIYで行おうと考えている方も中にはいる事でしょう。しかしサイドスリップ調整は微妙なさじ加減で変わってくるかなりシビアな調整になります。

間違った調整をすると、調整値がバラバラになりタイヤの偏摩耗や振動や車の振れの原因にもなるので、正しく理解して行いましょう。

一般にサイドスリップ調整は車に1Gのかかった状態で行います。タイロッドが車の下なので調整作業がしずらいのでしょう。そこで車をかさ上げして手の入るスペースを確保するなどの工夫が必要になります。

ネットなどに糸と空き缶などで手軽にできるようなことが書いてありますが、トー角の理解をしてから作業しなければ、間違った数値の測定をすることにもなるので、安易に始めないようにしましょう。

そこで初めてサイドスリップ調整を行う方には専用の簡易テスターの購入です。車のメンテナンスをされる方は持っていても損はないでしょう。

KTC サイドスリップボード

サイドスリップの簡易テスターとしては、金額も8,878円なのでリーズナブルです。足回り交換を頻繁にしたり、車高調を付けていてキャンバー角を調整する方にはとても強い味方になるでしょう。

使用方法は、車を乗せてゆっくりと動かすだけで測定できます。一般整備工場で測定した結果と誤差がほとんどないのも素晴らしいでしょう。車検前のサイドスリップ調整にも使用ができますが、余り車重が重いと本体が壊れるので車両重量は2トン以下の車に限定されます。

測定する時には平の場所で測定し、砂利などがあると狂いが生じるので測定器を置く前にはその周りの掃除をしてから行いましょう。

自作サイドスリップテスター

サイドスリップを自作して測定して調整するにはタコ糸があれば可能です。この他タコ糸を保持するためのスタンドと測定するためのメジャーか、差し金を用意します。

タコ糸を車の廻りに四角く囲みます。基準となるな場所を左右のリアタイヤのセンターハブからの距離とします。高さも前後で揃える必要があります。必ず左右のタコ糸が平行になるようにしてたるみが無いようにピンと張りましょう。

測定はフロントタイヤのホイールリムで行います。タイヤの前側と後ろ側のリムからタコ糸までの距離を測ります。タイヤの前側が広ければトーアウトで逆に狭ければトーインとなります。またこの数値を左右で比べてフロントホイールのフロント側とリア側の差が同じになるように調整します。

サイドスリップの車検での注意点

車のサイドスリップは、通常の使用で狂うものではありません。しかし縁石にフロントタイヤをぶつけたり、縁石にタイヤをこすりながらハンドルを切るとサイドスリップは狂う事があります。この他にはサスペンションを分解した場合にサイドスリップが狂うので車検の前には調整の必要が出てきます。

通常車検をディーラーや整備工場に依頼する場合は、サイドスリップ測定と調整は24か月点検整備に含まれますから、狂っていれば調整して車検を行います。問題があるとすればユーザー車検を行うときでしょう。

ユーザー車検でサイドスリップテストが問題ない場合もありますし、判定が不合格となる事があります。不合格の場合は車検場近くのテスター屋さんか、整備工場で調整して再度車検を受験する事になります。ただしサイドスリップテスターの通過の仕方で不合格となる事があるので下見をしましょう。

車検のサイドスリップ基準

サイドスリップテストは、ハンドルを真っ直ぐにした状態で車がどのくらい左右に横にずれて走行するかを確認するテストです。これは道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第91条に定められており、その基準値は1メートル進んだ時に横滑り量が5ミリを超えると適合しないとされています。

サイドスリップを検査する理由は、車のタイヤはトー角が付けられており、段差を勢いよく通過したり縁石にタイヤを擦るとトー角が変化し横滑り量が変わります。すると車は真っ直ぐ走らせることができなくなるので、サイドスリップテストが行われます。

車検のサイドスリップテスター

車検のサイドスリップテストは、業者に依頼すれば自分でサイドスリップテストを行う必要はありません。ユーザー車検で検査ラインに入りサイドスリップテストを受ける際は自分で運転してサイドスリップテスターを通過しなければなりません。

そこでユーザー車検を行う前は、事前にテスター屋さんで測定をして貰ってから車検を受けるか、自分でサイドスリップ調整をしてから車検を受ければ、サイドスリップテストに不合格になる事はありません。

しかしサイドスリップテスターに入るには、事前に測定して完璧にする他、タイヤの空気圧もフロント左右で同じように調整しておくことも重要です。この他サイドスリップテスターを通過する際にはハンドルを真っ直ぐにして進入ラインに入り通過中にハンドル操作を行わないことも重要です。

サイドスリップとアライメントの違い

サイドスリップとアライメントが全く同じと考えている人がいますが、これは間違いです。サイドスリップとはフロントタイヤの横滑り量でトー角を調整します。これはリアタイヤを含めた車全体でのトー角の調整ではなく、あくまでもフロントタイヤの横滑りを改善するための調整です。

アライメントは、4輪全ての車の基準値に照らし合わせて確認する方法で、トー角も車の基準値に調整をすることになり、車の4輪のトータルバランスを考え走行安定性を出すために調整します。

しかし車のアライメント調整はトー角しか調整できないので、通常でしたらサイドスリップ調整をしっかりやれば問題ありません。4輪アライメントを取る理由にはスラスト角を理解する必要があります。

スラスト角とは

車のリアのトー角がトーインになったりトーアウトになる事があります。例えばリアの左側のトーが1度、右側が2度トーインとすると右側が極端な内股です。この時にフロントのサイドスリップ調整を完璧にしていても車は左側に進もうとします。

これがスラスト角でリアが両方2度トーインであればトーインで間違いありませんがスラスト角は0といいます。そこでスラスト角が0であればサイドスリップのみの調整で車は真っ直ぐ走らせることはできますが、スラスト角が狂っている車であれば、それに合わせたフロントのトー角の調整が必要になります。

市販されている車にはリアの調整ができないトーションビーム式のサスペンションが多いので、アライメント調整をした方が良いと言えるでしょう。

ショックアブソーバーを外すだけで狂う

足回りの交換をしてそのまま走行しているとタイヤの片減りが起きる事が多くあります。それは足回りを外すことで、アライメントが狂うからです。

ショックアブソーバーを外すと、ショックアブソーバーの下側のボルト穴にはわずかなガタがあるので、一度緩めると取り付け時の締め方ひとつでトー角は狂ってしまいます。特にキャンバー角を付けるためにキャンバーボルトを取り付けた時にはサイドスリップ調整は必修となります。

サイドスリップの測定方法

サイドスリップ測定には専用の測定器が必要になります。市販で売られているサイドスリップテスターでも十分測定可能す。

測定するには必ず水平の硬い地面の上で行う必要があり、少しでも地面が傾いていたり、でこぼこしていると正確な測定はできません。

車のタイヤは前方に向かいハの字に閉じている事がほとんどでトーインの状態です。するとタイヤはよじれながら走っていますが、この時に左右のハの字の開き加減が違うとねじれ方に差が生まれ、計測器を揺らします。この揺らす量でどのくらい走行中に横滑りしているか計測します。

糸とメジャーで

DIYで身近にあるもので測定しようとすれば、タコ糸などの糸を車の廻りに張ってトー角を測定する方法になります。DIYで横滑り量を測定するのは難しいでしょう。精度的に曖昧ではありますが、濡れた新聞紙を水平の地面において通過し、新聞がよれるとサイドスリップが狂っていると判断する方法もあります。

しかしこの方法は完全な水平でなければうまくいかず、またどの位狂っているかは経験と勘が必要になります。

糸を使ってトー角を調整する方法は濡れた新聞紙よりましですが、これも測定する場所の基準を間違えるとサイドスリップ調整は間違った方向に調整してしまうでしょう。

足回り交換をしたら

長く乗っているとショックアブソーバーが劣化し交換しなければ乗り心地が悪くなります。そこで車のメンテナンスをしている方は自分でショックアブソーバーを交換する方もいるでしょう。

ショックアブソーバーとナックルを止めているボルトは外した方があればわかるでしょうが、緩めた状態でブレーキローターの上下に持ち揺すると動きます。この動きがキャンバー角になります。

キャンバー角はタイヤが車体側に対してどれだけ倒れているのかを見る値で、この角度が狂うとトー角も調整しなければなりません。例えばポジティブキャンバーの場合、車は外側に行こうとする力が働きます。そこでトーイン側に調整する事で車を真っ直ぐ走らせることができます。

このようにアライメントはそれぞれが影響しあい、そしてその動きを相殺する事で真っ直ぐ走らせることができます。ショックアブソーバーを外したらトーを調整する必要があります。

何もしないよりサイドスリップ調整

足回りを交換してアライメント調整をするのが基本ですが、無理に高いお金を出して行わなくてもサイドスリップ測定をして、調整するだけで車の動きは良くなります。

ただしリア側のスラスト角が0であることが条件ですが、かりに狂っていても何もしないよりサイドスリップ調整をした方が良いでしょう。

車の背骨を矯正して快適なカーライフを

フロントタイヤが段減りしていたり、片減りしている時には迷わずサイドスリップ測定をしてみましょう。サイドスリップ調整する事で車の歪みを取ることができます。

重要なことは、サイドスリップ調整と違いアライメント調整は道具が良くても調整する人の技術によるところが非常に高いです。

サイドスリップ調整は保安基準でも定められているので、一般の整備工場でも完璧に調整することができます。サイドスリップ調整は工賃もアライメント調整に比べ格段に安いので、ハンドルが左右どちらかに取られたら迷わず調整しましょう。

初回公開日:2018年04月18日

記載されている内容は2018年04月18日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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